魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜 作:シロX
ではスタート!
「翼君お邪魔します!」
「あいよ〜」
「お邪魔するわ」
「我が家に土足で入るなどと、どういう了見だ?」
「ちゃんと脱いでるわよ!!」
校長から連絡があると言って翼の家にやって来たみらい達。
リンクルストーン関連なら、電話程度で済む話なのだが今回は別件で翼にも直接聞いて欲しいとの事だった
リビングに集まりお茶菓子を出しながら、水晶に向かって呼び出された理由を聞く
「校長先生、翼とゲゲにフフもいます。話は何でしょう?」
『うむ。実はじゃな、匿名でじゃがナシマホウ界で悪魔が出現するという情報を得たのじゃ』
「悪魔?そんなのゲゲは何も言ってないが?」
『ゲゲ、おいおいまさか気配で探知出来ると思ったのか?』
「違うモフ?」
『ゲゲゲ、悪魔が出現する時は何らかの現象が起きる。ゲゲ、例えば大量の家畜が死んでるとか、異常気象があるとかな。後は来た証拠として硫黄が残ってるとかよ』
そんな悪魔に関しての豆知識を習ったところで、校長が言っていた「匿名」という人物に気掛かりなリコ
「校長先生、匿名って誰か分からないのですか?」
「馬鹿かお前?分かる訳ないだろ匿名なんだからよぉ!」
「馬鹿は貴方よ!手掛かりを残してるかどうか聞いてるのよ!」
『これ二人共』
喧嘩がヒートアップする前に校長が鎮めさせ、二人はピシャリと言い合いを止めた
『残念じゃが、受け取った情報しか分からない。場所はそちらに伝えるとして、調べるのを頼めるか?』
『フフフ、言われなくてもそれがこっちの役目』
『では、宜しく』
校長との連絡が終わると、悪魔が出現すると思われる位置情報が水晶に送られて来た
「えっと…何処?」
しかしそれだけではよく分からなかった。翼はパソコンを開いて、その場所を検索してみる
すると一軒の牧場が存在する事が判明した
「牧場…なら」
更に詳しく調べる事に。その土地で最近不可思議な事が起こった現象を調べていると、つい一昨日にその牧場で飼育していた牛が、夜の内に半数以上が死んでいたという記事を見つけた
「決まりだな。準備したら出掛けるぞ」
「じゃあ一度家に帰ってほうきとか持って来るね!」
『ゲゲ、リコ坊はオレと残れ。少し気になる事があるから』
「え、でも悪魔が出るならプリキュア の力が必要よ?」
『ゲゲ、二日も前の事件だ。その可能性は低いだろう』
少し不本意ながらもリコはゲゲと一緒に残る事を了承した
////////
その牧場は、ほうきで片道一時間という少し長距離な場所
服も魔法学校の制服に着替えていた。魔法で姿を見えなくする為の処置
「さてと、何処から探索しようか?」
『フフ、王道にいって中から調べる?』
「じゃあそうしよう!」
牛舎の入ると、飼育されている牛が居るのだがその多くは空きスペースが大半だった
「この空いてる所に牛が居たのかな…」
「だろうな…」
「モフ…モフ?」
モフルンは何か見つけた様子で、みらいの手の中から出て走り出した
「これ何モフ?」
「本当だ。黄色い土?」
地面に落ちていた謎の黄色い土。普通の土にしてもまず色が変。そして餌の食べくさしでもない
『フフ、これ硫黄ね。間違いなく悪魔が絡んでるわ』
「なら、何故此処に現れたのか調べる必要もあるな」
それから暫く牛舎の中を捜索し続ける。こんな辺ぴな場所とはいえ、現れた理由が必ずある
「ん?ねぇ翼君、フフ!こんなのが落ちてたけど」
みらいは何か落とし物を見つけて拾った
『フフ、どんな物…!?』
「うわっ、何だよそれ…"ウサギの足"じゃねぇか…」
「え、ウサギ!?」
みらいが見つけたのは、ウサギの足のキーホルダー。翼とみらいは嫌な目をして引いていたが、フフはそれとは違った反応をした
『フフ…何でこれが?でもこれが本物だとしたら、悪魔の狙いは──』
フフがぶつぶつと呟いて考えてると、牛舎の窓を突き破って三人の男性が現れた
「モフ!?」
「そいつを寄越せ」
男達の目が黒くなった。最悪な事に悪魔が三人も現れた
「みらい、モフルン下がってろ!」
「
突然の襲来だったが、翼は冷静な判断で対処をすべく動く。
無謀にも突進して来る悪魔を横ステップで避け、ガラ空きとなってる脇腹に大天翼之剣を容赦無く刺し殺した
(まず一人)
二人目は天使魔法を使って、足場の土で襲い掛かり練り固めた
「ッ!!」
動けなくなったところに力強く剣を突き刺す。悪魔は絶叫を上げながら死んでいく
「……」
死んでいく悪魔を見て少し違和感に気付いた。
人を刺し殺すのに抵抗が無くなってきた
乗っ取られているとはいえ、酷使されてない限り中の人間は生きてる。
それなのに無慈悲に剣を突き立てる
「翼君助けて!!」
が、今はそんな悠長に考えてる暇はない。リコがいないみらいは、プリキュア に変身出来ず只の女の子
「みらい!」
悪魔の背後から斬りかかるがあっさり避けられる。
しかし避けてくれたお陰で、みらいを背にして戦える
「うわっ!?」
けれど、悪魔の念力で弾き飛ばされて壁に激突する。
更にはその拍子で大天翼之剣も手離してしまい、みらいの足元に転がる
「翼君!!」
翼が心配で側に駆け寄ろうとするも、すぐ目の前には悪魔がいる。
みらいは落ちてる大天翼之剣を手に取り、悪魔に向けて切先を突き付ける
しかし恐怖で震える手が、剣を揺らして狙いが定まっていない
「寄越せ!」
「ッ!!」
悪魔が近づこうとした時だった。悪魔は牛糞で足を滑らせて、自ら大天翼之剣に突き刺さりに行く様な形で転けた
「おグゥ!?」
大天翼之剣が心臓を貫き、自滅という形で悪魔は倒された
「みらい大丈夫モフ?」
「う、うん…」
血が滴る大天翼之剣を見て青ざめていた。悪魔とはいえど、人をこの手で殺めてしまったのだ
「みらい、剣から手を離せ」
みらいから強引に奪い取り、なんとかして心を落ち着かせようとする
「仕方ない。みらいは何も悪くないんだ。気にするな」
「ぁ…うん」
「取り敢えず此処から離れるぞ。人に見つかったら言い訳も出来ない」
急いで牛舎を後にして、ほうきで牧場を後にした。
その際、家に居るリコ達にも連絡をするのだった
////////
『ゲゲ、目ぼしい情報はないな』
「悪魔なのによくやるわ」
残ったリコとゲゲは、パソコンを使って悪魔がその牧場に来た理由を探していた
『ゲゲ、逆に聞くが、リコ坊はパソコン使えないのか?』
「へぇ!?で、出来るし!」
『ゲゲ、まぁそれは置いといてだな…周辺地域にも変な事は起きてないしな』
すると十六夜家の電話が鳴り響く
『ゲゲ、多分ツバサだな。リコ坊代わりに出てくれ』
「えぇ」
廊下に出て、受話器を取って受け答えをする
「はいもしもし」
『フフ、リコ子ね。ゲゲは?』
「ゲゲならパソコンを弄ってるわよ?」
『フフ、なら急いで一緒に来てちょうだい。緊急事態よ。フフ、ゲゲにウサギの足と伝言をしておいて』
そう言って、フフは一方的に喋っては切った
「ゲゲ〜、フフから電話で一緒に来てだって!」
『ゲゲ?』
「ウサギの足がって言ってたけど何か知ってる?」
『ゲゲ!?それ本気で言ってんのか!?』
ウサギ足という単語を聞いただけでゲゲは血相をかく
『ゲゲ、急いで行くぞ!!』
それから30分以上の空の散歩を二人でしに、ようやく翼とみらいと合流した
「なぁいい加減教えろよ。ゲゲとフフだけで話を進めるな」
「あ、喉渇いたから何か飲み物買って来るね!」
急にみらいがそう言い出して、近くの自販機へと歩いて行く
それを見届けて、ゲゲとフフは口を開く
『ゲゲ、ウサギの足ってのは"呪いの品"だ。しかもかなり強力な』
『フフ、手に持った者に絶大なる幸運をもたらす品』
「幸運?」
『ゲゲ、アレを持ってるだけで悪魔はおろか、エメラルドだって容易く見つかるくらいの効果だ』
「そんな事ある訳ないわ。たかがウサギの足のキーホルダーを持ったくらいで──」
「皆んな凄いモフ!」
「見て見て!買う度に自販機でアタリが出たの!ほら!」
みらいの両腕にいっぱいの缶ジュースがあった。
恐らく調子に乗って買っては、言った通りアタリを引いたのだろう
「き、きっとみらいが何らかの魔法を使ったに違いないわ!ダメよみらい、魔法を悪用したら!」
「テメェが言うな」
「あとそれとね!いちごメロンパンの移動販売もしててね、立ち寄ったら色々とおまけしてくれたの!」
缶ジュースの他にも紙袋が握られており、中には全員分のいちごメロンパンが入っていた
「…どうやら本物らしいな」
「じゃあ、出来なかった魔法もこれを持って使えば!」
『ゲゲゲ、まぁ出来るんじゃないのか?』
「嘘ぉ…」
呪いの品とはいえ、そんなキーホルダー持っただけで魔法が使えるなどと、リコからしたら理不尽極まりない
「それだと幸運の品だぞ?どこに呪い要素があるんだ?」
『ゲゲ、問題はそのウサギの足を失くした時だ』
『フフ、失くせば幸運だったのが逆に不幸になり、最終的には死ぬのよ』
「え、何もそんな大袈裟な…」
「そうよ。それに、失くさない様にちゃんと持てば大丈夫よ」
翼とリコはそれが一番妥当だと思うが、ゲゲとフフは全くもってそんな楽観的な考えではなかった
『ゲゲ、悪いが
「ねぇ〜皆んな何話してるの〜?」
殆ど蚊帳の外状態だったみらいが、痺れを切らして話の輪に入ろうとする
「ねぇみらい、あのウサギの足は何処にあるの?」
「あ〜それならポケットの中に……あれ?」
ポケットの中に手を入れると、底に穴が空いていてウサギの足が無かった
「みらい!?」
「あ、あそこだ!!」
翼は落としたウサギの足を見つけた。しかし落ちてる場所がグレーチングの上
「わたしが取りに行く!」
そう言ってはーちゃんが取りに行くも、それをゲゲが取り押さえる
『ゲゲゲ!?ダメダメ!!』
「わたしが取りに行くよ……プギャ!?」
代わりにみらいが取りに行こうとしたのだが、段差に躓いて目の前で転けてしまった
しかもウサギの足は、転けた振動で落ちてしまった
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!!」
「みらい大丈夫!?」
「痛たた…」
翼は絶叫し、みらいは転けた拍子で両膝を擦りむいていた
「ちょっと翼、みらいを心配しなさいよ!」
「なら落ちたウサギの足を心配しろよ!」
翼はグレーチングを持ち上げて確認する。不運な事に、水路は水が流れておりそのまま下水道へと流れて行くのが見えた
すぐさま近くのマンホールを持ち上げて飛び込もうとするが、下水道の中は汚いということを思い出して一瞬動きを止める
「みらいのため、みらいのため……取りに行く!フフ来い!」
みらいの為と自己暗示してから、翼とフフは下水道の中へ突入し、暗闇の中へと消えて行った
『ゲゲ、リコ坊、モフ坊、はー坊集まれ』
ゲゲを中心に皆んな集まって、みらいの今後の対応について話をする
『ゲゲゲ、いいかお前達、みら坊は今ウサギの足を失くして不幸に陥ってる。これから幾度となく死に直面するだろう。ゲゲ、だから絶対にみら坊から目を離すなよ』
「分かったわ」
『ゲゲ、よし』
全員がみらいへと向き直るが、首を傾げたくなる光景になっていた
みらいは涙目になってスカートの裾を掴んで立っていた
「…靴無くしちゃったよぉ」
みらいの足を見ると、両方の靴が無くなっていた。
話し合う前までは確かにあったのだ
全員が目を離した隙に何が起きたのか分からないが、原因はウサギの足による呪いだろうと察する
始めは両膝の怪我、次に靴を無くす。
不幸の質はまだまだ程度が低いが、この調子で不幸が続くと数時間後には本当に死んでしまう
「分かったモフ!みらいを家から一歩も出さないで、翼が帰って来るのを待つモフ!」
「それ良いわね!みらい帰るわよ」
「うん──」
返事をした途端みらいが消えた
「へ?」
『ゲゲ、あそこだ!』
何処よ何処よ探してると、黒塗りの車がみらいを連れ去って行った
これは紛れもない誘拐事件
////////
「うぅ…」
目が覚めるとそこは倉庫の中。目の前には男性二人
椅子に縛られて身動きが出来ない状態に陥っていた
「なぁ嬢ちゃん。家の電話番号を教えてくれないか?」
「どうする気なの?」
「分かってるだろ?俺達が欲しいのは金。身代金だよ」
「だからよぉ」
「嫌だ!」
みらいの性格なら当然の返事
その強気な言葉は男達を駆り立たせる
「ヤっちゃう?」
「だな」
男達がみらいに迫り来る時、倉庫の扉が大きな音を立てて破壊された
「み、見つけた!!」
ヘドロだらけで悪臭を撒き散らしながらも、翼がみらいを救いに駆け付けた
「翼君!」
「坊主。正義の味方気取りも程々にした方がいいぜ?」
「テメェら如き、このペットボトル一本で倒す!」
「やれるものならやってみろ!」
一人突っ込んで来るのを見て翼は、ペットボトルを軽く転がした
「フッ!こんなもんでぇぇぇ!?」
男はペットボトルを踏んでしまい盛大に頭から転けて気絶した
「お前!」
殴って来るも翼は最小限の動きだけで避け、転がしたペットボトルを回収する
激怒する男はナイフを取り出した
「舐めた真似をぉぉ!!」
ナイフを振り翳して来るが、翼はペットボトルで対抗して
「何!?」
ナイフの刃を折ってみせた
「ほらよっ!」
ペットボトル投げ、男の眉間に見事当てて後ろへと後ずさる。
そして倒れてる男に躓いてそのまま、背中から転倒
「え?え?本当にペットボトルだけで倒しちゃった」
「秘密はコレだ」
懐から失くしたウサギの足が出て来た。ペットボトル一本で何とかしたのは、ウサギの足の幸運による力だった
「ラッキーボーイってな」
////////
「本当にこんな所でやるの?」
ゲゲとフフに言われてやって来たのは墓地。そこで火を焚、骨灰と粉末とうがらしを墓場で燃やし、その中でウサギの足を焼き始めた
『ゲゲ、これで呪いは消えた。お疲れ様ってな』
「それにしても大変だったわ。あと翼臭うわよ…」
「しょうがないだろ!リコにウサギの足の処分を任せたら、手離した俺まで不幸になっちまう!」
「翼君!」
「何だ!?」
リコの言葉にイライラしてる翼に向けて、みらいは笑顔でこう言った
「助けてくれてありがとう!にひっ!」
「みらいの為なら何だってやるよ」
「……」
翼とみらいのやり取りを見て、リコは少しムッとした。
それは自惚れる翼を見てイラッとしたのか、はたまたみらいが翼に優しくしているのか
この気持ちが何なのか、リコはまだ知らない
「あ、でもリコの言う通りちょっと臭いね」
「さっきの言葉返せ」
「さっさと帰るの!臭いんだから!」
翼の尻を蹴飛ばしながらも、リコ達はそれぞれの家へと帰るのであった
ここまでの拝読ありがとうございました!