魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜 作:シロX
ではどうぞ
第28話 #キュアフェリーチェ
闇の魔法つかい達との戦いに終わり、はーちゃんが行方をくらましてから、時間はあっという間に経って季節は夏
太陽の光りが津成木町を照らして、温度を上げて猛暑となっていた
学校帰りの翼達は、木陰のベンチで休みを入れつつ今日学校での事を話していた
「リコ、一番で凄いモフ!」
「まぁ、予習復習をちゃんとしていれば当然の結果よ…」
期末テストでの結果は、リコがクラスで一位という劇的なものだった。まだナシマホウ界に来て、半年程しか経ってないにも関わらずだ。
リコの性格なら当然だが、それに対して翼はいつもの様に茶化すのであった
「それ、まるで俺とみらいが勉強してないみたいな言い方だな。流石リコだな……魔法はイマイチなのに」
「魔法も頑張るわ…」
翼に対してのキレがイマイチ。いつもならここで、雷が落ちて言い合いが始まるまでが一連の流れ。
この様な事は何も今回に限った事ではない。はーちゃんが居なくなってから、毎日がこの調子。それはリコだけではなく、みらいも同じく元気がない
「それにしても暑いな。汗かいたりするから、夏はとことん嫌になる。やっぱ春が過ごしやすいよな」
「それなら魔法界に引っ越しでもする?魔法学校なら年中春だから、翼からしたら優良物件だと思うけど」
「ずっと春なのか!?」
「えぇ、魔法界は場所によって季節が違うの。補習で行った氷の島・ひゃっこい島ならずっと冬だし」
「氷の島…」
季節の話からひゃっこい島に変わっただけなのに、みらいとリコに加えてモフルンまでも元気を一気に無くす
その時のひゃっこい島での事は、翼はまだ魔法界に来ておらずの為、そこでどのような事があったかは不明。しかし、そのひゃっこい島でもはーちゃんとの思い出はあるみたいだ
「帰る」
「えっ、もう?もっと一緒にいようよ」
「そんな調子で居てもつまらん。俺はお前らと一緒に居るのは楽しいが、こんな暗い雰囲気をいつまででも続けてたら変になる」
「ごめんね…」
「だから…もういい」
みらいに謝らせた事もあるが、いつまでも引っ張っている事に呆れて、早いところ帰宅するのであった
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次の日の朝。津成木町の上空をフラフラと翼が飛んでいた。一向に安定せず、そのまま高度が下がってはとうとう、ある公園の茂みに墜落して行った
『ゲゲゲ、見事な着地だなぁ』
「うるせぇ…」
『フフフ、昨日家に帰ってから休まず飛んでいるからよ。飛行可能な25%、低いとはいえ体にはちゃんと負担が掛かっている。フフ、これだけ飛べたのが不思議なくらいよ』
フフに説教されてるが、そんなのものは無視して、また侵食率25%まで引き上げようとしていた
『フフ、やめなさい。過剰な侵食は生命に関わる』
「だけどよぉ…」
フフの言葉なら素直に聞く翼だが、今回は何故か渋っては言うことを聞いてはくれない。その理由は、ゲゲもフフも知っていた
『フフフ、これも全部あの子達の為?』
「違う、自分の為だ。アイツらには笑顔で居てもらいたい。だから探すんだ。俺やお前ら、みらいにリコ、モフルンにはーちゃん。誰一人として欠けちゃいけないんだよ」
それを聞いて、ゲゲとフフはニヤリと笑っていた。別に変な事は言ってないのだが、そんな二人が気になった
「な、何で笑うんだよ?」
『ゲゲゲ、自分で言ってて気付いてないのかよ』
『フフフ、そんなにあの子達が大切なのね』
「……はぁっ!?」
顔に熱が込もってあたふたと誤魔化し始める。今までの翼らしからぬ行動
「ち、違うし!」
『フフフ……誰!?』
「おい、二人は何で隠れない?」
『ゲゲ、妙な気配がする。悪いものじゃないが…』
和気藹々としてる最中で、別方向の茂みから誰かが近付いて来る足音が聞こえた。嫌な気配ではないが、不思議な気配の為にゲゲもフフも、翼の中に隠れはせずに警戒をしている
そして三人の目の間に現れたのは、翼達と と対して歳が変わらない少女だった
ロングのピンクヘアに、白色と緑色を基調としたオフショルダー型のトップスと蝶の模様が入ったフレアスカート。なんとも可愛らしい姿
少女もこちらに気が付いて、明るい表情をしながら近付いて来た
「やっと会えた〜!落ちて行くの見えたから、リコかなぁ〜って思ったら翼だったよ」
「待て待て待て……お前誰?俺の名前もだけど、何でリコまで知っているんだ?」
「酷いなぁ〜。わたしだよ、わ・た・し!“はーちゃん”だよ!」
翼はじっくりと観察しながら、本当にはーちゃんかどうか見極める。髪色や顔から見ても、その面影が確かにあるにはある。それに声に関しても何処となく似ている
『ゲゲゲ、色々と姿は変わってはいるが確かに…』
『フフフ、嘘はついてなさそうね』
「嘘なんてつかないよ!」
「はいはい。でははーちゃん、おかえり」
おかえりの言葉を聞いて、はーちゃんは勢いよく抱き着いてくれた。よほど会えた事が嬉しかったのだろう
翼も心の中で嬉しく思っていたが、それに水を差したのがはーちゃんだった
「翼なんか臭い」
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徹夜ではーちゃんの事を探し回っていた事もあり、一度休憩も兼ねてはーちゃんと共に家に戻った
「お風呂出て、汗も落としたから臭い匂いは全部取れたぞ〜……おい」
帰って早々にお風呂に入っていた翼だが、リビングに行き着くと、ゲゲとフフがはーちゃんに対してあれやこれやとお世話をしていた
『ゲゲゲ、んだよ』
「それはこっちの台詞だ。何勝手に人の家の冷蔵庫漁って食べてんだよ」
『フフフ、じゃあはー子に何も食べさせない気?』
「はーちゃんはいいんだよ!」
『『やっぱり甘い』』
満腹になって、口元についてる食べカスを拭って、翼もようやく落ち着きはした。ふと、時計を見るとお昼を過ぎていた
「時間も良いし、みらい達の所に行くか。ちょっと電話して来る」
一度翼は退出して、ゲゲとフフははーちゃんとの会話を楽しんでいた
『ゲゲゲ、それにしても、はー坊は大きくなったなぁ』
「わたしからしたら、ゲゲとフフがちっちゃくて見えるよ〜」
『フフフ、立派に育って。将来は美人さんね』
「はー!フフにそう言われるとなんか照れる!」
手早く電話を済ませた翼が戻って来たが、少し苦笑いをしていた
「みらい達は今、ショッピングモールに出掛けているらしい。だから俺達も出掛ける羽目になるが…」
『ゲゲゲ、どちらにしろみら坊達に会いに行くなら、オレ達も出掛けて行った方が手間は掛からん』
『フフフ、はー子は──』
「会いに行こうよ!」
食い気味且つ即答の返事に、三人は思わず笑みを溢す。やはり、みらい達に会いたい気持ちはかなりのもの。それに応えるのも、また翼の優しさ
「行くか!」
「はー!」
「それで、何でショッピングモールに行かないの?」
迷子にならない様に、翼が手を繋いでみらい達を探しに出掛けているのだが、行き先はショッピングモールとは別の方向だった
「簡単な話、入れ違いを避ける為だ。移動中にみらい達は動いてる筈だから」
「そっか〜!」
そんな二人の様子を見るゲゲとフフは、同じ事を考えていた。大きくなったとはいえ、中身はまだ幼いまま。そのせいもあり、本当の親子にも見える
「それじゃあ、何処に行ってるの?」
「ほら、今朝の広場にさ。そこでいなければ、心当たりがある場所へ行けばいい。それにちょっとした散歩にもなるだろ」
『フフフ、考え方が父親ね』
「そりゃどうも…?」
すると突然、空の天気が怪しげな雲に包まれて暗くなってしまった。風に吹かれたというのではなく、明らかに何かが起きてそうなったとしか言いようがない
「少し急ごう」
広場に到着したのだが、そこで思ってもみない光景を目にした。
空は暗く、何故かプリキュアに変身したみらいとリコ。それに相対してるのは、パワーアップしたヨクバールと、ドクロクシーに吸収された筈のヤモーだった
キュアミラクルとキュアマジカル、二人は果敢に奮闘しているが、かなり悪戦苦闘を強いられている
今すぐに助けに行かなくてはと、はーちゃんが歩き出すも翼に肩を掴まれて止められた
「はーちゃんは隠れているんだ」
「わたしだって戦える!」
「どうやって?」
妖精とはいえ戦う力など存在しない。だと言うのに、その自身ありげな言葉は何かと問う。
はーちゃんは自信満々に懐から、一つのリンクルストーンを取り出した。みらいとリコが持つリンクルストーンと、形状は同じだが大まかな色などは違う。特に驚かされたのは、そのリンクルストーンの種類
「リンクルストーン・エメラルド」
「わたし、二人を助けたい」
翼は視線をミラクルとマジカルの方へ向ける
「もう、嫌なの……大切な皆んなとお別れなんて…嫌なの!」
「はーちゃんは、貴方達を止める為に居なくなったのよ。わたしは絶対に、はーちゃんを見つけてみせるって決めたのに、今度はそれを邪魔するの?」
ボロボロになって尚、はーちゃんの為になんとかしようとする意思を感じた。まるで子を思う母親の様に
「スマホンがあれば、わたしは出来る」
「何を?」
「行かせてくれたら分かるよ」
その瞳の奥に、強い意志の感情を見た翼は、はーちゃんの言葉を信じる事にした。不安は拭えないが、リンクルストーン・エメラルドを手にしてる今なら、何が起きても不思議ではない
「無理はするなよ」
はーちゃんは、エメラルドを力強く握ってミラクルとマジカルの元へと歩き出した。そして、エメラルドの力によるものか、はーちゃんの体は緑の輝きを放っていた
それと同時に、ミラクル達が持っているリンクルスマホンからも輝きの反応があり、はーちゃんの手元に引き寄せられた
「リンクルスマホン」
はーちゃんがスマホンを触れると、辺り一面に光りが溢れ、闇に満ちていた空が晴れ晴れと照らし出してくれた
この現象に全員が気付かない訳がない。突然現れた少女・はーちゃんに視線が注目される
「キュアップ・ラパパ!」
「エメラルド!」
「フェリーチェ・ファンファン・フラワーレ!」
魔法の言葉を唱え、リンクルスマホンにリンクルストーン・エメラルドをはめ込む。そして、スマホンの魔法のタッチペンで筆記体の「F」書き、更に言葉を唱えて衣装を身に纏う
ピンク色の髪が左右に伸びて編み込んだ三つ編み形が目立ち、緑を主体に白も配色されたドレス風のコスチュームへと変える。
胸元に緑の宝玉がついた赤いバラのような花が目立ち、背中にはほんのり緑色がついた半透明の4枚羽が付けられていた
誕生した三人目のプリキュア。その名は──
「あまねく
「プリキュアモフ!」
「「えぇ!?」」
「エメラルドのプリキュアだと言うのですか?!」
ヤモーはエメラルドのプリキュアと判ると、目の色を変えて新しいヨクバール「スーパーヨクバール」で、フェリーチェから奪い取ろうと指示を出した
こちらへ向かって来るスーパーヨクバールに対し、フェリーチェは緩やかに歩いてミラクルとマジカルの前に出て、片手でその突進を受け止めた
「…?」
フェリーチェ自身、自分の力に驚いていた。プリキュアに変身して、想像以上の力を手に入れた事を実感している途中。
それを確かめる様に、スーパーヨクバールを天高く投げ捨てた
そしてジャンプして、投げたスーパーヨクバールより跳び上がって地面にへと蹴り飛ばした
「信じられない…!」
地面で倒れてるスーパーヨクバールを見て、ミラクルとマジカルもフェリーチェの強さを間近で驚愕する
先程まで苦戦を強いられていた相手を、簡単にいなしては、一撃で地面に伏している
そこへ、遅れてやって来た翼。フェリーチェの一連の流れを見ていた彼は、特に焦る事なく呼び掛ける
「フェリーチェ、準備運動はその辺でいいだろ。ドカーンと派手に決めろ!」
翼が手を振って、フェリーチェもそれに笑顔で応えた
「翼君!?」
「あのプリキュアと知り合いって?」
ミラクルとマジカルに迫られ、問い詰めされるのをフェリーチェは眺めつつ、未だに立つ事の出来ないスーパーヨクバールに容赦無く止めを差しに行く
「フラワーエコーワンド!」
リンクルスマホンの魔法のタッチペンが、フェリーチェ専用の杖と変化した。
そして、リンクルストーン・エメラルドをセットしてする
「キュアー・アップ!」
そう唱える事で数回エコーが響き、辺り一面に花が咲き誇り、ワンドにエネルギーを最大限まで花から貰う。
∞を描き、収束されたエネルギーを光線と∞を描いたリングを一気に解き放つ
「プリキュア!エメラルド・リンカネーション!」
凝縮されたエネルギーが直撃し、花とリングに包まれて、フェリーチェの手によって呆気なく浄化されたのであった
「新たなプリキュアとは…ですが、私にはドクロクシー様のお力があります。オボエテーロ!」
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「上手くいったな」
「うん!」
翼とはーちゃんは笑顔でハイタッチを交わして、満足そうにしていた。しかし、何も事情を知らないみらい達は困惑していた
突然現れた少女が、リンクルスマホンを使ってプリキュアに変身。それだけではなく、行方知らずのリンクルストーン・エメラルドも所持しているのだ
特にリコからの追求は止まらなかった
「プリキュアってどういうこと?どうしてスマホンを?何でエメラルドを持ってるの?」
「そんなに一度に聞いたって、答えられる訳ないだろ。先ずは一つずつ──」
「翼も翼よ!これはどういう事よ?!」
質問攻めの火の粉は、翼にも降り掛かった。露骨に嫌な顔をして、リコを更に困惑させる
「知ってるなら言いなさい!!」
「落ち着けよ。実はな、昨日皆んなと別れた後にはーちゃんを探したんだよ。そしたら今朝」
翼は両手をはーちゃんに向ける。リコはまだ眉をひそめていたが、みらいはそれを察して正体を知った
「もしかしてはーちゃん?」
ようやく聞きたかった言葉を耳にしたはーちゃんは、最大限の笑顔で二人に向けて抱きしめた
「そうだよ、わたし!はーちゃん!!」
プリキュアとして、キュアフェリーチェとして帰って来たはーちゃん。心にポッカリと空いていた穴はすっかり元に戻り、またいつもの様に過ごす日々が始まるのであった
ここまでの拝読ありがとうございました