魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜 作:シロX
ではスタート
「クソッ!リリスの手掛かりが無い!何でだ!!」
あれから二週間と翼達はリリスに繋がる手掛かりを手探りで探してるが、これと言っていい程の有力なものは無かった
校長にも魔法界の方で探してるはいるのの全く持って無い
今日もまた十六夜家で、無駄な時間がただ過ぎて行くだけで何も無い事に、翼は苛立ちを覚え始める
「翼落ち着いて。ゆっくりでいいのよ」
「無理だ!早くしないと…そもそも何でそんなに落ち着いてる?」
「だって残り二日よ。もう諦めたって──」
「何とかする!何とかするから諦めんなよ!頼む…!」
「…うん」
翼はまた一人で自室に篭りっきりとなってしまった
「リコリコ」
廊下の影でみらいが手を振って呼んでいた。リコは首を傾げならも側に寄ると、いきなりみらいに軽くチョップされた
「みらい何するのよ?」
「翼君頑張ってるんだよ。リコがそんなんじゃ翼君可哀想だよ」
「そんな事は知ってるわよ。でも本当に…」
「わたし達は諦めてないよ」
ひょっこりとみらいの後ろからことはが顔を出す。その瞳は真剣そのものだった
「わたしにみらい、翼にゲゲ、フフ。皆んな皆んな家族だから。リコが諦めても、わたし達は絶対に諦めないよ」
「…じゃあわたしももう少し頑張ってみる」
リコはリビングへ歩いて行ったが、みらいは未だに心配していた
(殆ど諦めちゃってる。わたし達の言葉じゃ届かないの…?)
場所は変わって魔法界では、校長は魔法図書館でリリスに関する本を探していた
「ふむ…天使や悪魔の伝記はあるが、特定の者を探すやり方というものはない様じゃな…」
校長の周りには何百という数の本が散乱していた。
それが意味するのは、何十時間も掛けては読み漁っているのが確か
「此処に無ければ知識の森に行けばあるかも…」
「リリスの居所なら知ってるわよ?」
「お主はッ!?」
「お久し振りです校長先生」
振り返るとナギが本を読みながら笑っていた
「一体いつから…」
「ん?さっき。それよりも、リリスが居る場所なら教えてあげますからリコ達と話せますか?」
「…よかろう」
校長もリコから話を聞いている。ナシマホウ界に現れては、一度翼を手に掛けた事も全て
そんな相手に連絡をさせるのは不本意だが、何か情報を掴んだのならそれを優先するしかない
校長は水晶で連絡を取り合ってみたところ、応答したのはモフルン、ゲゲ、フフの三人だった
『校長先生モフ!』
『ゲゲゲ、そっちから連絡となると何か見つけたのか?』
「そうなるが、あまり怒らないでくれたまえ」
「は〜い皆んな!」
ナギが姿を現すと、ゲゲとフフは殺気立った表情となった
『フフ、これは一体どういう事?』
「それより皆んなを集めてくれない?有力な情報、リリスの居所が分かったの」
難しい表情をするが、リリスに関する情報を提供すると言っているのだ。疑いはするが仕方なく言う通り集める事にした
『で、俺を殺した奴の話は本当に信用出来るのか?』
「酷いね。まぁ当然の反応よね?でも断ったらお終いよ?」
ぐぅの音も出ない。リリスを倒す事がリコを救うに繋がる唯一の手段。
それを手放すなんて事は翼には出来ない
「私も助けたいのよ。えっと場所はナシマホウ界の……津成木町の隣町の一戸建てよ」
『分かった準備するぞ』
「無闇に突っ込んでも返り討ちに遭うだけ。私なら悪魔を無力化出来るから待ちなさい。少し時間掛かるけど」
『そんな悠長に待ってられるか!!』
「な、待ちなさい!!」
時間に余裕が無く、喋りよる途中だろうが構わず連絡を絶ってしまった
「…どうなっても知らないわよ」
そしてリリスが居着いている家では────
「ねぇマ〜マ〜!ご飯はまだなの〜?」
「え、えぇもう少しで出来るわ…」
まだ小学生の娘に急かされ食卓に並べる母親。普通ならこの光景は微笑ましい団欒なのだが、少し様子がおかしかった
料理を運ぶ母親の手は怯える様にして震えていた
家族皆んな、両親に祖父母も揃った食事が始まるが場は恐怖と混乱で支配していた
「じゃあ食べようか…?」
「その前に待ってパパ……隣の叔父さんに助けを求めたのは誰?」
娘の言葉に全員が凍り付いた
「お爺ちゃんだよね?一人じゃ出来ない。誰か手伝った?」
祖父は助けを求める様に両親の方へ顔を向けるが
「わ、私知らない!お爺ちゃんが勝手にやっただけ!!」
「そ、そんなお前!!」
「何でそんな事するの!!」
娘の激しい怒りの叫びと共に眼が白くなり、お爺さんの方へ手の平を向ける
「あ゛、あ゛ぁ゛ゃ゛……!!」
すると目や鼻や口端から血が溢れ始めそして
「────ッ!!」
「キャァァァ!!!」
娘が拳を握ると、お爺さんの頭が弾け飛び肉片が辺りを汚した。
頭を失くして胴体が食卓にもたれ倒れる
流れる血が温かい料理を冷やしていく
「言う事聞かないならこうなるのよ……ねぇママ、わたしパイが食べたいな!」
////////
次の日の夕方、翼を先頭にリリスが居着いてるという場所に来ていた
少し離れた場所で家の周りを観察しているのだ。
その観察の甲斐あってか、家の周りには数は少ないが見張りの悪魔が居ることを確認した
「予想通り見張りが居るな。だが隙を突いて殺せば…」
「翼やっぱり無茶よ。ナギを待った方がいいわ。何か作戦があると言っていたし」
「もう数時間しかないんだぞ!やるんだ」
「リコやろう」
「うん…」
『キュアップ・ラパパ!』
『ダイヤ!』
「エメラルド!」
『ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!』
「フェリーチェ・ファンファン・フラワーレ!」
「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」
「ふたりの魔法!キュアマジカル!」
「あまねく
『魔法つかいプリキュア!』
「
「おい」
「──ッ!?!」
密かに裏口に回り込んで、見張りの居る悪魔の口を塞ぎ煉魔之刀剣を突き刺した。
声が漏れる事なく静かに事を収める
動かなくなった悪魔は引き摺って、誰かに見つからない場所に捨て置いた
正面からの侵入は困難を極める。そこで一番手薄である裏口から侵入するというもの
「ゲゲ頼むぞ」
『ゲゲ、任せろ』
翼はドアの鍵穴に指を近付けさせ、指先から黒い針を穴に通した
するとカチャリという施錠が解けた音がした。
ゆっくりとドアノブを回すと、ドアが開いて難なく中へと入る事に成功した
「よし、フェリーチェは俺と来い。ミラクルとマジカルは一階の様子を見て来てくれ」
翼はフェリーチェを連れて二階へ上がって行く。
ミラクルとマジカルは警戒はしながらも、リリスが潜んでる場所を探し始めた
「誰も居ない…」
「それに真っ暗モフ」
「…二人共来て」
マジカルが何か見つけ、ミラクルとモフルンはその台所へと向かう。
そしてそこでの惨状に思わず目を逸らしてしまう
「ひっ!」
「これは…」
食卓の上で倒れる頭の無い死体。この家で何かがあったのかは明白。
そしてもう一つ手掛かりを見つけた
食卓の上に僅かだが黄色い粉、硫黄がある事を
「急いで翼達に知らせないと!」
「フェリーチェあっちの部屋を見てくれ」
「気を付けて下さい。何か嫌な雰囲気がします」
翼は部屋を開けては居ない事を確認して静かに退出する
次の部屋の扉を開けると、そこは子供部屋だった
ベッドにゆっくりと近付くと、母親が怯えて此方を見ていた。
そして口パクで訴え掛けていた
この子を殺して欲しい──と
翼は煉魔之刀剣を構えて切っ先を子供へと向ける
本当に殺すが、最後の確認としてもう一度母親へと視線を移すと、それを受け入れる様に首を縦に振っていた
そして思いっきり煉魔之刀剣を上げて、突き刺そうとした時寝ていた娘が飛び起きた
「キャアァァ!!」
『ゲゲ、待て!待つんだツバサ!ソイツはもう悪魔じゃない!人間だ!』
突き刺す直前でゲゲがその事に気付いて止めに入り、殺すのを一旦やめた
同時にフェリーチェが慌てて入って来る
「翼大変です!外が悪魔で溢れ返っています!」
「何!?」
翼は母親と娘を連れて一階へ降りる
「フェリーチェはこの親子を何処か安全な所に避難させるんだ」
「ですが、外には大量の悪魔が…」
『フフ、この家に地下があるわ。フフ、その地下に避難させて、騒ぎが収まるまで隠れる様にしなさい』
「分かりました!」
フェリーチェはその親子を連れて地下へと向かった
「ミラクルとマジカルは家具を倒して扉を封鎖するんだ!」
いくら伝説の魔法つかいプリキュアといえど、大量の悪魔となると簡単に倒されてしまう。
気休め程度にしかならないが、少しでも悪魔の侵入を阻止してこの場を切り抜ける打開策を今すぐ考えなければならない
「地下へと誘導しました!次は──」
フェリーチェの言葉に時計音が遮った。その時計は12時を指していた
つまりは
「時間切れね…」
マジカルは手に持っていた家具を投げ捨てて、何もかも諦めた表情を浮かべる
「そんなのダメだよマジカル!」
「まだ何か策が!」
ミラクルとフェリーチェが元気付けようとするが、マジカルの心には届かなかった
「何勝手に諦めてるんだよ…ふざけるな!!」
「聞いてよ翼…」
「俺達はお前が大切だから今日まで頑張ったんだ!それを今更投げ捨てろ言うのか!?」
「だってしょうがないじゃない!!」
翼の叫びを遮る程の大きな声でマジカルが止めた
「…みらい、今までありがとう。貴女と出会えて良かった」
「リコ…」
「はーちゃん、ちゃんと皆んなの言う事聞くのよ」
「…はい」
「モフルン、皆んなの事頼んだわよ」
「モフ…」
「そして翼」
マジカルの瞳は潤んでいた。しょうがないと言って諦めてるが、それを本心じゃない事も自分がよく一番知っている
「しっかり皆んなを助けるのよ」
「…ああ分かったよ」
「ゲゲとフフも、翼のフォローしっかりね」
ゲゲとフフも小さく頷いた
その時だった。一枚の窓ガラスが内側へと割られて何かが侵入した
『グルゥゥゥ…!!』
しかしその姿を捉える事が出来ない。見えないのだ。何か獰猛な獣らしき声が聴こえるだけで
『ゲ、地獄の猟犬が入って来やがった…』
「それどう言う奴なんだ?」
『ゲゲ、悪魔にしか見えない凶暴な犬だよ』
どうやら悪魔であるゲゲにはハッキリと視認出来るようだ
爪を立てる音がして、爪痕が床に残る
『フフ、マズいわね逃げるわよ!!』
その合図で両者一斉に駆け出した
目に見えない相手に戦う術が無く、残る選択肢は逃げの一手だけ
家中駆け巡り、一つの部屋へと滑り込みで入り扉を閉める
「何でもいい!扉を塞ぐんだ!!」
ミラクル達もそれを手伝い、バリケードを作り上げた。しかし猟犬の力は強く、扉越しとはいえバリケードが揺れ動く
「マジカル水晶を貸せ!」
翼は水晶でナギを呼び出した
「お前の勝ちだナギ!早く悪魔を無力化出来る方法を教えろ!今すぐにだ!」
『無茶言わないでよ。その場に居ないと効果は無い上、時間掛かるのよ?』
「だったら早く助けに来い!!」
そう言ってナギとの連絡を切った
「翼…」
「こうなったら俺が囮になる!その隙にマジカルを運び出すんだ!」
「翼一旦落ち着きなさい!逃げ出すなら皆んなで!」
「わ、悪い」
切羽詰まった状況下で、翼の判断が鈍り始めるのをマジカルが何とか止めた
頭が冷えた所でゲゲに何か助力を声を掛けようとしたが、その様子に違和感を感じた
「ゲゲどうした?さっきからミラクルばかり見て」
『ゲゲ、どうにも…』
ゲゲはずっとミラクルを見つめていた。瞳の奥まで覗いていると
「フフ!」
ミラクルが不敵に笑い、それを見てゲゲは疑惑から確信へと変わった
『ゲゲ、コイツはミラクルじゃない!
ミラクルの瞳が白く染まり次の瞬間、翼とフェリーチェは左右の壁に、モフルンは天井に貼り付けられ、マジカルは後方とそれぞれ四方向に吹き飛ばされた
「この野郎…!」
「クッ…!動けません!」
「モフゥ…!」
「そんな…一体いつから?」
「最初から。お前達が間抜けにも家に侵入して来た時からだ」
リリスはミラクルの体の感触を確かめていた
「忌々しいプリキュアの体だが、憑依したのは正解だったようね。さて」
リリスは扉を塞いでいた障害物を退かした。これでいつでも猟犬が入れる
「やめろ…その扉を開けたら容赦無く殺す!!」
「この体もそう言ってるわ。さっきから頭の中で必死に抵抗して叫んでる。でももう終わり────切り刻んでやりなさい」
リリスが扉に手を掛けて開けた途端、目に見えない猟犬が飛び出してマジカルに襲い掛かった
「──ッッ!!?」
脚に噛み付かれ振り回し、強靭な爪で腹を裂き、肉を抉り、内臓が散乱する。
叫ぼうものなら喉を噛みちぎり、声を出させない様にして押さえ付ける
「やめろ…やめてくれぇ……!」
翼がそう力なくお願いするもそれが止まる事なく、フェリーチェとモフルンは目を背けていた
助けを求めようと必死にマジカルは翼に手を伸ばそうとするが、とうとう力尽きてその手が届く事はなかった
尚それでも猟犬はマジカルを食い散らかす。死のうが死ぬまいとお構いなしに
それは翼達の心をへし折るのに充分な材料なのだから
だけどそんな姿を見るのが嫌で精一杯の声を上げ続ける
「やめるんだ…やめろ──やめろォォォ!!」
「良いわよ」
瞬間、リリスは翼に手を向けて閃光を放った。
大きな爆発が起き、壁ごと破壊されて瓦礫の下敷きとなってしまった
「翼!!」
「憑いてるのが、悪魔だろうと天使だろうと所詮人間なのよ。私には敵わな…い……?」
翼も死んだと確信していたが、それは外れる事となった。
瓦礫の中から腕が這い出て、血まみれで翼が中から出て来たのだ
「ハァ…ハァ…」
「そんな死んでないだと…?あり得ない!」
「……」
翼はゆっくりとリリスへと近付き、煉魔之刀剣を振り上げる。
中身はリリスだが、憑依されてるのがミラクルだと分かっててやっている
ミラクルの為を思うなら絶対に致命傷となる傷は絶対に付けない
そう思いたいのだが、目の前に居る男を突き動かしているのは憎悪。
一体何をしでかすか予想が出来ない
それに例え致命傷ではなくとも、傷が付けばリリスにも痛みが走り、苦しむのは容易に想像がつく。
そして最後には絶対に殺される
此方の力が通用してはいるが、それでも何度でも立ち上がる。
それに恐怖し、いつの間にか一歩、また一歩と後ろへと下がっている
「クッ────ッッ!!」
そして選んだ選択は、今すぐにミラクルの体から出て行き逃げる事だった
ミラクルの口から黒い煙が溢れ出て、全て吐き出すと変身が解けて翼へと寄り掛かって気絶した
「「ッ!」」
リリスがその場から消えた事で、フェリーチェとモフルンを抑え込んでいた念力が無くなり自由となった
「みらい〜!」
「大丈夫だ、今は気絶しているだけ。それよりも……」
みらいをモフルンに預けて翼は、無残な姿と変わり果てたリコへと腰を落とす
「リコ…ごめん……リコぉ……っ!」
涙を見せながら、亡骸となったリコを抱きしめて自分の弱さを痛感する
恐ろしく暗く、雷鳴の様な音が鳴り響くとても広い場所に、鎖が貫通して拘束されている少女一人が助けを求めて叫んでいた
「誰か!助けて!!」
その場所は、永遠に終わる事の無い拷問を受け続ける場所。
決して光りなど見られない底
「モフルン!はーちゃん!みらい!!」
悪魔との取り引きをした人間が、死んで行き着く先は決まっていた
「つばさぁ……────誰か助けてぇぇぇ!!!」
そこは地獄だった
ここまでの拝読ありがとうございました