人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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60. 8月の日記⑤(2年目)

 8月17日

 

 昨日、『双頭の暴虐竜ザッハーク』との激闘で精も根も尽き果て、暫く全員自然回復を待つ間、通信機で各軍と連絡を取り合うと、概ね予定通りに事態は推移した様だ。

 他の軍団も作戦中怪我人は大勢出たが、その都度ヒールで回復し大過なく作戦は遂行され、目的は達成出来たそうだ。

 ベックとトールの2部隊に予備の魔石ケースを持ってきて貰い、漸くグローリア殿とワイバーン達は飛べる様になったので、新生ルドヴィーク城にゆっくりと飛んで帰り、待っていた上層部の方々との挨拶もそこそこにアラン様始め自分達空軍全員は、後事を上層部の方々に任せ其々の部屋で死んだように眠った。

 

 8月19日

 

 1日半の爆睡を終え、新生ルドヴィーク城大食堂で他の軍の連中と、其々の戦場での話題で盛り上がっていると、大食堂のモニターにアラン様が登場され、14時より隊長以上は大会議室にて作戦会議が行われる旨が通知され、急いで昼食を掻き込む様に食べて服装と報告書を整えて大会議室に向かった。

 大会議室に入ると、自分とミーシャは他の団長達から『双頭の暴虐竜ザッハーク』との激闘を労われた。

 何でも、ワイバーンとグローリア殿の装甲の肩の辺りに有るカメラで、『双頭の暴虐竜ザッハーク』との激闘が克明に撮影されていて、その動画は現在編集中ではあるが、隊長以上は既に断片的に視聴していてその伝説に残る凄まじい戦闘シーンに皆興奮を覚えたそうだ。

 確かに自分とミーシャにとっても、疲労困憊で動けなくなるまで戦ったのは、始めての事だったのであの戦闘レベルの戦いは正直二度と御免だ。

 大会議室にクレリア姫様とアラン様が入室され、軍人全員立ち上がり敬礼した。

 クレリア姫様が、

 「皆、先日の戦争では大変な激闘を戦い抜いてくれて、このクレリア大変感謝している、本当に有難う」

 と頭を下げられた。

 ダルシム団長が皆を代表し、

 「とんでもございません、どうかクレリア姫殿下頭をお上げ下さい、このアロイス王国との戦いは謂わば我等元スターヴェーク王国国民にとって、我等の愛するスターヴェーク王国を取り戻す聖戦、どのような苦闘であろうとも必ず戦い抜きます!」

 と応じ、自分達元スターヴェーク王国国民の軍人は、

 「「「その通りです!」」」

 と同意を言上した。

 すると、クレリア姫様は涙ぐまれながら、

 「皆の献身は、クレリア必ず報いてみせるので、これからも宜しく頼む。

 さて、今後の事だが現在は先の戦いで我軍は、大変な数の戦争捕虜を確保した為に後方である、ベルタ王国王都とコリント領にトレーラーのピストン輸送で送り出しており、この作業に暫くは忙殺されそうだ。

 ただ、この戦争捕虜の扱いはアロイス王国軍の捕虜に限り、アラム聖国軍はある特殊事情から未だ取り扱いは決まっていない。

 故に、アラム聖国軍の取り扱いが決まり次第、我軍は王都攻略戦に乗り出す。

 皆、色々と思う事は有るだろうが、王都攻略戦は避けて通れぬ道だ、必ず勝つぞ!」

 と檄を飛ばされた。

 「オオッ!」

 と全員が応じ、アラン様が、

 「それでは、今後の行動指針を説明する・・・・」

 と各軍の行動指針と其の為の準備を指示された。

 我等空軍は第一軍と共に、現在も王都とここ新生ルドヴィーク城の中間地点で、アロイス王国の補給部隊とその護衛部隊を蹴散らした後、王都に対して睨みを利かしている、ファーン侯爵率いるベルタ王国国軍3万と子供ワイバーン80頭と交代し、王都と周囲への偵察任務と牽制を行う事になった。

 

 8月25日

 

 今現在、我等『アロイス王国討伐軍』(義勇軍から全軍の名称を統一して欲しいと要請されて付けられた名称)は、元アラム聖国軍25万の兵士の行軍を監督している。

 どうして此の様な事態になっているかというと、其れはルドヴィーク城籠城戦直後に遡る。

 アラム聖国軍を戦闘不能にし、戦争捕虜用に用意していた広大な空き地で、武装解除している時にそれが発覚した。

 全員の仮面を剥がさせ、個別確認をしている兵士が3人目で気付いたそうだ。

 2人目の段階では、よく似た顔の兄弟で並んでいたなと思ったそうだが、3人目で目を疑い、周りに居た全員の仮面を剥がすと、全員が同じ顔をしている。

 直ぐに上官を呼び、多数の兵士で顔の確認をしていくと、何と5万人ずつ同じ顔で体つきまで一緒なのだ、然も戦争に負けて意気消沈して俯いていたと考えていたが、全員が全く同じ様に俯いたままで微動だにしないのは、あまりにも違和感があったらしい。

 アラム聖国に詳しい、ミツルギ殿と『漆黒』のカトウが状況の確認と対処にやってきて、顔が同じ事以外の大体の状況が判明した。

 以前のベルタ王国内乱の際、ミツルギ殿がアラム聖国に命令されて使用したアーティファクト『テンプテーション』を掛けられた、旧スターヴェーク王国国民とベルタ王国国境守備軍の症状と酷似していて、恐らくは類似したアーティファクトか、洗脳手段による物と推測出来た。

 なので、同じ方法で洗脳を解く事が出来るかも知れないと考えられたが、如何せんその方法では3週間の聖水が抜ける期間が必要であり、その間の食事や排泄も以前はアーティファクト『テンプテーション』で指示していた事を考えると、同じ効果を引き出すアーティファクトが有る筈と、戦場とアラム聖国兵士を詳しく探したが見つからず、代わりの方法として現在コリント領で研究の為に利用している『テンプテーション』を、元気になったグローリア殿にコリント領を往復して持ってきて貰い、アラン様がアラム聖国兵士に使用してみた処、ものの見事に命令を聞くようになった。

 という事で、アラン様とアラム聖国兵士は一緒に行動する必要が有り、当然アラン様は総帥として此の戦争の指揮を取らなければならないので、アラム聖国兵士はこのまま王都攻略戦に随伴する事になる、その為に実際どの程度の事が可能なのかテストしているのだが、アラム聖国兵士はアラン様の指示に怖いくらい従順に従う。

 まあ、盾は持たせても良いが、剣等の武装をさせなければ問題無いので、このまま王都攻略戦までは随伴させようと作戦会議でも決まり、明日王都に向けて進軍する事が決まった。

 

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