この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話   作:change

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クソ長くなりました。全部馬鹿のせいです。


第10話 「身体は闘争を求める」

「デュエル・・・・・・デュエルをさせろぉ・・・・・・」

「お、落ち着け紅蓮!漸く回復したからって、そんなゾンビみたいな──」

「俺と・・・・・・デュエルしろぉぉぉ!!」

「キャー!?」

「デュエルジャンキーの紅蓮だぁ!?」

「全員逃げろぉぉ!捕まったらデュエルしか出来ない体にされ──や、やめ・・・・・・ウワァァァァァ!?」

 

風邪から完全復活したある日の朝、任務ということで僕と紅蓮が一緒に任務に出かけることとなった。

とはいえ紅蓮である。任務を放棄することに定評のある紅蓮のことだから、どうせ今回の任務もデュエル以外は自分がちゃんとしなければならないのだろう、と僕は思っていた・・・・・・のだが。

 

『おい紅蓮、お前勝手にどこか行くなよ?』

『・・・・・・』

『紅蓮?』

『・・・・・・あぁ』

 

と、ラボで声を掛けるもどうにも様子が可笑しかったのだ。この時点で気付けていたらどれだけ良かったことか。

慌てて連絡アプリのDIENでサバイバルに助けを求めるも、帰って来たのは衝撃の真実。なんと、この世界には栄養不足ならぬデュエル不足でデュエル失調という症状が出るらしい。この世界頭可笑しいんじゃないの?いやまぁ可笑しかったわ。

 

「デュエルゥゥ!!」

「デュ、デュエェ・・・・・・」

 

しかも何故か紅蓮にデュエルで負けた人間は、ゾンビのような形相で他の人とデュエルを仕掛け始めている。いつからこの世界はB級映画の世界になったのだろうか。こんな危機感湧かない癖に面倒なバイオ・○ザードは御免過ぎる。何だよデュエェって、鳴き声か。

 

「・・・・・・不味いぞ、良く分からんが紅蓮がドンドン犠牲者を作ってる・・・・・・このままじゃ町はデュエルジャンキーの巣窟、意思疎通がデュエルでしか成り立たないバトルシティになってしまう・・・・・・」

「ルゥ!」

 

背後から飛んで来た40過ぎのおっさんゾンビの顔面に、咄嗟に自分の肘をめり込ませて沈黙させる。物理攻撃は効くようだが、僕はクローバー最弱、勿論フィジカルクソ雑魚な為、肉弾戦で鎮圧するような手段は取れない。

 

と言っても、幾ら相手がディスペクター使うような奴が居なそうとはいえ、この数相手にデュエマしていては必ずいつかはゾンビになってしまう。まともにやり合う方が馬鹿を見るのは間違いないだろう。

 

「大元を叩く・・・・・・っていうのも、あの紅蓮だしなぁ」

「デュエルゥゥゥゥ!」

 

あ、無理だな。僕は雄叫びを上げている紅蓮を見てそう思った。

紅蓮には今の僕の自粛デッキじゃ逆立ちしても勝てない。意識があるのか無いのか、そこが分からない上に、誰が見ているかも分からない為、此処でディスペクターの入ったデッキやらを出すのは少しリスクがある。

これはもう誰かを生け贄・・・・・・ではなく、誰かに戦って貰うしかない。

 

「紅蓮に勝てる可能性がある奴・・・・・・」

 

クローバーは動かせない。緑磨くんは連絡先を知らない。連絡先を知っている人物となると・・・・・・。

 

「・・・・・・あ、居たわ」

 

よし、アイツ呼ぶか。

僕は再びDIENである人物に連絡を取る。僕が知る中で、この世界がアニメや漫画の世界観であるなら、恐らくその格をこんなギャグみたいなところで落とさないように勝利しそうな人物だと考えたからだ。

 

「頼んだぞ、魔王様・・・・・・っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで私を呼んだと」

「そうだ」

「・・・・・・何か都合の良い女になってない?私世界滅ぼせる女の子なんだけど?」

「そんなこと・・・・・・ナイデスヨ?」

 

連絡を送って数十分、デュエルデュエルと叫ぶゾンビ共がワラワラと溢れて来たところで、その人は来てくれた。

世界の破壊者こと零無を呼んでみた訳だが、呼んだ理由が理由なだけに、少々不機嫌なのかジト目を向けてくる。赤い綺麗な目にジト目で睨まれてもただ可愛いなとしか思わないが、流石に頼りにしてるのだから、此処で帰られても困る。此処は御機嫌を取らなければ。

 

「まぁまぁ、もし紅蓮を眷属にせず倒してくれたら、今度ケーキでも何でも奢るからさ・・・・・・駄目ですか?」

「んー、じゃあ紅茶もプラス、後ケーキは私の好きなの5種で」

「5種・・・・・・・・・・・・良い・・・・・・だろう・・・・・・っ」

「わぁ、悠は優しいなぁー、なら全力で相手しよっかなぁ~?」

 

これでリアル悪魔の契約には成功した。財布へのダメージという被害は出るが、背に腹は変えられない。此処はケーキ5種の値段が比較的安いことと、魔王様の強さを信じよう。

 

「紅蓮はドラグナーだけど・・・・・・魔王様勝てそう?」

「魔王って、私どちらかというと竜王じゃないかな?」

「竜魔王?」

「それ名前の後にP付く・・・・・・じゃなくて、まぁ勝てると思うよ?多分ね。治るかはさておき」

 

まぁ最悪気絶させて回収出来れば良いのだが、紅蓮だしなぁ・・・・・・気絶しても動いてそうだし、そもそも気絶とかそうしないだろ、タフだし。

やはり此処は零無とのデュエルで例のデュエル失調とかいうのが治るかもしれないことを期待しよう。デュエル不足なら、その分デュエルで満たしてやれば良い。

 

「デュエルゥゥ・・・・・・!」

 

紅蓮も強敵の気配に気付いたのか、零無の方へと叫びながら近付いて来る。デッキを片手に、背後にゾンビと化したモブを連れて。あまりの魑魅魍魎っぷりに百鬼夜行か何かかと疑い兼ねない状況だ。多分知らない人が見かけたら涙目で即逃げ出すと思う。デュエルが鳴き声の集団はそれくらいちょっと怖い。

 

「じゃあ紅蓮、やろっか。まぁ意識無さそうだけど・・・・・・」

「デュエル・・・・・・!デュエルゥゥ!」

「デュエル開始の宣言をしろー!悠!」

「デュエル開始ィィ!」

 

このドラ娘、意外とノリ良いな?と思いながらも、遂に紅蓮と零無のデュエルが始まる。紅蓮のデュエルは何度も見てるが、零無のデュエルは初めて見る。・・・・・・いつか倒さなきゃならないと考えると、此処で見れるのは少しラッキーと言えるかもしれない。

 

「約束だからな?絶対眷属にすんなよ」

「心配しなくても、私は悠との約束、ちゃんと守るよ?」

 

背後に居る僕に振り向いてニコっと笑い掛けてくる姿に心臓はビートを刻む。やっぱ美人の笑みは目福だわ、クローバーは小蛇しか女の居ないむさ苦しい場所だし、これで零無がヤベー奴じゃなかったら自分から眷属になっていたかもしれない。

と、そんなふざけた事を考えている間に、零無はターンを開始する。

 

「それじゃ私の先行、マナをチャージしてターンエンド」(マナ1)(手札4)

 

置かれたのは《ディスタス・ゲート》。つまり零無のデッキはディスタスが入っていることになる。変なデッキでも無い限り、ディスペクターデッキと見て良いだろう。問題は、どのようなディスペクターのデッキかという話なのだが。

 

「俺のターン、ドロー。マナチャージ、ターンエンド」(マナ1)(手札5)

「あ、良かった、デュエルではあの状態治るんだ・・・・・・いやどういう仕組み?」

「じゃ・・・・・・私のターン、ドロー。マナチャージ、2マナで《Re:ライフ》。マナチャージしてターンエンド」(マナ3)(手札3)

 

置かれたカードは《霊刑連結 ジゴク・パルテノン》、落ちたカードは・・・・・・《悪魔妖精ベラドンナ》。成る程、大体零無が今使っているデッキが分かった気がする。

 

「俺のターン、ドロー。マナチャージ、ターンエンド」(マナ2)(手札5)

「私のターン、ドロー。《ヘブンズ・ゲート》をマナに、4マナで《龍魂珠》を召喚」(マナ4)(手札2)

 

ドラゴン・オーブという種族を持つ、ディスペクターを裏で作っている存在らしきクリーチャー、《龍魂珠》が召喚される。コイツが王来篇のラスボスの前形態というか、まぁ何かしら関係あるクリーチャーなのは想像が付くが、未だ僕はラスボスが何なのかを知らない。噂では五龍神だとかいう話もあるが、恐らく真実を知るのはこの世界でだろう。それまで生き延びられていればだが。

 

「効果で5枚見て、1枚をマナに。残りを下に置いてターンエンド」(マナ5)(手札2)

「俺のターン、ドロー。マナチャージ、3マナで《グレンアイラ》召喚。効果で《ビギニング・スタート》を装備。ターンエンド」(マナ3)(手札4)

「私のターン、ドロー。マナチャージ、《龍魂珠》のササゲール2発動、6マナで《砕慄接続 グレイトフル・ベン》を召喚。EXライフ発動後、出た時の効果で墓地のカード全てをマナゾーンにタップイン」(マナ8)(手札1)(シールド6)

 

あのデッキを回す上で非常に頼もしいカードであろう《グレイトフル・ベン》が登場する。見たところ、かなりデッキの動きがスムーズに行っていると思って良いだろう。とはいえ相手は紅蓮、油断は出来ない。

 

「《グレイトフル・ベン》の効果で、マナからディスタスを種族に持つ《ヒャクメ-4》をノーコストで召喚。効果でマナチャージ&ハンデス」

「む・・・・・・」(手札3)

「ふふ、《ラブエース》・・・・・・危なかった、もし出てたらリソース差で私も少し負けてたかもね?」

 

ハンデスで落ちたのはドラグナーのドローソースである《ラブエース》。何よりも種族にドラゴンを持つ点も、《ラブエース》が強力であると言える点だった。

 

「私はこれでターンエンド」

「俺のターン、ドロー。マナチャージ、3マナで《龍覇 ラブエース》を召喚。効果で《爆熱剣 バトライ刃》を装備し1ドロー」(マナ4)(手札3)

 

零無はまだ余裕そうな顔をしているが、これは非常に厄介だ。確かにブロッカーである《グレイトフル・ベン》は要るが、一番の問題というのは攻撃ではない。

 

「ターンエンド。効果で《バトライ刃》は《爆熱天守 バトライ閣》に2D龍解、《ビギニング・スタート》は《ファイナル・ジ・エンド》に」

「さて、私のターン、ドロー。んー、ドラゴン連鎖を起こさせる《バトライ閣》は少し厄介だね。除去も出来ないし此処は・・・・・・こうしようか、マナチャージ」(マナ9)(手札1)

 

紅蓮の場を見て、零無は目を細め怪しく口元をニヤリと歪ませマナにカードを置く。

 

「《ヒャクメ-4》のササゲール4発動、《グレイトフル・ベン》の効果で、マナから7マナで、このカードを召喚する」

 

零無はマナゾーンで輝く3色のカードを、そっと手に持ち召喚を宣言する。それは、僕の知るデュエマのパックで最後に出て来ていたキングマスターカード。紛れもないディスペクターの王の一柱。

 

「強欲と無欲が支配の鉄鋲で留められた存在───高貴なる矛盾よ、今こそ現出せよ。《零獄接続王 ロマノグリラ0世》を召喚」(マナ8)

「出たなクソデカディスペクター・・・・・・」

「ん、もう少し驚くかなーって思ってたんだけどなぁー・・・・・・。まぁ良いや、EXライフ発動。そして登場時効果で、3枚捲って2枚をマナ、1枚を墓地に」(マナ10)(盾7)

 

まぁ、正直内心かなり驚いている。零無が《ロマノグリラ》の持ち主だとは、少し予想していなかった。

だがまぁ、それだけ実力を買われていると思えば納得もする。何せ中身はあの《零龍》だ。強いだろうことは僕でも容易に想像出来る。強い人にそういった強いカードが託されるのは普通のことだ。特に、負けたらカードを回収されるような場合は。

 

「《零獄接続王》はマッハファイター、《ファイナル・ジ・エンド》を攻撃時、効果でマナゾーンの枚数以下のコストになるよう、1体ずつマナと墓地からクリーチャーを出せる。私のマナは10、よってマナから《龍装者 ジスタジオ》を出す」(マナ9)

「うわエッグ」

 

思わず声が出てしまった。

《龍装者 ジスタジオ》はグランセクトのドラゴンギルド、恐らく《無双龍聖ジオ・マスターチャ》の化石を身に纏ったクリーチャーなのだが、その効果は至ってシンプル。ガードマンを持ちながら、自分のパワー12000以上のクリーチャーは、バトルに負けた時以外、バトルゾーンを離れない。という効果。

そしてこのクリーチャーのパワーは15000だ。勿論自身も対象になる上、何より此処で脅威なのが・・・・・・。

 

「《零獄接続王》はタップしている間、自分を攻撃させない封殺能力を持つ・・・・・・そして《零獄接続王》のパワーは17000だから、《ジスタジオ》の効果も適用される。スレイヤーも効かないの、残念だったね」

「・・・・・・」

 

《ファイナル・ジ・エンド》は為すすべも無く破壊される。正直、これはかなり強い布陣だ。紅蓮のデッキはスレイヤー能力やドラグハートの起用さで壁を突破していくが、パワー17000をバトルで超えるのは、現状だと少し厳しい。まぁ出来なくも無いのだが、時間が掛かるだろう上に、向こうはEXライフという耐性もある。

 

「ターンエンド」

「俺のターン、ドロー。マナチャージ、4マナで《龍覇 ラブエース》を召喚。効果で《ビギニング・スタート》を装備、効果で2ドロー」(マナ5)(手札4)

「あ、また引かれちゃったか・・・・・・」

 

それは残念、と言いたげな零無。まぁ、手札を奪うカードはそこそこ入っているようではある為、そこの攻防もこれから繰り広げられるのか、もしくは、そんな暇もなく終わるか・・・・・・。

どちらかは分からないが、紅蓮はこれでターンエンドしか出来ない。流石の紅蓮でも、マナが無ければそう動くことは出来ない。捲りに挑むのも良いが、それにはもう少し打算が欲しい。

 

「ターンエンド」

「じゃあ私のターンだね、ドロー・・・・・・んー、どうしよっかなぁー・・・・・・ん、こうしよっか」

 

零無はわざとらしく迷う素振りを見せたかと思うと、カードをマナに置き、マナのカードに手を伸ばす。

 

「マナチャージ、《グレイトフル・ベン》の効果で、マナから《ヒャクメ》をノーコストで召喚。効果で1ブーストとハンデス。そしてそのままササゲール4を使用。4マナで《グレイトフル・ベン》を召喚。EXライフ」(マナ10)(盾8)

「2体目の《グレイトフル・ベン》か・・・・・・零無もそこそこ良い動きをしているが・・・・・・」

 

紅蓮の手札はこれで3枚に。そして、《グレイトフル・ベン》の効果が起動する。

 

「効果で墓地のカードを全てマナにタップイン」(マナ13)

「来るか・・・・・・」

「《零獄接続王》でシールドを攻撃時、効果発揮、マナからもう一体の《零獄接続王》をバトルゾーンに。EXライフ。そして効果で3枚見て2枚をマナ、1枚を墓地に」(マナ14)(盾9)

「・・・・・・《ラブエース》でブロック。破壊される」

 

マッハファイターを考え、惜しみなく《ラブエース》をブロッカーとして使用したか。

だが、それでも紅蓮の場にはクリーチャーが居る。

 

「今出た《零獄接続王》はマッハファイター、《ラブエース》を攻撃時、効果でマナから《恐帝接続 ネロ・グウルピオ》をバトルゾーンに。EXライフ」(マナ13)(盾10)

「うわぁ・・・・・・アイツしっかりディスペクターになれたんだ・・・・・・」

 

カード化しているのは知っていた。だが、正直コイツをディスペクターにしても大丈夫か?という不安もあったのだが・・・・・・まぁ、ちゃんとなれたらしい。いや何だよちゃんとなれたって。ディスペクターにちゃんとなれたは色々可笑しいだろ。

 

「《ネロ・グウルピオ》の効果、相手の全クリーチャーのパワーを-5000する・・・・・・雑魚は消えちゃえ」

「っ・・・・・・」

 

紅蓮の場には、パワー5000以下のクリーチャーしか居ない。つまりそれは、紅蓮の場のクリーチャーの全滅を意味する。

 

「ふふ、あーあ、呆気ないなぁ・・・・・・私はこれでターンエンド」

「俺のターン、ドロー。マナチャージ・・・・・・4マナで《爆龍覇 ヒビキ》を召喚。効果で《プロト・ギガハート》を装備」

「・・・・・・そう、最後の悪あがき、するんだ?」

 

紅蓮の手札はこれで2だ。そして、出て来たのは《ヒビキ》。

紅蓮はカードをタップする。紅蓮には、もうこのままでは負ける未来に直行するから。そのくらいならば、此処で賭けに出るしかない。

 

「《ヒビキ》で《零獄接続王》を攻撃!《バトライ閣》の効果でトップを確認・・・・・・捲れたのは──」

「頼む紅蓮、此処で沈んでくれ・・・・・・!」

 

そう僕は願った。味方の敗北を願っているのはどうなんだ?と思わなくもないが、こんなピンチでもし切り札なんかが引かれれば、何というか、謎の補正が掛かりそうな雰囲気が凄いのだ。

だがしかし、本当に此処で、もし紅蓮がそれを引いたとしたら・・・・・・。

 

「来たぜ、俺の切り札・・・・・・《最終龍覇 グレンモルト》をバトルゾーンに」

「っ・・・・・・引きやがった」

「《最終モルト》の効果で《ガイオウバーン》を装備。効果でパワーを+3000し、《ジスタジオ》とバトルする」

「ジスタジオのパワーは15000・・・・・・でも、《最終モルト》はドラグハート1つにつき、パワーが3000上がる・・・・・・つまり──」

 

零無は少し苦い顔をする。それもそうだろう、パワーでしか除去できない、と言ったら、まさか本当にパワーで越えてきたのだから。それも15000をだ。

 

「《最終モルト》のパワーは《ガイハート》、《バトライ閣》、《ガイオウバーン》の3枚、そして《ガイオウバーン》の効果で、バトル中に3000上昇を合わせ、合計21000だ!」

「くっ、脳筋過ぎるでしょ・・・・・・!でも──」

「そして《バトライ閣》が《バトライ武神》に3D龍解!《最終ロージア》は破壊されるが、これで──」

「はいストップ」

 

零無は落ち着いた声でそう言う。紅蓮のペースになりかけていたゲームが一時的に静かになり、一気に熱を失っていく。

 

「《ネロ・グウルピオ》が、まさか全体-5000するだけのクリーチャー・・・・・・だなんて思ってた?」

「なん・・・・・・だと・・・・・・?」

「相手のクリーチャー攻撃時、《ネロ・グウルピオ》は、相手に自身のアンタップしているクリーチャー1体のタップを強制する。つまり、君は此処で、そのこわーいクリーチャー2体のうち、1体の攻撃を諦めないといけないの」

 

物凄く腹立つような、他人を煽るような口振りで零無はそう言っているが、実際、《ネロ・グウルピオ》が居なかったら本当に危なかった。紅蓮がどちらを選ぶかは紅蓮次第ではあるが、此処で大きいのは除去でなくタップであること。

 

「《最終モルト》は除去に耐性があっても、タップには無防備だからね・・・・・・さぁ、どうするの?」

「・・・・・・《最終モルト》をタップする」

 

まぁ、そうだろうな。《バトライ武神》の攻撃次第では、まだ行動出来る。

 

「・・・・・・《バトライ武神》で、《零獄接続王》を攻撃!効果発揮、3枚を捲る・・・・・・!」

「捲れたのは・・・・・・《最終ロージア》、《龍覇 ラブエース》、《龍覇 グレンアイラ》。全員がドラゴンじゃないから、全員をSAには出来ないね?」

「・・・・・・全員場に出し、《最終ロージア》に《銀河大剣 ガイハート》を、《ラブエース》に《プロト・ギガ・ハート》、《グレンアイラ》に《ビギニング・スタート》をそれぞれ装備。3ドローし、タップするのは《ラブエース》だ」(手札5)

「ブロックしないでそのままバトルで良いよ、はい、破壊」

「・・・・・・龍回避、ターンエンド。《ビギニング・スタート》は《ファイナル・ジ・エンド》に龍解する」

 

その後は、まぁ、ただの蹂躙だった。

わざわざ描写する必要など無いだろう。紅蓮のシールドには碌なS・トリガーなどは入っておらず、場に居たブロッカーも、大型クリーチャーの大軍を前に、シールドごと粉砕され、トドメの一撃が下された。

もし、もしも紅蓮が《最終龍覇 グレンモルト》をもう一枚でも捲っていれば、良い勝負に持ち込めていたかもしれない。だが、今回はそうならなかった。ならなかった以上は、仕方が無いことだ。

零無は正気ではない紅蓮に勝った。それが、今回の結果だ。次に戦うときや、正気の紅蓮であった場合は、どうか分からないが。

 

「デュエ・・・・・・ル・・・・・・」

「さて、えーっと・・・・・・んー・・・・・・あ、あった」

「何してんだ?追い剥ぎ?」

「ちーがーいーまーすー」

 

デュエルが終わると、紅蓮は倒れ込み、その場で意識を失った。まぁ、下手にどこか行かれるよりかは、こうして眠っていてくれる方が楽とも言えるが・・・・・・そんな紅蓮の服を弄っている零無が不審に見え、思わず僕は声を掛けた。

 

「・・・・・・あ、あったあった」

「ん?それは?」

「流石に、病気だけでこうはならないって事。うーん、これはあげる。流石に私の力にはならなそう」

 

そう言って零無は手裏剣のように長方形の薄い何かを投げて来た。慌てて飛んでくるそれを手に取り、その正体を確認する。

 

「・・・・・・《ゾンビポンの助》・・・・・・あぁ、そういう・・・・・・」

「AFカードみたいだね、紅蓮の体にくっついてたみたい」

「コイツの影響でこうなったと・・・・・・はー、めんど」

 

見れば、紅蓮が倒れたことで周囲の人も皆元の様子に戻っていた。意識を失っているものも居れば、取り戻している者も居る。何をしていたかの記憶は消し飛んでいるようだ。マジで倒したらどうにかなったよ・・・・・・勢いってやっぱ大事だな、この世界。

 

「それじゃあ私はこれで帰るけど・・・・・・ケーキ、忘れないでね?」

「へいへい、わーってる・・・・・・あぁ、金が消える・・・・・・」

 

そんな事を気にしている間に、零無は消えていた。DIENにはお高いケーキが5つ指定されている。絶望の淵に沈みながら、僕は気絶している紅蓮を背負い、体力が尽きたので途中で引きずりながら、何とかラボへと帰還した。任務は町の調査とあやふやな物だったから今回は良かったが、もう本当に、紅蓮と組むのだけは勘弁願いたいものだ。

 

こうして僕と紅蓮の愉快で巫山戯た任務はひとまず終わった。これで明日はラボ護衛、僕の休暇だー、と思っていた・・・・・・。

──だが、現実は僕の敵である。

 

「明日、《聖魔連結王》攻略作戦を実行する。蒼神、お前は邪魔してくるだろう青峰 白の妨害だ。頼んだぞ」

「はぁ?」

 

遺言、書いておくことにしました。




ネロ・グリフィス「わ、私がこんな形でハンマーに・・・・・・くっ、屈辱的・・・・・・♡ディスペクター化だなんて、アルカディアス様と同じ辱めを・・・・・・♡」
ザウルピオ「此処接続サークルなんでアルカディアスオタクは連結サークル行ってくんないすかね」
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