人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝)    作:ミスター仙人

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閑話㉕『カレンちゃん日記」⑮(カレンちゃん、『魔の大樹海』に向かう)

 10月8日

 

 「おや、カレン嬢ちゃんじゃないか、久しぶりだなあ!」

 

 と後ろから声を掛けられたので振り向いたら、ガッシリとした体格のオジサンが手を振ってやって来たの。

 

 「あれ、カールおじさん、今日は、珍しい所で会ったね!」

 

 声を掛けて来たのは、コリント領で最大の冒険者クラン『疾風』のリーダーである、『カールおじさん』だったの。

 カールおじさんのクラン『疾風』って凄いんだよ!

 コリント領に来た頃は、60人くらいの人数だったらしいけど、他のクランやパーティーと合流したり、元孤児院出身者の冒険者達を積極的に入団させて行って、今では300人規模のクランで、まだまだ増やす予定らしくって、500人は住める団地を生活ブロックにアラン様から提供されてるんだよ。

 私は、目の前にあるビルを指差して、

 

 「カールおじさんも、このビルに用があるの?」

 

 と聞いたら、

 

 「ああ、リア殿に呼ばれてな、何でも『魔の大樹海』で取り残された者達の、救援を依頼されたんで是非協力してくれ、と頼まれたんだよ」

 

 と答えてくれたんで、あっ、もしかすると『魔の大樹海』で取り残された者達って、ケッちゃんのお仲間じゃないかな。

 と思ったけど、違うかもしれないから黙っておいて、一緒にクレリア姫様の執務室に向かったの。

 

 執務室に入らせて頂いたら、案の定ケッちゃんがテーブルの上に用意された、小さな席に座っっている。

 流石のカールおじさんも、何で猫が?と疑問に思ったみたいだけど、取り敢えずクレリア姫様にうながされて、座席に着かれた。

 

 「カール殿、早速来て頂いて忝ない。

 実は、通信機越しでは説明しきれないので、直接来て頂いて当事者からの説明を受けるのが、一番手っ取り早いと考えたのだ、是非その者の話しを聞いて頂きたい!」

 

 と、クレリア姫様が話されたので、カールおじさんもうなずいて、

 

 「承知しましたリア殿。

 で、依頼者は別室ですかな?」

 

 と、聞いて来たので、

 

 「いや、驚かれると思うが、依頼者は此の者だよ」

 

 と苦笑されながら、クレリア姫様はケッちゃんに手を差し伸べられたの。

 すると、ケッちゃんは恭しくクレリア姫様の手を取って立ち上がり、

 

 「吾輩はケットシー128世である、あだ名はまだ無い」

 

 と、お決まりのセリフを言って、カールおじさんに対して優雅に挨拶したの。

 カールおじさんも目を大きく開いて驚いたみたいだけど、そこは日頃から『魔の大樹海』に潜っている熟練の冒険者、驚異には慣れっこなのか、すぐに落ち着いて、

 

 「自分は、冒険者クラン『疾風』のリーダーであるカールという者だ、是非依頼内容を教えて欲しい」

 

 と、ケッちゃんに尋ねられたので、

 

 「ふむ、流石はリア殿が太鼓判を押された百戦錬磨の強者で有るな、話しが早くて助かる。

 実は、此処から『魔の大樹海』の内側北部へ向かって吾輩の足で2日の距離に、吾輩の王国民である猫3千匹が湧き水の出る泉で、吾輩を待っているのだが、既に吾輩と別れて3日経っていて、幻術でカモフラージュして隠れさせているとは云え、『魔の大樹海』はそれ程甘い場所では無い。

 カール殿お願いする!

 一刻も早く吾輩の民を救って、此処コリント領に連れて来てはくれないだろうか?」

 

 と、ケッちゃんは頭を下げてカールおじさんにお願いしたの。

 

 「カール殿、私からもお願いする。

 此方もグローリアと軍隊の一部を出すが、貴方方専門家と違い、未踏の『魔の大樹海』の深部には慣れていない。

 当然相応の依頼料と便宜を図るので、此の依頼を受けて貰えないだろうか?」

 

 と、クレリア姫様も口添えする形でお願いされたので、

 

 「そこまで、頼まれなくても良いですよ。

 元々アラン男爵に、コリント領で起こるトラブルに対して、リア殿を助けて欲しいと依頼されてましたし、その為に幾つもの特権と巨大なホームを譲って頂けているのです。

 当然この依頼も自分の受けるべき仕事です、安心して下さい!」

 

 と、力強く答えてくれたんで、クレリア姫様とケッちゃんはホッとして、

 

 「「感謝する!」」

 

 と同時に返事された。

 

 1時間後、軍事ブロックにクラン『疾風』100人と、エレナさんが率いる軍人さん達50人とグローリアさん、そして私とケッちゃんとカー君とバンちゃんが集まって、軍用トレーラー5台で出発したの。

 途中までは、ファーン辺境伯領への道路舗装工事がされていて、スムーズに進んでいたけど、いざ『魔の大樹海』に踏み込んだら、中々順調には進まなかったんだ。

 グローリアさんに、時々吠えてもらったり、ブレスで焼き払ったりしてもらいながら進んでいくと、なんだか奇妙に前方が見にくい所にぶつかって、戸惑ってたら、

 

 「此処である!

 良かった、まだ幻術が解けていなかった」

 

 と、心から安心した声を出して、ケッちゃんが先頭に出て来て、例の蝶ネクタイの宝石部分に触れて、幻術を解除したら、スゴイ数の猫がこちらを警戒して見てたの。

 

 「お前達、無事で有るな?」

 

 と、ケッちゃんが猫達に尋ねたら、

 

 「にゃーにゃー!」

 

 とケッちゃんに複数の猫が報告しているみたい。

 

 「何だと!

 『サイクロプス(単眼の巨人)』が複数来て、周りを徘徊しているのか!」

 

 と、ケッちゃんが大声を上げた瞬間、『魔の大樹海』の奥の方から、木が「バリバリッ!」と折れる音が響いてきた!

 

 「今の内にこの場を去り、道路に用意した乗り物に乗せて貰うのである!」

 

 とケッちゃんが猫達に指示して、道路に用意していた軍用トレーラー2台のコンテナに、子猫を含めた3千匹の猫達を避難させるべく、ケッちゃんと護衛の冒険者達50人が道路に向かう、そして残った冒険者達50人と軍人さん達50人が戦う準備に入って周りを警戒してる。

 私とカー君とバンちゃんは、軍人さん達の後ろに控えて様子を見てたら、100メートルくらい前方に、3体の身長5メートルくらいの巨人が現れたの。

 

 「撃ち方用意!」

 

 とエレナさんが軍人さん達に命令して、軍人さん達が魔法の用意を整えて、『サイクロプス』が50メートルくらいに近づいたら、

 

 「撃ち方始め!」

 

 とエレナさんがもう一度命令したら、軍人さん達は全員で猛烈な各種の魔法を『サイクロプス』に叩き込んで、『サイクロプス』達は何も出来ずに倒されたの。

 

 やったー!って声を上げようとしたら、後ろから木が「バリバリッ!」と音を立てて折れ、15メートルくらいの距離に2体の『サイクロプス』が現れて、

 

 「ゴオオオオオオーー!」

 

 と叫びながら、手に持った棍棒を振りかざして、迫ってきた!

 

 「クゥーーー!」

 

 とカー君とバンちゃんが吠えて、額の宝石からキレイな光輝く光線を、『サイクロプス』2体の目に浴びせたの!

 

 「ガアアー!」

 

 と、『サイクロプス』2体は目を抑えて、苦しみ始めて見当違いの場所に向かい、棍棒を振り回してる。

 すると上空からグローリアさんが、猛烈な勢いで『サイクロプス』2体に襲いかかり、一体は頭を踏み潰して、もう一体は尻尾で打ち据えて動けなくしちゃった。

 本当にグローリアさんは強いよね、あっという間に強そうな『サイクロプス』を倒しちゃったんだから。

 それより私は、カー君とバンちゃんが頑張ってくれたのに感動して、

 

 「カー君、バンちゃん、私を助けてくれて有難う!」

 

 と抱きしめたら、

 

 「クゥ」

 

 と返事してくれて、安心してたら、

 

 「ゴオ!」

 

 と突然吠えて、尻尾で打ち据えられて動けなくなってた『サイクロプス』が起き上がったの!

 

 「ウオオオリャアー!」

 

 とスゴイ掛け声と一緒にカールおじさんが、大きな斧が先端に付いた武器で『サイクロプス』に向かって斬り掛かり、周りから冒険者達が何十本もの槍で『サイクロプス』を突き刺したの。

 流石に何十本もの槍が突き刺さって、倒れた『サイクロプス』の首をカールおじさんは、大きな斧が先端に付いた武器で切り落としちゃった。

 

 「危なかったな!」

 

 とカールおじさんは、私に微笑んでくれたから、

 

 「ありがとう、カールおじさん!」

 

 と頭を下げて感謝したら、

 

 「オウ!」

 

 と武器を天に突き上げて答えてくれた。

 やっぱり、冒険者の人達も軍人さん達に負けず劣らず強いんだなあーって、感心しちゃった。

 

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