仮面ライダーディケイド~昭和リイマジの世界~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
突然目の前の親友が、【親友の体じゃなくなった】。
カズヤは目の前にいた【親友だった存在】を見て、一瞬何が起きたのかと頭が混乱する。
親友が突然【異形】の存在となり、いきなり士を倒すなどと言い出したり、目の前の異形を見た士に関しては、驚いたような表情になっている。
目の前の異形は本当に自分の親友なのか。
親友の名を偽った存在なのではないのか。
カズヤはそう自分に言い聞かせるが
「……やっぱり、信じられないよね。カズヤ」
「っ…!」
どうしても、目の前の【異形】が、自分の知る親友にしか思えなかった。
何故かは分からないが………目の前にいる【異形】は、仮面越しにどこか苦しそうな表情をしているように思えたからだ。
それに士たちが来る前に言ったあの一言……
あの言葉が、今になって、どれ程重く、感じたのだろうか……
カズヤが心を落ち着かせながら考えてると、士が「何時からだ」と、目の前の異形―――【スカイライダー】に話しかけていた。
「…何時からだ……何時、奴等の仲間になった……」
「……昨日から、だよ。信じられないだろうけど。昨日の夜中からこの病院を使って、改造手術を受けた。その後母さんに会いに行こうとしたら、カズヤと遭遇した、って訳」
スカイライダーはそう答えながら、背後に寝ている女性をチラリと見つめる。
それを聞いた士は、ヒロシが敵の仲間になった理由が、母親を人質にされたからではと思うが、それを察したのかスカイライダーはすぐに否定していた。
「…言っておくけど、母さんを人質にとられた訳じゃない。……最終的に、俺自身がNEOBADANに入る事を決めたんだ」
「……つまり、洗脳もなにもされてないのか……」
「NEOBADANの大首領が、あまり洗脳とかしたくないらしいからね。……さて、士……ここじゃ危険だから、外でやろう。そして早く昨日の、ディケイドってやつになってよ」
「母親に危害を加えたくないからか」
「…単純に、戦いの邪魔になるからだよ……。大丈夫、ここの患者たちに危害は加えさせてないし、襲ってこなければ危害は加えられないよう、戦闘員たちには命令されてるから。それともし来ないつもりなら、ユウスケは殺すから」
スカイライダーは説明を終えると同時に、気絶してるユウスケを抱えて部屋から退出する。
それを見た士は、カズヤにここに残るように告げて、後を追いかけようとするが、その前にカズヤが引き留めていた。
「ちょっと待てよ士!……あれは本当に……ヒロシ…なんだよな……?」
「…そうだ」
「……お前はあいつを、ヒロシを……どうするつもりだ……?」
「…、……」
「…何で黙るんだよ……答えろ!!ヒロシをどうする…っ!?」
カズヤは叫びながら士の胸蔵を掴むが、突如カズヤの首に衝撃が走る。
そしてカズヤは士を見ながら、その場で崩れ落ちていた。
「……仮にあいつを説得できたとしても、あいつの身体は、既に人間じゃなくなってる。それに多分、【今の】あいつに人間の暮らしをさせるのは不可能だ……。本当はしたくないが、俺は破壊者だ。……あいつがその気なら、俺は容赦なく、倒す」
士は気絶しているカズヤに告げるかのように、ポツリと呟く。
そしてディケイドライバーを片手に、病室から退出していた。
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士が病院の裏に出ると、スカイライダーが一人、ポツリと立っていた。
その回りには戦闘員たちが待機しており、更にその中に縛られてるユウスケがいる…
どうやらまだ目が覚めてないらしく、士は軽く舌打ちをしていた。
「ちっ、ユウスケのやつ、まだ寝てやがる」
「結構加減はしたんだよー?ライダーは殺しても構わないって、キルには一応言われてるけど」
「キル……?そいつが親玉か」
「ご名答。けど、あいつ用事があるって理由で、本部に帰ったらしいよ?」
スカイライダーはあっけらかんと話し、士は眉を細める。
「と言うことは、お前は本部の場所、知らないのか」
「んー、一応、ね。言っとくけど、仮に先に他の戦闘員たちを倒して、俺を本部に行かせまいとしても無駄だからね?」
「安心しろ。どうせお前の決意は、固そうに見える。…だから、俺がお前を、破壊する。変身!!」
『カメン・ライド ディケイド!!』
士はディケイドライバーを装着すると、予め出していたカードを、ディケイドライバーに挿入し、変身する。
同時に士が変身するのを見たスカイライダーは、ゆっくりと戦闘体勢をとっていた。
ディケイドはライドブッカー・ソードモードを構えると、そのままスカイライダーに攻撃を仕掛ける。が
「……スカイパンチ!」
「なっ……!」
スカイライダーは地面を殴り、その破片がディケイドに向かって飛び散る。
ディケイドはスカイライダーの行動に驚くが、単なる目眩ましだと思い、再び攻撃を仕掛けようとする。
しかし、スカイライダーは避けようともせず、そのまま驚くような攻撃をして来た。
「スカイドリル!!」
「!?この状況でそんな技、意味が……」
「セイリングジャンプ!!」
「!!?」
なんと、地面に突き刺さったままの腕を回転させていたのだ。
ライダーの知識があるディケイドは、この攻撃は知っているが、こういう時に使う技ではないと理解している。
が、ディケイドはスカイライダーが何をしようとしているのかを、次の行動で理解していた。
スカイライダーは地面を更に削りながら、ベルトに付いている【重力低減装置】と呼ばれるものを倒しながら、両足を地面から離す。
すると回転する腕を軸に【その場で】スカイライダーが回り出していた。
(まさか、こういう事か!?)
「スカイキック!!」
「!やっぱり……ぐぅ!?」
するとスカイライダーが腕の回転を止め、そこからディケイドに向かって飛び蹴りを放っていた。
そのスピードはとても早く、ディケイドは咄嗟にガードして防御体勢をとるが、かなりの威力なのか大きく吹き飛ばされていた。
ディケイドは何回か地面に転がりながらも立ち上がり、地面に着地するスカイライダーを見る。
「……まさか、回転する腕を軸にしながら、重力低減装置で自身に掛かる重力を調節し、遠心力で俺に向かってくるとはな………」
「思い付きでやってみたけど、結構行けるねー」
スカイライダーが行った攻撃……それはディケイドが言ったように、回転する腕を軸にして、遠心力による突撃だ。
体に掛かる重力を利用し、勢いをつければ、かなりの早さで飛んでいくだろう……
その上スカイライダーは、【重力低減装置】と呼ばれる、自身の体重を操作することが出来る装置が備わっており、ある程度体重を加えた事により更に遠心力が増したのだろう………
体重と回転、更にその回転の速度による攻撃は、ディケイドにとっては不意打ちだった。
(くっ……避けれそうではあったが、後ろにある病院に当たりでもしたら、被害がでかくなると思って受けたが………直接ブラカワニにフォームライドして防御がよかったか………!)
「その様子だと、相当響いたようだねー。けど良かったー、後ろの病院にまで届かなくて」
「ちっ…敵が一般人を心配するとはなぁ!!」
『カメン・ライド ウィザード!!』
ディケイドはドライバーにカードを挿入すると、まるで魔法使いのような赤と黒のライダー【ウィザード フレイムスタイル】に姿を変える。
そして"ウィザーソードガン"と呼ばれるものを召喚し手に取ると、スカイライダーに向けて発砲する。
スカイライダーはそれを避けようとするが、途中で弾丸がこちらに向かってくるように軌道を変え、結果的に全弾命中していた。
「うわぁぁ!?っ……銃弾が追尾してくるなんて卑怯だ!!」
「卑怯もなにもあるもんか!!」
『フォーム・ライド ハリケーン!!』
「おまけだ!!」
『アタック・ライド エクステンド!!』
DウィザードFS(フレイムスタイル)は叫ぶと、再びカードを挿入し、フレイムスタイルからハリケーンスタイルになる。
更にそこから別のカードを挿入すると、DウィザードHSの目の前に、緑色の魔方陣が現れる。
DウィザードHSはその魔方陣に右腕を突っ込むと、反対側から右腕が出てくると同時に、その右腕が延び始めていた。
それを見たスカイライダーは目をぎょっとし、慌てて回避行動をとる。
しかし、スカイライダーが延びる腕を回避したのを見たDウィザードHSは、仮面の奥でニヤリとしながら何かを告げる。
「腕が延びた!?ってうおぉ!?」
「おっと、避けていいのか?」
「!しまっ……」
DウィザードHSの言葉に、スカイライダーは慌てて後ろを見ると、後ろにいた戦闘員たちが、凪ぎ払われていた。
DウィザードHSの使ったエクステンドは、魔方陣を通り抜けた部位を自由自在に伸縮出来るようになる……
それを利用して、例え攻撃が避けられても、他の戦闘員たちを倒せれば、いざという時の戦力も減らせることが出来た。
現に人質としてユウスケが捕らわれたままだったのもあり、この手は有効だったと言えよう……
……スカイライダーは舌打ちをしながら、DウィザードHSを見る。
「まさか、どさくさに紛れてユウスケを助けるとはね……一杯食わされたよ。けど……ここからが本気だ」
(来るかっ……)
スカイライダーは静かに構えを取り、DウィザードHSもウィザーソードガンを剣にする。
そして……
「……そこっ!!」
(!早いっ…!)
スカイライダーは素早くDウィザードHSに近づき、そのまま正拳突きを放とうとする。
DウィザードHSはそれに反応し、スカイライダーの右腕をウィザーソードガンで弾き返す。
が、スカイライダーは休む間もなく左腕を構え、DウィザードHSの持つウィザー
ソードガンのある手を攻撃し、DウィザードHSは痛みのあまりウィザーソードガンを手放してしまう。
しめたとスカイライダーは思うと、ウィザーソードガンを回収、DウィザードHSに向けて発砲していた。
DウィザードHSはダメージを受けつつも、腰につけたままのライドブッカーで応戦しようとするが、手に取った瞬間を撃たれ、またもや手放してしまっていた。
「ぐっ……!?」
「よし、ブックケースみたいなの確保。これの中に入っていると言うカードが厄介らしいから、奪えてよかったよ」
「っ……返しやがれ!!」
「おっと、誰が返すもんかっと!!セイリングジャンプ!!」
DウィザードHSは、奪われたライドブッカーを取り返そうとするが、スカイライダーはセイリングジャンプで宙を飛び、回避していた。
それを見たDウィザードHSは舌打ちしつつも、ハリケーンスタイルの能力で、自身も宙に浮遊する。
が、浮遊した所をウィザーソードガンとライドブッカー・ガンモードで撃たれ、そのいくつかの弾丸に当たってしまい、そのままディケイドの姿に戻りながら地面に落ちていた。
「がぁぁっ!?」
「……この銃凄いね。欲しくなったよ……あ、消えちゃった」
(くっ……ライドブッカーを奪われたままだと、他のカードが使えねぇ……!)
ディケイドは心の中でそう思う。
……ディケイドの唯一の弱点、それは主にカードが使えなくなった場合だ。
ディケイドの特徴は、ディケイドライバーの中にある"トリックスター"と呼ばれる秘石をエネルギー源として、ディケイドの持つカードの一部で他のライダーの姿に変える事ができる。
そして特定のライダーの姿でしか使えない武器や能力も、カードの介入がないと発動したりする事ができない。
それがディケイドの利点であり、弱点でもあるのだ。
様々な姿に変身する事ができるため、相手を惑わす事も簡単……しかし、それはディケイドの持つカードがあるからこそ、なせる事だ。
例えば、カードをドライバーに挿入する時、多少のタイムラグが生じる。
そのタイムラグの間に、相手の攻撃を受けてしまう可能性が高くなるのだ。
士自身もそこは警戒しているし、極力カードを使わなくてもいいように、接近戦で対処している事もある。
だが、ライドブッカーを奪われたとなると、話は別だ。
ライドブッカーは、ディケイドが使うカードがしまわれているケースのようなものだ。
その中にほぼ総てのカードがしまわれており、それ故にそこからカードを取り出さないと、ディケイドはカードを使った戦法ができなくなる。
その上ライドブッカーは、ソードモード、ガンモードの2種類に変形し、武器として扱うこともできるため、奪われるとカードが使えなくなると同時に、素手か回りの道具でしか戦えなくなるのだ。
一応士自身は素手でも戦えなくはない。が、今自分が相手をしている敵は、宙に浮かぶことができる……圧倒的に分が悪いのは、ディケイド自身だ。
(それにしても……まさか敵は俺について調べてたのか?じゃないとさっきのヒロシの言葉に疑問が残る……)
「さてと……そろそろ終わらせよっか」
ディケイドが考え込んでいると、スカイライダーはライドブッカーをその辺に投げ捨ててしまう。
それを見たディケイドは、奪ったものをその辺に捨てるという行為に驚くが、裏を返せば攻防時の隙に拾える可能性がある。
恐らくその辺に投げ捨てたのは、自身へ向けての囮だろう……流石にディケイドも、そう馬鹿ではない。
ディケイドはスカイライダーとライドブッカー、両方を交互に見つつ、僅かな隙を狙おうとする。
だが
「―――ライダー!錐揉みシュート!!」
「なっ!?錐揉みシュートだと!?」
突然叫んだスカイライダーは空中で、両手を大きく振るう。
するとスカイライダーを中心に、巨大な竜巻のような風が吹きあれ、ディケイドに向かってくる。
ディケイドは驚きながら風に飛ばされまいと踏ん張るが、それが間違いだった。
スカイライダーはディケイドの前まで降り立つと、上に蹴りあげる。
風が強いせいか、ディケイドは簡単に宙に放り出されてしまい、スカイライダーは素早く飛び上がる。
そして空中でディケイドをキャッチすると、そのままさらに上昇………高度2000m程で動きを止めていた。
そしてその場で自身の体を回転させ、段々と回転を早めていく………
「ヤバイ……この技は流石に………!」
「うぉぉぉぉ!!竹トンボシュゥゥゥゥゥゥト!!」
「っ…うぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
スカイライダーが叫ぶと同時に、地上に向かってディケイドを投げ飛ばしていた。
投げ飛ばされたディケイドは、流石にこの技は危ないと思い、無理矢理受け身を取れる体勢に変えようとする。
だが………次の瞬間、驚くべき光景が目に写っていた。
なんとスカイライダーが、ディケイドよりも先に降下し、ディケイドが落ちてくる場所に待ち伏せていたのだ。
そしてスカイライダーの両手は、手刀の状態になっており、ディケイドはぎょっとし慌てて防御の体勢をとる。
そして………
(不味い……!あれは食らったらかなり不味いぞ………!!)
「―――ライダー奈落落とし!!」
ディケイドの腹部に向けて、左手で攻撃していた。
ディケイドは攻撃をなんとか防ぐが、元々空中から急速に落下してきた所に下からの攻撃、防いでもかなりのダメージが入ってしまう…
あまりにもの痛みにディケイドはぐっと呻き声をあげるが、それだけでは終わらなかった。
スカイライダーは空中で体を右に一回転させ、もう一本の手刀で、ディケイドの背中を攻撃していた。
当然腹部に防御を当てていたディケイドは防げるはずもなく、ディケイドは再び落下していき、そのまま地面に激突、同時に変身が解けてしまっていた。
「がっ、あぁぁ!!」
「おー、すごいすごい。途中で攻撃したとはいえ、あの高さで死なないなんて……やっぱりそのスーツの影響かなー?」
変身が解けてしまった士は、先程の攻撃の影響か、呻き声をあげながら地面をのたうち回る。
そんな士を見ながら、スカイライダーはゆっくりと地上に降り立つ。
士はなんとか起き上がろうとするが、先程の攻撃で右腕の骨が折れたらしく、地面に手をつけた瞬間痛みが襲い掛かっていた。
「がっ……ぁあ……!」
「あんまり無理しない方がいいよ?その様子だと、絶対骨折れてるから」
「くっ………ゆ、だん……して、た……まさかっ……きりもみ……シュートを…つか……なんて………」
「念のためにと頭の中にある戦闘データにインプットされてたんだ。なんかその技、本来なら敵を掴んだ上でやるみたいだね」
「それ、だけじゃ……ぇ……おまえ……せんと……は…はじめて、だろ………なのになぜ……あそこまで……!」
士は荒い息づかいをしながら、スカイライダーに尋ねる。
……そもそも初めての戦闘で、ここまでライダーの特徴を活かして戦うのは、かなり至難の技……
いくら改造人間で技のプログラムが頭の中にあっても、初の戦闘で様々な必殺技をいきなり本番で使うのは、例えライダーの原点である1号………本郷猛でも、極限の状態じゃない限り中々できない。
その上、スカイライダーの最大の特徴であるセイリングジャンプ……あれも空中で自由自在に動くのは、とてもじゃないが、初めての戦闘ではほぼ無理だ。
士はそう思ったが、スカイライダーはすっとんきょうな声で話す。
「え?あれそんなに難しいの??」
「なっ…」
「いや、俺、ぶっつけ本番の方が覚えやすいタイプなのかな?カズヤによく相手をしてもらった時も、試合形式の方が技とかやりやすかったんだ」
そう告げるスカイライダーに、士は思わず絶句してしまう……
どんなに危険な状態でも、その場ですぐに行動を起こせるというのは、ある意味才能のようなもの………士でも中々できない事だ。
そもそも目の前にいるスカイライダーは空手部の部長………元から素のスペックが高い上に、ある意味戦い慣れてるのだ。
士は唇を噛み締めながらスカイライダーを見つめる。
スカイライダーは右手を握り拳にしており、その腕を士に向けている……
「さて、そろそろ止めだよ。士は組織にとっては邪魔らしいからね」
(くっ……動け、ねぇ………!)
「…、………短い間だったけど、さよなら、士」
スカイライダーはゆっくりと別れを告げ、その腕を士の頭目掛けて振るう。
士は体を動かそうにも、やはり動けずにいており、覚悟を決めたかのように目を瞑る。
………だが、その拳は、何時までも士の頭を潰さない……それどころか、拳が向かってくるような気配は、なくなっていた。
士は当然疑問に思い、ゆっくりと閉じた目蓋を開く。
「な…………」
「……ぇ…?」
そしてその目に写った光景に、士はおろか、スカイライダーすら絶句していた。
士とスカイライダーの間に、一人の青年―――"梅野カズヤ"が、立ち塞がるように立っていた。
そして彼の周囲には大量の血が飛び交っている……
一瞬二人は、何が起きたのか、分からずにいた。
―――何故カズヤがここに…
互いにそう思うが、カズヤが倒れると同時に、スカイライダーの意識がはっとする。
「…カズ……ヤ…?」
「…」
スカイライダーは変身を解き、倒れたカズヤの前に崩れ落ちる。
そして恐る恐るカズヤに向けて腕を伸ばそうとして、不意に気がついてしまう。
……自身の手が、血塗れになっているのを。
当然、自身の血ではないのは分かっている。その血が本来流れていたのは、目の前にいるカズヤのだ。
「う、―――ああああああああああああああああああああああああ!!?」
ヒロシは血塗れの腕を見ながら、叫び声をあげる。
無理もない……元々士めがけて放たれた攻撃を、親友が体を張って、代わりに受けてしまったのだ………
当然ヒロシは、そんな事を望んでいなかった………それは士が見ても分かる事だった。
すると突然士たちの間に竜巻のようなものが発生、その中央に眼鏡を掛けた黒ずくめの男が立っていた。
「急いで駆けつけてみれば……やはり貴方に、人殺しは任せない方がよかった………!」
「!?誰、だ!?」
「…私ですか。私の名はキル。NEOBADANの首領、とでも言えば分かりますよね。仮面ライダーディケイド」
「!そう、か……お前が………っ!」
士は男―――キルを睨むが、キルは士を無視してカズヤの体に触れる。
するとカズヤの体から光が溢れ出し、数秒するとカズヤから光が消えていた。
何をしたと士は尋ねるが、キルは黙ったまま、何かの資料を士の前に放り投げる。
そして未だに叫び続けているヒロシの頭に触れると、ヒロシは叫ぶのをやめ、静かに倒れる。
そのままヒロシを抱えると、士に向けて、静かに告げる。
「……今の貴方なら簡単に殺せますが、今回は見逃しましょう……。そこの資料と共に、彼………梅野カズヤ君の父、梅野星十郎の所へ連れていきなさい。……彼を助けたいなら、急いで」
告げ終えた途端、キルを囲うように再び竜巻が発生し、竜巻が消えたと同時にその場からいなくなっていた。
Next, Kaitou side.