仮面ライダーディケイド~昭和リイマジの世界~   作:火野荒シオンLv.X-ビリオン

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心の闇

士はカズヤと、後から起きたヒロシに手伝ってもらい、ユウスケを保健室に連れてきていた。

そして士はカズヤから携帯電話を貸してほしいと頼み、カズヤは承諾していた。

そして士は、以前夏海に教えてもらっていた写真館の電話番号を押し、連絡を取ってみた。

 

『はいもしもし。光写真館です』

「夏海!俺だ、士だ!!」

『えっ、士君ですか?』

 

士は夏海にある程度今の状況の話をして、キバーラを呼ぶように頼んでいた。

 

『分かりました!キバーラ!』

『なぁーに?夏海ちゃん』

『今すぐ士君の所に行ってください!ユウスケが大変なんです!!』

『えぇ!?ユウスケが!!?』

 

キバーラも慌てたような声をあげ、10秒後、キバーラがオーロラを使って現れていた。

カズヤとヒロシは、突然のことに軽く口を開いたままだったが、士は気にせず、キバーラを掴まえていた。

 

『ちょっ、ちょっとー!急に掴まないでよ!!』

「キバーラ!お前前に、自分の魔皇力を注いでユウスケを甦らせていたよな?」

『………ちょっとディケイド、落ち着きなさいよ』

 

そう言われて士は、一旦キバーラを離す。

キバーラは『あー痛かったぁ』と言いつつ、士の方へ向いていた。

 

『………確かにアタシは自分の魔皇力で、ユウスケを甦らせていたわ』

「なら今すぐそれを」

『貴方、忘れてない?前に【管理者】達が貴方の前に現れたときに、アタシがユウスケをアルティメットフォームにして、貴方を襲わせたのを』

 

キバーラの言葉に、士は思い出した。

前にスーパーアポロガイストと戦ったとき、ユウスケが自分を庇って、死んでしまった。

その後スーパーアポロガイストは、海東と共に倒したが、世界の融合が完全にされてしまい、同時に紅渡たち【管理者】が現れ、自分を倒すと言って襲ってきた。

その際キバーラは、ユウスケに自身の魔皇力を注ぎ、アルティメットクウガになってしまった。

後に激情態となってライダーを救おうとしたとき、紅渡から鳴滝が以前発見したアークルを多少改良し、ユウスケに渡したと聞いた。

キバーラと鳴滝は基本的に仲間のような感じであった。

その為鳴滝は、キバーラを使い、アークルにアルティメットの暴走をさせるような【スイッチ】みたいなものを埋め込んでいたのだろう。

 

「それが今も続いている可能性があったら………」

『そう。この学校どころか、町が破壊されるかもしれないわよ?貴方が怪我して止められないならなおさら』

 

そう、下手したら暴走して、町が危なくなるのだ。

そうなると、誰も止められる人物がいないなら、それ以上の被害が起こるのだ。

 

「くそっ!だったらそれ以外に方法はないのか!?」

『アタシだって知らないわよ。こればかりは鳴滝さんに………』

 

ふと、キバーラが喋るのやめた。

そして数秒後に、キバーラの口から【あること】を教えられた。

 

『………そういえば昔、鳴滝さんの資料で見たけど、五代雄介って人、知ってるよね?』

「あぁ、【管理者】の一人、そして仮面ライダークウガだろ。1度だけ会った。そいつがどうした?」

『実は鳴滝さんの資料によると、彼もユウスケと同じように、心配が停止したらしいのよ』

「…何?」

 

キバーラの話によると、五代も心配停止をして、一時的に死んだらしい。

だが、アークルの中心にある【霊石アマダム】の力により、仮死状態で留まっていた。

 

『で、彼を蘇らせるときに、あることをしたらしいわ』

「あること?何だそれは」

『電気ショックよ』

 

士の言葉に、キバーラは即答する。

どうやら鳴滝の資料と合わせると、五代は心配停止をした後、電気ショックをされて、復活したらしい。

更に鳴滝の資料では、【霊石アマダム】の力により、傷の治りも早くなっているとのことだったらしい。

 

「つまり電気を浴びせれば………」

『ユウスケは生き返る、そういうことね』

「なら急いでAED、もしくは電気ショックになれそうなものを」

「士、AEDならここだ!」

 

士が急いで探そうとしたとき、話を聞いていたカズヤとヒロシは、AEDを持ってきていた。

 

「カズヤ!ヒロシ!助かった!!」

「どういう状況かはまだ分からないが、後で話してくれればいい」

「そこの喋る白い蝙蝠、他に必要なのは!?」

『後は特に何もないわ』

 

ヒロシはキバーラに他に何かいるか尋ねると、何も要らないと言った。

それを聞くと士は急いでAEDを起動させていた。

 

 

 

~~~

 

 

 

「何とかなったみたいでよかったね」

「あぁ………」

 

その夜、ヒロシとカズヤは、二人並んで歩いていた。

あの後、ユウスケは奇跡的に蘇生し、更にほとんどの怪我が治っていた。

だが、一旦安静すべきだとカズヤが言った為、士たちは、キバーラという蝙蝠によって、写真館へ戻っていった。

 

「だけど士たちの事について、結局何も聞けなかったな」

「だよねぇ。今日の出来事で学校が休校になったから、明日聞きにいくのも手だね」

「そうだな」

 

それから数分後、ヒロシとカズヤは、互いに別々の道を帰っていった。

というよりヒロシに関しては、ある所に寄る為に、急いで走っていた。

そして数分後―――ヒロシは、とある病院にやって来ていた。

そしてある病室に入ると、その部屋にいる【人物】に声を掛けていた。

 

 

 

「遅くなってごめんね、母さん」

 

母さん、と呼ばれた人物は、返事をしない。

いや、彼女は返事が【出来ない】のだ。

 

「今日は凄いことがあったんだよー。学校に変な変質者たちが現れたり、【知り合い】がコスプレみたいな格好して、変質者を撃退したり」

 

だがそれでもヒロシは、構わず語り続ける。

…それが【聞こえている訳がない】のに。

 

「………母さん………」

 

ヒロシは分かっているつもりなのに、つい語ってしまっていたことに、軽く寂しさを感じていた。

ヒロシは彼女の方を見ながら、一粒の涙を流していた。

 

 

 

「―――その方の意識を取り戻したいですか?」

「!?」

 

だが不意に、後ろから声が聞こえ、ヒロシは咄嗟に後ろを向く。

そこに居たのは、見知らぬ眼鏡をかけた男だった。

 

「………誰ですか、貴方」

「あぁ、すいません。名乗り遅れましたね………。私の名は、"キル"と申し上げます」

 

キル、と名乗った男は、丁寧にお辞儀する。

しかしヒロシは、キルという男から、不穏な気配を感じていた。

 

「貴方、どこから入ってきたんですか?ここは僕の」

「お母様の病室、ですよね?」

「………なら部屋を出ていってくれませんか?」

 

ヒロシはキルに、部屋に出ていくように言う。

 

「まぁまぁ、そう言わずに。私は貴方に会いに来たのですよ?"飛空ヒロシ"君?」

「!!」

 

キルの言葉にヒロシは驚く。

 

自分の名前を何故知っているのか、それもあるが、自分に話があると言ってきた。

いきなり初対面の人物に、話があると言われたのだ、怪しむわけがない。

 

「貴方がこの病室に来る前に、貴方について色々と調べました。ついでに彼女のことも」

「なっ………!?」

 

自分のことを調べた。

その一言を言われ、ヒロシは硬直していた。

 

「貴方の母親は、元々病気がちだった」

「やめ」

 

「ですが貴方が小さい頃、ある程度身体が良くなり、息子である貴方と出掛けていた」

「やめろ」

「ですが彼女は少し無理をしていた。その為貴方が早々と移動し、彼女が追いかけようとしたが、彼女は突然道路で咳き込んで動きを止め、そのまま彼女は偶然走っていた車に」

「やめろって言っているだろ!!」

 

話を止めないキルにヒロシは彼を殴りかかる。

だがそれを簡単に避けられると、そのまま両腕を押さえられた。

 

「があっ!」

「やれやれ。少しは落ち着いてほしいですねぇ」

「くっ………何処でそれを………!」

 

ヒロシはキルに向かい、何故そのようなことを知っているのかを尋ねる。

それを聞いたキルは、にこやかな笑みを浮かべると、ヒロシの腕を解放していた。

 

「………信じられないでしょうが、私、少々目が特殊でしてね。未来とかが見える訳じゃあありませんが、人が持つ【心の闇】と呼ぶべきものと、後ひとつ、別のが見えるのです」

「心の………闇………」

「貴方を数日ほど影で見ていましたが、貴方の心の闇は相当深いようですねぇ?」

「何を言って………」

「おやおや、とぼける気ですか?貴方、先程お母様に話しかけていたとき、【知り合い】と言ってましたが………【友達】、或いは【同じ学校の生徒】と言うべきじゃあありませんか?」

「!!」

 

キルの言葉に図星を突かれるヒロシ。

だが、そんなヒロシに構わず、キルは先程のように、喋り続けた。

 

「貴方、心の中では、【友達】、或いは【親友】と呼べる人が本気でいないようですね?」

 

 

 

―――キルの言葉は本当だった。

ヒロシは先程の母親の話の後で、母親を今の状態にしてしまった。

それからヒロシは、どうしてか人との付き合いがわからなくなっていた。

今の性格は、それが影響しているのだろう。

それだけではなく、今の性格のせいで、こんな出来事があった。

それはヒロシが、学校に忘れ物をして取りに帰ったときに、クラスの何人かが教室に残って、自分のことの話をしていたのだ。

 

『ヒロシの奴って、妙にノリ悪いよなぁー』

『アイツ、いつも自由気ままなくせに、バイトだからとか言って、すぐに帰るし』

『普段フレンドリーだけど、何処か駄目なんだよなぁー』

『まるで友達がいません!って感じに思うよなぁ!』

『それに俺、正直アイツのことがあんま好きじゃねぇんだよな~』

『分かる分かる!!あんな性格なのに勉強できたりして羨ましいったらありゃしないぜ!』

 

ヒロシにとって、それらの言葉は、【影での悪口】よりも【何で存在する理由が分からない】というような言われ方をしているように感じてしまっていた。

思えば、確かに自分は基本的にクラスの人に好かれていたが、それと同時に、人との関わりが少なかった。

幼馴染みのカズヤ以外、親のことを話してない為、自然と心を閉じている状態だった。

そしてあのような性格を振る舞っていた為、今のように知らず知らずの内に、他の人との深い溝のようなものができていた。

その後も、『アイツは大事なところで駄目になる』だの、『アイツもカズヤと同じで真面目だから、アイツがいるとさ自由に過ごせない』だのと、ヒロシについてさんざん喋っていった。

そして彼らが帰った後、咄嗟に隠れたヒロシは、頭の中で考えていた。

 

 

 

何故自分はこの世界にいるのだろう

 

 

 

自分はみんなから、この世界から必要ないんじゃないのか

 

 

 

そんな思いが頭の中によぎっていた。

考えてみれば、先程のように関わりを持たない、自分勝手のような性格、そして母親に関して。

全て自分のせいである。

自分のせいで母親が倒れ、意識が戻らず植物状態になり。

自分の性格のせいで周りに合わせられず。

そして何より、自分勝手である。

前に母親が危ない状態の時、丁度部活の試合があった。

一応みんなに説明して病院に向かったが、エースとも言える自分が抜けたために、部活のみんながパニックになり、結果的に大事なところで、負けた。

顧問の先生は自分が悪くないと言ったが、それでも結局、仲間を裏切ったことに代わりはなかった。

 

 

今考えてみれば、自分さえいなければよかった、自分がいるから回りの人たちに迷惑がかかるんだ、そう思えてきた。

 

 

 

 

「………図星、の様ですね?」

 

ヒロシは、キルの言葉に、ハッと我に帰った。

そしてヒロシはキルを鋭い目で睨んだ。

キルは怖がるフリをして、ヒロシを見つめていた。

 

「そんなに睨まなくても」

「………さっき俺に、用があるって言ったよね?」

「えぇ」

「………それって何?」

 

ヒロシは恐る恐る、キルに尋ねる。

キルはヒロシが興味を示したことに目を開くと、大喜びをしていた。

 

「まさか、興味があるんですか?これは嬉しいことですねぇ!」

「良いからさっさと言え!!」

 

ヒロシの声に、キルは少々驚きつつ、ヒロシに向けて用件を言った。

 

 

 

「貴方、今日やって来た者達を知ってますよね?」

「………あぁ、あの変質者達か。それが?」

「―――貴方には『スカイライダー』になって、私が率いる『NEOBADAN』に入ってもらいます」

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