この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話   作:change

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流石に大晦日と正月周辺は更新きついんで2日に1話のペースも崩れそう。
そういや緑磨と白はどちらも14歳の中学2年生、蒼神が18歳で元高校3年生、零無が同じく高校3年生で、紅蓮も18歳、小蛇が17歳なんですよね。此処らの年の数値忘れかけるから毎度読み直してます。

文脈繋がってないとこ、直しておきました。気付いて教えてくれた方ありがとうございますー。


2章 禁時混成王の凶来
第22話 「この点は出ねぇよぉ!」


「で、どうした緑磨」

「べ、勉強の方を教えて貰いたく・・・・・・」

「勉強?・・・・・・あぁ、普通に学校のって事か。それは確かに紅蓮じゃどうにもならないしな・・・・・・」

 

緑磨 赤矢、中学2年、14歳。僕は今、窮地に陥っています。

そう、勉強です。うちの中学は冬休みに課題が出るんですが、その課題の中の数学がとても難しく、こうして師匠の仲間であるサバイバルさんが居るラボを訪れることにしました。

 

いや、本当に自業自得なのは分かってるんですけど、冬休みって2週間弱くらいしか無いんですよ。そして最近までの騒動とか、最近新しく手に入れた《アルカディアス・モモキング》ってカードでデッキを組もうとしていたら、アッと言う間に時間が過ぎて行って・・・・・・。

 

・・・・・・はい、見苦しい言い訳は止めます。課題を開きもせず後回しにしてたら、思った以上に量があって死にそうなので、助けを求めてやってきました。師匠は・・・・・・ちょっと頼るのが申し訳ないので今回は話をしませんでした。決して、決して馬鹿そうだからとかじゃないです、はい・・・・・・。

 

僕がビクビクしているのが伝わったのか、ラボに入れてくれたサバイバルさんは暖かいお茶を入れて「まぁ座れよ」と言ってくれました。確かにずっと立ちっぱなしで話をする所だったので、言われた通りに座ります。

 

・・・・・・何か、こう二人きりで座っていると面談みたいな、無駄にラボ内が静かなのが怖い。今日はサバイバルさんしかラボに居ないのか?

 

「そうだな・・・・・・数学だったか?」

「はい、数学が分からなくて・・・・・・」

「他には無いんだな?」

 

それは・・・・・・と、少し口籠もる。いや、何を考えている緑磨 赤矢!流石に、流石にそれは駄目だろ!

 

「正直に言え、俺も昔は勉強とか後回しにしてたから、こんなんで怒らねぇよ」

「サ、サバイバルさん・・・・・・!」

 

朗らかに笑うサバイバルさんに、僕は感涙する。あぁ、何と優しい人だろうか。師匠と違って知的そうだし、話が分かるし、この大人っぽさ・・・・・・感服とはこういう事なのだろうか。将来の理想像として、こういう人になりたいものだ。

 

僕はサバイバルさんに言われた通り、実は溜まっていた他の課題の話もする。社会と理科の大量のプリント課題に、英語の長文問題、国語の穴埋め漢字100・・・・・・それに加えて家庭科の調理レポートと、決闘の二文字を書く必要のある習字。他にもあるが、特に時間を取りそうで面倒なのはこれらが挙がる。

 

一応全ての課題を持って来ていた為、それらのプリントなどを机の上を借りて一面に広げる。サバイバルさんはそれに対して「いやぁ、すげーなこりゃ・・・・・・」と、苦笑いしながら1つ1つ見て行く。

 

「えっと・・・・・・」

「そうビビらなくて良いって。俺は分かるぞ、お前の気持ち。まぁ、本当は何で計画的にやらなかったんだ、と親なら怒るところだろうが、生憎俺はお前の親代わりをする気は無い。それにクローバーの奴らならまだしも、お前は俺を助けてくれた恩人でもある。これくらい手伝わないでどうする」

「イ、イケメンだぁ・・・・・・」

「戻ったでござるよー」

 

そんな事を話していると、玄関口から小蛇さんが帰って来た。師匠も一緒の様で、任務の帰りだったのだろう事が窺える。・・・・・・師匠が何故か泥だらけなのが気になるが。

 

「おま、紅蓮ちょっと外出てろ、ラボの中にその泥ボタボタ落とすなよ!?」

「すまん、《泥男》のAFカードの影響を子供達が受けていたようでな・・・・・・泥団子を投げつけられた」

「でも紅蓮殿も負けじと泥団子作って、良い笑顔で投げてたでござるよね。御陰で《泥男》も満足した様子。珍しくデュエマ以外で活躍してたでござるな」

 

小蛇さんは特に泥を被っていたりはしないようだ。つまり、子供と一緒に師匠だけ泥合戦していたと・・・・・・やっぱ心が小学生・・・・・・いや、ピュア、ピュアなんだろうな師匠は!

 

サバイバルさんは師匠をそのまま風呂に連れて行き、それを見て独り妄想と興奮に囚われる小蛇さんという光景が生まれた。何というか、賑やかだなぁと思う。丁度冬休みの日記の内容に丁度良いかもしれない。

 

──あれ?そういえば蒼神さんが居ないような?

 

「小蛇さん、蒼神さんは?」

「んほ~・・・・・・ん?あ、蒼神殿でござるか?何か良く知らないんでござるが、今はラボの任務や防衛に不定期参加となるとかなんとか。今も外出てるでござるな」

 

何か別用だろうか?それは良く分からないらしいが・・・・・・まぁ、待っていれば来るだろうとのことだった。

 

「──そういえば話は変わるけど、緑磨くんはあのNofaceって奴をどう思った?」

「・・・・・・Nofaceさんですか?」

 

急に小蛇さんの口調が変わり、少しだけ空気が重くなったような気がした。Nofaceさんをどう思うか、と言われても、質問の意図が見えない為、少し答え難い。

だが、小蛇さんは僕が答えるより先に話し始める。

 

「私は、大嫌いですねぇ、あぁいうの」

「大嫌い、ですか?」

「そう・・・・・・あぁいう、全部掌の上みたいな、自分の野望以外に興味が無さそうな、人を見下した舐め腐ったような蛆虫みたいな奴が、私の知るゲスに似て本当に大嫌いなんですよねぇ・・・・・・反吐が出る」

 

小蛇さんはそう言っている間、右手の拳を強く握り、怒りを覆い隠そうとしているように見えた。

だが、珍しい・・・・・・小蛇さんとは何度か出会ったりした事もあったが、こういう小蛇さんは僕は見た事が無かった。

 

「小蛇さんは、どうして僕にそんな事を?」

「・・・・・・あー、はは、何ででござろうなぁ?まぁ、その・・・・・・ちょっと愚痴りたくなっちゃったんでござろうな、本当に申し訳ないでござる」

 

困ったように笑う小蛇さんの表情は、どこかぎこちなさがあった。

 

──もしかしたら、普段は愉快な人柄を演じているだけで、小蛇さんは本来こういう感情を溜め込み易いのかもしれない。

 

僕に話したのは、クローバーではないから、かもしれない。サバイバルさんも師匠も、蒼神さんも、小蛇さんにとってそういった部分を見せたくない、心配を掛けさせたくないとか、そう考えているのかもしれない・・・・・・なんて、ただの憶測に過ぎないけど。

 

「ほーんと・・・・・・裏切り者なんて、ロクな奴じゃないでござるよ。絶対にね」

「帰宅~」

「あ、蒼神さんお帰りなさい」

 

そんな事を小蛇さんと話していると、今度は蒼神さんが帰って来る。これでクローバー全員集合だろうか。

 

「あれ?緑磨くんじゃん・・・・・・どうしたの?」

「それが、冬休みの課題が面倒なの多くて・・・・・・」

 

冬休みの課題、という言葉に一瞬「うわぁ」と心底嫌そうな顔をする蒼神さん。あれは間違いなく課題に苦しめられてきた者の面構えだ。間違いない。

 

「小蛇って今17だっけ?」

「え、まぁそうでござるが」

「小蛇お前、クローバーの中でも一番緑磨くんと歳が近いんだから、教えてやれよ。あ、僕はパスな!」

「えーでも小蛇学校通ってる訳じゃないからわかんなーい、でござるな」

「うっぜぇ・・・・・・何今の?ぶりっ子の真似?」

 

暫く蒼神さんと小蛇さんは僕の前で漫才を繰り広げる。

どうやら小蛇さんは学校に通っていない為、勉学で教えることは難しいらしい。蒼神さんは単純で、宿題やら課題から解放された世界でまた課題とか見るのも嫌だという話らしい。でもそれはそれとして勉強で苦悩してる人に横からちょっかい掛けるのは楽しいから偶にならアドバイスするわ、とかなんとか。それは性格が悪いのではないだろうか、と僕は訝しんだ。

 

──まぁ教えてくれと頼み込んで来た僕がそれ指摘するのはどうなんだって話になるけど。

 

「・・・・・・あ、そういえば蒼神さん、《アルカディアス・モモキング》っていう、新しいクリーチャーが仲間になったんですけど、後で一緒にデッキを組んでくれませんか?」

「それ、課題やるの飽きてそっちに集中して、挙げ句課題後回しにし続けるやつじゃん」

 

うぐっ、た、確かに・・・・・・。

 

「駄目でござるよぉ、緑磨くん。幾らデュエマが大好きでクリーチャーが友達でも、やるべきことはやらないと」

「おぉ、小蛇がマトモな事を・・・・・・まぁでもやっちゃうんだよなぁこれが」

 

何か急に蒼神さんが気持ちは分かるみたいな同情するような目線を送って来た。何だこの人。

 

「でもまぁ、僕はデッキ作成のアドバイスと言っても、赤・・・・・・火文明はそんな得意じゃないぞ?」

「そうなんですか?何か勝手に器用なイメージがあったんですけど・・・・・・」

「まぁ、火文明は他と比べてって話だね。それに白・・・・・・あぁそう、光文明とか闇文明と組み合わせた、紅蓮のデッキみたいなのとかはあんましな。逆に、水文明か自然文明が入ってれば大体は組める。光と闇は普通かな」

 

これは得意苦手の話だな、と蒼神さんは言う。つまり蒼神さんは水文明と自然文明を扱うのが得意で、火文明はあまり得意ではない、という事だろうか。それでも、水文明か自然文明さえあれば、火文明でも扱える、と。

 

そうなると・・・・・・《アルカディアス・モモキング》のデッキは、蒼神さんと組むのであれば、火と自然と光の3文明になるのだろうか。もしかしたら水文明も入れようとなるかもしれないが。

 

「はいはい、隙あらばデュエマの話しないで、課題をやらないとでござるよ。蒼神殿も、あんまり緑磨殿を誘惑するような事言っちゃ駄目でござる」

「誘惑するような気は無かったんだけどなぁ。ん、まぁ課題がある程度終わってからなら付き合うよ。僕は部屋に暫く要るから、要があれば呼んでくれ」

 

蒼神さんはそう言って自室へと去って行く。残されたのは小蛇さんと僕だけ。だが、此処でサバイバルさんも戻って来る。何だかイラついているような・・・・・・。

 

「紅蓮の奴の服、泥の染みが全然落ちねぇ・・・・・・」

「あー、ドンマイでござるな」

「ド、ドンマイです・・・・・・」

 

何かサバイバルさん、お母さんみたいな事言ってる・・・・・・。

 

「そういえばさっき蒼神殿が帰って来てたでござるよ」

「お、そうか。腹減ってたらと思って一応作り置きしておいた飯があるし、後で要るか聞いておくか・・・・・・んで、緑磨、まずどれからやっつける気だ?悪いが、俺も全部が全部上手く説明出来る訳じゃない。それでも良ければ教えてやる」

 

本当に助かる。僕はサバイバルさんの御言葉に甘え、その後暫く、ラボでサバイバルさんと偶に降りて来た蒼神さんから色々教えて貰い、幾つかの課題を終わらせる事に成功した。まぁその分、かなり時間も経過して夜になってしまっていたが。

 

「ふぅー・・・・・・これくらいにしとくか、今日?」

「そうですね・・・・・・ちょっと疲れました」

「おー、お疲れ」

 

サバイバルさんは言葉でなく文字にして、僕が分からないところの説明を書き残しておいてくれた。これがあれば冬休みの課題も何とか終わらせるのが間に合うだろう。

蒼神さんも途中から完全にサポートに入ってくれていた。主にサバイバルさんの補佐のような教え方をしてくれて助けられてしまった。ちょっかいを掛けるのは楽しいと言っていたが、それが理由かと思いきや、シャワーを浴びて来た後、今日はデュエマ出来てないな、と気付いた師匠の、デュエルしようぜ、から逃げる口実だったらしい。師匠・・・・・・。

 

「おや、何か騒がしいと思ったら緑磨くんでしたか」

「お、何だ爺さん、もう地下での今日の作業は終わったのか?」

「えぇまぁ。そもそもホラ、もう夕飯の時間ですしね」

 

サバイバルさんはそれを聞いて時計を見る。あぁ、しまったな、と急いで立ち上がり、すぐにキッチンに行こうとするが、途中で止まって僕の方を向く。

 

「あ、そうだ緑磨」

「は、はい」

「今後も何かあったら頼ってくれて良いぞ。俺に出来る範囲で助けてやる」

「くっ、何てイケメンなオカンだ・・・・・・。サバイバル、それで何人の女を堕としてきた。言え、言ってみろ」

 

蒼神さんのオカン発言に誰がオカンだ、とツッコミを入れるサバイバルさん。だが確かにこれはモテるだろうなと思った。中学生のガキが何をと思うだろうが、モテない僕からすると星のように手が届かない、凄い人という印象だ。自覚していないだけで、お人好し部分と顔でかなりの人誑しな気がする。

 

「んじゃ、俺はちょっと夕飯急いで作るわ。緑磨も食べてくか?」

「いや、流石にそこまでは・・・・・・!僕も母が待ってるんで・・・・・・あ、蒼神さんと軽くデッキが組めるなら、それしてすぐ帰ります」

「ん?あー・・・・・・良いよ、僕も久々に緑磨くんが使うようなデッキとか考えたかったし、今は暇だしね」

 

それは・・・・・・どういう意味だろうか?

イマイチ良く分からないが、蒼神さんは夕飯が出来るまでに急いで作るか、と僕を自室に案内してくれた。正直、申し訳なさがあるが、これを楽しみに課題をやり切れた部分がある。どうしたって勉強より、楽しい遊びの方が良いのだ。

 

「前回は青峰くん想定でプロキシありので回してたけど、今も打倒青峰くん、まぁ《禁時混成王》って感じかな?」

「そうですね・・・・・・一応はそれを想定してデッキを組もうかと思ってました」

 

成る程ね、と蒼神さんは少しだけ考える素振りを見せる。今、蒼神さんの頭の中で何が行われているのかは分からないが、取り敢えず僕は今のうちに天聖王の力を継承したらしい《アルカディアス・モモキング》と、その影響で生まれた何枚かの光のカードを見せておく。後は熱血王の力を継承した《熱血英雄 モモギンガ》もだ。

 

「そうだな・・・・・・改造パーツもまぁ十分あるし・・・・・・ちょっとカード触って良い?」

「あ、どうぞ。出来れば、《モモキング》周辺を軸にしたいな、と思ってるんですけど・・・・・・」

 

蒼神さんは僕の言葉を聞き、あー、成る程ね、と幾分か固かった表情が柔らかくなったようだった。後で知ったが、この時はどういうデッキが良いかとか、そういう本人の要望が無かった為に色々考えていて迷っていたらしい。それを《モモキング》軸が良い、という要望が聞けて、少し楽になったとか。

 

「《モモギンガ》かぁ・・・・・・面白いカードではあるが、コイツを活かすなら・・・・・・んー、話題にはなってたよなあのコンボ・・・・・・でも強いか微妙そうだしな・・・・・・」

 

蒼神さんはブツブツと独り言を言い始める。カードと会話をしている訳ではないのだが、僕なんかよりこのカード達の事を良く理解しているかのような内容だった。この人はどれだけの時間をデュエマに費やして来たのか、デュエマの知識を持っているのか・・・・・・少し気になってしまう。

 

「まぁ雑に一旦形にして削ぎ落として行くか。水のパーツってどれくらいある?」

「水文明ですか?えっと・・・・・・」

 

そうして、僕と蒼神さんは夕飯までの間にデッキリストの内容を思考錯誤した。出来上がったものも時間が足りずに試作といった所ではあったが、蒼神さんがかなり各カードの役割や動き方の説明をしてくれた為、此処から僕が少し改造しても強さは失われないだろう。

 

「流石にそのままだと僕の作ったデッキ過ぎるから、まぁそこから自分に合うように改造とかすると良いんじゃないかな。後はまぁ、実際回してみて要確認ってくらいかね」

「あ、ありがとうございました・・・・・・蒼神さん、凄いですね、カードの知識・・・・・・」

 

僕がそう言うと、いやまぁ、僕なんか数ある変態ビルダーの見習いってだけで、大した者じゃないよ、と否定する。変態ビルダー、というのがどういうものかはこの際無視するが、僕には今まで見て来た人の中でも、相変わらずデッキを回す腕、調整力はずば抜けているように見えた。

 

───今倒そうとしている《禁時混成王》も、意外と僕のデッキをこの人が使えば勝てちゃったりして。

 

「・・・・・・いや、他人任せは駄目だな」

「?」

「改めてありがとうございました、蒼神さん。それじゃあまた今度!」

 

僕はそう言って、荷物を纏めて蒼神さんの自室を出る。ラボの人達に一礼した後、寒い夜の中、外に出た。

 

「もう今年も終わりだなぁ」

 

・・・・・・課題をやるの、ちょっと面倒だけど、此処まで手伝って貰って未提出は申し訳ないし、やらないとね。

 

澄んだ空気を吸い込み、冬の月を見て僕はそう思った。




モモギンガ「うぉぉぉ、《モモキング》が《ガイギンガ》継承!!!名前はもう《モモギンガ》しかねぇよなぁ!!!???」
DMP「何でコイツだけ名前に《モモキング》ないんだ・・・・・・」
作者「何でコイツだけ名前に《モモキング》ないんだ・・・・・・」
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