人類銀河帝国 コリント朝 功臣列伝資料 「サテライト8班リーダー ケニーの日記」(航宙軍士官、冒険者になる異伝) 作:ミスター仙人
10月8日の続きね
あれからカールおじさんのクラン『疾風』の人達に、ケッちゃんの王国民の猫さん達3千匹を軍用トレーラーで、コリント領に運んでもらって、私とケッちゃんとカー君とバンちゃん、そしてエレナさん率いる軍人さん達50人とグローリアさんは、猫さん達が避難していた湧き水の出る泉の更に奥にある、崖に向かったの。
「此処で有る!
いよいよ、カーバンクル夫妻の主人で有る、カレン殿の出番で有るぞ!」
と、ケッちゃんが声を掛けて来たので、私は事前にケッちゃんに説明してもらった内容を思い出した。
『魔の大樹海』に向かう前に、
「カレン殿、貴方に頼みたい事が有る。
吾輩達は、『フェンリル』によって王国から追い出されてしまった身で有り、財産と呼べる物を一切持たぬ難民で有る。
故に今回、貴方方のご厚情に対して、支払うべき物品が無い。
だが、カーバンクル夫妻に認められた貴方ならば、或る条件を叶えて居られるから、此の地に眠る『封印』を解く事が出来る!
その『封印』されている代物は、必ず貴方方にとって益になる物だ。
是非、協力して貰いたい!」
とケッちゃんに頼まれたので、
「うん、いいよ!
カー君とバンちゃんは私の親友だし、ケッちゃんも友達だと思ってるから、友達のお願いだから出来る限り手伝うよ!」
と返事したら、
「・・・・・忝ない。
必ず恩には報いよう」
と言われてたんだ。
そして今、私の出番らしいんだけど、どうすれば良いのかな?
「カレン殿、もう少し右に移動してくれ・・・・・
・・・そう、其処だ!
暫くしたら地面が盛り上がるが、それ程高くは盛り上がらないから、そのまま立って居てくれれば良い」
と説明してくれたの。
徐にケッちゃんとカー君とバンちゃんが、崖前に並んで、ケッちゃんが呪文の様な言葉を唱え始めたの。
「今此処に、調整者派遣の生体監視端末で有る3個体、我『星猫(スター。キャット)』個体名『ケットシーNO.128』、『レッド・カーバンクル』個体名『フレイムNO.111』、『ブルー・カーバンクル』個体名『アイスNO.123』が選出した成功サンプルを提示する。
調整者『スター・シード』プロジェクト・・・成功例『惑星アレス』に於ける『マナリンク』プロジェクトと、成功例『アサポート星系』に於ける『ナノマシン』プロジェクトの融合成功を確認、『ヒューマン・エボリューション』プロジェクトの第三段階への進化を促す為、文明レベル促進資材『オリハルコン、アダマンタイト鉱床』の『封印』の解除を要請する」
と、私にはサッパリ判らない言葉を唱えたら、突然地面が盛り上がり、崖の一点から光が私を照らして来たの。
驚いたけど、ケッちゃんとカー君とバンちゃんを信じて、光が私を照らすのを我慢して待ってたら、光が止まって崖の一部が、「ゴゴゴッ!」という音をたてて開き始めたんだよ。
エレナさんと軍人さん達が、恐る恐る覗いてみて確認して、その内の誰かが中に入り、
「これは凄い!
見たことの無い、鉱石が壁一面に広がっていて、ずっと奥まで続いている!」
と中から大声を出して、みんなに教えてくれた。
エレナさんが、ケッちゃんに、
「・・・此れが貴方の言われた、我々への報酬なのか?」
と聞くと、
「其の通りである。
どうか今回の依頼の報酬として受け取って欲しい。
そして其れは此の娘子、カレン殿のお陰だ。
カレン殿の健やかなる精神と身体は、貴方方の云う『女神ルミナス』のお眼鏡に適った!
どうか今後のコリント領の発展の為に、役立てて欲しい。
おそらくは、貴方方の長で有る『アラン殿』とは、綿密な計画に基づいて民を導いて行くお積もりだろう。
願わくば、此の『セリース大陸』を平和に治められ、何時かは・・星の・・・・・海へ・・・・」
と、ケッちゃんは暗くなって星が瞬き始めた夜空を仰ぎ、懐かしそうに呟いている。
きっと昔の事を思い出してるんだろうね、近所のおじいさんやおばあさんが似たような感じで、スターヴェーク王国の事を思い出してるのを見たことあるから。
10月9日
昨日は夜遅くコリント領に戻ったらしい。
らしいと云うのは、私帰る途中軍用トレーラーに乗って揺られてたら眠っちゃって、コリント領に着いた頃には熟睡してたそうで、執務用のビルに有る客室ベッドで朝起きたんだ。
サーシャさんが、家の母ちゃんに連絡を入れてくれてたから、家に帰った時は怒られなかったけど、会う約束をしていたテルちゃんに謝る為に、隣の家のベルを鳴らしてテルちゃんに会い、事情を話したの。(もちろん話して良いと言われてる処までね)
テルちゃん達と、昨日約束してた買い物を済ませ、午後は様子を見にビルに向かったら、丁度クレリア姫様がケッちゃんと共に、猫さん達を預かっている農業ブロックへ出かけるところだったから、一緒に連れて行ってもらうことにしたの。
猫さん達は、使っていない巨大なサイロとその付近の芝生の上で、ゆったりと休んでいる。
昨日まで幻術で隠れていたとはいえ、サイクロプスが周りをうろつくあの『魔の大樹海』で夜を過ごしてたんだから、それは眠いよね。
でもここなら、雨は降らないし外敵も居ないから、のんびりと過ごせるよ。
ケッちゃんは、起きている数匹の猫さん達と相談して、今後それぞれの猫さん達の希望を聞いて、ここに住むか?人のいる生活ブロックに行くか?を決めるみたい。
私がカー君とバンちゃんと一緒に暮らしてる姿を、うらやましそうに見ている親友達の顔を思い浮かべ、
「・・・あのー、良ければ私の親友達と一緒に暮らしてくれる猫さん達はいないかなあ?」
と聞いたら、ケッちゃんが、
「・・・・・・ご迷惑では無いか?」
と尋ねてきたので、
「・・・確かに部屋を汚されたりしたら迷惑だろうけど、ルールを決めてそれを破らなければいいんじゃないかな?
だってこれから、同じコリント領で過ごす仲間なんだよ!
仲良くする為にも、一緒に暮らしてお互いに歩み寄って、より仲良しになろうよ」
と答えたら、クレリア姫様とケッちゃんは、フムと考えこまれた。
「・・・希望者を募ってみよう、今迄自由気儘な暮らしをして居たので、人との関わりを学ぶ為にも人と一緒に暮らしたいと思う者もいるかも知れない」
とケッちゃんが承知してくれて、
「相わかった、人間の側でも新しい仲間として加わった、猫達とのルールを作り、双方納得の行く形で暮らせる様にする」
とクレリア姫様も承知してくれて、ケッちゃんとクレリア姫様は握手した。
きっと、上手くいくよね。
と二人のその姿は見て、確信出来たよ。