この世界で所持デッキを必死に誤魔化して生き抜くお話   作:change

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皆様今年はどのような事がありましたでしょうか。作者は暇潰しにと書いたこの作品が予想以上にウケた事が何よりも誇らしいです。

以下、零無と小蛇のイメージです。折角だったんでちり子さんの『ちり子式 ふわ髪女の子メーカー』(https://picrew.me/image_maker/1333071)で作ってました。ぶっちゃけTRPGで使うことがあったけど、小説で使うことになるとはなぁ・・・・・・ちり子さんに感謝。
男性陣?男性ので良いメーカーとかあればその内・・・・・・画力が欲しいぜ。


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今回はデュエマ、あります。年の終わりだし流石にね?


第23話 「やはり人間は愚か」

私の名前は青峰 零無。父と母を亡くした、14歳で中学2年の弟を持つ、18歳の高校3年生。

趣味は人を揶揄うことと、蹂躙すること。嫌いなものはアロハにサングラス付けた敬語のお爺さん。

 

そんな私には、実はクラスの皆も知らない秘密があります。

何と、私は《零龍》と呼ばれる凄いドラゴンの因子を引き継がされた女の子なのです。

 

この《零龍》というドラゴン、世界を零にする、という目的を持ったドラゴンなのですが、何と今、その因子を引き継いだ私にも、同じ目的が与えられています。今も本気で、世界を全て零にする為に、《零龍》として復活する為の力を集めていたりしています。

 

そんな私ですが、青峰 白という弟が居ます。可愛い可愛い弟です。

白は私と一緒に家で過ごしているのですが、私が《零龍》の因子を継いで、その影響で前と違う自分となっている、と分かった日から、残念ながら少し、嫌われてもいるような気がします。好意と嫌悪は両立するのが人間なので、とても複雑そうな顔をしている事が多いです。

そんな弟に、私は一度提案したことがあります。

 

『白も私の味方にならない?』

『ならない』

 

即答でした。正直どこかのアニメ映画のワンシーンみたいな構図で。今の姉さんとは価値基準がどうとか。

でも、少し意外でもありました。私は《零龍》の影響以前に、心の奥底では「世界を零にしたい」と望んでいたのです。だから、同じ境遇で生きてきた白も、この考えに同意して協力してくれるかと、てっきりそう思っていました。

 

友達もいない、まともに愛してくれた両親もいない、そんな世界で生きてきた筈なのに、それなのに何故かが、私には見当も付きませんでした。

 

白はあのクソ親の言う通り、勉強も運動も出来るようになっていきました。うーん最高!やったね!お姉ちゃん嬉しい!

・・・・・・なーんて、そうも喜べませんでした。だって、それは白から生まれた意志ではありません。長い時間、あのクソ親によって染みついてしまった思想です。そんなものの為に、子供らしく心の底から純粋に笑う事も無く、友達すらも出来ずに、白は育った。それを喜ぶ事が出来る程、私は弟の成長を、明るく見ることが出来ませんでした。

 

私は、あのクソ親の教育(笑)と愛情(笑)を受け、せめて白だけは、と、庇ったりしました。時には勇敢に、あの邪知暴虐なる父と母に、こんなの間違ってる、と逆らったりもしました。

でも、そんな抵抗も意味を成さず、結局、白は親の言う通り、どこか歪んでしまいました。私がそう気付いた日は、もう枕を涙でずっと濡らしていました。御陰で、次の学校への登校日は目が腫れていました。

 

クソ親が死んでも、白はアイツらの言葉に縛られている。私は、それが嫌だった。本気で、自分以外の人の言葉に従って、それが正しいのだと思い込んで、踊らされているように見えた。今もそうだ、パラレルの黒幕だかに従っていたみたいだけど、つい最近、その関係も利用されていただけなのだろうと、Nofaceが言っていた。

クローバーに所属している皆もだ。あのジジイに利用されていると知らずに、皆が皆、本気で世界の為に、クリーチャーの為にと、体を張っていた。サバイバルなんかは、前に元居た世界での話も聞いたが、そんな経験をして尚、この世界でも戦おうとする事が、理解出来なかった。

 

これだけ嫌なものを見てしまった私には、もう、この世界なんて別に零にして良いよね?という思いしか無かった。

 

だって、私の知ってる大事な人達以外の為に、大事な人達が傷ついたり、歪んでいくのは、見てて耐えられない。それならいっそ、世界なんて滅んでしまえば良い(・・・・・・・・・・・・・・)

だから私は、世界を零にして、残った大事な人達と零になった後の世界で仲良く過ごそうと思ったのだ。白が、悠が、サバイバルが、紅蓮が、小蛇ちゃんが、そして私だけが居るだけの、彼ら彼女らを傷つけるものも、歪ませるものも無い真っ白な世界を、理想郷を望んだのだ。

・・・・・・Nofaceが含まれていないのは、まだ私が彼を警戒しているからだ。もし信用出来ると判断したら、彼も居たって良いかもしれない。まぁ、利用しようとしているのなら、私が逆に利用してやるまでだ。

 

何せ、彼は私にかなりの力をくれた。もう後少しで、私は遂に成る事が出来る。

だから後もう少し、もう少しだけ、皆にはこの世界で耐えていて欲しい。すぐに私が、本当に幸せな世界にしてあげるから。

そっちの方が、遙かに良い世界だって、教えてあげるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んーっ・・・・・・あ、寝てた・・・・・・」

 

朝、寒さとカーテンの隙間から漏れる日差しを最初に目にする。気付いたらDIENで悠と駄弁っている内に寝ていたらしい。スマホの充電も0%なのか、電源が入らない。急いで少しでもと思い充電するが、暫くはスマホも使えなさそうだ。

私は寝ぼけた頭で今日のスケジュールを思いだそうとする。確か今日は悠が緑磨くんとデュエマをするだとか言っていたような気がする。時間は大丈夫だろうか?うっかり寝坊は流石に申し訳無い。

 

私は部屋にある時計を見る。時間は・・・・・・少し危ないかもしれないが、今からちゃんと支度すれば間に合いそうだ。

 

「あー、デッキ・・・・・・えーっと、これかっ」

 

机の上に置いてあったデッキの入ったデッキケースを手に取って、それをバッグに入れる。服装のチェックやお昼ご飯、諸々を急いで済ませる。白の姿が無かったが、恐らくはパラレルの方で何かしているのだろう。Nofaceと悠とのやり取りの後、特に顔を合わせていないような気がする。協力してあげると言った私の方にも、Nofaceを見つけ次第殺せという指令が来ていたが、当然私はスルーしている。思うように駒の動かない黒幕さんには、私の方からお悔やみ申し上げたいくらいだ。やーい人望なしー。

 

鏡で一度自分の姿を確認。問題なしと判断して、急いで家を出る。外の寒さに一瞬長いスカートを履いて行くべきだったかと後悔するが、それでもこのくらいの丈のフレアスカートに黒のニーハイというのが気に入っているので我慢する。ファッションに犠牲は付きものなのだから仕方が無い。赤いマフラーを首に巻き、ニットのセーターの上から上着を羽織って、私はそのまま白い息を吐きながら、走って悠が緑磨くんを待ち伏せている場所へと移動する。

 

Noface曰く、緑磨くんは決まった時間に河川敷を訪れるらしい。ゲームのNPCか何か?と思ったけれど、兎に角その時間を狙って悠がNofaceに変装し、デュエルをするのが今回の計画だ。私は仮に周辺に紅蓮なんかが居た場合の足止めとして、悠と共に行動する。

だから、私が遅れると安全性の観点から、悠だけで実行出来ないのだ。だからこそ、遅れる訳にはいかない。正直、緑磨くんの成長とか、何の為にとNofaceには聞きたいが、聞いたところでまた呆れた理由だったり、ただただ彼のクズさ・・・・・・まぁ、どうしようも無い部分が露見するだけな気もする。悠も恐らく同じような事をNofaceに感じていそうだ。

 

そんなこんなで、私は何とか河川敷に辿り着く。少し息を整え、周囲を見渡す。目印は確か、折れた桜の木の2本隣、だっけど・・・・・・。

 

「あ、来た来た」

「あ、ごめん悠、待った?」

「その会話をするに相応しいシチュエーションなら嬉しかったんだがなぁ・・・・・・全然、そもそも今着替えたとこだし、変声器も仕込み終わったとこ」

 

初めてではあったが、何とかNofaceの変装が出来たらしい悠。何というかまぁ、やはりこの格好は不審者過ぎると思う。これであの胡散臭さ溢れる絶妙にウザい話し方が追加されれば、恐らく見破れる人はそう居ないだろう。

 

──まぁ、Nofaceって未知の部分が多すぎて、ガワさえ似てれば大体違和感感じなさそうだけど。

 

「緑磨くんは・・・・・・お、来た。じゃあ小h・・・・・・じゃなかった、零無は警戒たのむ」

「ちょっと名前間違えた・・・・・・まぁクローバーでの活動慣れもあるし仕方ないか。うん、任せて」

 

軽く手を振って別れる。さて、警戒とはいっても、近付いて来ているか周囲の確認をする程度。最近は強い敵とのデュエマも出来ていない為、非常に退屈なのだが、だからと言ってデュエマの相手をPorkerのメンバーはしてくれない。悠は逃げるし、Nofaceもお楽しみとか言ってはぐらかす。あまり褒められたことではないけれど、此処で紅蓮とのデュエマが出来れば、きっと満足出来そうだと思ってしまう。

 

──まぁこの作戦の初日から、そんなバッタリ遭遇するなんて事は・・・・・・。

 

「無・・・・・・ん?」

 

左をふと見る。何だろうかあの赤い髪の男は。やけに自分の知っている男とそっくりに見えるが、まだ此方に気付いていない様子だ。

その隣にはまたまた自分の知っている男とそっくりな人物。灰色の髪なのが此処からでも分かる。可笑しい、何だろうかこのそっくりさんとの遭遇率は。

 

スゥ・・・・・・。

 

「いやぁ・・・・・・本当に来ちゃったよ」

 

ごめん悠、言ってはないけど、思ったら来た。

そっくりさん?そんな筈は無い、間違いなく紅蓮とサバイバルだ。まさか初日から此処を通りかかるとは、と驚きながらも、私は急いで河川敷から遠ざけるように《無龍》を離れたところで出現させ、少しわざとらしく暴れさせた。

 

「む、サバイバル、クリーチャーだ」

「あぁそうだな、完全に零無の使役してるクリーチャーって感じの見た目をしてる・・・・・・行くぞ」

 

誘導は成功。後は私も《無龍》の方へと向かい、何とか先回りに成功する。此処で後はデュエマをすれば良い訳だけど・・・・・・今回の相手はどっちだろうか?

 

「久し振りだな、零無。いつ以来だ?」

「久し振りだね、サバイバル、多分私がラボを出た後、任務中にバッタリ遭遇した時以来かな?それと・・・・・・紅蓮も出会ったこと覚えてないのか、久し振り」

「お前は危険だ、此処で仕留める」

 

あの時の紅蓮とは違う、炎のように燃える闘志と、倒すべき敵を見る冷ややかな目。あぁ、成る程、まともな状況で紅蓮と本気のデュエマはしてこなかったけど、これは確かに、紅蓮にビビる対戦相手の気持ちも分かる。

 

「サバイバル、此処は俺が相手で良いな?」

「あぁ、確実に行きたいからな」

「そ、ならまた私が相手してあげる。一緒に楽しくデュエマして、気持ち良くなろっか」

 

恐らく今頃、Nofaceに扮した悠が緑磨くんとデュエマしている事だろうから、あまり短いとそれはそれで少し面倒でもある。だけどまぁ、紅蓮が相手なら、そんな心配はしなくて良いだろう。

 

何せ、相手はあの(・・)紅蓮だ。下手に勝敗以外の事を考えていれば、一瞬で終わる。それだけの相手だ。

 

「最初から・・・・・・本気で貪り尽くしてあげる」

 

パラレルの技術で出来たデュエルフィールドを展開し、お互いの移動と外部からの干渉を防ぎ、持って来たデッキをシャッフルし、空中に浮かぶ透明なボードにセットする。観客はサバイバルだけで寂しいけど、それでも構わない。私が楽しめれば十分だ。

 

「始めるぞ・・・・・・零無っ!」

「熱いね、紅蓮は。でも残念ながら私はそういうのタイプじゃないの。私のターン」

 

さて、会話は此処ら辺にして手札は・・・・・・悪くない。

 

「マナチャージ、ターンエンド」(マナ1)(手札4)

「俺のターン、ドロー」(手札6)

 

さて、紅蓮のデッキは良く知っている。彼のデッキは驚異的な速度でクリーチャーを横に並べてくる為、このデッキとの相性は微妙なところ。起点となるクリーチャーさえ潰せれば何とか向こうの妨害としては十分だろうけど、それをやり続けるのにも苦労する。

 

「マナチャージ、ターンエンド」(マナ1)(手札5)

「私のターン、ドロー。マナチャージ、2マナで《フェアリー・Re:ライフ》。ターンエンド」(マナ3)(手札3)(墓地1)

 

序盤にしては問題ない。手札も良い。後は紅蓮の動き次第だけど・・・・・・。

 

「俺のターン、ドロー。マナチャージ、ターンエンド」(マナ2)(手札5)

「・・・・・・私のターン、ドロー」(手札4)

 

紅蓮は特に動きを見せない。次のターン辺りで動いて来るだろうが、その間に此方は此方でやりたい事をさせて貰おう。

多色のカードをマナに置き、3マナタップでカードをプレイする。これがNofaceから受け取った力の内の1つ。

 

「マナチャージ、3マナで《Disゾロスター》を召喚。効果でシールド、マナ、墓地を1枚ずつ増やす。ターンエンド」(マナ5)(手札2)(墓地2)(盾6)(山24)

「・・・・・・厄介なクリーチャーだな、《ディスタス・ゲート》からも出せると来た」

 

紅蓮はすぐにその強さに気付く。そう、このカードは初動としても優秀だけど、何より重要なのはこの色とコスト3のディスタスであるということ。《ディスタス・ゲート》から出る受けのカードとしても、このカードは後半活躍する機会のある、腐り難いカードなのだ。

唯一欠点があるとすれば、マナが増えてもプレイする為のカードを手札に呼び込めないと、すぐに大型などを出す事が難しいというくらいだろうか。

 

「俺のターン、ドロー、マナチャージ、3マナで呪文《龍覇 グレンアイラ》を召喚、そしてその効果により、ドラグハート・ウエポン、《ビギニング・スタート》を装備。ターンエンド」(マナ3)(手札4)

「早速軽減の効果を持ったドラグハート・・・・・・じゃあ私のターン、ドロー、マナチャージ」(手札2)(マナ6)(山23)

 

多色をマナに置く、つまり使用出来るのは5マナ。まぁそれだけ使えればこのターンは十分だ。向こうも軽減をして来るつもりなら、此方も次の一手の下準備と行こう。

 

「5マナで呪文、《ディスタス・ゲート》。マナから《霊宝 ヒャクメ-4》をバトルゾーンに。効果でマナチャージ後、1枚ランダムハンデス・・・・・・じゃあ、その右から2番目のカードにしようかな?」(手札1)(マナ6)(墓地3)(山22)

「っ・・・・・・」(手札3)

 

落ちたカードは・・・・・・《爆龍覇 ヒビキ》。ふぅ、あれを残していたら危ないところだった。とはいえ、紅蓮のデッキならまだまだ油断出来ない。2枚目の《ヒビキ》なんて事も当然あり得る。

 

「ターンエンド」

「俺のターンだ、ドロー。マナチャージ、1マナ軽減で3マナ、《龍覇 ラブエース》を召喚。効果で《バトライ刃》を装備し、1ドロー。ターンの終わりに《バトライ刃》は2D龍解し《バトライ閣》に、《ビギニング・スタート》も《ファイナル・ジ・エンド》に」(マナ4)(手札3)

「スレイヤー面倒だなぁ・・・・・・私のターン、ドロー」(手札2)(山21)

 

クローバーの面々には、それぞれディスペクターの対処に対する解答があったりする。

小蛇ちゃんはシノビのニンジャ・ストライクとブロッカー化などを利用した物量と除去などを多用する耐久での戦い方。

サバイバルは《カツムゲン》によるEXライフの増減を利用したバトルによるディスペクターの殲滅。

そして紅蓮が、スレイヤー効果とパワーによるゴリ押し。

 

私の使うディスペクターに対しては、サバイバルには有利だが、紅蓮には不利といった所だろうか。あの《ファイナル・ジ・エンド》が面倒過ぎる。正直、ブロッカーまで持っている為、非常に相手したくないクリーチャーだ。

 

──だけどまぁ、私、今の自分なら勝てるって言っちゃたし?

 

「マナチャージ、《ヒャクメ-4》のササゲール4発動」(手札1)(マナ7)(墓地4)

「マナは7・・・・・・11ともなると、王か?」

 

残念ながら、私の置いたマナは多色だ。つまり、使用出来るマナの数は6となり、コスト11なんてディスペクターは召喚出来ない。

 

「そう急かさないで?さぁ、武闘会を始めましょう」

「何が来る・・・・・・っ」

 

タップするのは4マナ。光、闇、自然の三色も確保。これが、私の新しい下僕。やれば出来る子だという事を、此処で見せてあげよう。

 

「《戦国接続 ギャラクテスト・シデンシーザー》、召喚」(手札0)




彼らの戦いが続く限り、戦国武闘会は終わらない。
しかし今年はもう終わり、来年も宜しく御願いします。
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