人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
11月5日
此の日迄に、新生スターヴェーク王国とベルタ王国そして総帥府のトップによる会議が連日行われていた。
そして、その総括として、各国の重鎮と軍部の上層部そして宗教関係者及び各ギルド長を、モニター越しに参加させる形で、初の全体会議が始まった。
アラン様が厳かに発表された。
「一同傾聴してくれ!
我等、私アラン総帥とスターヴェーク王国第一王女クレリア・スターヴァイン殿そしてベルタ王国国王アマド・ベルティー陛下は、連日会議を行い、今後どの様に三国を統治して行くかを、ベルタ王国ヴェルナー・ライスター卿や元セシリオ王国貴族ビクトール侯爵等も交えて検討し、一定の方向に結論を出した。
今からその発表を行うが、その内容に疑問点や不服が有る場合は、挙手の上で発言して貰いたい。
ベルタ王国、スターヴェーク王国、総帥府は国家として一旦白紙に戻し、三国全てを統合した新たな国家を誕生させる。
その国家の名称は、
『人類銀河帝国』
大陸全ての人類の規範となり、遥かな将来あの夜空に煌めく銀河を目指す、未来に夢を描ける帝国だ!
帝都は、此処コリント領とし『帝都コリント』となる。
これ迄の国王は、『公王』となり、従来の其々の王都は『公都』となる。
『公王』は権威はあれど、権力は無く。
政治権力と軍事権力は、『公王』より上位にある『皇帝』に移譲する事になる。
従来の貴族は廃止され、『華族』という新しい称号に変わる。
『華族』は貴族と違い、領地を持たず私兵も持てない。
その代わりに、国家から今迄領地から得ていた収入と同額の、歳費を年度毎に支払われる。
領地は全て解消され、全ての領民は『帝国民』となる。
『皇帝』は王権を越え『帝国民』全体に対し君臨し、其の代わりに『帝国民』全体に対し全ての責任を負う。
今迄様々な名称に変遷して来た軍隊は、統一され『人類銀河帝国軍』となり、軍人兵士諸君は略して『帝国軍人』となる。
そして、この『人類銀河帝国』は国教を『ルミナス教』と定め、『帝都コリント』にその本部を置く事にする」
と今迄の国家体制を一新する重大な発表がなされた。
一部の上層部以外は、騒然と成り、其々が周りの者と話し始めたが、ビクトール侯爵が挙手して、アラン様が発言を促すと、皆静かになりビクトール侯爵の発言に注目した。
「指名有難うございます。
先程の発表には、肝心要の『皇帝』は何方がなるのか、発表されませんでしたが、まさかと思いますがまだ決まっていないのですか?」
との質問にアラン様は、
「此れは失礼した。
実はこの次の発表で一緒に発表しようとしていたので、皆を不安にさせてしまったな」
と謝られると、ビクトール侯爵は、
「いえ、発表があるのなら良いのです。
実は、元セシリオ王国国民の中には、暫定的とは云え総帥府に治められている事に、このままでは対等な国民に成れないのでは、と大変な不安を感じている者が大勢いたのです。
只今の発表で、元セシリオ王国国民も全て『帝国民』に成れる事は判ったのですが、やはり唯一の主が何方なのか、気になりまして」
と言われ、アラン様は頷かれて、
「それでは、発表しよう。
ベルタ王国国王アマド・ベルティー陛下は、王位を禅譲し『ベルタ公国公王殿下』となられる。
スターヴェーク王国第一王女クレリア・スターヴァイン殿は、スターヴァイン王家を継がれスターヴェーク王国女王陛下に成られた上で、王位を禅譲し『スターヴェーク公国公女殿下』となられる。
そして、私アラン総帥は、両者からの禅譲を受諾し、
『人類銀河帝国初代皇帝 アラン・コリント一世』として推戴された!」
と発表された。
「「「「「オオオオーーーー!」」」」」
とどよめきが起こったが、特にその発表に対して否定的な雰囲気は無く、殆どの者が当然であるといった様子だ、そんな中ダルシム団長が挙手し、アラン様が指名し、ダルシム団長は、
「発言許可有難うございます。
アマド・ベルティー陛下に質問があります、今回の発表では貴族を除くと一番御身分が変更されますが、その変更に納得されておられるのか?そして納得されておられるのならば、如何なる理由がお有りなのか?お聞かせ頂けないでしょうか?」
と質問された。
それに対して、車椅子姿でアマド陛下は、
「質問に答えよう。
先ず余は、見ての通り未だ毒の影響下から脱しておらず、今後も車椅子生活を余儀なくさせられた。
王都にもまともに帰れず、公務も満足に出来ない状態だ。
その間、此処に居るアラン総帥は、余に成り代わりベルタ王国の内乱を納め、度重なるセシリオ王国の侵攻を防ぎ、遂にはセシリオ王国国王ルージの暴虐を止める為に、セシリオ王国まで出向き戦乱を鎮めてくれた。
更に、アロイス王国の傲慢なる侵攻にも、敢然と立ち向かい、両国の黒幕であったアラム聖国の野望を打ち砕いた上で、余の再従兄弟であるクレリア・スターヴァイン殿の祖国で有る、スターヴェーク王国をアロイス王国の魔の手から奪還され、見事スターヴェーク王国を復活してくれた。
この様な事例は、どの様な英雄伝説にも無く、正に人民を導くに足る王者に相応しいと余は考える。
また、余の再従兄弟であるクレリア・スターヴァイン殿と、アラン総帥は婚約者の関係であり、遠く無い未来お二人は華燭の典を上げられる。
余は、あの忌々しい奸賊ヴィリス・バールケの手によって、余以外の親族全てを殺されてしまった。
だが、アラン総帥とクレリア・スターヴァイン殿が婚姻なされれば、余の親族が彼等を起点として再興されるのだ、これ程嬉しい事は他に無い。
そして、その幸福は今後『人類銀河帝国』が成立すれば、『帝国民』のみならず、全ての人類にとっての幸福になるに違いないと、余は確信している。
その様子を、余は親族として、此処『帝都コリント』で暖かく見守って行きたいと思う」
と厳かに仰られたので、此の場にいる全ての者が、頭を垂れてその決断に敬意を表した。