人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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59. 8月の日記④(2年目)

 8月16日(後編)

 

 早速我等空軍は、軍団魔法『ソニックインパルス』を発動し、フライング・ワームの群れを撹乱し分散させる事に成功し、続けて新軍団魔法『サンダークラッシャー』を発動した。

 

 新軍団魔法『サンダークラッシャー』・・・ケニー団長を先頭に各ワイバーンは、オリハルコンの武装を完全防御モードに変形させ、サンダーの魔法を装甲表面に纏わせ紡錘陣形で敵に突っ込む、フルダイブアタックで有る。

 

 『サンダークラッシャー』を大きな口を開けて迫るフライング・ワーム一体一体に、自分とガイを先頭に発動させた。

 フライング・ワーム共は次々と大きな口を切り裂かれ、サンダーを喰らう事で身体機能を麻痺させて行く。

 頃や良しと判断し、最後に新軍団魔法『ファイアートルネード』を展開した。

 

 新軍団魔法『ファイアートルネード』・・・循環魔法の1つで有る『アクセラレーション(加速)』をワイバーンと自分に発動させ、敵軍の周りを2倍速のスピードで旋回させる事で、敵軍を漏斗状の竜巻に巻き込む、そして完全に敵軍を巻き込んだら、敵の最下方に集結し一斉に最大火力のファイアーブレスとファイアーを漏斗の先端に放ち、敵軍を焼き尽くす。

 

 フライング・ワーム共は、新軍団魔法『サンダークラッシャー』を喰らう事で身体機能を麻痺させて居て、上手く動けないまま、竜巻に巻き込まれ次々と焼滅して行った。

 流石に全ての軍団魔法を最大限の魔法を行使して発動させたので、魔石ケースの魔力を全て使い尽くしたので、予備の魔石ケースに換装させてアラン様達に合流するべく、空軍はアラン様達の戦われている戦場へ向かった。

 かなり離れた、上空でアラン様とグローリア殿はザッハークと対峙していた。

 相当な激戦であったのだろう、グローリア殿のオリハルコン製の装甲は凹みまくり、かなり傷ついていた。

 脳裏に親父の言葉が思い出された。

 「このグローリア殿のオリハルコン製の装甲は、ワイバーン達の装甲と違い厚さで2倍、鍛えるのに3倍の折返しをしている。

 余程の敵じゃない限り、傷一つ付く訳ないぜ。」

 と親父は得意満面に豪語していたが、

 「居たぞ親父!余程の敵を上回る、尋常では無い強敵が!」

 と脳裏の親父に向かい話した。

 暫くして、ゆらりとグローリア殿が左に動き出し徐々に加速し始め、目にも留まらぬスピードで不規則に飛行し、ザッハークがグローリア殿を見失い動きを止めた瞬間、グローリア殿は完全防御体勢のままザッハークに連続で激突しまくった。

 「ドガガガガガッ!」

 という連続で硬いものが同じ硬いものにぶつかる硬質な音が鳴り響き、遂には、

 「ガシャーーン!」

 と云う何かが砕ける音が鳴り響いた。

 其の場に居た者は、とうとうザッハークの魔法防御が砕けた事が判ったが、其れを成したグローリア殿の装甲は、更に酷い有様になっていた。

 つまり、アラン様とグローリア殿はザッハークに魔法が効かない事から、自分達自身に循環魔法の1つで有る『アクセラレーション(加速)』を掛け、我等より上の3倍速でオリハルコン製の装甲の完全防御体勢になり、魔力を纏いながらザッハークにぶつかりまくる事で、ザッハークの防御用の魔道具に負荷を掛け続け、遂に壊す事に成功したという訳だ。

 ザッハークは怒り狂い、2つの口から異なったブレスを吐きまくった。

 1つは以前と同じ『アシッド(腐食)ブレス』だが、もう1つはライトの魔法を凝縮した光線の様なブレスで、その光線が当たった山肌は焼け焦げている。

 その様子を高空に逃れて我等は観察して、アラン様が、

 「戦ってみて判ったが、ザッハークは巨体であるが故に小回りが効か無い。

 しかし、それを補うように魔法防御だけでなく、物理的に尋常で無い防御力を備えている。

 よって今から俺は体表より弱いであろう体内目掛け、此の『グングニル』(グローリア専用の接近戦武器で先端にドリルバイクと同じアダマンタイトのドリルが装着、柄はオリハルコン製で同じオリハルコン製の鎖が巻きつけて有る)をザッハークの口から体まで貫き、『グングニル』に巻いてある鎖を通し最大火力の魔法を、ザッハークの体内で解き放つ、その際恐らく俺は魔力を使い尽くしてしまうだろう。

 空軍は、弱ったザッハークに最強の魔法で以ってトドメを刺せ!」

 と命令された。

 「ハッ!」

 と短く返答し、我々は散開しザッハークのブレスの射程外で周囲を取り囲んだ。

 アラン様とグローリア殿は、ザッハークの直上1キロメートルに移動し、凄まじい勢いで『グングニル』に魔力を充填し始めた。

 ザッハークは、その信じられない程の魔力に反応し、双頭の口から光線のブレスをアラン様達に吐いた。

 だが、アラン様達の前方に有る『グングニル』の先端のアダマンタイトのドリルは、飛んできた光線のブレスを簡単に吸収してしまった。

 驚き慌てたザッハークは、威力を高めた極太の光線を双頭の口から吐いたが、先程と全く同じ結果に終わる。

 明らかにザッハークは、アラン様達の尋常では無い魔力に怯み、逃げるかの様に双頭を上に上げたまま下降し始めた。

 「行くぞ!」

 とアラン様が闘志の塊の様な気合いの入った掛け声を上げた。

 次の瞬間、対巨人戦の時の様にグローリア殿とアラン様が、燦然と輝いた!

 その輝きと共に凄まじいスピードで、『グングニル』を構えたアラン様がグローリア殿と共に急降下して来た。

 ザッハークは、避けられないと覚悟したのか、此れまでで最大の光線を双頭の口から吐いた!

 『グングニル』はいともアッサリとその光線を弾き、ザッハークの双頭右の口目掛けアラン様が投擲された!

 見事に『グングニル』はザッハークの双頭右の口を貫き、体内深く潜り込んだ!

 そしてグローリア殿は、その勢いのままザッハークの双頭左の首に完全防御体勢の状態でフルダイブアタックを仕掛けた!

 「ドゴッ!」

 と云う鈍い音と共に、ザッハークの双頭左の首は一旦折れ曲がる様に傾げたが直ぐに持ち直し、首の根本に突っ込んだままのグローリア殿目掛け、光線を吐こうと息を吸い込んだ。

 「ザシュッ!」

 鋭く切り裂く音と共に、ザッハークの双頭左の首は遥か下の地面に落ちて行く。

 それを成したのは、グローリア殿の尾に施されたオリハルコン製の武装で名は『スライサー』、魔力を込めてグローリア殿が尾で対象を薙げば、殆ど抵抗無く切り裂く事が出来る隠し必殺武装だ。

 アラン様とグローリア殿は、鎖の届く最大距離に退かれ、あらん限りの魔力を『グングニル』に注ぎ込み、吠える様に魔法を唱えた!

 

 『グランド・クロス』!!!

 

 その瞬間、ザッハークを中心に眩い光で出来た十字架が出現し、辺りに白い光と衝撃波が広がった!

 

 『グランド・クロス』・・・・聖魔法に於ける奥義の1つで、十字架の形状で出現しイビル(悪)の属性を持つ存在に対し神の裁きを下す。

 

 ザッハークはそのまま地面に落下して行き、地面に横倒しになった。

 アラン様はザッハークから抜け出た『グングニル』を鎖で巻取り、ザッハークの様子を確かめる為に近づいて行った。

 暫く全員でザッハークの様子を窺うと、何とザッハークの失われた双頭が再び生えて来ようとしている。

 「やはり、蘇ろうとするのか。」

 とアラン様は呟かれ、

 「軍団魔法『サンダーストーム』ワイバーン・バージョン展開!!!」

 と号令を発した。

 ザッハークを中心に巨大なストーム(嵐)が展開され、そのストーム目掛け空軍全員のサンダーの魔法が放たれ、徐々に周囲が静電気を帯び始め準備が整った段階で、空軍全員で協力し天の裁き『インドラの矢』を最大魔力で放った!

 

 軍団魔法『サンダーストーム』ワイバーン・バージョン・・・『サンダーストーム』は本来はアラン様とグローリア殿を中心にして放つ軍団魔法だが、何らかの理由でアラン様とグローリア殿が参加出来ない場合に備え、訓練して来た空軍最強の軍団魔法。

 

 その瞬間世界が白く染め上げられ、続いて振動を伴った轟音が周囲一帯を包み込み、静寂が訪れる。

 

 静かな時が暫く続き、皆が辺りを確認すると地上に黒焦げに成ったザッハークが、ピクリとも動かずに立っていた。

 やがて、ボロボロとザッハークの翼から徐々に崩れ去り始め、ザッハークの全身は灰となって消えて行った。

 「終わった・・・・」

 誰かがそう呟き、皆、その声に反応したかの様に地面にへたり込んだ。

 見るとグローリア殿とワイバーン達も地面にうつ伏せになっていて、アラン様も仰向けになり「ハーッ」と大きく息を吸い込まれ疲れ切ったご様子だ。

 「クスクス」

 と小さく笑う声が聞こえ、隣を見るとミーシャが自分を見て笑っている。

 何だかその姿を見て、自分まで可笑しくなり笑いだした。

 すると空軍全員も次々と笑い出し、終いにはアラン様も仰向けのまま大笑いしている。

 そしてゆっくりと皆がアラン様の元にやって来て、アラン様も立ち上がり、

 「ヤッタゾー!」

 と拳を天に突き上げられ、自分始め皆も、

 「ウオオオーッ、ヤッター!」

 と歓声を上げながら拳を天に突き上げた。

 すると、グローリア殿とワイバーン達も天に向かい、

 「ガオオオーーーッ!!」

 と豪快に吠えている。

 そう、我々は、伝説の『双頭の暴虐竜ザッハーク』を誰一人失う事無く、倒す事に成功したのだ。

 

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