この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話 作:change
そういえば最近のハーメルンではアンケートとか良く取る作者の方が居ますね。思いついたら何か適当にアンケートとかするかもしれません。
第18話 「まるで意味が分からんぞ!」
「と、言うことでだ蒼神」
「どういうことだってばよ」
「俺も良く聞いてはないけど、爺さんが何かお前に話あるんだとよ」
聖魔連結王攻略戦から何と1週間が経った。経過し過ぎ?いやまぁ、皆疲れてて騒ぐ程のエネルギー持て余してたやつ紅蓮くらいしか居なかったんだよ。
と言うのも、僕が帰った後、ラボでお茶飲んで休憩してたら小蛇とサバイバルが雨に濡れて帰って来て、これで《聖魔連結王》も無事討伐完了かぁ、と思っていたら、頭が痛くなるような謎を沢山持ち帰って来たのだ。
まず何よりも、Nofaceだ。
Nofaceとかいうやべー奴。青峰くんとのデュエルで色々となすりつけた相手でもあるが、何というか、聞いた感じだと物語中盤から出て来る絶望叩き付けて来そうな敵という感じに思えた。あぁいう、道化のように巫山戯る輩は強いと、こういうのでは相場が決まっているのだ。
──まぁ、ジャックの反応からして信用無さそうだし、まだ僕の言う事の方が周囲から信用され易そうだから、嘘がバレるまではまだ猶予あるか・・・・・・?でも注意は必要だな。特に青峰くん。
青峰くんが近いうち、僕の事でも呼び出して来るくらいの可能性は考えている。まぁ、青峰くん目線では僕が言っていた隠された王である《禁断竜王》をNofaceが使った事になってるし、僕が本当にパラレル側の人間であると完全に誤認してるかもしれないが。だとすれば向こうからの殺意が減る為、とても美味しい。
・・・・・・まぁ、黒幕が「いや蒼神?誰それ・・・・・・」と青峰くんに言って真実が明らかになる可能性の方が遥かに高い上に危険ではある為、未だに僕がどうにかやってられてるのは奇跡と言える事に違いはない。黒幕様、感謝永遠に、という訳だ。
そんな不安が積もり積もる中、更なる不安が積もる予感。何とラボでぐーたらしていたところ、掃除をしていたサバイバルからビドゥンより話があるとの言伝を預かってしまった。
正直に言おう。めっっっっっっちゃ怖い。
「えー、また今度じゃ駄目?」
「お前どう見ても暇だろ、ソファに寝っ転がって片手に漫画持ってテーブルにポテチ置いてある奴の、どこが忙しいのか言ってみろ」
「いやぁこれはですねぇ・・・・・・」
何も言い返せねぇ~~~~。因みに今読んでるのは騎乗戦士ガンダムURAという作品。丁度小栗・F・キャップという主人公が玉藻・クロスロードというキャラクターとマンションで会うところだった。
「何でそう後にしたがるんだよ?別に爺さんがお前を取って食う訳じゃあるまいし」
「ソウダネー」
食うんだよなぁ・・・・・・。
「まぁ俺には良く分からねぇけど、ポテチ零すなよ?今掃除してんだから」
「そりゃ勿論。サバイバルも食べる?一人で食べてても量多くて飽きる」
んじゃ3枚くらい、と数あるポテチの中からサバイバルは3枚指先で摘まんでパクリと食べる。偶にこういうダラダラとした、何気ない日を送らないとやってられないわ、と最近強く感じる僕だった。
──・・・・・・そういえば、零無から誘い来てたアレ、確かクリスマスだからもう本当に後少しか。ケーキの奢りの件もまだだし、その時に注文されてたケーキ渡すかね。
「・・・・・・クリスマスは予定あるんですって、今なら言えるな」
「どうした急に?」
「いや、モテない男の独り言。見た目も声も良い男には一生分からないだろう事だから、安心して良いぞ」
何言ってんだコイツ?という面をしてるイケメン野郎はさて置き、真面目に呼ばれてしまったからには行くしかない。今は紅蓮と小蛇がラボを離れて任務に行ってるし、此処を離れる訳にも行かない。つまり、外出して逃げる事も出来ないからだ。
だが、1つ良い考えがある。
「じゃあサバイバルも一緒に行こうぜ」
「ん?俺?」
「そうそう、爺さんと二人って何か僕慣れないんだよね。凄い年上だから緊張するというか」
だって向こうド級の禁断だしぃ?
「俺も一応お前より年上なんだがなぁ・・・・・・まぁ良い、んじゃ一緒に着いてってやるか」
「ありがとーサバイバル、マジでありがと」
サバイバル が 仲間に なった。
一人だけだと食われるかもだが、こうして他に人が居れば、少なくとも意識はする筈。それにサバイバルはこのクローバーのリーダー的存在。下手なことをすれば、クローバーという組織そのものをビドゥンは敵にすることになる。そうなれば恐らく零無もビドゥン討伐に黙っていないだろうから、そういった行動は取りづらい・・・・・・筈だ。
──まぁ僕の器だか何だかがどれだけ凄いのか知らんけど、それさえあればクローバーと零無なんて怖くねぇ!となれば終わりだが。
そうして僕とサバイバルはビドゥンが居る所へ移動しようとなったのだが・・・・・・何と場所は地下、あの青峰くんが入ろうとしていた場所。
最初は一度この地下に突撃してみた紅蓮と小蛇が、すぐにヒィヒィ言って帰って来たという話もあり、いや無理だろ入れる訳ねぇだろ、と思ったのだが、そこは流石にというか、ビドゥンの意志1つで安全に地下まで行けるようになるらしく、僕とサバイバルはそうして地下施設まで足を進めることとなった。
「・・・・・・俺も地下は初めてだ」
「サバイバルも知らないんだなぁ・・・・・・まぁ、そんだけ何かマズいものでもあるのか、わざわざ見せる必要が無かったのか・・・・・・」
それは分からないが、進めば進むほど、凄い仕掛けが散見出来るようになってきた。最初は針地獄とも言えるような足下と壁から太い槍が突き出して来そうな仕掛け、天井から振り下ろされて来そうな巨大な鎌などが見えていたが、途中からは電流が流れそうなワイヤートラップなども増えている。今はそのどれもが機能していないが、機能していれば確かに紅蓮と小蛇でも逃げ帰ってくるのも仕方無い気がした。
「お、あの扉がそうじゃないか?」
「まぁ多分。サバイバルも説明を受けてないんでしょ?罠の扉があるだとか」
サバイバルはその質問にハッキリと無いな、と答える。なら大丈夫かとレンガで出来た壁に付いていた扉を開ければ、そこにはいつも通りサングラスにアロハのシャツを着たビドゥンが居た。
「うわぁ、相変わらず胡散臭」
「はは、開幕失礼ですね蒼神くん」
それにしても、あの誰も入ったことが無い地下にお呼ばれするとは、怖い怖いと怯えてはいたが、同時にどこかワクワクもする。
ラボの地下施設は、先程まで歩いていた薄暗い迷路のような場所からは想像も付かない真っ白で科学的な研究施設のような場所だった。ボ○ドル度の上昇を感じるが、此処は一体何の為の施設なのだろうか。
「さて、蒼神くん。この部屋が気になるのであれば、後でゆっくり説明しましょう」
「え、あ、うん」
キョロキョロしてたのがバレたらしい。サバイバルもハッとしてビドゥンの方を向く。
「爺さん、俺は?」
「問題ありません、椅子にでも座って寛いでいて貰って構いませんよ」
居て良いのか、という意味を込めてサバイバルは聞くが、ビドゥン的には問題が無かったらしい。
僕とサバイバルは用意されていた椅子にすわ・・・・・・うん?何で事前に2つ用意されてんだ?僕だけなら1つで良いんじゃないか・・・・・・?
「さて、蒼神くん、君には1つ御願いがありましてね」
「え、あぁ、何・・・・・・ですかね」
「単刀直入に言います。──君にはNofaceという人物の調査任務を出します」
あ?
「いや、爺さんそれは──」
「えぇ、蒼神くんの今の力では、恐らくNofaceに勝つ事は厳しいでしょう。ですので、戦う必要はありません。ただその動向を探って頂ければ結構です。可能であれば、その正体も」
「えぇ・・・・・・それはちょっとその、重過ぎません?」
嫌なんだが?普通に嫌なんだが???
何で滅茶苦茶危険そうな人物の調査なんぞしなくちゃならんのだ。毎度毎度なんなんだろうね、その僕に対する期待というか無理な要求してくるの。
「いえいえ、その分、貴方を普段の任務から外します。調査任務に見込みがあると私が判断する内は、自由に動いてくれて構いません」
「おおおおー」
「うぉ、めっちゃ目キラキラ光らせてるし・・・・・・」
つまりそれは、多少サボってもバレないということなのでは?少なくとも何も分からず調査を打ち切られても、数日間はサボれるのでは?
ふむ、ならば受けようではないか。
「ただその分、零無には気を付けて下さい。あのクソ雑魚パワー女に誑かされて、変な事はしないように」
「急に零無の話するとき威厳が無くなるよなビドゥン。まぁ了解、そういうことなら受けるよ。でも何でこれ、僕にだけ話そうとしたんだ?皆が居る時でも良かったんじゃない?」
純粋な疑問をこの際だからとぶつけてみる。それを聞いたビドゥンは少し間を空けて話始める。
「・・・・・・この調査を蒼神くん、君にだけ話そうと思ったのは、此方の動きを万が一にも向こうに気付かせない為のものです」
「と、言うと?」
「あまり他の人に話すことで、この調査任務についてが情報流出し、調査対象であるNofaceに警戒されてしまわないようにです。小蛇さんや紅蓮さんが、万が一にもどこかで漏らす、という可能性はありますしね」
「それならやっぱ、俺も聞かない方が良かったんじゃないか?」
サバイバルの心配は最もだ。僕だって同じことを思った。
すると、その疑問に対してビドゥンは不思議そうに言葉を返す。
「貴方はリーダーでしょう?別に、話してしまうのも悪くはない。何より、蒼神くんは心配性のようですし、相談出来る相手が一人くらい居た方が安心出来るでしょう」
「・・・・・・まぁ、そうだね。僕もサバイバルがこの事知ってるってだけでも、ちょっと楽かも」
実際、小蛇辺りから「何で蒼神殿だけ毎日自由なんでござるかぁ~~~!!」とか言われたら何と返そうかと思っていたところでもある。紅蓮はそんな事気にしないし、適当に返しても鵜呑みにして以降聞いて来ないだろうが、疑念を向けられるというのはあまり心地の良いものではない。
その点、サバイバルは知っている、という状況が出来るのは悪く無い。僕としては、そちらの方が寧ろ良い。
──あぁ、心配性な僕がサバイバルを連れてくる可能性まで考えて椅子用意してたってことか。そんで、連れて来なければそのまま調査任務を単独で行くように言い、サバイバルも連れて来たら、こうして理解者も居ると安心させるつもりだった、と。
「成る程な、なら蒼神、本当にどんな些細な事でも、心配とかあれば俺に言え。お前の力になれるなら、俺も嬉しいからな」
「言われなくともそのつもり。じゃあ爺さん、そういうことで。・・・・・・そんで、これ何?どういう施設なの?」
調査任務についての話は纏まった。それなら次はこの施設についてだ、と僕はビドゥンに聞く。サバイバルも気になっていたようで、僕と同じく少しソワソワしている。
「超生者、というものは知ってますね?」
「アカシックみたいな、昔地球に生きてたクリーチャーだろ?今は眠ってるとか言う」
「はい、では蒼神くん、その超生者ですが・・・・・・眠りから覚めるには、何が必要か知っていますか?」
此処で僕は少し考える。あの時、小蛇は何と言っていただろうか・・・・・・いや、確か僕の知るサバイバーと大差無かったような気がする。であれば、眠りから覚めるのに必要なものといえば・・・・・・。
僕が言おうとしたところで、横に居たサバイバルがハッとして口を開く。
「O.V.E.R.Evo.か・・・・・・?」
「はい、正解です。過去、この世界に超生者が蔓延っていた時代から少し後に作られたという、進化を促す過去の遺産、アーティファクトとも呼べるプログラム。それがO.V.E.R.Evo.・・・・・・蒼神くんはあまりこういった話には詳しく無さそうですね」
「まぁ、こっちの世界の事はまだまだ何も知らん事ばかりだよ」
だが、やはりそのプログラムだったか、と確信は得られた。背景ストーリーも全く関係が無いという訳でもなく、このように何かしらの形でこの世界に影響を及ぼしているものもあるということなのかもしれない。
だが、この施設についての説明で、この話題が出てくるということは、とても嫌な予感がするのだが・・・・・・。
「そのO.V.E.R.Evo.というのは、12個あるプログラムの内の1つに過ぎません」
「・・・・・・で、それがどうこの施設と関係するんだ?」
「此処には過去に作られた、O.V.E.R.Evo.を含めた禁じられた12個全てのプログラムが保存されています」
「はぁ?????」
なんつーもん持ってんの!?
え、つまり、この世界は今、禁断に零龍に、そこに更に禁断の12のプログラムがあって超生者が寝ていると?もうこれフィオナの森もあるんじゃない?
因みにこの後調べたらこの町にフィオナの森はありました。燃える~~~~~!!!
「・・・・・・何というか、とんでもないもんが隠されてたんだな、此処」
「えぇ、この12のプログラムは、どれもが危険なものであり、その全てが起動すれば世界など簡単に滅ぶことでしょう。故に、奪われる訳には行かないのです」
壊せよ・・・・・・プログラム消すくらい出来るだろ・・・・・・と思うのだが、ビドゥン曰くこのプログラムには自動修復機能が付いているらしく、プログラムというのも飽くまでそう呼ばれていたからそう呼んでいるだけで、超文明の遺産ともいえるこのプログラムがインストールされている機器を壊したところで、勝手に起動して大暴走を引き起こすという。最悪過ぎる・・・・・・。
「なん・・・・・・なに?何なの?この世界物騒過ぎない?」
「俺もそう思う。皆そう思う」
サバイバル、お前もか。
「まぁそういうことで、此処を守っているんですよ」
「これ欲しがるパラレル、ヤバすぎない?」
「ヤバいですね☆」
「唐突なプリ○ネやめろ」
ジジイのそんなん聞いても何も嬉しくないわ。
「まぁ、真面目な話、このプログラムの存在は誰にも漏らさない方が良いな。俺知っちゃったけど」
「サバイバルくんに教えるのも丁度良い頃合いかと思いましてね。蒼神くんに教えたのは、また別の理由ですが」
えっ。
「へぇ、どんな理由なんだ爺さん?」
「いえいえ、蒼神くんは良く働いてくれてますし、小蛇さんや紅蓮くんのように此処に突っ込んでこようもしない、任務もちゃんと受けてくれる良い子でしたから、少しは此方も秘密を明かしておこうかと思っただけですよ」
「それ遠回しに小蛇と紅蓮は駄目って言ってるような・・・・・・」
紅蓮は兎も角、小蛇も駄目なんだ・・・・・・。
僕は小蛇の信用が何故か低いことを哀れに思い、そのまま今回の事を忘れないよう記憶した。ホント、何でだ・・・・・・?
そうして暫く雑談のような、この前の作戦の事などでの話をした後、僕とサバイバルは二人で施設を出て、一度来た道で地上──いつものラボの部屋に戻っていった。
「にしても・・・・・・」
「ん?どうした蒼神」
「いや、まぁ・・・・・・この世界に居て僕、生きて帰れるんかな、と思っちゃったわ」
「・・・・・・」
申し訳ないが、僕の目的はこの世界を救うだとか、ヒロインを救うだとか、魔王を倒すだとか、そういうものじゃない。
今も変わらず、元居たあの不平不満を愚痴りながらも、何だかんだでやっていけてた世界に帰ることだ。
──だが、それが今、前よりも可能なのかと不安に思う。
「なぁ、サバイバル・・・・・・僕は、元の世界に──」
「帰す」
「・・・・・・帰れる、じゃなくて、帰すと来たか」
それは・・・・・・頼もしいな。
「大丈夫だ、俺がいつか無事に元の世界に帰してやる」
「相手が女だったら惚れてそうな事をシラフで言いやがって・・・・・・まぁ、期待してるよ」
帰る方法はビドゥンのみが知っている。そのビドゥンが僕を帰してくれないのは、帰す力が未だ無いからか、帰す気が無いからか、色々と知ってしまった今は正直、良く分からない。
だが、このサバイバルという漢の言葉は、少し信じてみたいのだ。きっと、彼ならば、本当に僕を元の世界に帰してくれるかもしれない、と、期待することを許して欲しい。
──まぁ・・・・・・この世界を滅ぼすことを対価に帰すと仮に言われても、流石にそこまで悪魔にはなれないし。
「明るい未来に、期待するかねぇ・・・・・・」
ウォルタ「そのスイッチを押させるなッ!」
アマリン「いいや!限界だ、押すね!」