仮面ライダーディケイド~昭和リイマジの世界~ 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
次の日……その日神代高校では、数十名ほど無断欠席になっていた。
ゴロウもその一人だったので、気になったシゲルは、ユリコに昨日の事を尋ねていた。
「…知らないわよ……昨日少しだけ話したあと、先に帰ったんだもん……」
「そう、か……ったく、ゴロウのやつ、何サボってやがるんだ……」
シゲルは頭をポリポリとかきながら、帰宅の準備をする。
そしてユリコと共に帰ろうと思い誘う。
が、彼女は返事もしないまま、一人先に教室を出て行った。
シゲルはそれにカチンと来たのか、慌てて追いかける。
「なっ……おいユリコ!!なんで一人先に帰るんだよ!!」
「…」
「おいこらユリコ!!てめぇ話聞いて…」
「気安く呼ばないでよ」
不意にユリコが立ち止まると、シゲルの方へ振り向く。
……その顔は何処か怒っているような感じで、気迫もいつもより増していた。
シゲルは多少たじろくが、構わずユリコは話を続ける。
「アンタみたいなやつに、気安く名前を呼ばれるのは、もううんざりなのよ」
「は?いきなり何を訳わかんねェ事を」
「もうこれ以降、私に話し掛けないで」
「なっ……おい待てよユリコ!!オイ!!………勝手にしろっ!!」
ユリコは告げ終えたと同時に、その場から走り去ってしまう……
シゲルはそれを追いかけようとするが、さっきの言葉にカチンと来ていたため、追いかけるの中断していた。
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ユリコは一人、帰路の近くにある河川敷で、顔を手で隠して寝転がっていた。
「…、……これで、いいよね……遅かれ、早かれ……こうなって、いたん……だから………」
その一言は、どこか涙声になっており、更に顔からは、一筋の涙が零れていた。
そんな彼女に、複数の黒い影が迫っているのを、彼女は気付かなかった。
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「ったく……ゴロウには電話すら繋がんねーし、ユリコはいきなり変なこと言い出すし………あー……イライラする…」
シゲルは一人、地面に落ちている石を拾い上げながら、適当にその辺へ投げ捨てていた。
現在の彼は、イライラが頂点に達している……普通に話しかければ、誰彼構わず殴ってしまう可能性があるほどだ。
「―――君、ちょっといいかい?」
「……あ?」
そんな彼に、不意に誰かが話しかけていた。
シゲルが振り向くと、そこにいたのは20代前後の青年だった。
「……なんすか、いきなり」
「この辺でこの写真に写ってる"腕輪"をした人物を探しているんだけど……何処かで見なかったかい?」
青年はそう言って、一枚の写真を取り出し、シゲルに見せてくる。
なんで俺にとシゲルは思うが、とりあえずその写真を見てみる。
……写真に写っているのは、何処か古めかしい雰囲気を漂わせるような、銀色の腕輪………
その写真を見たシゲルは「ん?」と首を傾げた。
「なーんか似たようなのをみたよーな…いつだっけ……」
「本当かい?場所はどの辺だい?」
「何でそんなこと教えなきゃいけないんだよ。あっち行きやがれ」
「……やれやれ、仕方ないね。自分で探すしかないか」
「あ、おい!?」
青年はふぅ、とため息をつくと、その場から立ち去る。
シゲルは青年を追いかけようとして立ち上がる。が
―――フォーンフォーンフォーン
「ん?……パトカーの音?しかも結構近く……あの辺は確か、ゴロウやユリコの家の近くだな」
遠くからパトカーのサイレンが聞こえ、シゲルは音がなる方向を向く。
音が聞こえる方向は、ゴロウやユリコの自宅がある付近だった。
(……嫌な予感がする……)
シゲルはそう思い、サイレンの聞こえる住宅地に向かって走り出す。
そして数分後、シゲルにとって見覚えのある家の付近で、警察が野次馬たちを抑えていた。
(あれは…ゴロウの家か?一体何が……)
シゲルはそう思うと、人混みの中は見れないと判断し、近くの電柱に上って、ゴロウの家を見てみる。
そして……
「……え………?」
シゲルは【それ】を見て、絶句してしまった。
ゴロウの自宅の前に、一人の青年が、とても言葉では言い表せない格好で死んでいた。
しかしその青年は神代高校の学生服らしきものを着ており、その上身体の体格や髪型など、僅かにそれらしく見えるものに【ある人物】と重なって見えた。
そして警察がボロボロの制服のポケットから、スマートフォンを取り出して、鑑識用の袋に入れていた。
それを見たシゲルは、信じられないような顔をして、重なって見えた人物の名を、呟いていた。
「…嘘、だろ……あの死体……"ゴロウ"………なのか……!?」
~~~
次の日、ゴロウが死んだことは、ニュースになって広まっていた。
それどころか、ゴロウ以外にも数名ほど、無断欠席として昨日休みだった生徒たちが、似たような形で死体を破棄されていたとの事だった。
当然学校は休校、学校の先生たちも、警察に犯人を探してもらうよう頼んでいた。
シゲルは昨日の出来事を思い、ゴロウの葬式の出席に出ようと思い、ゴロウの家の前までやってくる。
するとゴロウの母親が出迎え、シゲルに話し掛けていた。
「あら……シゲル君……」
「こんにちは、おばさん。…ゴロウは……」
「……奥で、寝てるわ………もう、目が覚めないけれど…」
「…、……心中、お察しします」
シゲルは靴を脱いで、ゴロウの自宅に入る。
そしてゴロウが入っている棺桶の前にたつと、そのまま合掌していた。
(ゴロウ……なんでだよ………)
シゲルはゴロウの棺桶を覗かないまま、ゴロウとの出会いを思い出していた。
ゴロウとであったのは、中学二年の時……その時の彼は、その中学では有名な不良グループのトップだった。
ある日彼の率いるグループと喧嘩になり、彼と本気で殴りあった。
結果は引き分け、だがそれにより、彼とシゲルは互いを認めあい、その日を境に仲良くなった。
今でもたまに殴り合うほどであり、同時にバカをやらかす時も、基本一緒だった。
だが、昨日の出来事で、総てが終わった。
これからもずっと続くであっただろう関係が、ほんの一瞬で、音も立てずに崩れ去った。
目の前で無惨な姿になって眠っているのは、ほんの2日前まで、一緒に過ごしていた友だった。
(なんでっ……だよっ……お前に………何が……あったんだよ………!!)
シゲルはドン、と床の畳を強く殴り付ける。
そして彼の頬から、一筋の涙が伝っていた。
~~~
翌日、この日も学校は休校で、シゲルは一人、河川敷で空を眺めていた。
友人が亡くなり、その悲しみを紛らわせようと思い、よくゴロウやユリコと来ていたここへ来たのだが、それでもゴロウが死んだのには、代わりない事実であった。
政府や警察関係は、ゴロウや学校の生徒たちを殺したのは、もしかしたら複数人のグループであるとにらんでいるが、それ以降の進展は、今のところないとのこと……
しかしシゲルにとっては、もはや犯人よりも、ゴロウの死に気を捕られていた。
(……そういや、昨日はユリコのやつ、ゴロウの葬式、来てなかったな……)
ふと、昨日の葬式に彼女が来てないのを思い出す。
彼女も当然、ゴロウとは仲がよかったし、彼女の性格からして、知人の葬式ぐらいには参加はするはず……
あまりにもショックすぎて、参加できる状態じゃなかったのだろうか……
(…、……胸騒ぎがする………)
そこまで考えた上で、シゲルの脳裏に不安が過る。
彼は起き上がると、携帯で彼女の電話番号を指定し、連絡を取ってみる。
しかし、いつまでも通話待機状態で、一向に電話に出る様子がない……
シゲルは一度電話を切ると、ユリコの自宅に急いで走っていく。
数分後、シゲルはユリコの自宅に到着し、インターホンを鳴らす。
すると少ししてから、ユリコの母親が玄関から出てきていた。
「あら、シゲル君。いったいどうし……」
「おばさん!!ユリコって、今何処にいますか!?」
「…、……まだ、【帰ってきてない】のよ……【ゴロウ君が死体で発見された日から】」
「…!」
ユリコの母親は暗い顔をしながら、彼女がまだ帰ってないことを話す。
それを聞いたシゲルは、心の中で嫌な思いを感じていた。
ユ リ コ ま で 失 う の か
そんな考えが頭を過り、シゲルは慌てて走り出す。
そして町中を聞き回り、彼女を最後に見た場所を突き止めていた。が………
「……んだよ……戻ってきただけじゃねぇか!!」
そこは数十分前、シゲルがいた河川時期だった。
シゲルはその場で崩れ落ち、地面を殴る。
「くそっ……くそっくそっクソォォォォォォォォォォォォォォ!!!俺は……ユリコまで……失うのかよ………ゴロウの時みたいに……っ!チックショォォォォォォォ!!誰だよ!俺の唯一の友達を!俺から奪っていくのは!?誰が…こんな……事を……!」
「"NEOBADAN"っていう組織さ」
「……な…」
不意にシゲルの背後から、声が聞こえる。
振り向いてみると……そこにいたのは、10代後半ぐらいの少年だった。
少年はゆっくりとシゲルに近づくと、彼の前にしゃがみこむ。
「"NEOBADAN"という組織が、君の友人や、いろんな人を浚っているんだよ。"来るべきに備えて"、ね」
「なっ……」
「君は見た感じ、ユリコって女の子を"助けたい"みたいだね?心がそんな感じ……」
「…オイ」
少年が喋っているのにも関わらず、シゲルは彼の首筋を掴む。
そして凄みのある顔で、彼は少年に尋ねていた。
「……てめぇ、今"ユリコを助けたいみたい"って言ったのか……?それはどういう意味だ……!」
「わーぉ、お兄さん凄い顔ー」
「答えろ!!今の言葉はどういう……」
「―――あーもう、いちいち煩いよ」
「!?」
その言葉と同時に、シゲルの手からは少年が消えており、後ろから声が聞こえる。
シゲルは慌てて振り向くと、そこには"先程の少年が、宙を飛んでいた"。
シゲルはそれに驚き、尻餅をつく。
しかし少年は、シゲルが怯えてるのを気にしてないのか、先程シゲルが尋ねた質問に答えていた。
「ま、答えてあげるけどね。君の言った彼女……ユリコって子は、ここから先の科学工場にいるよー。ただし、普通にそこへ行ったら、撃たれてはいしゅーりょー」
「っ……それってつまり……アイツは………ユリコは…生きているのか……!?」
「そだよー。……もっとも、"肉体は手遅れ"だけどね」
少年の言葉にシゲルは唸る。
少年が言う"肉体は手遅れ"というのは、どういう意味か……
シゲルは尋ねてみるが、少年はただ一言だけ告げていた。
「……肉体は手遅れ?それって……どういう……」
「聞きたい?……なら、約束する?【彼女がどんなに変わっていても拒まない】って」
「(ユリコが……どんなに変わっても?一体どういう……いや、考えていたらダメだ)………分かった。約束する。だからその言葉の意味を教えろ」
シゲルは返事をする。
それを聞いた少年は、にこやかな笑顔をする。
しかしその笑顔は、そこが見えないような【裏】が見え隠れしており、シゲルは正直、信じていいのか、分からずにいた。
けれど、信じるしかなかった。
今目の前の少年しか、情報源がないのだから。
「ふふっ、君の"覚悟"は一段階"進化した"みたいだね。けど、あえて僕からは教えない」
「なっ……!?」
「君の"覚悟"はまだ"進化できる"領域だ。その"進化"は、君自身が彼女を見たときに起こる」
「……要は、自分の目で確かめろって事か」
「そだねー。どちらにしろ【ここで話したら、君は恐らく彼女に会えない】可能性があったからね」
「ご託はいい。さっさと教えろ」
「OK。それじゃあ、教えるよ……とその前に、やつらのところに着いたら、こう言うといい。そうすれば君は、生きたまま中に入れる」
「?なんだ、その言葉は」
「それはね―――」
~~~
数十分後、シゲルは最近になって建設された工場の前に立っていた。
その工場の用途は、表向きには自動車製作となっている……
が、あの少年から聞いた話によると、NEOBADANの地下支部のカモフラージュになっているとの事。
シゲルはシャッターの前にまで来ると、大きく行きを吸い、そして………
「―――頼もぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
大きな声で、叫んでいた。
それから数十秒ほど経つと、シャッターが昇っていく。
その奥には、黒いネズミのようなスーツを着た者たちが見え、彼らはシゲルを見るや否や、彼を取り囲んでいた。
「貴様!何者だミュウ!」
「へぇ。まさか本当に、こんなところに基地があるとはな」
「この偉大なるNEOBADANの支部を知っているミュウ?貴様、どこでここを知ったミュウ!!」
「あーもう、ミュウミュウうるせーよ、黒ウサギ共。いや、ネズミか?まぁいいや…、……俺はお前らに"頼みに来た"んだよ」
「……頼みだと?」
黒いネズミのスーツを着た一人―――ブラックサタン戦闘員は、その場で首を傾げる。
シゲルはフッ、と笑うと、少年が言えと言った言葉を、静かに告げていた。
「あー、なんだっけなー……あ、そうだったそうだった………―――俺を"ストロンガー"?ってやつにしろ。今すぐに、な」