魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜   作:シロX

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オリストです〜

ではスタート


第11話 マンマ・ミーア

トパーズを手に入れてからまだ間もない時間

 

翼達は始業式を終えてからは放課後となっていた

 

「じゃあ翼君、わたし達こっちだから!」

 

「ああ、気を付けて帰れよ。それとリコ!」

 

「何よ。まだ苗字について何か言うつもり?」

 

「…また明日な」

 

そう言って翼は立ち去った

 

「じゃあ帰ろっかリコ……リコ?」

 

別に当たり障りのない別れの挨拶をしただけ。なのにリコは、それを言われてからずっと翼の方を見ていた

 

「リコ?」

 

「え、何?」

 

「ずっと翼君を見てるよ〜。もしかして、いつもより優しくされて嬉しかったとか?」

 

「そ、そんな訳!」

 

翼は基本リコには挨拶はしない。したとしても、暴言などを混ぜて言う為リコも対して相手にはしなかった。

しかし今回は何故か初めてしてくれた

 

「明日雪でも降るんじゃないかしら…?」

 

「わたしとしては、早くお互い素直になったらいいな〜と思うよ」

 

「これが素直です〜!早く帰るわよ!」

 

「あ、翼君に一つ言い忘れてたんだ!ちょっと行ってくるね〜!」

 

「ちょっとみらい!?」

 

 

 

 

 

『ゲゲ、珍しいなツバサがリコ坊に挨拶するんなんて』

 

「偶にしてるだろ?」

 

『フフ、暴言を混ぜる挨拶は聞いた事ないけどね』

 

『ゲゲ、それに──』

 

ゲゲとフフは翼の体の中へ入り、かと思ったらまたすぐに出て来た。

二人は何やらニヤけていた

 

『ゲゲゲ、素直じゃねぇなぁ〜』

 

『フフフ、嫌よ嫌よも好きの内なんて』

 

「はぁ?何言ってんだよ?」

 

翼が首を傾げてると突然後ろから、誰かが抱きついて来た

 

「翼君!」

 

「ビックリした〜!何だよみらい。リコと一緒に帰ったんじゃないのか?」

 

「翼君に言いたい事があって〜!」

 

みらいは、今度は正面から抱きしめて口を耳元まで近付ける

 

「翼君にお願いがあるの。大事な」

 

喋る毎に耳に息が吹き掛かり、むず痒い気持ちが大きくなる

 

翼は普段、女の子と接する機会が殆ど無い為この距離感に少しばかり緊張もする

 

リコ以外

 

特にみらいとならば話は別だ。まだ幼なげな姿が時折り翼の心をときめかす

 

リコと違って

 

そんな気持ちが顔に出ない様、細心の注意を払って平常心を心掛ける

 

「あのね、翼君にね────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────死んで欲しいの」

 

その時、翼の腹に激痛と焼かれた様な感覚に襲われる

 

「え──」

 

突然の事で理解が追い付かない

 

崩れ落ちる中でその目で見る

 

自分の腹から何かに深く刺された痕がある

 

みらいの手には血塗られた包丁が握られてある。

その血は翼の腹を刺したものと断言出来る

 

「大変翼君!!」

 

口に手を添えてわざとらしく驚いた表情をする。

口角が上がっている

 

手を添えて隠してるが、頬の形からも見てきっとみらいは翼を見て笑ってる

 

「ねぇ翼君大丈夫?ねぇねぇ!!」

 

襟を掴んで逃げられない様にし、何度も何度も翼の腹部に包丁を突き刺す

 

刺す度に血が噴き出して、みらいの制服に返り血で染める

 

いつの間にか、翼が座り込む地面には血溜まりが出来ていた

 

普通なら大量出血で意識を失っている量なのだが、何とか意識の糸を繋ぎ止めてる

 

「み、ら…い……」

 

「え〜まだ死んでないんだ。結構しぶといね翼君」

 

「おま、え、…あく…ま……か?」

 

「酷いな翼君。わたしは悪魔なんかじゃないよ。わたしは…ほら覚えてない?」

 

みらいの姿が歪み始める。それは次第に消え去り、その下に隠された真の姿が露わになる

 

津成木第一中学校の制服から魔法学校の制服へ。髪色も灰色へと変化していく

 

「ナギ…!」

 

「白魔法──チェンジ・ビギニング。ご覧の通り他の人に変身出来るの」

 

本当の正体はナギだった

 

「何で…」

 

「私にもやらないといけない事が出来たの。それをする上で、翼やリコ達が邪魔になるの。特に翼が」

 

己の計画の為、ナギは何の躊躇いも無く翼を殺そうとしているのだ

 

「取り敢えず早くトドメを──」

 

「翼君!!」

 

そこへ駆け付けたのが本物のみらいだった

 

「何よこれ…ナギ貴女!」

 

遅れて来たリコもこの惨劇に一瞬身を引いた

 

「今更来てももう遅いよ。それで、この有り様を見て二人はどうする?」

 

「わ、分かんないわよそんなの…」

 

「なら待ってあげる。だけど本当に早くした方がいいよ。翼が保たないから」

 

目の前の状況を整理する時間も無い。急いで何かしら行動しないと、目の前で人が死ぬ

 

友達が

 

「リコ!!」

 

「ッ!!」

 

 

 

「「キュアップ・ラパパ!」」

 

「「サファイア!」」

 

「「ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」」

 

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

 

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

 

 

「「魔法つかいプリキュア !」」

 

 

 

変身を終えてミラクルとマジカルは、その拳をナギにぶつける

 

真正面からの攻撃などナギには通じない。素手ではなく、グリモワールを使って防御する。

すぐさまミラクルの足が出るが、ナギはそれを空に飛んで避ける

 

攻撃は避けられたが翼から引き離す事が出来た

 

「マジカル、ここはわたしに任せて翼君を!」

 

「気を付けるのよ」

 

マジカルが急いで翼の腹部を両手で抑えて、出血を止めようとする

 

「マジカル…っ、俺の事はいい、から!ミラクルと…一緒に…」

 

「ダメよ!そんなのダメ!今手を離したら本当に何も救えない!貴方は黙って助けられなさいよ!!」

 

「うるせぇ!!」

 

マジカルを退かせ、煉魔之刀剣(れんまのとうけん)を取り出した

 

「い、いいかよく聞け…っ、俺達は、追い込まれてる…ぜ、全員が一丸となってやらねぇと…くっ…ダメだ…」

 

「でもその傷じゃ…」

 

「このままじゃミラクルも危ない!それでもお前はいいのか!?」

 

翼は今、自分の事よりミラクルとマジカルの事で頭がいっぱいだ

 

この場面をどう切り抜けるか。それは、全員が一丸となってやるしか方法がないからだ。

その上、ナギは本気で殺しに掛かって来てる

 

下手をすればミラクルも、そして友達であるマジカル…リコすら手にかける

 

翼はそれを恐れてる

 

「リコ!!」

 

「……無茶はしないで。貴方がわたし達を思う様に、わたし達だって翼の事が心配なの。お願い」

 

翼は蒼白な表情で立ち上がり、煉魔之刀剣持ち、刀身に手を添える

 

 

「煉魔之刀剣──侵食率50%」

 

 

これまで40%までだったが、遂に最大限まで侵食率を高める。

黒いアザはとうとう顔まで到達し、瞳は紅く、悪魔の象徴たる角まで生える

 

右半身は黒いアザに染まり完全に悪魔と化した

 

「俺の事が心配なら、守ってくれ(・・・・・)

 

「えぇ!守ってあげるわよ!!」

 

二人は、上空で火花散らすミラクルとナギの元へ飛翔する

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…つ、強い!」

 

翼がマジカルを説得してる時間はそこまで長くはなかった。寧ろ短い

 

なのだが、ミラクルは既に満身創痍であった

 

「ミラクルもう降参したら?」

 

「降参なんかしない!」

 

「だと思った。なら───死んでしまっても文句は言わないでね」

 

それは一瞬の事だった。ナギが目の前から消え、ミラクルの目の前に現れて首を締め上げる

 

「が…ぁ…は、…っ!」

 

息が出来ない

 

肺に酸素が送られず苦しい時間が始まる

 

力が入らず、意識が朦朧とする

 

(もう…だ、めぇ……)

 

その時だった

 

ミラクルとナギの間に黒い斬撃が割り込んだ

 

ナギは腕が切り落とされる前にミラクルから手を離す

 

「ミラクル!」

 

マジカルが介護して倒れる体を支える

 

「マジカルありがとう……翼君!?」

 

血塗れで動けない筈の翼が隣に居ることにミラクルは驚く。

無理もない。常人ならとっくに死んでもおかしくない出血をしているのだ

 

動けてる事自体奇跡に近い

 

「は、早く病院に行きたい…だから全力で行くぞ!ゲゲ、サポート頼むぞ!!」

 

『ゲゲ、死ぬなよ!!』

 

血を撒き散らしながら翼はナギへと突っ込んで行く

 

「白魔法──クロス・ビギニング!」

 

「悪魔魔法──因果斬り(カルマぎり)!」

 

黒い斬撃とX状のビームが衝突する。けれど、ビームがかき消され斬撃が貫通する

 

「ッ!」

 

ナギは間一髪に避け、頬を斬撃が掠める

 

「「ハァァァァァ!!」」

 

更に斬撃に続いてミラクルとマジカルが向かって来る

 

「ゾーン・ビギニング!」

 

突き出す拳をナギは両手で受け止める

 

「貴女達では絶対に勝てない!そう私は断言する!!」

 

「そんなの!」

 

「やってみなくちゃ分からないわ!!」

 

受け止められていた手が押し戻される。

ミラクル達の気合いが力になり、ナギを押し返した

 

「ルビーの方が力が強かったよね?へぇ〜」

 

グリモワールのページが開き、いつも以上に白く輝く

 

「この魔力…!」

 

「ま、マジカル…」

 

今までとは桁違いの魔力がナギとグリモワールから放出される。ヨクバールや悪魔とは段違い

 

ミラクルも身を引いてしまい、マジカルを横目に見る

 

「引いたらダメよ!」

 

マジカルはリンクルステッキを構える

 

「リンクル・アクアマリン!!」

 

ステッキから放出される吹雪がナギの体を凍りつかせる

 

「これで…ッ!?」

 

しかし、体から溢れ出る魔力だけでナギを凍らせた氷が砕け散った

 

「白魔法──カムイ・ビギニング!!」

 

魔力がナギの体を包み込み、甲冑としてその身に纏う。

手には白い剣が握られていた

 

「もう手加減は出来ないわよ!!」

 

一瞬で目の前に接近した。振り翳す剣に反応は出来ない

 

だがそれよりも早く翼が剣を受け止めた

 

「グッ!!」

 

受け止めたのはいいが、傷口から血が流れ出る

 

「悪魔の力を最大限引き出してその程度!?アハハハ!それでよくこれまで戦えたわね!!」

 

翼が引き受けてる間に、ミラクルとマジカルが左右から挟み込む

 

「ハッ!」

 

「フッ!」

 

二人の攻撃が直撃した。が、全くビクともしなかった

 

「クロス・ビギニング!」

 

翼の目の前で手を向け、至近距離で魔術を使い攻撃した。

X状のビームが翼を呑み込み地面へ叩き落とした

 

「いつまでそうしてるつもり?」

 

ナギは体を回転さてミラクル達を振り解き、足を掴んで投げ捨てる

 

「白魔法──」

 

ナギの周りに赤、青、緑、黄色の魔法が現れる

 

「グランド・ビギニング!!」

 

四つの魔法陣それぞれから、龍を模した火、水、風、土の属性を纏った魔術が放たれる

 

(避けれない!!)

 

四体の龍が二人を呑み込み、そのまま翼が落ちた近くまで引き摺り、地面へ叩き付けた

 

「ミラクル!マジカル!翼!」

 

モフルンが急いで駆け付ける

 

土煙りの中、三人がピクリともせず倒れていた。

しかし、意識だけはハッキリしていた

 

(この…野郎…!)

 

視線を上げれば、上空でナギが此方を見て無情な表情をしていた

 

何を思っているのか定かではない

 

(ゲゲ…ゲ、悪魔の力が全く通じない…このままだと確実に負ける…)

 

ゲゲも予想外の強さを見せつけられた。魔法界で襲って来たあの悪魔よりも上

 

実力を隠してたに違いない

 

ナギがゆっくりと近づいて来る。

悪魔の力が通用しないとなると残る選択肢は一つ

 

「ミラクル…起きろ!マジカルも目を覚ませ!」

 

這い蹲りながらもミラクルとマジカルを起こそうとする

 

「う…ん…ぅ…」

 

「ぁ…ぁ…っ」

 

呻き声を上げてはいる。意識はあるがもう戦えない

 

『ゲ、ツバサ、勝ち筋が見つからねぇ…』

 

「分かってる…けれど、だからって────負けていい理由にはならねぇ!!」

 

その時、夕方の空から突然雷がナギへと落ちた

 

誰も予想しない天気に一同目を見張る

 

「何だ…雲はあるがこんな晴れた空に雷なんて…」

 

『フフ、ワタシの魔法よ』

 

翼の頭の上にひょっこりと乗るフフの仕業だった

 

『フフ、ワタシの魔法「天使魔法・超自然(スーパーナチュラル)」。天使が持つ特別な力「浄化」。フフフ、これが、天使が最強たる所以の力』

 

「やってくれたわね天使!」

 

フフは純白の刀を取り出して翼に見せつける

 

『フフ、大天使の力を凝縮した特別な刀。この刀を、ワタシの天使の力が欲しいなら受け入れなさい。フフ、天使は同意がなければ器に出来ない。少し早いけど緊急事態だから手を貸すわ。フフ、どうする?』

 

「同意、か…なら答えは決まってる。受け入れる、同意する!答えは『YES』だ!!」

 

翼は煉魔之刀剣をゲゲに返して悪魔の力と引き換えに、フフの刀を左手で掴む

 

「グッ…ッ!!」

 

煉魔之刀剣とは違い、手に取った左手は白いアザに侵食され腕、身体、足、首へと流れ、顔の左側まで侵食した

 

天使の力を行使した際に変化したしたのはそれだけではない。

左手は護る為の鎧の籠手、瞳は青く光り、左半身の背中から天使の翼を広げ、頭上には天使と思わせる光の輪が半分だけ形成されていた

 

 

大天翼之剣(だいてんよくのつるぎ)──侵食率50%!!」

 

 

「…それが、天使の力」

 

「つば、さ…くん…」

 

「翼……」

 

「俺は絶対負けねぇ!みらいとリコ、皆んなを護る!!」

 

 

 

 

 

////////

 

もう日が暮れる時間帯の夕空で、二つの閃光が激しくぶつかり合っていた

 

「クロス・ビギニング!」

 

「させるか!!」

 

翼が指を上へ動かすと、一部地面が飛び出して盾となって魔術の攻撃を防いだ

 

「次はこれだ!」

 

今度は激しい落雷がナギを襲った

 

「がっ!?」

 

「ハァッ!!」

 

大天翼之剣を薙ぎ払うと炎と風が吹き、ナギの周りを囲み炎の渦と化した

 

『フフ、ツバサを侮ったわね』

 

「もう一度地面をぶつけてやるよ!」

 

『フフ、街中という事を忘れてるわよ』

 

「なら場所を変える!」

 

翼が接近し、大天翼之剣とグリモワールで鍔迫り合いが起こる

 

そのまま力任せに押し続け、町外れの山まで移動する

 

『フフ、ツバサ、ここなら思う存分力を出せるわ!』

 

鍔迫り合いから蹴りを入れてナギとの距離を取った

 

『フフフ!天使の力とくと見せてあげる!!』

 

大天翼之剣の刀身に火、水、風、土の四元素が集まる

 

土で刀身を大剣並みの大きさを形成し、刃を鋭い水で切れ味を増し、刀身周りに風のコーティング、そして火で燃え上がらせる

 

天使特有の力である浄化も加わり、闇に属する者すら消滅させる刀となった

 

更に高く飛翔し、そこら落下する勢いを乗せて一気に振り翳す

 

「天使魔法!!」

 

そこから風の力で加速に加え、火の力で刀身に触れる大気は細かく爆発を起こし破壊力を上げる

 

「天使魔法──エレメンタルブレイカー!!」

 

膨大な四元素と浄化の力を纏わた、一撃必殺の刃を振り抜く

 

ナギは何もせずそのまま受け入れた

 

直撃した瞬間、巨大な爆発と共に津成木町全体に爆発音が轟き渡った

 

「どうだ!!」

 

手応えは確実にあった

 

翼自身少し後悔はあった。しかし、これ以上過ちを犯せない為にはこうするしか方法が無かった

 

『フフ、ツバサ、ナギという子には残念だけど……ッ!?』

 

「嘘…だろ?」

 

爆発で起きた煙が晴れると、そこには無傷で此方を見るナギの姿があった

 

「少しヒヤっとしたけど、案外大した事ないね」

 

土埃を払いながら余裕の表情をしていた

 

「魔力の力だけで防げるなんてね」

 

よく見ると、ナギの体は淡く光っていた。その光は魔力によるもの

 

ナギは体に魔力の層で包み込ませ、純粋な魔力でエレメンタルブレイカーを受け切ったのだ

 

普通の魔法つかいでは有り得ない芸当。魔力のみで防御したとなると、膨大な魔力が必要となる

 

ナギの様子を見る限りでは、汗どころから息すら乱れていない。

到底計り知れぬ量の魔力を保持してる証拠

 

「グゥ…」

 

翼にも限界が訪れる。エレメンタルブレイカーを放つのに全てを込めたのだ。魔力切れを起こしてる

 

それに傷口にから滴る出血

 

「終わりよ!!」

 

ナギが直接攻撃しようとした時、翼を抱いてナギの攻撃を避ける者が現れた

 

「翼大丈夫!?」

 

「マジカル、それにミラクルも…!」

 

「諦めないで!わたし達三人なら大丈夫だから!」

 

「だがどうする?フフの天使魔法も通じない」

 

「あら?いつも強気な翼が弱音を吐くなんて」

 

言い返したい気持ちがあるが、実際マジカルの言う通りだ。此方の持つ全ての手段を持ってしても通用しなかった

 

「わたし達がやってみせる。翼は陽動をお願い」

 

「なっ!?俺が陽動だと!?ふざけん…でッ!」

 

文句を言う翼のおでこに、マジカルは指を弾いた

 

「わたしが守るって言ったでしょ?それにその傷、もう限界に近い筈」

 

「……失敗したら即逃げるぞ」

 

「決まりね」

 

ミラクルとマジカルは左右に散開して、翼は真正面から立ち向かって行った

 

『フフ、残りの魔力を全て込めるわよ!』

 

刀身に四元素と浄化の力を纏わせ巨大な刀身を作り上げる

 

「エレメンタルブレイカー!」

 

今度は遠距離から刀身を飛ばして放った

 

「その程度無駄よ!」

 

魔力を帯びた腕でエレメンタルブレイカーを弾き飛ばした

 

「今だ!!」

 

ナギの後方、青い光と魔法陣が展開されていた

 

 

 

「「フルフルリンクル!」」

 

「「プリキュア !サファイア・スマーティッシュ!」」

 

 

 

水の大激流が発せられた。視覚も不意を突いての魔法。

とてもじゃないが防御する前に攻撃は直撃する

 

そう確信した

 

「タイミングもバッチリ。だけど」

 

グリモワールのページが開き、いつもとは違う輝きを放つ

 

今更何をと思うが、直撃する寸前でミラクルとマジカルの魔法が打ち消された

 

「「え?」」

 

魔力の層で防御した形跡も無い。かと言ってそれ以外の方法で防御した動作も無かった

 

あるとすればグリモワールが光った程度

 

ミラクル達に背を向けていたナギが振り返る

 

「思わず使っちゃったじゃない」

 

いつものグリモワールなら魔術を使う時白く輝いていた。なのに今は黒く光っていた

 

「前に言ったよね、白魔法は『守る為の力』って。ゲゲが言った通り守る力があるなら、その逆である『倒す為の力』もある。それがこの黒魔法」

 

翼やミラクル達は、背筋が凍る程の威圧感を感じた

 

「黒魔法──ゼロ・エンド。私の周囲に、魔法を打ち消す目に見えない結界を張ったの。どんな強力な魔法だろうと意味を成さない」

 

そんなデタラメな事があっていいのかと思いたい気持ちが込み上がる

 

そして痛感する。此方がどんなに手を尽くしても勝てないと、その場に居る者全員が感じた

 

「黒魔法──サンズ・エンド」

 

一瞬で翼の体が切り刻まれた

 

「ぁ…」

 

傷は増え、出血量は尋常じゃない。意識が朦朧としながら、山の中へと消えて行った

 

「翼!!」

 

「黒魔法──デリート・エンド」

 

ミラクルとマジカルの上に巨大な黒い龍の左腕を出現し、巨大な水晶を持っていた

 

龍の手は水晶から手を離しミラクルとマジカルへと手の平を向けて、巨大な魔法陣を展開した

 

「黒魔法──ヘル・エンド」

 

魔法陣から黒炎が放たれミラクルとマジカルを呑み込み、炎が地面へ到達すると爆発が起き周囲を一瞬で焼け野原にした

 

焼け野原の中心には、変身が解けて無様に倒れるみらいとリコの姿

 

戦闘不能と見做したナギは、翼が落ちて行った場所へ移動した

 

「待ち、なさい…!」

 

リコは無理にでも体を起こして立ち上がる

 

「みらい…」

 

横で倒れるみらいを見てもう立ち上がれないと感じた

 

「みらい〜!リコ〜!」

 

避難しただろうモフルンが二人へ駆け付ける

 

「良かったわ…モフルンが無事で…」

 

モフルンの無事が確認が出来て安堵する。そしてリコは歩き出した

 

「何処に行くモフ!?」

 

「決まってるじゃない…翼の所に、行かなくちゃ…!」

 

「そんな体じゃ無理モフ!!」

 

「でも……あんな弱気な翼は見た事ないのよ」

 

 

 

 

 

足を引きずりながらも歩みは止めない

 

自分でも何故ここまでするのか分からない

 

普段から犬猿の仲の関係なのに、ここまで心配するなんて馬鹿みたいに思う。

けれどそうさせているのは、「守ってくれ」と言われたから

 

みらいにならともかく、リコには絶対言わない台詞

 

あの時は勢いよく返事を返したが、今になって思う。

不安や恐怖から出る言葉は、時として頼りたくない者にでもつい溢してしまう本音

 

(居た!)

 

草木を掻き分けた先には、木に横たわっている翼と、その様子を見ているゲゲとフフが居た

 

周囲を確認してもナギの姿は見えない。翼を見失ってまだ来てないのか、それともあのまま帰っていたのか

 

それとも

 

「ゲゲ、フフ、翼は?」

 

『『……』』

 

「二人共?」

 

何も答えない二人に首を傾げながらも、翼に近付き安否を確認する

 

「翼起きなさいよ。翼」

 

揺すっても反応が無い。嫌な予感がしながらも何度も呼び掛ける

 

「翼、冗談はやめてよ。本当は狸寝入りしてるだけなんでしょ…?」

 

『フ、リコ子、あのねツバサは…』

 

「そんな訳ないわよ…だって、だってさっきまで!」

 

『ゲ、人間の最期ってのは呆気ないもんだ。喉を貫かれて即死だもんな』

 

翼の喉を確認すると、確かに何か鋭い物で貫かれた跡がある。

それがトドメとなったのが原因

 

「なんで…なんでなのよぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亡骸の前でリコは泣くことしない今は出来なかった




元はナギを主人公として書くつもりだったが、サブキャラに降格させたんですよね。でも強さとかの設定は引き継いでいるので無駄につおい

下記に黒魔法一覧

黒魔法
サンズ・エンド:斬撃を放つ

ヘル・エンド:黒炎を放つ

アイズ・エンド:黒い眼球を出し、視野の幅を広げる

ゼロ・エンド:全方位半径1m魔法を全て無効化する結界を張る。持続可能だが、燃費が悪く常時使う分には向いてない

ムゲン・エンド:ナギから無数に黒い手を出現させる。各種手から魔法も使える

デストロイ・エンド:魔法陣で作り上げた檻に閉じ込め、内側から至近距離で魔法を放つ。防御は出来るが、回避は不可能。強度も凄まじく破壊するにも一筋縄ではいかない

イーター・エンド:生物の力を奪い自分の魔力にする

サクリファイス・エンド:周囲のあらゆる無機物から力を奪い取る。尚、生き物に対しては効かない

デリート・エンド:巨大な黒い龍の左腕を出現させ、魔法を放つ。その左腕は巨大な水晶を持っている。魔法を放つ際は、水晶が浮かび左の掌又は水晶から魔法を放つ

ホロヴォス・エンド:視野する範囲全体に攻撃する

オール・エンド:大気中の空気を全て人体に損傷を与える猛毒のガスへと変化させる

ワールド・エンド:世界崩壊を巻き起こす程の爆発を放つ。あまりにも強力すぎる為、使う時はいつも加減している
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