魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜   作:シロX

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今回はかなり短めです

ではスタート


第36話 翼の復讐

「どうしてこうなってしまったんだ……」

 

「どうしたもこうしたも、翼が先走って起きた事実よ」

 

「──ッ!!」

 

翼はナギに掴み掛かり殺意の目を向ける。何も出来なかった自分に悔しさもあり、本来その目を向ける相手を八つ当たりの様にナギに移し替えていた

 

「お前が早く来さえすれば!!」

 

「翼がもう少し待っていれば良かったのよ」

 

「この──」

 

「止めて!!」

 

殴りと飛ばそうと構えたが、みらいが腕に飛び付いて寸前で止めた

 

「貴方がこうして家に帰れてるのは誰のお陰?」

 

翼とナギの睨み合いが続くが、なんとかみらいが引き剥がした。翼もそれは重々知ってはいる。それでもこの怒りが収まる事は無い。膨れ上がる一方

 

「チッ…!」

 

「翼君!」

 

「待って翼!」

 

翼が部屋から退出するのを見て、ことはがその後を追い掛けた。

ナギと共に残されたみらいとモフルンは、どうして良いか分からず立っている事しか出来なかった

 

 

 

「ねぇ翼…」

 

呼び止められた翼は振り向いてくれたが、その顔は何かに取り憑いた様な怖い表情をしていた

 

「俺は諦めねぇぞ。地獄だろうが何だろうが、リコを必ず連れ戻す!必ずだ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

それから二日の時間が経った

 

翼は寝る間も惜しんで調べ尽くすのだが、これといった手段が何一つ無かった

 

最終手段として悪魔に取り引きを持ち掛けた事もした。

だが、それを受ける悪魔は一人としていなかった

 

次にどうするべきか悩んだ結果、一度校長の話も聞くべくみらいから水晶を借りる為朝日奈家へと足を運んだ

 

家に上がり、みらいの部屋に入ろうとドアノブに手を掛けた時だった。

中からみらいとナギの話し声が聞こえて来たのだ

 

普通に入って何の話をしているか訊けば良かったのだが、この時は何故か聞き耳を立てる事にした

 

 

「みらい聞いて。リリスが次に現れる場所を特定したの」

 

「…それでどうするつもりなの?」

 

「私一人で行く。あ、危険なのは承知よ。でも翼に行って暴走するよりかはマシだと思う。こっちには奥の手があるから」

 

「それで場所は?」

 

「意外と近かった。此処、津成木町よ。夜11時に現れる」

 

 

(津成木町にリリスが……夜の11時)

 

翼は思わぬ情報を掴んだ。今此処で部屋に入れば、盗み聞きしたと怪しまれる可能性が高い。

それを避ける為に、翼は静かにその場から立ち去ろうとしたのだが、背後に居る人物の存在に気付かなかった

 

「翼何してるの?」

 

「…はーちゃんか」

 

「?」

 

「大丈夫だ」

 

翼はことはの頭を撫でて帰って行った。通りすがる翼に思わず振り返った。そして、そのすれ違いざまで翼の表情が見えた。

どこか物寂しそうで、苦しそうな顔

 

 

 

 

 

その夜、翼はリリスが現れると思われる家の前に張り込んでいた

 

『ゲゲ、本当に誰にも言わずに良かったのか?』

 

「言ったら止めに来る。だからだ」

 

『フフ、ワタシ達が束になっても敵わないのよ?どうするつもり?』

 

「不意打ちだ」

 

ゲゲとフフが二人して溜め息をついた。やはり身勝手にさせたのが間違いだと

 

ふと翼の視線が二階の窓へ向けられた。その窓の部屋には、その家の住人ではないブロンドの女性の姿がハッキリと見えた

 

「見つけたリリスだ!!」

 

翼は物陰から飛び出しては家の玄関まで走り出す

 

「クソッ!鍵が掛かってる!!」

 

『ゲゲ、それならオレの魔法で──』

 

ゲゲが手を貸そうとするが、それよりも翼が玄関の扉を蹴り破る行動の方が早かった

 

『ゲゲ、おいおい…』

 

「奴は何処だ!?」

 

リリスが居ると思われる二階へと上がり、廊下を歩いていると一つの部屋から誰かがバットを持って飛び出した

 

「うおりゃ!!」

 

「ッ!?」

 

翼は間一髪の所で避けた。殴り掛かって来たのは、その家の主人であった

 

「お前誰だ!?泥棒か?」

 

「違う!取り敢えずこの家から出るんだ!リリスを殺す為に来たんだ!」

 

「何を訳の分からない事を!!」

 

「フフ!」

 

咄嗟に名前を呼ばれて、フフが魔法を使ってツタで主人を拘束した

 

「大人しくしててくれ!」

 

主人を無力化して、とうとうリリスが居ると思われる部屋へと侵入した

 

「…懲りないわね」

 

「見つけた!!」

 

姿は完全に大人のブロンド女性だが、中身はリリスが取り憑いている

 

更にオマケに、近くには母親とその子供まで居た

 

「どうする?人質…のつもりではなかっけど攻撃すれば──」

 

まだリリスが喋っている途中だったが、煉魔之刀剣(れんまのとうけん)での斬撃が先に出た。

不意を突かれてリリスに直撃はしたものの、その攻撃は通り抜けて効かなかった

 

「あらそう。じゃあ」

 

リリスが指を鳴らすと、部屋が一気に燃え広がった

 

「何っ!?」

 

「今回は逃してあげる。早く逃げないと親子共々焼け死ぬわよ?」

 

「ふざけた事を──」

 

食って掛かろうとした時、窓ガラスを突き破ってフェリーチェが乱入した

 

「翼ダメです!今すぐ親子と一緒に避難を!」

 

「おいフェリーチェ!!」

 

フェリーチェに強引に引かれて、翼は親子達と一緒に家の外へ連れ出された

 

外では、主人と共にみらいとモフルン、ナギも一緒に居た

 

「フェリーチェ離せ!リリスがまだ!!」

 

「行って何をするというのですか!?」

 

「殺す!リコの仇を取るんだ!!」

 

「それでどうなりました?何も準備しないまま結果どうなりましたか?貴方のその身勝手な行動で、どれだけの人達に迷惑を掛けたと思っているのですか!!これ以上、わたし達を振り回さないで下さい!!」

 

「それでも……差し違えてでも俺は!」

 

「皆んながわたしを育ててくれました。リコと同じ過ちを、もう繰り返したくはありません。親を心配する子の気持ちが分からないのですか?」

 

自分やフェリーチェの言う事を一切聞かない翼を引き寄せ、その頬に一発叩いた

 

それでやっと落ち着いたのか翼の動きが止まった

 

振り返りリリスが居る部屋に視線を向けて何も出来なかった叫びを上げる

 

「クソッッ!!!」

 

 

 

 

 

////////

 

翼の家に帰って早々、家具を蹴り飛ばしては八つ当たりで荒れていた

 

「次だ、今度こそ奴を殺す。はーちゃんの言う様に、万全の体制を整えた後で仕掛ける」

 

「もう…やめようよこんな事」

 

その言葉でこれまでの怒りが爆発した

 

「ふざけるな…ふざけるな!お前はリコの大切な友達じゃなかったのか?この中でリコの事を思っていたお前が、お前がそれを諦めるのか!?今更全て投げ捨てろと言うのか!?ここまでやって来た意味は何なんだよ!!」

 

「だって、だって辛いだけだもん…っ」

 

自分の泣き顔を見られまいと、翼の胸に顔を預けて自分の気持ちも吐き出した

 

「リコが何の為に悪魔と取り引きしたと思ってるの?翼君を思ってだよ……なのに翼君が居なくなったら、リコがした事が全部無駄になるよ…っ…」

 

「みらい…」

 

「わたしも…わたしもリコに会いたいよぉ……っ」

 

みらいの気持ちをようやく悟り、翼は完全に落ち着きを取り戻した。

そして現実を受け入れ始める

 

「…分かった。もう何もしない。何もしないよ」

 

「翼君…ありがとう…」

 

翼とみらい、二人はゆっくりと身を寄せ合いその手を絡み合わせるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある森の中

 

「──ッ!!」

 

そこで、地面から一つの腕が這いずり出た




ここまでの拝読ありがとうございました
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