人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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66. 10月の日記③(2年目)

 10月6日

 

 官舎から自分は、両祖父母の為に用意された、元アロイス王国の男爵居館に移る事になった。

 まあ、あくまでも王都に於ける仮屋でしか無いので、両祖父母の安全管理も出来る事だし、自分に異存は無い。

 元の屋敷の主は、裁判で裁かれ身分は平民に落とされた上で、重労働が課される事が決定しており、一族全員元セシリオ王国のオスロ港での港湾工事を、一生する事になるだろう。

 王都に於ける宿泊所の様な男爵居館だったので、小ぢんまりとした造りで5~8人位なら住むのに不便さは無さそうだ。

 両祖父母は昨日から居館の大掃除を始めており、着いたら早速自分も働かされた。

 引っ越しの様子を見に来たミーシャとベック達もついでのように手伝ってくれたので、ほぼ1日で片付ける事が出来た。

 夜は奮発して、一流レストランで内輪の晩餐会と洒落込み、珍しく酔っ払ってミーシャの介護を受けてしまい、両祖父母に冷やかされてしまった。

 因みに、既に王都のお店での決算システムは、ギニーとポイント両方で精算出来る様になっている。

 

 10月9日

 

 10月2日に結審した元アロイス王国国王ロートリゲン・アゴスティーニと、元アロイス王国軍務大臣ロイスの刑が執行された。

 殆どの元スターヴェーク王国の旧臣と貴族そして軍人は、公開での極刑を望んだが、クレリア姫様は西部と南部の国民は未だにスターヴェーク王国復活を快く思っておらず、ここで両名を斬首や絞首刑等の公開処刑を行うとまた深い恨みを買う事になり、統一が遅れる事を危惧し、処刑場での斬首となった。

 両名は、裁判時の洗脳状態のままで、或る意味本心から後悔しながら斬首された。

 洗脳状態で無かったら、相当な見苦しい結末だったであろうことは、容易に想像されたので、本人の意志では無かろうと関係者一同はこれで可しと納得した。

 他の西部と南部の貴族や、元アロイス王国に協力した東部と北部の貴族、そして王城の警備部隊の人員にも刑が執行された。

 資料と聞き取りに応じ貴族達は、死刑又はスターヴェーク王国以外での重労働、王城の警備部隊で城門を開けた者は死刑、に処された。

 貴族達に率いられスターヴェーク王国の刃を向けた、軍人と兵士には位に応じた処分が言い渡され、軽い者でも今後5年間の無報酬でのインフラ整備の重労働が課された。

 

 10月15日

 

 スターヴェーク王国王都までの線路が開通し、1番魔導列車が王都駅に到着した。

 その車両には、元スターヴェーク王国の旧臣や、アルセニー男爵とダヴィード伯爵等の最後までスターヴェーク王国に忠義を貫いた貴族の親族の方々が、乗車されていた。

 大半の方々が、懐かしいスターヴェーク王国王都に帰って来れた事に喜び、旧知の人々と久闊を叙した。

 王城前の広場に一般国民向けの、魔導列車開通記念お祝いセレモニーが行われた。

 クレリア姫様とアラン様、そして新生スターヴェーク王国の重鎮が列席され、この日の為に王都に来た地方のスターヴェーク王国国民の為に、王城前の広場に設置されている超大型モニターには、魔導列車の開発経緯やその変遷、そして近い将来環状線になって3国を自由に往来しながら交流をさかんにし、10年後には西方教会圏全ての国と線路が繋がるとの未来予想図が映し出された。

 お祝いセレモニーに参加した全ての国民が、元アロイス王国に支配されていた陰鬱な2年間と違い、新生スターヴェーク王国には未来の息吹を感じ、これからの隆盛を想起した。

 

 10月18日

 

 王都郊外にある、小高い丘の上に有った歴代王家の墓所の修繕工事が終わったので、此の日王家主催の合同慰霊祭が執り行われた。

 王城では、亡き国王夫妻と皇太子の葬儀が行われ、続いてルドヴィーク辺境伯、アルセニー男爵、ダヴィード伯爵等の、最後までスターヴェーク王国に忠義を貫いた貴族の方々の慰霊が行われた。

 そして参列した一同は、小高い丘の上に有った歴代王家の墓所に出向き、遺髪の入った小箱を棺桶の代わりに奉納し、近くに新たに作った忠魂烈士の碑には、忠義を貫いた貴族烈士の方々の名を刻んだ。

 此処は本当に見晴らしの良い丘で、これからドンドン発展して行く新生スターヴェーク王国王都を、ずっと見守る事が出来るだろう。

 

 10月28日

 

 いよいよコリント領に戻る日が来た。

 新生スターヴェーク王国王都には選出した数多の政務官僚と、義勇軍から志願して鍛え上げた王都守備軍1万人が、其々政務と軍事を担って貰う。

 各地方の行政と司法も、派遣した政務官僚に担って貰う事になり、犯罪者等の検挙等の実働部隊は、全土に派遣した警察が行う。

 このシステムは以前、元セシリオ王国を現在統治している総帥府の統治法を更に進めたもので、まだ試行錯誤している状況なので、コリント領に置く行政府や警察機構で随時やり方を模索しながら、更新して行く事になっている。

 此れ等全ては、来月に3国全ての統治機構を一元化して、新たな国家体制を構築する上でのテストとなっている。

 いよいよ本当の意味で、アラム聖国及び他の大国との対決を念頭に置いた、国家戦略を描く事になるのだ。

 

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