この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話 作:change
お前の更新速度は周回遅れだ。そんな幻聴が聞こえて来たら休みましょう。
さて、前回から1週間、またもビドゥンから任務を受け渡された。何でも、後方師匠面天然脳筋野郎こと紅蓮が、主人公と思いっきりパラレルの本拠地に攻め込みに行ったらしい。これには思わず全員溜息を吐いていたが、僕としてはお前のせいでそんな危険な場所に行かなきゃならないんだが?と更にツッコミを入れたい気持ちだった。
というか、あの馬鹿を回収しに行く場合、主人公サイドと関わり持ちそうだが大丈夫だろうか・・・・・・何というかどうやっても重要ポジと対面しそうで少し不安ではあるのだが。
「怠い・・・・・・」
しかも今回は僕だけである。基本防衛も兼ねてビドゥンを除いた2人は最低限ラボに居るよう配分されるのだが、今回は紅蓮が単独行動している為、その通りに行くと一人しか任務で行動出来ないのである。尚、紅蓮は大体これを無視している。防衛で虎の○で当日発売だった同人誌が買えなかった小蛇が可哀想に思える程そこら辺が雑な男である。何でそんなんが組織に居るんですかねぇ・・・・・・まぁ強いからなんだが。
「此処でもしパラレルに襲われたら勝てる気がしないわな・・・・・・背後や上にも気をつけて移動しよ」
とても不安な気持ちと面倒臭い気持ちを持って、俺はパラレルの拠点付近の公園にまで移動していた。誰にも見つかっていない、というか、監視されているような気配もない。
「紅蓮は中にまではまだ入ってないのか・・・・・・助かった。流石に侵入は心臓が緊張で保たないわ」
紅蓮にはGPSが付いていたりする。普段の行いを指摘しても基本どっか行く為、最早扱いが徐々に小学校低学年の子供と同レベルになっていったのが紅蓮という男だ。本当に勘弁してくれ、何が悲しくて同い年の男を迷子の子供みたいに扱わなきゃならないんだ。せめて綺麗な女の人とかにしてくれ。
「こんにちは、お兄さん」
「んっ!!?」
そんなことを考えていたら耳元から落ち着いた見知らぬ女性の声がして、心臓以外の音が消え去ったのかという程鼓動が煩くなる。ビビった・・・・・・いや本当に、本当に心臓止まったかと思った・・・・・・気を付けてた筈なんだけど、いつの間にこんな近くに?
ふぅ、と胸に手を当てて落ち着き、冷静になって声の持ち主を確認する。肩に掛かるくらいの長さの真っ白な髪に、ピンクも含んだような赤い目をした、黒のトレンチコートを着た女性だった。あら可愛らしい、嫌いじゃないわ!
「お兄さん、名前教えてくれない?」
「不審者じゃないです」
「いや、名前・・・・・・」
「聞こえなかったか?フシン=シャ=ジャナイデス、だ」
「・・・・・・」
あ、ジト目で見て来た。流石に嘘だと判断するくらいの人間らしさはあるらしい。何か怪しい感じだったから、確認も兼ねて冗談を言ってみたがちゃんとした人っぽいな。
「・・・・・・フシンシャさんは何してるんですか?」
「待った。その呼び方は止めてくれ、冗談だから」
「フシンシャさんは何してるんですか~?」
「ゴメンナサイ!ちゃんと教える!名前教えるから!」
ふ、勝った。みたいな顔で少しドヤ顔して少し主張が強い胸部装甲を張る女の子。ちょっと可愛いが不審者呼びで相手が困るのを分かっていてやっている為、結構意地悪そうである。あーこれは大きな人達に人気ありそうなキャラだなぁ。もしかして今シーズンの主人公のヒロイン的な存在だったりする?有り得るな・・・・・・となるとちょっと怖いし、やっぱ名前借りるか。
「菅田 ○暉です、宜しく」
「私、桐○ 漣派なのだけれど・・・・・・」
「君特撮オタクだったりする?」
「違うよ」
「サイクロンアクセルエクストリーム」
「わたしのかんがえたさいきょうのだぶる止めて下さい」
「君特撮オタクだったりする?」
「違うよ」
目を逸らすな。
「で、本当の名前は・・・・・・?」
「・・・・・・蒼神 悠だよ。これはホント」
「ん、蒼神 悠・・・・・・面白い人だね。そういう人、楽しいから好きだよ。私はレム、現役JKだよ」
最後のそれ要る?
にしても、レム・・・・・・か。どう書くんだろ?まぁ覚えておこう。
レムは口元に人差し指を当てて、首をこてんとしながら質問を重ねて行く。仕草の1つ1つが大きな男の子に人気ありそうで笑えてくるな。僕はちょっとドキンドキンダムダムとするくらいだが。
「それで、何してるの?」
「人捜し。赤い髪に金の瞳をした赤いパーカー来た僕くらいの男とか見てない?」
「見てないね。折角なら私もその人捜し、着いて行って良い?勝手に着いてくけど」
「えぇ・・・・・・んー、まぁ・・・・・・どう答えても付いて来そうだし、好きにすれば?」
正直困るのだが、まぁ何言っても付いて来そうな気がする。ぶっちゃけ勝手に後を付けられるより、目の届くとこに居てくれた方が楽で良い。
そう言うとレムはフフン、と満足げに鼻をならし、鞄を両手で持ちながら後ろを付いてくることにしたようだった。いちいちあざといな・・・・・・。
「その捜してる人ってどんな人なの・・・・・・?」
「後方師匠面天然脳筋大馬鹿野郎」
「そう、よく分からないけどYouは大変なんだね」
「唐突に日本科学技術大学の物理学教授になるな。まぁ大変なのは否定しないがな」
GPSの反応を見て歩いているが、そろそろ姿が見えても良い頃合な気がするが・・・・・・何か反応がその場所から動かなくなっているのが嫌な予感しかしない。クォレハどっちだろうなぁ・・・・・・。
「主人公くんか、それとも・・・・・・」
「何を考えてるの?」
「馬鹿がデュエマしてそうだなって。対戦相手が誰か予想してたんだよ。・・・・・・あ、どうやらパラレルの構成員らしい・・・・・・」
公園から少し離れた場所にある湖の付近で、それは行われていた。
対戦相手は前にどこかで見たような気がする造形の卑猥な男。またコイツか・・・・・・と思わなくもないが、どのような試合をしているのだろうか。
「さぁて、双眼鏡もあるしちょっと見てみr」
「《ヒビキ》召喚!《バトライ刃》装備!攻撃してトップ《最終モルト》!《バトガイ刃斗》装備!攻撃でトップ《ラブエース》!《ビギニング》装備して《バトガイ銀河》!攻撃で──」
「やってんなぁ・・・・・・」
「彼、ずっと負けてるみたいだね。折れてないのが凄いけど、意味あるのかな?」
「いやぁ・・・・・・あれは多分、無理だろ」
チラッと見た限りでも盤面にドラグナーがうじゃうじゃ湧いて追い込みを掛けて勝利しながら次のゲームを始めている。最早パラレルの方の彼からは生気が感じられない。対して紅蓮はやる気で燃えている。これは見たら分かる、紅蓮が何度もやってるだけだ。アホちゃう?普通逆やろ。
「まぁアイツを回収しないとだし、次のゲーム終了で紅蓮連れてくか・・・・・・」
「紅蓮・・・・・・ふぅん、私とはちょっと合わなそうだなぁ。あ、ねぇねぇ、悠はデュエマするの?」
「出来るけど、今はちょっとデッキがな。本調子じゃないってとこ」
それだけ言うと、レムはふぅん、と目を細めて何か怪しげな反応を示す。何か今凄い嫌な予感した気がする。
「さて、面倒だし嫌だけど、声掛けないと止めないだろうし、紅蓮回収しに行くかぁ」
「ねぇ悠、私達もデュエマしよ」
「いや何を急に──」
「よし、これで通算30勝だ。・・・・・・まだ行けるな?」
「師匠、流石に可哀想だし、やめたげて・・・・・・」
蒼神曰く主人公ポジの緑磨 赤矢は、自分が師匠と呼んでいる紅蓮を少し呆れた顔で見ていた。
30戦30勝、紅蓮は兎に角トップを捲りまくって相手の精神を破壊していた。最初はぐへへ顔していたパラレルの構成員も、今では白目を剥いて泡吹きながらぶっ倒れている。10戦越えた辺りから既に「死にたくないィィィィィ!」と叫んでいたが、紅蓮にとってはそれが悲鳴ではなくやる気から来る本能の叫びに聞こえたようで、「あぁ分かったよ・・・・・・やれば良いんだろ!?」と止まらずにドラグナーを出し続けていた。
「む、倒れたのか・・・・・・それだけ熱くなるとは、パラレルにもおもしれー奴が居るようだな」
「師匠、今師匠が一番おもしれー奴になってるよ。
緑磨は最初、自分が構成員とデュエマをしようと思っていたが、此処は俺が、と紅蓮が
構成員は新たな力として《沸天混成 ジョバンセン・ガロウズ》を使おうとしていたようだが、出る暇も無く殲滅される試合をただひたすらに繰り返していた。最早ただの虐めであるが、「立てよ・・・・・・まだ戦いは終わってねぇ・・・・・・!お前の力はそんなものか!?」と、何故か敵を励ます紅蓮の姿によって、もう途中で指摘して止めさせようとは見ている緑磨も「無理じゃない?」と判断して放置されたのだった。哀れ構成員、泡吹いてビクビク震えているところをもし小蛇に見られていたら、間違いなく規制音のラッシュだった事だろう。
だが、流石にデュエマを30戦もしたことで時間がかなり経過していた。紅蓮も少し疲れを感じ始めたところで異変は起きる。
「!この感じ・・・・・・」
「っ、どうしたんですか師匠!?」
デュエマで何度かパラレルの構成員を吹っ飛ばし、地味にディスペクター化したAFカードを相手のデッキから大量回収していた紅蓮は、唐突に自身の身に襲い掛かってきた寒気に思わずその寒気を感じた方角を睨む。
その顔は険しく、どこか緊張感と焦りを感じさせていた。紅蓮のことを師匠と言う緑磨も、初めて見るその顔に何かが起きたのかと身構える。
──もしかして、遂に黒幕が動いた・・・・・・ってコト!?
「サバイバルが怒ってる気がする・・・・・・悪いな赤矢、そろそろ帰る」
「え、あ、うん・・・・・・。じゃあまた!紅蓮師匠!」
そんなことは無かった。
「それは困りますね。彼はこれで、私の後継候補の1人ですから」
「っ、あらお爺様、まだ生きてたんですね。てっきりもうパラレルに消されたかと思ってました」
「え、ビドゥンじゃん・・・・・・どうして此処に?」
何か今一瞬だけ不穏な気配を感じた気がするが・・・・・・気のせいか。
それにしても素直に驚きである。爺さんがこうして自分の出した任務の様子をわざわざ見に来るとは思わなかった。いつもラボの地下で何かしてるみたいだし。
「いえ、懐かしい気配がしたもので。それにしても、お疲れ様でしたね、蒼神くん。紅蓮くんは先程帰っているところを確認しましたので、もう任務終了で構いませんよ」
「じゃあ悠借りても良いでしょ?ちょっとデュエマするだけだし──」
「駄目です。パワー0の貧弱ドラ娘擬きはさっさとお帰り下さい。時代は999999なので」
「お爺様こわーい。悠助けて~」
パワー0、999999・・・・・・アッ(察し)。
「うーん、勘の良いガキも大変かもしんね」
「どうしたの悠?」
だがもしそうだとすれば可笑しな点が1つある。重要なことだ。レムが仮にコスト0パワー0オフ会0だとするのなら、ある筈の無いものがそこにあるのだ。
僕はレムをガン見しながら、真剣な表情を取る。レムは何が何だか良く分かっておらず頭上にクエスチョンマークを浮かべているが、クソ、いちいち可愛いな・・・・・・。
──パワー0の割に、胸部装甲からパワーを感じる・・・・・・妙だな・・・・・・。
「・・・・・・さて、蒼神くん、君は帰りなさい。そこのドラ娘について知りたいのならラボで教えてあげますからね」
「3サイズが知りt・・・・・・いや何でも無い。んじゃ帰るかな」
レムから不穏な気配を感じたのでビドゥンの言う通り帰ることにした。帰る際にレムが今度会った時はデュエマしようねーと手を振っていたが、やはり可愛い。小蛇とは大違いだわ、もっと見習って。
「行っちゃったかぁ」
ビドゥンと蒼神が去って行って見えなくなった後、レムはさぁ帰るか、と鞄を持って夕陽に染まった道を歩き始める。
「あれ、
「あ、白。お帰り?どうだった?収穫あった?」
白と呼ばれたのは、この前、緑磨 赤矢とガロウズを賭けて戦っていたパラレルの構成員である青峰 白だった。
「禁時混成王は僕が今後も使って良いって話があった。後は遂に、聖魔連結王をクローバーという集団にぶつける作戦が決まったよ。・・・・・・緑磨 赤矢の方が危険だと進言したけど、他はそうは思ってないみたいでね」
「ふぅーん。あ、私には何か無いの?プレゼントとかさ?」
「・・・・・・まぁ、あるよ。姉さん、これ予測してたの?」
青峰は少し躊躇いながら、デッキホルダーの中に仕舞ってあった1枚のカードを取り出す。
「彼とは1つの契約をしたしねぇ。これは?」
「あの人曰わく、強欲と無欲が支配の鉄鋲で留められた存在、高貴なる矛盾だってさ。姉さんなら使いこなせるだろうから渡せって・・・・・・でも、姉さんはこれ貰っても、パラレルとして活動してくれるの?」
「私はパラレルだとかいう集団は別にどうでも良いんだよねぇ。レクスターズだとかディスペクターだとか、どっちも私からすれば強い力ってだけだし?」
「・・・・・・じゃあ、姉さんはそれをどう使うの?」
「んー・・・・・・」
赤い瞳を妖しく光らせ、零無は渡されたカードを見てニヤリと笑う。
「欲しいものを手にするために、かなぁ」
「姉さん、彼氏を手にする為にそこまで・・・・・・」
「違いますぅ!!!」
青峰 零無、交際経験/zero
ドラグナー「don't stop! no don't stop ’til finish!!」
構成員「」