この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話   作:change

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これにて聖魔連結王攻略戦はひとまず終了。
お気に入り1000人突破、ありがとうございます。


第17話 「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」

「《聖魔連結王 ドルファディロム》、召喚!」

 

天上より現れる、破壊の創造主。天使と悪魔の力を備えた合成獣が、勝利への壁としてちっぽけな生命の前に出現する。

 

「EXライフ!そして《ロストパラダイスワルツ》の効果で、お前のシールドを1つブレイク!」

「ぐぅ・・・・・・っ」(手札6)(盾3)

 

《聖魔連結王》の全てを暴く光と全てを飲み込む闇が合わさり、緑磨のシールドが1枚破壊される。

しかし、これで終わりではない。

 

「登場時効果発揮!」(盾1)

 

《聖魔連結王》が顕現したことで、彼に仇なす存在は、その登場の衝撃に耐えきれず魂を剥がされ、後には灰色の世界だけが残る。それが《聖魔連結王》が現れたという証明に他ならない。

 

「お前の場の多色以外のクリーチャーを全て破壊・・・・・・お前の場に居るのは、全て単色!全破壊だぁ!」

「っ──でも、僕のクリーチャーはそんなヤワじゃない!スター進化クリーチャーは、継承した魂によって危機から守られる!」

 

しかし、それでも緑磨の場にクリーチャーは残った。EXライフに対抗する為にレクスターズが手にした力、スター進化によって。

 

「スター進化クリーチャーは、除去される時に上のカードを指定のゾーンに送れば、その下のカードは場に残る・・・・・・でも、次は無いでござるな」

「緑磨・・・・・・」

 

小蛇とサバイバルは、後少しで勝てるというところまでジャックを追い詰めた緑磨が、此処に来て《聖魔連結王》の登場でかなり危険な状況に陥ったと判断していた為、このターンの彼の言動全てに対して、心配と不甲斐なさを感じていた。

 

──俺が、俺が勝てていれば・・・・・・こんな事にはなっていなかった・・・・・・!

 

「・・・・・・サバイバル殿、気持ちは分かるでござる。でも今は・・・・・・私達には見ている事しか出来ないでござる」

「っ・・・・・・あぁ、そうだな。それなら・・・・・・見ている事しか出来ないなら・・・・・・目を反らさず、しっかりと見ていてやらないと駄目だよな」

 

ジャックの攻撃は止まらない。緑磨に追い討ちを掛けるように、彼のクリーチャーは攻めに行く。

 

「そのままW・ブレイクだ!」

「シールドが・・・・・・!」(手札8)(盾1)

 

残りシールド1枚。だが、ジャックは少し考える。

 

──確かに此処で攻めれば勝てるかもしれねぇ。だが、見た感じアイツのデッキにはそこそこG・ストライクがあるらしい。少なくとも8枚以上は間違いなくある以上、次のシールドでそれを踏んじまう可能性はそこそこある。例え《ガイアトム・シックス》の選ばれた時の効果があったとしても、《アイボー・チュリス》の攻撃と、多色の《モモキングRX》の攻撃で負けちまう。

 

「ならこうだ!《ガイアトム・シックス》で《アイボー・チュリス》を攻撃。更に《聖魔連結王》で《モモキングRX》を攻撃!どちらも破壊!」

「《モモキングRX》が!?」

 

起源と銀河、天使と悪魔、その途方も無い圧倒的な力を前に緑磨の場の2体のクリーチャーは破壊され、遂には緑磨の場のクリーチャー全てが破壊されてしまった。

 

勝利王《ガイアール・カイザー》、熱血王《熱血星龍 ガイギンガ》。そして、天聖王《聖霊王アルファディオス》。

 

3体の王のディスペクターが一堂に会する。それは実際に見る者にとってはあまりに絶望的で、威圧感を感じてしまうには十分だった。

 

「これ以上の攻撃はねぇ、ターンエンド」

「僕の、ターン・・・・・・」

 

緑磨の手札は十分にある。だが──

 

「《聖魔連結王》は、相手に多色以外の呪文の詠唱を禁じ、更には自分のEXライフが減少した時にもう一度あの破壊効果を使用できる・・・・・・」

 

前のデュエル、サバイバルは《聖魔連結王》を召喚され、多色以外の呪文詠唱を禁じられた結果、最後のシールドに眠っていた《クロック》を蘇生出来る闇の単色呪文、《「迷いはない。俺の成すことは決まった」》を唱える事が出来ずに敗北した。

そして、今の状況は似ている。シールド残り1枚で、緑磨は単色呪文を禁じられ、下手に攻めても単色クリーチャーは破壊されてしまう事となる。

 

──・・・・・・これだけ手札があっても、仮にあのシールドがS・トリガーだった場合、まだ届くかどうか分からない。このドローに、全てが掛かってる。

 

「此処で・・・・・・此処で引かなきゃ、駄目なんだ!」

「!?」

 

緑磨がそう吠えると、彼の右手に赤い炎のようなものが宿る。そしてそのまま、山札の上で勢い良く横に斬るようにして、デッキトップのカードに触れる。

 

「ドロー!」

 

カードが空中に弾かれる。そして落ちてくるそれを右手でとって、確認した緑磨は不敵に笑う。

 

「来た・・・・・・行くぞジャック!ファイナルターンだ!」(手札9)

「何ィ・・・・・・!?」

 

緑磨はファイナルターンを宣言し、そのままカードを1枚マナに置いて、カード使用の宣言をする。

 

「マナチャージ、5マナ!この盤面をひっくり返す!その為に、もう一度、僕と共に戦ってくれ!《モモキングRX》!」

 

相手がどれだけ強大でも、心を交わせ、永遠に燃ゆる炎の如く闘志を絶やさないこと。

そして、それこそが不条理を打倒し、未来を切り開く《NEX》の力を扱う上で求められる素質。

 

「《モモキングRX》の効果で1枚カードを捨て、2ドロー!そして──スター進化ッ!」

「この感じ・・・・・・決闘王の力かっ!」

 

《モモキングRX》の体が赤く輝き、巨大な拳と龍の顔の鎧をその身に纏う、炎の真理に目覚め、太陽の如き灼熱の炎を操る《モモキングRX》の姿がそこにはあった。

 

「《ボルシャック・モモキングNEX》!」

「くっ、まぁ来る可能性は考えていたが・・・・・・!」

「《モモキングNEX》の効果!」

 

デッキトップが赤く輝き、独りでに表向きとなる。捲れたのは《モモスター・キャンベロ》、そしてそれは《モモキングNEX》の炎に導かれるように、バトルゾーンに出る。

 

「《モモキングNEX》は、バトルゾーンに出た時と攻撃する時に山札の上を捲り、火のクリーチャーかレクスターズならバトルゾーンに出せる!」

「くっ!」

「行け!《モモキングRX》で《ガイアトム・シックス》を攻撃!効果で山札を捲る・・・・・・捲れたのは《大爆龍 ダイナボルト》!バトルゾーンに!」

 

炎が次々と仲間を呼ぶ。そして、《モモキングRX》の拳が《ガイアトム・シックス》へと近付く。

《モモキングNEX》のパワーは9000、対して《ガイアトム・シックス》は9500、本来ならば自爆特攻、《モモキングNEX》の体は《ガイアトム・シックス》によって壊されていたかもしれない。

 

だが──決闘王の力は仲間を呼ぶだけではない。

 

「仲間の死を力に変える!《モモキングNEX》は自分の墓地の火のカード1枚につき、攻撃中のパワーが2000上昇する!」

「そうか、お前の墓地には俺が破壊した《キャンベロ》と《アイボー・チュリス》、《モモキングRX》が居るっ」

「そうだ、僕が《モモキングRX》で捨てたカードは自然・・・・・・パワーは上がらない。でも、お前が破壊してきたクリーチャーは全て火文明!3体の死を持って、《モモキングNEX》のパワーは──」

 

仲間の死を無駄にはしない。決闘王《ボルシャック・ドラゴン》の力が、冷たき熱血の顔面を力一杯にぶん殴る。

 

「15000!」

「クソがぁ・・・・・・!《ガイアトム・シックス》は破壊される・・・・・・!」

「まだだ!《モモキングRX》のシンカパワー!進化元になった《モモキングRX》の効果で、バトルに勝った《モモキングNEX》はアンタップする!」

 

決闘はまだ終わらない。《モモキングRX》は次の標的へと狙いを定める。

 

「《モモキングRX》で《ガイゼキアール》を攻撃!効果で捲れたのは《フェアリーの火の子祭》、これは墓地に」

 

外れ、だがそれでも十分。

《モモキングNEX》の拳が《ガイゼキアール》の胴に風穴を開け、一撃で破壊する。

 

「勝利王と熱血王のディスペクターがやられたか・・・・・・!」

「次はお前だ!《モモキングNEX》で、《聖魔連結王》を攻撃!効果で・・・・・・来い!《モモキングNEX》!」

「もう一枚の《モモキングNEX》だと!?」

 

《ダイナボルト》が《モモキングNEX》へと進化する。そして、勿論この《NEX》からも導きの炎が発動する。

 

「絆の連鎖だ!今出た《モモキングNEX》をスター進化!《ケントナーク〈ディルガ.Star〉》!」

 

今度は炎の中からスケールの違う強さを纏った戦士が現れる。しかしボルシャックとはまた違う、巨大な拳を持った自然のレクスターズは、この戦いがこのターンで終わる事、自分の出番は恐らく無いことを理解していた。

 

「神すら倒した絆の炎・・・・・・その身で味わえ、《聖魔連結王》!」

「《聖魔連結王》のパワーは13500・・・・・・だというのに、バトルに負けるだと・・・・・・っ!?」

 

《モモキングNEX》に対して《聖魔連結王》は、ならばと墓地に眠るディスタスからエネルギーを取り込み始めた。右半身に聖なる力、左半身に邪悪な力が充填され、融合していく。

そして、エネルギーが溜まった瞬間、《聖魔連結王》から触れたものすべてを分解する恐るべき威力を持つ《ドルファディロム砲》が放たれる。

 

だがしかし、そこに神をも倒した力、《ボルシャック・NEX》の炎が《モモキング・NEX》から炸裂する。パワー13500と15000のぶつかり合い、その勝敗は、周囲のクリーチャーをも巻き込んで、《聖魔連結王》の敗北。

 

「EXライフは墓地に送られ、単色以外のクリーチャー全てを破壊する・・・・・・!」

「その程度じゃ止まらない!《キャンベロ》は破壊されるが、《モモキング・NEX》と《〈ディルガ.Star〉》を墓地に送り、《モモキングRX》と《モモキング・NEX》は場に残る!そして、《モモキングRX》はバトルに勝利しアンタップ!」

「俺が・・・・・・負ける、だと」

 

ジャックのシールドは0、そして、《聖魔連結王》のEXライフはもう無い。

 

「行くでござる!」

「頼む、緑磨!」

「ラストバトルだ!《ボルシャック・モモキングNEX》で、《聖魔連結王 ドルファディロム》を攻撃!」

 

効果で山札の上から《フェアリー・Re;ライフ》が墓地に行く。《モモキングNEX》の迫り来る拳に《聖魔連結王》は抗おうとするも間に合わず、その巨大な拳が、《聖魔連結王》の連結部分を貫通し、大爆発を巻き起こす。

 

「俺の《聖魔連結王》が・・・・・・王を素材にしたディスペクターが・・・・・・」

「行け、《モモキングRX》!ジャックに・・・・・・ダイレクトアタック!」

 

1ターンで3体の全てのディスペクターを破壊されたことに驚くジャックに、《モモキングRX》は容赦なく刀で吹き飛ばしトドメを刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしよし・・・・・・漸く、《聖魔連結王》が役目を終えてくれた。これでもう気にしなくて良さそうだ」

 

公園を少し離れていたところから見ていた仮面の男はそう呟き、思考を巡らす。この男が何を企んでいるのか、それを知る者が居るのかも分からない。

 

──《勝災電融王》の回収も成功、更には青峰 零無との交渉は成立(・・)した。後は禁断の力と、ラボの地下に眠る・・・・・・。

 

「うーんやる事多いなぁ」

 

嫌になる、と仮面越しに額に手を当て、わざとらしく疲れたような仕草をする。

 

「まぁでも、仕方ない。このままだと実際終わりだし、動ける内に動いておかないと詰みだ」

 

──全てはその時の為に。

 

男はそうして茂みから緑磨達の方へと歩いて行く。見ているのを止め、目的の為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か・・・・・・勝った」

「緑磨くぅぅーーーーーーん!!!」

「や、やっ──ぐへぇっ!?」

 

ジャックに勝利したことを実感し始めたその瞬間、緑磨の体は横からの衝撃で吹き飛び掛ける。

だが、吹き飛ばなかったのはガッツリとその原因である人物にホールドされていたからだろう。

 

「こ、小蛇さん・・・・・・ぐ、ぐるし・・・・・・」

「良くやったでござるよぉぉぉ、おぉヨシヨシ、ヨシヨシヨシヨシ!」

「・・・・・・小蛇、それくらいにしておけ。死にそうだぞ」

 

小蛇のホールドが緩くなり、緑磨は「ふぅ」、と漸く落ち着く。

 

──・・・・・・良かった、僕、二人を守れたんだ。

 

「緑磨、感謝する」

「サバイバルさん?」

「お前の御陰で、《聖魔連結王》を討つことが出来た。・・・・・・それに、お前のデュエルを見ていたらな、俺も一々折れていられないなって思えたんだ」

 

諦めない心、転んでも立ち上がる強さを、お前の御陰でもう一度思い出せた。そう言い切ると、サバイバルは糸が切れたかのようにふっ、と倒れそうになり、それを小蛇が急いでキャッチする。

 

「うぉっ、ナイスキャッチ」

「サバイバルさん!?」

「こっちは任せておいて大丈夫でござる。なぁに、安心してもらって良いでござるよ。帰ったらわ、私がサバイバル殿の体を・・・・・・ふへへ」

「最後の最後で台無しだよ小蛇さん」

「がっ!?・・・・・・ふ、ふざけんな・・・・・・く、そっ」

 

そんなやり取りをしていると、気絶して倒れていたジャックが意識を取り戻す。すぐに傍に落ちていた《聖魔連結王》に手を伸ばそうとするが、その手が届こうとする前に、《聖魔連結王》は別の人間の手によって拾われる。

 

「っ!?だ、誰だ!」

「酷いなぁジャック、僕の事忘れちゃった?」

「あ、あの時の仮面の人!」

「テメェNoface・・・・・・!?これを待ってたのか・・・・・・!」

 

気付いても遅いよ、と、Nofaceはジャックを煽るかのようにそう言い、手に持つ《聖魔連結王》のカードに指を突っ込む(・・・・・・)

 

「あー、これだな、合った合った」

「・・・・・・」

 

指がカードの中にねじ込まれているような、あまりにも異質、あまりにも異常な光景に、Nofaceを全員が驚いた形相で見ていた。見られている本人はそんな事も気にせず、二つの結晶体のような物をカードの中から抜き出し、その内の白く光輝く結晶体を緑磨に投げる。

 

「えっ、あ、わっ」

「それは君にあげるよ。僕はその代わりに、この脱け殻と、こっちの黒いの貰うから」

「何を言って・・・・・・それを渡すでござる!それを回収するのが、私達の──」

「・・・・・・別にデュエルしても良いけど、僕とやるなら・・・・・・それ相応の覚悟をして貰おうか」

 

ゴクリと、緑磨は生唾を飲み込む。自分の目の前に居るのが、前にデュエルした人と同じようには見えなくて、だからこそ、動揺も大きかった。

 

「ちぃっ・・・・・・親切心で教えてやる!さっさと退け!」

「ジャック!?」

「おぉ、ジャックが優しさを見せるとは珍しい」

「良いか?コイツはパラレルで一番強かった奴だ!そして今はパラレル裏切って、何企んでんのかもわかんねぇ危険な奴だ!今のお前らじゃ勝てる訳がねぇ!」

 

ジャックにとって、Nofaceという人物はただただ苛立つ存在だった。何もかもが不明で、その癖強い。一度デュエルをしようと誘っても逃げられ、その上裏切って自分の仕事を増やしたのだから、好きになる部分など1つも無かった。

だからこそ、此処でコイツの思い通りにさせることも、コイツに他の王の力を持っていかれるのも癪だった。

 

「《勝災電融王》を奪って、次は《聖魔連結王》・・・・・・はっ、後は《禁時混成王》と《零獄接続王》か?」

「良く頭が回るようで・・・・・・あぁ、でもそれだけじゃないよ」

 

Nofaceはジャックの付近に落ちていた《ガイゼキアール》と《ガイアトム・シックス》を抜き出し、それぞれに指を突っ込み、先程と同じく結晶体を抜き出す。その内の赤い結晶体2つは緑磨の方に投げ、黒い結晶体と青黒白に輝く結晶体をポケットに仕舞い込む。

 

「ま、またっ?」

「無くさないようにね。・・・・・・うーん、まぁ一応これは置いて行ってあげるか。はい、返すよ」

「・・・・・・!」

 

情けと侮蔑、そのような感情をNofaceから感じ、ジャックは怒りプルプルと震える。

要は済んだと言うように、ジャックの傍に《ガイゼキアール》と《ガイアトム・シックス》のカードを置いて、Nofaceは小蛇達の方へと近付いて行く。

 

「・・・・・・っ、緑磨くん、一緒に逃げるでござる!」

「えっ、あ、はい!」

 

小蛇の手を掴んだ緑磨は、サバイバルを背負った小蛇と共に物凄い速度でその場から遠ざかって行く。それを見たNofaceは早いねー、と能天気に言い、追うつもりもないのか、ジャックに手を振ってじゃねー、と別方向に去って行く。

 

「・・・・・・っ、クソがぁぁぁぁ!!」

 

その場に残されたジャックの咆哮は、誰の耳にも届くことは無かった。




Noface「あぁ~~、横取り楽だわぁ」
ジャック「ナチュラル・クズ・トラップ」
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