この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話   作:change

13 / 27
はい


第13話 「すべてをお話しします」

「No・・・・・・face・・・・・・!?」

「・・・・・・え?」

 

ハァイ、ジョージィ、開幕全く知らんやつの名前出て来たんだけど、どうやったらこんな服装で間違われるの?

僕は結局、仕方無いなぁサバイバルくんはぁ、という気持ち半分、サボったら流石に本気で殴られそうという気持ち半分で危険な仕事を請け負ってあげた訳だけど、まさかこんなあからさまに不審者な服装が誰かと被るとは思わなかったよ。こんな服装してるとか、そのキャラセンス大丈夫か?

 

因みに、僕がこんな変装をしているのも理由がある。まぁ、簡単な話が、蒼神(・・) ()という人物が戦わなくても良いだろ、という話だ。

蒼神 悠がディスペクターを使うのもアウト、蒼神 悠が負けて殺されてしまうのもアウト。ならどうしたら良いかと僕なりに考えた。そもそも話し合いにはならなそうだし、僕の顔見てデュエマとか知らんと抹消しに来られてもなと考えた。

その結果が、この不審者コスチューム。ちょっと怪しそうな気配がするのはわざと。そういうミステリアスなキャラの方が、アニメ漫画チックなこの世界では、暗躍とかコソコソしてても長生きしそうに思えたから。これで、僕は蒼神 悠としてではなく、謎のデュエリストのようなキャラで、普通にディスペクターを使っても問題無くなる。蒼神 悠という人物像にさえ影響が出なければ良いのだから、嘘偽りで誤魔化し通せば良い。

 

だがまさか、これでキャラ被りするとは思わなかった。ボイスチェンジャーまで付けてるんだけど、そこまで被ってんの?可笑しくね?服装もボイチェンも同じだとしたらそいつと僕は何?双子か何かか?巫山戯んな双子なんて居ねーよ。

 

「・・・・・・お前、まさかパラレルを裏切ったついでに、クローバーに属したのか・・・・・・!?」

「え、いや・・・・・・うん?」

 

え?何?パラレルの裏切り者ってこんな服装してんの?ヤバくない?ただの不審者じゃん・・・・・・。女子高生にでも話掛けたら一発通報でしょこんなん。何なら見かけただけで怪しすぎて警察呼ばれるわ。

 

お前を討つ!と意気込む青峰くんを余所に、僕はとてもそのNofaceという人物が気になって気になって仕方が無かった。絶対ヤバいやつだよこんな服装で裏切りとかしちゃうやつ。絶対ゲスだし仮面外したら顔芸が得意だよ、間違い無い。

 

「構えろ、Noface、お前が如何に強くとも、此処で僕は、お前を倒す・・・・・・!」

「あー・・・・・・はい、そう。なら僕は負けないよう、精一杯足掻かせて貰うよ・・・・・・」

 

まぁ、Nofaceと間違えていてくれるのなら、それはそれで美味しい。僕が今からすることも、全部その人に責任を背負って貰えるのだから。おら、知らんとこで知らん人の謎背負わされてろ。

 

とか何とか僕は考えていたが、目の前の青峰くんが急に一枚のカードを取り出し、それを基点として周囲が謎の空間へと書き換えられる。これはあれだろうか?一応周囲の家とかへの配慮なのだろうか?そういうとこは優しいんだな青峰くん・・・・・・流石は元主人公派閥の人間。

 

「此処で勝って・・・・・・あの人に認めて貰う必要があるんだ・・・・・・っ!僕のターン!」

 

優しいとか思ってたら先攻取られたわ。嘘でした、全然容赦ねぇわ。

 

まぁ、1ターン目は目立った動きというのはお互いなし。だが2ターン目、先に動いたのは青峰くんだった。

 

「僕のターン、ドロー、マナチャージ、2マナで《天翼 クリティブ-1》を召喚。ターンエンド」(マナ2)(手札3)

 

イカを手に持った翼を持つ人型ディスタスが空から降り立つ。踏み倒すとあのイカがミサイルのように飛んで来たりでもするのだろうか。

 

「踏み倒しの牽制とササゲール要員・・・・・・ドロー」(手札6)

 

久々にこのデッキを人とのデュエルで使う。正直、ここまでバレないようにしても、万が一に備えて使用者が居ると考えられる《聖魔連結王》や《禁時混成王》、《勝災電融王》に《零獄接続王》などの使用は避けているが、やはり本番はピリピリする。精神が張り詰められて、余裕がドンドンと消えて行く。青峰くんの方を見て居るだけで、自分を倒すという彼の圧を強く感じ取れる。

 

「マナチャージ、2マナで《フェアリー・Re:ライフ》。1マナチャージしてターンエンド」(マナ3)(手札4)

「僕のターン、ドロー」(手札4)

 

さて・・・・・・青峰くんの使用デッキは恐らく【混成】がテーマ。エースは《禁時混成王》だろうが、【混成】にはそれと加えて厄介でヤバいディスペクターが居る。今までも彼がデッキをどれだけ改造していても、高確率でそれがリストに入っていたことが分かっている為、まぁ入っている可能性は高いだろう。

 

──僕としては、ちょっとそっちも厄介だな。

 

そう青峰くんのデッキについて考察している間に、青峰くんはカードの使用を躊躇なく宣言してくる。迷いも油断も表情からは見られない。恐らく向こうの覚悟と手札回りが噛み合っているのだろう。クリーチャーではなくプレイヤーである彼のオーラに当てられ、対面している此方が気圧されそうになる。

 

「マナチャージ、2マナで《月砂 フロッガ-1》を召喚。ターンエンド」(マナ3)(手札2)

「・・・・・・僕のターン、ドロー。マナチャージ、2マナで《リツイーギョ #桜 #満開》を召喚。ターンエンド」(マナ4)(手札3)

 

お互いに相手の動きを牽制するクリーチャーを並べる。正直、少しあの《フロッガ-1》が邪魔ではあるが、まぁ向こうがその内ササゲールで消費してくる可能性がある為、そこまで気にはなっていない。

気になるのはこのターン。このターン、彼が何をしてくるかだ。

 

──【混成】の、それも《禁時混成王》などが主軸であるなら、呪文もそれなりに必要になる。そして同時に、ササゲールなど、何かしらの手段で《禁時混成王》を早く出せるように構築する必要がある。今回で言うなら、青峰くんのデッキはササゲール持ちディスタスの数と、《禁時混成王》から打てる呪文の数などに、デッキ構築の際は気を配らなければならない。

そして、そんな呪文も多少積まなければならないデッキのディスタスとしてとても魅力的であるのが──。

 

「僕のターン、ドロー。マナチャージ、4マナ」(マナ4)(手札2)

「っ、引いた」

「《霊騎 フィーク-2》を召喚」(手札1)

 

機械の獣のような、四足歩行の槍を持ったクリーチャーがバトルゾーンを駆ける。

 

「《フィーク-2》の効果で手札から呪文、《T・T・T》を唱える。呪文の効果で、3つの選択肢から僕は3枚ドローを選択する。ドロー」(手札3)

 

想定していた中でも、かなり厄介な事になった。《フィーク-2》は外して来ないとは思っていたが、此処で手札に《T・T・T》を引き込んでいるのは引きが強い。これで、彼の手札はそこそこ回復し、次のターン、ササゲールを使用してディスペクターが出現する可能性は普通に有り得る。

 

「ターンエンドだ」

「僕のターン、ドロー・・・・・・マナチャージ、5マナで《ドンドン火噴くナウ》。効果により3枚を捲り、1枚ずつ手札、マナ、墓地へ。そして、墓地へ送ったカードのコスト以下のクリーチャーを破壊する」(マナ6)(手札3)

 

シャワーというにはあまりにも危険過ぎるソレを持った妖精は、その手に持った可愛らしいジョウロから水ではなく爆炎を放射し、《フィーク-2》を塵へと還す。

 

「《S・S・S》を墓地に送って《フィーク-2》を破壊。ターンエンド」

「ササゲール2を警戒したか・・・・・・僕のターン、ドロー」(手札4)

 

青峰くんの予想は正しい。ササゲール2を消せば、このターンのマナチャージとササゲール1の2つを含めても、召喚可能なディスペクターはコスト7が精々だ。逆に、あれが残っていればコスト9──《禁時混成王》召喚可能ラインである。

 

──流石にそうトントン拍子で進めさせる訳には行かないからな。

 

「マナチャージ、4マナで《イグゾースト・Ⅱ・フォー》を召喚。効果で墓地のコスト4以下の呪文、《T・T・T》を唱え、3ドロー。そして《T・T・T》は山札の下に行き、《イグゾースト》の効果で《リツイーギョ》を次のお前のターンの終わりまで攻撃ブロック不可にする。ターンエンド」(手札5)(マナ5)

 

うえぇ、と内心でゲロを吐きそうになる。こうも3ドローを連続でやられると、流石にカードパワー可笑しいよなぁ!?と言いたくなる。

まぁ、超天篇だと0コスト3ドローの生き物が居る訳だが・・・・・・アイツはバグなので。

 

「僕のターン、ドロー。マナチャージ・・・・・・さて」(マナ7)(手札3)

 

《リツイーギョ》の攻撃不可はどうでも良い。が、問題は今の手札だ。もうそろそろ来そうな《禁時混成王》を相手するには、少し手札が悪すぎる。

 

「5マナで呪文、《ドンドン水撒くナウ》。2マナタップインし、マナからクリーチャーの《斬隠蒼頭龍バイケン》を手札に。その後、そのクリーチャーのコスト以下の相手クリーチャーをバウンスする。対象は《フロッガ-1》」(手札3)(マナ8)

「・・・・・・」(手札6)

 

ひとまずはこれで良い。守りの準備をしていれば、ある程度は張り合う事が出来る。

 

「ターンエンド」

「僕のターン、ドロー・・・・・・マナチャージ、5マナで呪文、《ナウ・オア・ネバー》を唱える」(手札5)(マナ6)

 

《ナウ・オア・ネバー》か・・・・・・やばいな。恐れていたカードが出てきそうだ・・・・・・。

 

「手札から《龍風混成 ザーディクリカ》を出し、EXライフ。そして手札に戻る効果をEXライフで耐え、そのまま効果を使う。手札から《禁時王秘伝エンドオブランド》を唱え、《リツイーギョ》を破壊。2ドローし1捨て、次の僕のターンまで、お前はコスト5以下の呪文は唱えられない」(手札4)(マナ6)

「5以下ねぇ・・・・・・」

 

《ザーディクリカ》はちょっと面倒だが、この程度なら問題ない。万が一を考えたが、彼のデッキでならそう悪さをすることも無さそうだ。《最終モルト》と《ドラゴンズ・サイン》なんてものは無い・・・・・・無いのだ。

 

「《エンドオブランド》は山札の下に。ターンの終わりに《ザーディクリカ》の効果で5500以下を破壊出来る・・・・・・が、お前の場にクリーチャーは居ない為、その後の1ドローだけ貰う。ターンエンド」(手札5)

 

後17枚・・・・・・良し。

時間稼ぎではあるが、正直、これは先にフィニッシャーを僕がお出しする方が有利そうだ。そろそろ引いても良い頃合だろう。

 

「僕のターン、ドロー・・・・・・よし」

 

引いたカードを見る。言ったら来た、というヤツだ。

少し話を遡るが、何故僕が《勝災電融王》にも使用者が居るかもしれないと思ったのか、というと、僕が青峰くんをハッタリで誤魔化した時に、《勝災電融王》のことも知っていたからだ。

逆に、あの時彼が知らなかった存在は表向きパラレルでは認知されていない、もしくは未だに生まれて来ていないという可能性があるとも考えた。

 

───それならば、少しでも彼の知らない可能性があるディスペクターの方が、彼との戦いにおいては有利な可能性がある。何せ、存在を知らないのだから、効果も対策のしようがない。

 

彼の不意を突く。それが今回、僕の勝利への道筋において重要な鍵。彼のマナは6で、場にはササゲール1持ちが居る。次のターンにはコスト8のディスペクターが着地可能。まぁ、僕が知る【混成】のディスペクターでコスト8というとあの《ジョバンニ》と《ガロウズ》のディスペクターが浮かんで来るが、それは大して気にならない。とはいえ、急に知らんディスペクターが出て来られても困る為、此処ら辺で仕掛けてしまおうと決意する。

 

「マナチャージ、9マナ」(手札3)(マナ9)

 

アンタップマナ確保の為に、先程回収した《バイケン》をマナに置く。これで9マナが使用可能。準備は整った。

 

「The hidden true twelfth king is coming・・・・・・Forbidden Riser・・・・・・」

「・・・・・・?何だと?」

「隠されし十二番目の王の襲来と、禁断の機関の機動。それが同時に起きたら、恐ろしいと思わない?」

 

そうして僕はそのカードを召喚する。正直、こういうのは先に出した方が負けるみたいな流れがありそうな怖さがあるが、流石に勝負事における自分のプレイでそんな確証のないオカルトをいちいち信じる訳にもいかない。

 

───禁じられた伝説よ、歴史の裏より現れ、次元貫く衝撃となれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《禁断竜王 Vol-Val-8》、召喚」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青峰は来ない・・・・・・蒼神がどうにか引き留めてくれてるのか」

「アァ?お前・・・・・・俺を倒したクソ野郎じゃねぇか」

 

蒼神が青峰と戦っている頃、遂にサバイバルとジャックが再び相まみえていた。サバイバルの隣の小蛇は周囲を警戒しているが、人の気配も特になく、今から始まる戦いを邪魔しようとしてくるものは居なそうに見えた。

ジャックはサバイバルを見て自分が情けなく負けたときの事を思い出し、沸々と怒りが湧いてきているのを感じていた。自分の事を散々言って、その上でデュエマで自分に勝ったような人物が目の前に現れたのだから、自然といえば自然ではある。

 

「よぉ、相変わらず汚そうだな。カードまで油でギトギトしてるんじゃないか?」

「何だとぉ・・・・・・?お前、俺に喧嘩売りに来たのか?」

「そうだ。お前の《聖魔連結王》を、此処で討ち取りに来た」

 

サバイバルのその言葉に、ジャックは一瞬目を丸くし、すぐにゲラゲラと笑い始め、ただサバイバルを馬鹿にするかのような態度を取る。指を差して何かを喋ろうとするも、すぐに笑いが込み上げてきて上手く言葉にならない程に、ジャックはサバイバルを馬鹿にしていた。

 

「ふぅ・・・・・・ふぅ・・・・・・お、お前、笑わせんなって・・・・・・はははは!」

「・・・・・・」

「ふひっ・・・・・・まぁ落ち着けって、そう睨むなよ・・・・・・だって、仕方無いだろ?」

「何?」

「今の俺とお前なら、勝つのは俺だ(・・・・・・)

 

それまで巫山戯ていたような態度が一変し、視線だけで人を殺せると錯覚してしまうかのような眼光と威圧感をジャックは放つ。小蛇が一瞬後ずさりしそうになるも、サバイバルは動じない。否、動けなかった。

 

───前遭った時と違う、調子に乗っているようで、今のコイツは・・・・・・遊びの無い、本気の目だ。

 

「デュエルだろ?なら良いぜ、俺の方からやってやる」

 

ジャックはそう言うと、青峰と同じようにデュエルの空間を作り出し、自分とサバイバルに、オマケで小蛇をそこに閉じ込める。そんな行為を行ったジャック本人からは、周囲を巻き込まないように、などではなく、誰にも邪魔はさせないと、そういう力強い意志を感じさせる何かがあった。

思わずサバイバルも生唾を飲み込み、覚悟を決める。

 

「あれ以来、俺の中では、お前の顔が何度か浮かんでくるようになった」

「光栄だが気持ち悪いな、男にそこまで想われるなんて御免被る」

「はっ、言ってろ。そんな冗談言ってられるのは───今のうちだからな?」

 

此方でも、戦いの幕が切って落とされようとしていた。




VV8「相手ドキンダム先輩なんすけどこれ自分への虐めっすか?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。