新しい世界で   作:Belenus

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頼られる存在、泣き虫な素顔


日常と歪み

 鳥のさえずり、照りつける太陽、高い場所から見える景色、今まで特に意識したことの無いこと一つ一つが新鮮に感じる。空を飛ぶこと自体は普段からやっていたことなのだが、こんなにも楽しいと感じたことはなかった。体を撫でる風が心地いい。

 

「お母さんのおかげだな」

 

 僕は、気持ちを溜め込んでしまう質なのだろう。それを吐き出せたおかげで、空を飛ぶというなんてことないことでも楽しめるようになったのだ。 

 

「久しぶりに森の中を飛んでみるか。以前と比べて、どれくらいの速度で飛べるようになったか試してみよう」

 

 目の前から高速で迫る木を左右に避けながら飛ぶ。今なら、前を見ずに寝そべりながらでも森の中を飛べそうだ。少し変なテンションになっているが今は心のままに楽しもう。

 

「今なら霊夢の最高速度でも併走できるんじゃないか?」

 

 普段は一歩引いて安全にいられるよう線引きしているのだが、テンションが高いため最大の力を使って飛んでいる。安全ではないがその分、実力の全てを使っているためいつもより速い。

 

「ものすごく気分がいい」

 

 地面すれすれを飛んでみたり、直角に飛んでいつもなら行かない高度まで登ってみたり。普段の僕をならやらない、事をやって自由に飛ぶ。そのどれもが1度はやってみたいと思っていたことだ。

 

「やりたい事をやりたいようにやる、っていうのは気持ちいいな」

 

 危険だから、怖いから、やらない理由は無数にあって。安全策をとるのが僕の性分だから。でも、心の底でやってみたいと願っていた。

 

「空を自由に飛べるなら誰もが夢見ることでしょ」

 

 この大空を自由に飛べたらなんて、皆の夢を僕は叶える事ができるのだから今まで我慢してた分まで、この空で好きに遊び回る。多少、危険でも今の僕には関係ない。

 

「自由に!」

 

 そんなことをして遊んでいると、意外と速く里につくことができた。実際に速かったのもあるが、遊ぶことに夢中で時間を気にしていなかった事も原因だろう。

 

「自分の成長を感じるな」

 

 独り言を喋りながら、里に降りる。里の外れではなく道の真ん中に。

 

「よう、兄ちゃん」

「こんにちは」

「今日も魔理沙の所に行くのかい?だとしたら、気をつけなまた親父さんと喧嘩したみたいだから」

「また、ですか」

 

 最近この手の話をよく聞くが、実際に魔理沙が不機嫌になっている訳では無いので眉唾物くらいにしか考えていなかったのだが、それにしては多いい。

 

「まあ、心に留めておいてくれや」

「忠告ありがとうございます」

「兄ちゃんの顔を見たら、すぐに機嫌が直るから問題ないと思うけどな」

 

 何が原因で喧嘩が起きているのか知らないため、僕からはなにも言えないのだが。そろそろ原因を聞くべきだろうか。でも家族の問題に他人が口を出すべきか?そもそも聞き出したところで僕になにかできるのだろうか。考えすぎて動かないのは僕の悪い癖だ。今日、魔理沙にあったら話を聞いてみよう。

 

「そんなことより、霊夢と魔理沙どっちなんだ?」

「どっち、とは?」

「とぼけるなよ。どっちが彼女なんだよ?」

 

 また、この話か。この手の話も最近よく聞かれている。行く先々で霊夢と魔理沙について聞かれる度、なんにもないと言っているだろうに。魔理沙は大手道具屋の娘、霊夢は次期博麗の巫女その二人に言い寄られてるとなったら気になるのも分かるけど。

 

「はぁ〜、この話この間もしましたよね」

「あんなの信じられるわけないだろ」

 

 元々この里には娯楽というものが少ないし、仕方ない部分もあるが毎回聞かれるとさすがにうんざりしてくる。

 

「まさか、二人とも彼女にしちまおうなんて考えてないよな」

「さすがにそんな不誠実なことしませんよ。とにかく今のところ誰かを彼女にするつもりはありません」

「いつ聞いてもこれだよ、勿体ないな〜」

「答えが分かっているなら聞かないで下さい」

 

 そんな何回目かも分からないやり取りを繰り返す。もっと他に話題は無いのだろうか、こんな話ばかりしていると事務的な会話以外したく無くなる。

 

「俺だったら両手に花で浮かれまくりなのによ」

「そんなこと言ってると奥さんに告げ口しますよ」

「それだけは勘弁してくれよ」

 

 この会話から分かる通り里の人とは仲がいい。だが、ここまで仲良くなるのは簡単な事じゃなかった。

 まず僕が考えたのは最初の一人と仲良くなることだった。その最初の一人も絆されやすそうでかつ、人との関わりができるだけ多いい人を選び取り入った。

 

「それでさ·····」

 

 最初の一人と仲良くなるまでかなりの時間を使ったが、そこからはねずみ算式に人から人へ、いい噂が流れるようにして博麗家に対する不安と嫌悪を払拭していった。

 

「この間·····」

 

 今までの人達が上手くいかなかったのは関わり続けようとしなかったからだと思う。助けるだけでいい人と言う印象を保持し続けるのは難しいのだ。周囲の評価、不安、嫌悪、これを複数人から取り除き自分達をいい人と思う集団を作らなければいけないのだ。

 

「おーい、人の話聞いてるか?」

「聞いてません」

「なんだよ嫌がってたから、違う話してやったのに」

「その話もどうせ、魔理沙や霊夢のどこがいいのかについてでしょ」

「なんだ、聞いてたならそう言えよ」

 

 早いところ魔理沙や霊夢のどっちかと、くっつけたいのかこういう話ばかりしてくる。人一倍近くで見てきているのだから今更何言われようと、さほど印象なんて変わりやしないのに。2人がいい女の子なのはもう知っているのだから。

 

「それにしても、急に考え込んでどうしたんだ?話なら聞くぜ?」

「いや、この五年で皆さんと仲良くなれて良かったなと」

「今でも、兄ちゃん達のこと悪く言うやつはいるけどな。俺も、兄ちゃんと仲良くなれて良かったよ。この間も助けてもらったしな」

 

 この間というのは、喧嘩した奥さんとの間を取り持ったことだろうか、それとも喧嘩した余波で壊れた箪笥を直したことだろうか。色々やってきたので、忘れてしまったがどれでもいいや。

 

「いつでも頼って下さい」

「おう!頼りにしてるぜ!」

「はい、歳は離れてるけど友達みたいなものですから」

「友人か·····」

 

 そう言って気恥しそうに俯く友人に対して『好感度上がったな』と思う自分が心底気持ち悪い。やめよう、せっかくお母さんが話を聞いてくれて励ましてくれたんだし。

 

「そうだ、聞きたいことがあったんですけど」

「なんだ?なんでも聞いてくれ」

「霊夢のやつ見ませんでした?」

「霊夢の嬢ちゃんならさっきまで、あそこの八百屋で買い物していたよ。相変わらず値切りが上手くて主婦連中が拍手してたぜ」

 

 また、値切ってたのか。家はそれほど貧乏という訳でもないのに何故か霊夢は節約をしたがる。あまりやりすぎると、八百屋へのフォローをしなくちゃならないし関係の悪化に繋がるから自重して欲しいのだが。

 

「なんだ、魔理沙のところに行くわけじゃなかったのか」

「いえ、魔理沙のところに行こうと思ってたのですが、朝から霊夢の機嫌が悪かったので」

「どうせお前さん、魔理沙の話でもしてたんだろ」

「よく分かりましたね」

「そりゃ分かるよ。と、言うより分からないのはお前さんくらいだろ。女の嫉妬は怖いからな後ろに気をつけろよ〜」

 

 酷い言われようである。確かに、恋愛に関しては鈍感な姿勢を貫いてきたからこういうことを言われるのも仕方ないか。まあ、魔理沙や霊夢が嫉妬で僕をどうにかしようとするとは思えないし大丈夫だろう。なんだか、伏線になりそうな考えだな。

 

「では、また何か困った事があったら相談してください」

「その時は頼らせてもらうわ」

 

 霊夢は今から追いかけてもすれ違いになりそうだし、魔理沙のところに行った後でもいいだろう。確か、魔理沙は機嫌が悪いと言っていたし覚悟しなきゃな。あれをやられると、嬉しくもあるが心臓にも悪いからな。

 

「そういえばこの間、外来人が開いたっていう洋菓子店にでも行ってみようか」

 

 霊夢の機嫌を取るには、甘いものが効果的であることはこの八年間で知っている。霊夢の分だけ買うと魔理沙が拗ねるだろうから三人分買って行くか。

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 店内に入ると、お菓子特有の甘い匂いが出迎えてくれ目の前のショーケースには数々のお菓子が並んでいた。懐かしい。懐かしさで一瞬泣きそうになる。まだお母さんが生きていた頃、一度だけ誕生日にケーキを買いに来たのを思い出した。

 

「大丈夫ですか?」

 

 突然、目元を拭う僕を見て男の店員さんが心配そうに声をかけてきた。いかん、初対面の相手に心配されてしまった。

 

「大丈夫です」

「それならいいんですが」

「すみません懐かしくてつい」

「懐かしい?まさか、私と同じ外来人ですか!?」

 

 懐かしく感じたのは、ケーキを買いに来たことなので実際は幻想郷に生まれ変わってからのことなのだが、魂が外の物であることは間違っていないため否定はしない。

 

「そんな感じです」

「まだ若いのに·····よくここに残ること決意しましたね」

「まあ、こっちに来てから色々あったので」

 

 店員さんもここに残る決断をしたということは外の世界で色々あったということだろう。そう考えると仲間がいたような気がしてなんだか嬉しくなった。

 嬉しくなったのはいいのだが、あんな返答をしてしまったため初めから暗い雰囲気になってしまった気がする。どうにか明るい話に持っていかなければ。

 

「店員さんは幻想郷に来てからどれくらい経つんですか?」

「9年くらい経ちますね。最初は戸惑いましたし苦労もしましたが、店を持つという夢もかなって満足してます」

「9年ですか」

 

 やはり年数的にも、あの時お母さんと買ったケーキを作った人で間違いないだろう。あの時は茶屋に居たが、今では立派に店まで持っているとは凄い進歩である。

 

「お客さんはこちらに来てどうですか?」

「僕も以前より充実してます。大切な人も出来ましたし。ここに来たのもその人達に買っていこうかなって」

「そうだったんですか。そんな大事な物にこの店を選んで頂いてありがとうございます」

「いえ」

 

 ここに入ったのは偶然だったのだが、得した気分だ。懐かしい思い出と一緒に、この店のお菓子で新しい思い出も刻もう。

 

「お互いここに残って正解でしたね」

「はい、本当に」

 

 よし、何とか明るい話に持っていくことが出来た。まだ、話したいことはあったがここにはお菓子を買いに来たのだその目的を忘れてはいけない。

 

「どれも美味しそうですね」

「ええ、自慢ではないですが里の人にも好評ですから」

 

 うーん、霊夢や魔理沙の好みが分からないためどのお菓子を選べばいいか分からない。こういう時は人気なのを適当に買っていけば間違いはないだろう。

 

「あの、ここのお店で女の子に人気なのってどれですか?」

「女の子になりますと、ティラミスやプリンとかですね」

 

 コンビニで見るものより小さいのに結構な値段するんだな。まあ、コンビニより高いのは当然と言えば当然なのだが、僕にも霊夢の節約癖が移ったのだろうか。

 

「じゃあ、ティラミスとプリン後いちごのショートケーキを一つずつください」

 

 

 

 

 

 

 何かを持ちながら空を飛ぶのって落としそうで怖いな。それにしても、あの店員さん僕の飛ぶ姿を見てびっくりしてたな。それもそうか、僕が転生者だから力が使えるって知らないだろうし。

 

「次にあった時は説明しないとな」

 

 魔理沙はいつも最初に出会った空き地にいるのだが今日もそこにいるだろうか。いつもより時間が遅いため空き地に居なかったら探すのが面倒だな。

 

「おっ、魔理沙に·····あれ霊夢か?」

 

 霊夢は魔理沙と近づかないようにするためか、ここに来ることは滅多にないのだが今日は珍しく居た。買ってきた物をすぐに渡せるため丁度良かった。

 

「よっと。おはよう魔理沙」

「ああ、おはよう」

「どうしたんだ?」

「魔理沙が」「霊夢が」

 

 やはり痴話喧嘩みたいだ。特にハモるところなんてアニメに良くある最終的に結ばれる2人のようだ。何が原因なのかはこの際問題じゃないだろうし、お菓子でも食べさせて落ち着かせるか。

 

「まあ、とりあえず落ち着け。お菓子買ってきたからそれを食べながらそれぞれの言い分を聞こうじゃないか」

「「お菓子!?」」

「僕が仲裁しなくても仲良いだろ二人とも」

「「そんなことない!!」」

「とりあえず、小屋の中に入ろうか」

 

 この空き地には普段から魔理沙と集まるため、何も無いと不便ということで小屋を建ててある。最近はほとんど魔理沙の研究室兼家として活用されているが。防犯的に殆ど意味をなしていない、鍵がかからないドアくらいなものなのでちゃんと家に帰って欲しいところだ。

 

「意外と中は綺麗にしてるわね」

「僕が毎回、掃除してるからね」

「納得」

「なんだよ、それだと私が掃除をしてないみたいじゃないか」

「実際に魔理沙は散らかすばかりで掃除しないだろ」

 

 意外だな。機嫌が悪いって聞いていたしいつもみたいに甘えてくるのだと思っていたのだが、霊夢がいるからだろうか。いつもは、男勝りな魔理沙が甘えてくる姿は非常に可愛いため心臓に悪いが楽しみでもあったのに。

 

「あれ?ここにあった食器は?」

「私が使ってそのままだぜ?」

「使ったなら洗えよ。水の魔法得意なんだし」

「それとこれは関係なくないか?」

「僕が洗うから、魔理沙は拭いてくれ」

「はーい」

 

 先程、小屋と言ったが作っているうちに熱が入ってしまい水周りなんかは普通の家と同程度である。様々なところに覚えたての拙い魔法陣が書いてあり少し懐かしい。

 

「今の私達って傍から見たら夫婦に見えるのかな」

「なっ、唐突にそういうこと言うのは反則だろ」

 

 最近は魔理沙も霊夢も、こういうことを言うの躊躇なさすぎじゃないか?ベットに座る霊夢からすごい視線を感じるから今はやめて欲しいのだが。

 

「さあ、洗い物も終わったしティラミス、プリン、ショートケーキどれがいい?」

「私はティラミスで。プリンは前に食べた」

「じゃあ、プリンはもらうわね」

 

 2人の好みが別れてくれてよかったのだが、ここまで来てようやく気づいた。僕の分がない。

 

「僕の分を買うの忘れた」

「ん?このショートケーキはピクラスのじゃないのか?」

「それはお母さんの」

 

 まあ、いいか。里には頻繁に来るのだ、またその時に買えばいい。甘味は珍しいため少々、残念でもあるがお母さんのに手をつけるわけにも行かないしな。

 

「じゃあ、私の分食べるか?ほら、あーん」

「あーん」

「本当にた、食べた」

「美味しいな」

 

 自分から差し出してきた魔理沙が真っ赤なのは何故なのか。貰えるというなら貰っとかなきゃ損だろう。久々の甘味に可愛い女の子からのあーんもついてくるのだ、これで断る奴は男じゃないね。

 

「なっ、なんで食べてるのよ!」

「いや、くれるって言うから」

「だってか、かん」

「かん?なんでそんなに怒ってるんだよ」

「霊夢より先にしちゃったからな。関節キス」

 

 関節キスか懐かしいな、昔はそういうことを気にしていた時期もあった。霊夢や魔理沙は今思春期、真っ只中だからそういうことも気になるのだろう。まあ、このまま魔理沙からだけ貰うと霊夢がもっと不機嫌になるし霊夢からも貰うか。

 

「じゃあ、霊夢の分もくれよ」

「魔理沙の次って言うのが癪に障るけど。はい」

「うん、こっちも美味しい」

 

 美味しい、美味しいのだがボキャ貧のため、美味しい以外の表現方法が分からないのが残念だ。久しぶりの甘味の甘さが下に広がり脳が蕩ける〜。ほら、ろくな感想にならない。

 

「そんなとこ立ってないでこっちに座れよ」

「いや、いいよ立ってる方が楽だから」

「何言ってるのよ、わざわざ開けてあげたんだから座りなさいよ」

 

 そう言って霊夢と魔理沙は二人の間に座るように迫ってくるのだが。無理だ。ベットの上で二人に挟まれるなんて字面だけでもやばいのに。うじうじ悩んでいると、次第に二人が不機嫌になって行くのがわかった。

 

「こういう時は座るのが礼儀ってもんだろ?」

「私もそう思うわ」

「はぁ〜分かったよ」

 

 仕方なく二人の間に座ると、いい匂いがした。自分で考えていて気持ち悪いと思うが、ここまで近づくと二人の匂いが嫌でも香るのだ。恋愛アニメの主人公のように性欲皆無な訳じゃないし聖人でもないのだから、勘弁して欲しい。押し倒しちゃうよ?いいの?いいんだよね?しないけどさ。

 

「二人ともさっきまで喧嘩してなかったか?」

「それはそれ、これはこれだよな霊夢」

「本当なら協力なんてしたくないけど、この事に関しては仕方ないもの」

「本当、霊夢は一言多いんだよな」

 

 そろそろ、二人の機嫌も直ってきたし本題に入るか。こういう時ほどすぐ冷静になれる自分に感謝したことは無い。

 

「それで、なんで二人は喧嘩してたんだ?」

「霊夢が」「魔理沙が」

「まあまあ、まずは魔理沙の言い分から聞こうか」

 

 こういう時は会話の主導権を握って、平等に話を聞くのがセオリーだ。絶対にしちゃいけないのが、好きに喋らせて会話の主導権を握らないこと。仲裁者が楽できる代わりに、喧嘩している人達が必ず拗れる。

 

「それが、私が空き地でピクラスを待ってたら霊夢が一人で寂しそうに歩いてたから話しかけてやろうと思たんだよ。で、話しかけに行ったらこっちを見た途端、不機嫌になってそれで言い合いになったって訳だ。誓って私は何もしてないぜ?」

 

 うーん、魔理沙の話を聞いた感じだと悪いのは僕かもしれない。多分、僕が朝から魔理沙の話をして不機嫌になった霊夢が実際に魔理沙を見てさらに不機嫌になったとかそんな感じだろう。

 

「霊夢の言い分は?」

「魔理沙が出会い頭に宣戦布告してくるから、それに乗ってあげただけよ」

「ん?」

 

 宣戦布告とはなんだろうか。内容によっては魔理沙の方が悪い場合もあるかな。

 

「宣戦布告っていうのは?」

「「教えない」」

 

 それが一番重要なのだが、とりあえずこれで両者の意見が出揃った訳だ。二人共譲る気は無さそうだしどうしたものか。上手いところ仲直りさせなければ。

 

「今回に関してはどちらが悪いとは言えないし、次もお菓子奢るからそれで手打ちにしないか?」

「お菓子ね〜」

「お菓子な〜」

 

 あともう一押し、という所だろうか。お菓子で釣れるほど、幼くないって所を見るに成長したのかな。それなら喧嘩しないように成長して欲しいけども。

 

「二人には仲良くして欲しい」

「ピクラスがそう言うなら私は構わないぜ」

「私も別にそれでいいわ。そこまで本気で喧嘩してた訳じゃないし」

 

 これってもしかしなくても、損をしたの僕だけじゃないか?まあ、これで二人が仲良くなってくれるならいいんだけど。

 

「そうだ、今日はピクラスに大事な話があったんだよ」

「何?」

「私、勘当されたんだ」

 

 え?




突然の告白、当然の帰結







今回の話に出てきた洋菓子店は、1話で出てくる外来人が開いた店です。1話時点では幻想郷に来たばかりで、茶屋に住み込みで働いてました。そして、お金がたまり晴れて夢の洋菓子店を開くに至ったという事です。
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