魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜 作:シロX
ストック分をこれから投稿するのですが、何せ"ストック"なので前回までの小説の書き方も若干クオリティが下がっております。申し訳ございません
ではスタート
第34話 僅かな命
「……」
一人カレンダーを見つめるリコ。それを見て何を思うか
(もう時間が無い…悪魔の契約をどうにかする手掛かりがまだ見つかってない)
夏休みが突入し七月に入って尚、リコの問題は何一つとして解決どころか進んですらいなかった
(残り時間は三週間も切ってる。早く何とかしないと…)
「リ〜コっ!」
「わっ!?」
真剣にカレンダーを見る背後から、ことはが抱きついて驚かした
「翼達が遊びに来たよ!早く行こ!」
「はいはい、今から行くわ」
リコの返事を聞いて、ことははドタバタと玄関の方へ走って行った
「何とかなるかな…」
「翼〜!」
「ッ!!」
飛びついて来ることはだったが、ゲゲとフフを盾にして抱き付かれるのを防いだ
「危な…」
「はー!翼冷たい!」
「お邪魔した途端ダイブするのは迷惑だ。分かったか?」
「は〜い…」
好奇心旺盛の塊であることはを軽く宥めた後、みらいの部屋へと上がる
「翼君おはよう!」
「今日は何するんだ?勉強に勉強か?それとも勉強か?」
「もう勉強ばっかり!夏休みなんだから、もっとエンジョイしなきゃ!」
「みらい、今日翼を呼んだのは遊ぶ為じゃないのよ?」
すると扉をノックしてリコも話に参加した。どうやら翼を呼んだのは、何か用事があったみたいだからだ
「校長先生からまた連絡があったの。悪魔の予兆が」
「えっ、この前はガバガバで分からないとか言ってたのに?」
「水晶さんのお告げよ。『黄色い眼の者が現れし時、災厄が起こる』と」
「いや、悪魔が来た時点で災厄だけどな」
『ゲゲゲ、それなら心当たりがある。悪魔に関しては目を光らせてたからな』
そう言ってゲゲは、自分の影から地図を取り出してそれを開けた。
所々に赤いマークが記されてある
『ゲゲ、今まで出現、もしくはそれらしい予兆が起きたのを改めて洗い出した。幾つかパターンが見えて来た』
「う〜ん…わたしには分かんない」
「わたしも……あ、もしかして」
ことはが首を傾げるのに同意し掛けた時、みらいがそのパターンを見つけた。少しずつだが、赤い丸は津成木町に近付いている
『フフ、その通りよ。そして最終的に』
「この建物だな。だが妙だな」
翼が指差したのは一軒の家。パターンから行くと、赤い丸の先にその家がぶつかる。しかし疑問を持つ。なにせその家は
「確かこの家、空き家の筈だ」
『ゲゲゲ、そうだな。だがオレはそこの空き家以外に妙なのも見つけた』
ゲゲは地図の海岸の方へ指をなぞり、円を書く。その円を描いた周辺には全く、赤い記しがひとつもなかった。
他の赤い丸の周辺には、幾つもその予兆らしき記しがあるものの、そこには不自然なくらい無いのだ
しかもそこは、少し前に海水浴しに行った場所
『ゲゲ、ここら一帯に悪魔の予兆が全くない。怪しいとは思わないか?』
「じゃあもう一回海行くの?やた〜!!」
『フフ、はー子は呑気ね。でも、はー子の言う通り一回は出向いて調べないと』
「決まりだな。明日にでも出掛けるか」
////////
「はー!また海にやって来たよ〜!!」
『ゲゲ、別に遊びに来た訳じゃないからなはー坊』
流石にまた車で来る訳にもいかず、距離もかなりある為ほうきを使って朝一で浜辺へやって来た
「二手に分かれてみるか。まぁもしもの事を考えたら必然的に──」
翼とことはとフフ、みらいとリコとモフルンにゲゲという組み合わせとなった
「んじゃまあ気楽に手掛かり探しますか」
「「は〜い!」」
手を振ることはを引き摺りなら翼達とは分かれた。
朝早くて少し涼しいせいもあり、みらいは笑顔満点で浜辺を歩き出した
「リコどうしたの?家に居る時からずっと大人しいけど」
「普段、まるで騒がしいみたいな事言わないでよ」
『ゲゲ、どうせ残り時間気にしてんだろう?当たりだろ?』
ゲゲに考えを当てられ、思わず足を止めてしまった
「…大丈夫よ問題ない!悪魔を追って行けば何か分かる筈よ!」
強がりでも何でも、今のリコにはそうでもしないと落ち着かない。
少しでも弱気な所を見せれば恐怖が支配する
『ゲゲ、特に黄色い目の悪魔を追えばな。だがそれで本当に良いのか』
「うん、まだ翼君に言ってないよねリコ」
「まだよ、まだ。変に心配させたくない。それに言えないわ」
みらいとゲゲはそれ以上は言う事は無かった。しかしそれと同時に、これ以上の嘘はリコ自身苦しむ羽目になるのが容易に想像出来てしまう
只々二人はそれが心配だった
探索を始めて数十分が経過していた。みらい達は岩場の方まで行って手掛かりを探していが、これといったものは無かった
一度翼達と合流しようと回れ右する時、何やら話し声が聴こえた
「誰モフ?」
単なる波の音かと思ったが、別段急いでる訳でもないので様子を見る事にした
岩陰から覗く様にして見た光景の先には、70代の男性とまだ若い男性四人が話し込んでいた
「何でこんな所に人が?声掛けてみようか?」
『ゲゲ、ストップだ……奴らの目をよく見てみろ』
みらい達は目を凝らして観察すると、一瞬だが目の色が黒く変わった。
言わずと知れた者達。悪魔達だ
みらい達はそれに驚き、覗くのを辞めてしゃがみ込んで自分の口を塞いだ
身を潜めて何処か立ち去るのを待つ。
今交戦でもすれば、数で一気に不利になる
それでも会話の内容は聴こうとするのだが、イマイチ耳に届かなかった
その様子を見て早数分が経ち、四人の悪魔達がその場から消えた。
話が終わって解散でもしたのだろうと思う
しかし、老人の悪魔だけはその場にまだ残っていた
「立ち退かないわね」
「悪魔一人だけだしわたし達だけで倒しちゃう?」
『ゲ、それなら翼達を呼んでくる』
「皆んな待ってモフ。消えたモフ」
三人は顔を見合わせた後、急いで覗くと確かに姿を消していた
「帰っちゃったモフ?」
「──俺は此処に居るぞ?」
みらいとリコに挟む様に背後から顔を覗かせて、先程の悪魔が声を掛けて来た
「「「「ッ!?」」」」
後退りながら逃げようとするが此処は岩場。逃げ場など何処にもない
「気付かないと思っていたのか?最初から気付いていたさ」
「ゲゲ、どうすればいいの…?」
『ゲ、どうするも何も逃げられねぇよ…』
怯えるみらい達を悪魔はただ見てるだけ。ふと二人から離れると気分良く鼻歌を歌い始めた
「フフン、フフ〜!お前達が噂に聞く伝説の魔法つかいプリキュア。会えて光栄だよ」
「だったら何よ…?」
「変身、しないのか?」
「「え?」」
妙だった。プリキュアに変身すれば浄化されるというのにこの余裕。
何を考えてるのかは分からないが、悪魔自ら変身を要求しているのだ
「だ、だったらやってやるわよ!みらい、モフルン!」
「え、でも、何か様子が変……はーちゃんと翼君を待った方が──」
「待ってられないわ。それに相手が悪魔なら丁度良いわ。聞きたい事があるから」
「リコやっぱり…」
みらいは静かにリコの手を握る。そして覚悟する
「ふぅ……ゲゲ、翼君達を呼んでお願い」
『ゲゲ、持ち堪えろよ』
「うん。とにかく頑張る」
ゲゲが飛んで行くのを見送ると、悪魔はみらいとリコとの距離を置いた
「行くわよ!!」
「うん!!」
『キュアップ・ラパパ!』
『サファイア!』
『ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!』
「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」
「ふたりの魔法!キュアマジカル!」
『魔法つかいプリキュア !』
「「たあぁぁ!!」」
二人一斉に飛び出して拳を放つが、後ろから何かに引っ張られる様な感じをし、悪魔の目の前で止まった
「「ッ!?」」
「リンクルストーンを使ってプリキュアに変身しているのか。よく出来た魔法だな。けど」
悪魔はミラクルとマジカルに、軽くデコピンを当てると大きく吹き飛ばされ岩盤に減り込んだ
「所詮は人間の力。ちゃんとした力を持つ者でなければ宝の持ち腐れだ」
「「うぐぅ…!」」
更に念力で押し込まれ殆ど身動きが出来ない。
しかしそんな状況でもマジカルは気合いで体を動かした
「リ、リンクル・ペリドット!」
葉っぱの吹雪が悪魔を囲い込むが、一瞬で葉っぱを腐らせて魔法を無力化した
「もっと本気を出していいんだぞ?ん?」
「「クッ!」」
挑発されて黙ってる訳もいかないが、念力で身動きが出来ない。
知ってての仕打ち
悪魔はゆっくりとマジカルへ近付き、首を掴んでそのまま持ち上げる
「知っているぞ。お前、取り引きしたってな?そろそろ時間が来る筈だ」
「何で、知ってる…!」
「悪魔と言ってもちゃんと報告・連絡・相談が出来てるからな。しないものなら即ボンだ」
「貴方一体何者なの!?」
「俺は『アザゼル』」
瞳の色が黄色に変わった。それは上級の悪魔の証拠。言葉に重みがあったのも、自分が強大な力を持っている故の態度
「ミラクル!マジカル!モフルン!」
呼び声と共に、マジカルとアザゼルの間に割って入る者達が二人
翼とフェリーチェだった
介入により、アザゼルはマジカルから手を離して一度距離を置いた。
念力も途絶えてミラクルの体も自由となった
「マジカル大丈夫ですか?」
「げほっ!げほっ…ありがとうフェリーチェ…」
「テメェは黄色い目の悪魔!」
「…なるほどな、お前が天使と悪魔を従えさせる人間か。そこのプリキュアを犠牲にしての人生は心地良いか?」
「だ、ダメ!!」
「────は?」
それは翼にしたら初めて聞いた話題。もはや意味の分からないこと
けれどミラクル達からしたらそれは禁句の言葉。今までずっとそれを隠して来たと言うのに、明るみになるというのは意外と呆気ないものなのだ
「何だ?悪魔の取り引きの件で聞きたいんじゃなかったのか?」
「翼耳を貸さないで!!」
「耳を貸すも何も話の内容が見えないんだが…?」
「まさかお前知らないのか?自分がどうやって生き返ったのかを?」
「生き返っただと?それって俺が一度死んだって事なのか?俺がいつ死んだんだよ」
「そうか、どうやら本当に知らない様だな。なら全部話してやろう。しかし外野がうるさくなりそうだがら、少し口を閉めてやらねばな」
アザゼルがミラクル達に手の平を向けると、何かに押し付けらる様に地面に這い蹲ってしまう
「テメェ!」
「なにもそんなに怒る事はないだろ?折角お前の知らない事、ソイツらが知りたかった情報を言うと言うのに」
「おねが、い…!やめて…ぇ…!」
「聞いた話だとお前一度魔術を使う人間に大敗したんだってな。覚えてるだろ?」
「まさか…!いや、だってあの時確か、フフの治療で何とかなったって…」
「それが嘘だったんだよ。あの時本当はお前は死んだんだよ」
ミラクル達の方へ振り返ると目を逸らされた。嘘か誠など、その様子を見ただけですぐに察した
「普通死んだ人間は生き返らない。だがな、悪魔との取り引きで生き返れるんだよ。なぁリコ……すまない、今はキュアマジカルと言った方が良かったか?」
「あ…ぁぁ……」
アザゼルはわざとマジカルだけ念力を解いて自由にさせた。しかし、自由になったとはいえ動かなかった
「…取り引きって何だよマジカル?」
「それは…その……」
「ゲゲ、フフ何か知ってるんだろ?」
『『……』』
翼の問いにマジカルは口籠もり、ゲゲとフフは沈黙を選んだ
「お〜い黙っててもいいが俺は構わず言うぞ〜?」
「教えろ!!」
「キュアマジカルは三ヶ月の魂と引き換えにお前を生き返らせた。と言っても、もう三週間くらいだがな」
「何を馬鹿な事を……なぁマジカ──」
マジカルに違うと言うと視線を向けたが、その本人が俯いてばかりで目も合わせてくれなかった
「……もう少しお前達のいざこざを、ポップコーン片手に観戦したいとこだが生憎俺も忙しい身でな。お前達が欲しがっていた情報を特別にやろう」
アザゼルがそう言うが翼とマジカルには何も聴こえていなかった。
それでもアザゼルは親切に教えてくれた
「全ての契約を握っているのは『リリス』だ。リリスに会えば少しは変わるかもな」
「そのリリスと言うのは何処に居るのです?」
「悪いがそれは無理だ。アイツの事は少々苦手だがそれでも同志だ。ではな」
「待って!!」
ミラクルとフェリーチェが手を伸ばすも、念力で押さえられ届かなかった。
動ける翼とマジカルも追うとはせず、立ちほうけていた
////////
「リコ、こっち見ろ」
威圧的な態度加え、隠し事がバレてしまいリコは怯えていた。
こうなる事は、隠し事がいつかバレるというのは覚悟していた
何とかなると
だけど実際それを目の当たりにすると、どうにもならなかった
「リコ話を聞いて──」
『ゲゲ、オレが全部悪い!リコ坊に提案したのはオレだ!だから責めるのは──』
「──黙れ」
冷酷な瞳はゲゲの体全体を貫き何も言わせぬとした
「リコ言うんだ。何があった」
「…わ、わたしはただ翼の為と思って…」
「俺の為?自分の為じゃないのか?」
「……」
「まぁそんな事はどうでもいいか。ちょっとリコ来い」
翼は大きく両手を広げて優しく抱きしめた
「俺達家族なんだから隠し事なんて水臭いぞ。家族だから支え合うんだ」
「家族って、それははーちゃんがわたし達に言っただけ。そんな深い意味は無いし、そもそも血が繋がってないし…」
「何言ってんだ、俺達は家族だろ。血の繋がりが全てじゃない」
「そうだよリコ!」
「リコも皆んなも家族だよ!」
みらいもことはも、両側からハグして優しく包み込んだ
そして思う
翼の言う通り、血の繋がりだけが全てじゃない事を
「俺達、家族皆んなでリコを助けるんだ」
次回もこの調子でやって行きます
ここまでの拝読ありがとうございました