魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜   作:シロX

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ではスタート


第37話 反撃の狼煙

あれから三日の時間が経った。

ヨクバールや悪魔の出現も無く、ありふれた平和がそこにはあった

 

翼も何事も無く気持ちは落ち着いて、今まで以上にみらい達と接する事が多くなった

 

特に、リコが居なくなって気持ち的に不安定だった翼とみらいに関しては、二人の間に深い関係を築き始めていた

 

そして今日も

 

「ほらみらい買って来たぞ。いちごメロンパン」

 

「ありがとう翼君!はい、はーちゃんも!」

 

「はー!ありがとう翼!」

 

翼から袋を貰い、みらいからことは、モフルンへといちごメロンパンが行き渡る

 

「いちごメロンパンは美味し…むぐっ!?」

 

「「「はーちゃん!?」」」

 

パンを喉に詰まらせ苦しむことはに、翼は水を与え、みらいは背中を優しく摩って楽にさせる

 

「は〜…危なかった!」

 

「はーちゃん、いちごメロンパンは何処にも行かないからゆっくり食べるモフ」

 

「は〜い!」

 

ことはは、ふと翼とみらいに視線を向けると二人は仲良く会話していた。

それを見てことはは少し違和感を感じながらも、黙って見守っていた

 

「ねぇ二人共、夜にお話があるんだけど良いかな?」

 

 

 

 

 

その夜、翼とみらいはことはに何故か外に呼び出された。

他愛の無い話なら部屋の中ですれば良いのだが、今回はそういう内容ではなかった

 

その証拠に、ことははプリキュアに変身してモフルンと一緒に待っていた

 

「フェリーチェ?」

 

「またヨクバールでも現れたのか?」

 

「…」

 

フェリーチェは何か言おうとするも口籠もっていた。

何かを言おうか言わまいかと、直前になって迷っていた

 

けれど意を決して翼に、今自分が思っている事を吐き出した

 

「もうやめましょう。そういうのは…」

 

「そういうのって?」

 

「…」

 

フェリーチェは黙って指を差す。その先には、翼とみらいが指を絡めて手を握っている

 

「リコが居なくなって寂しい気持ちを埋めたくなるのは分かります。わたしやモフルンも同じ気持ちです。ですが、寂しさを紛らわすのにそれはあんまりです!リコが可哀想です…」

 

「……」

 

側からみれば、仲良くしてると思いきやその実態は違う。

あの日以来、みらいとの接触がかなり増えただけではなく意識も向き始めてる。リコの代わりを補って忘れようとしているのだ。特に翼にその傾向が見られている。

 

それはリコを侮辱しているのと同じ

 

「わたし達は友達で家族です」

 

「『家族』や『友達』って言葉を、何でも水に流せる万能薬にするな」

 

「それはどういう意味ですか…?」

 

「そもそもの原因は、その家族や友達っていう関係が俺達の邪魔をしている。だから嘘は付くし、こんな風に歪み合う」

 

「この関係を辞めたいって事ですか?」

 

「今すぐに辞めるべきだ。一緒には戦う。だがもう今までの様な関係には戻れない」

 

「それが、翼の答えと言うのであれば…」

 

フェリーチェは翼へとゆっくり近付き、お腹に手を添える。

翼が首を傾げてる間に、フェリーチェは手に力を込めて吹き飛ばした

 

「っ!?」

 

突然の事で翼は受け身を取る事なく、硬いコンクリートの上を転がる羽目となる

 

「リコは貴方の事が大切だから助けたのです。自分の身を危険に晒しても。それを忘れろと言うのですか?」

 

「…なら、お前は俺に何をさせたい?生き返らせる手段も無ければ、仇すら討てない俺に…俺に何を求める!?」

 

フェリーチェは優しく翼を抱きしめた。引き剥がそうとするが、耳元で啜り泣く声にその手を止める

 

「寂しいなら寂しいと言って下さい。口に出す事で楽になる事もあるんです」

 

「……最悪だ。本当に、最悪だ」

 

自分の心の中を悟されて、気分は言葉通り最悪の二文字に尽きる。女の子一人守れない事に、そんな女の子の事すら頭の隅に追いやって

 

そんな事するのは本当に最低で、最悪なこと

 

「分かった。ちゃんとリコの事も胸に刻み込む。もう二度と忘れない」

 

「翼」

 

「──けれど吹っ飛ばした事は忘れないぞ。娘の反抗期か?反抗期なのか??」

 

「プッ…!」

 

先程のピリピリとした空気から一変して、みらいが吹き出して笑ってしまうくらいに平穏には戻った

 

「あ、ごめん!大事な話をしてるのに」

 

「…いや、少し頭が冷えた。フェリーチェの言っている事は間違ってない。でも一つだけ間違っている事がある」

 

翼はみらいに近付いて抱きしめて告白する

 

「俺はみらいが好きだ」

 

「え、ちょ翼君!?」

 

「──あの〜、良い雰囲気の所悪いんだけど」

 

気が動転するみらいに、話の腰を折って助け舟を出して入って来たのはナギだった

 

「結構大事な話があるけど」

 

「今か?」

 

「今しかない。寧ろこの機を逃したらちょっと面倒。良い報告よ。悪魔が屯してる場所を特定した」

 

それは願ってもない情報。けれどナギの報告はこれだけではなかった

 

「それとお客さんよ」

 

お客と呼ばれた人物は、ゆっくりとナギの影から出て来た

 

そしてその人物を見て目を見張る。当たり前だ。何故ならその人物は、本来は死んでいて此処には居ない筈の存在

 

「リコ!!」

 

みらいが一番最初に飛び込んで泣き崩れる

 

「良かった…良かったリコぉ〜!!」

 

 

 

 

 

////////

 

みらいの部屋に戻り、リコが居なくなった日から起きた出来事を全て話した。

フェリーチェとの歪み合いも嘘をつかず全て

 

「えっ、翼がみらいの事を…?」

 

「んだよ?」

 

「…みらいはどうなの?」

 

「わ、わたし!?えへへ、なんか照れるねぇ〜」

 

『フフ、満更でもないって感じね』

 

和かなみらいに、リコは少し表情が曇り始める。何を思い、何を感じ取ったのかは本人にも分からない

 

ただ一つだけ言えるとしたら

 

(何でこんなにもモヤモヤするの…?)

 

その感情だけだった

 

「ところでどうやって生き返ったんだ?俺達は何もしてないが…」

 

「へっ?あ、あぁそうね…実のところわたしにも分からないのよ。起きたら地面の中に埋められていて」

 

『フフ、取り引き無しで生き返らすとなると幾つか浮かぶけど、問題は誰が何の為にリコ子を生き返らしたか、よ?』

 

その心当たりについては全くもって検討が付かない。今この場に居る人物達でないとするなら、魔法界の誰かがしたのか、はたまた悪魔の気紛れか

 

『ゲ、それも気になるが一応置いといておこう。ナギ、奴らの居所を見つけたんだろ?ゲゲゲ、早く話しやがれ』

 

リコの事で頭いっぱいだったが、ナギはかなりの有力情報を言ってくれてる事を思い出す

 

「「「そうだった!」」」

 

「えぇ…三人共忘れてたの?」

 

翼、みらい、はーちゃんの様子にリコは少し口元を引き攣っていた

 

「結構近くよ……この下」

 

「わたしの家!?」

 

「違う違う。さらにその下」

 

『ゲゲ、おいおいそれって地面の中とか言うんじゃないだろうな?』

 

「津成木町の地面奥深くに城を構えてる。あ〜地獄じゃないわ」

 

地面の中となると、恐らくなんらかの魔法か何かを使って潜っている。

それも誰にも気付かれず

 

「よし、リコも復活したんだし乗り込むぞ!」

 

「はー!」

 

「そこ二名落ち着きなさい」

 

ことはのほうきに翼も跨がって窓から飛び出そうとした時、ナギにほうきを掴まれて一度ストップした

 

「復活したけどリコには休養が必要よ。せめて明日の夜にしなさい。その方が誰にも見つからずに済むから色々楽になるわ」

 

 

 

 

 

その後、翼は解散して家で休んで居ると窓の外からノックする音が聴こえた

 

部屋のカーテンを開けると、リコがほうきで乗って居た

 

「こんな夜更け何だよ…こっちは眠たいんだ…ふぁ〜」

 

「ちょっと二人っきりで話したくて」

 

「そうかよ。中に入れ。冷えるから」

 

靴を脱いでほうきから部屋へと跨いで入った。

翼が机の椅子に座り、リコがベッドに座って対面する形となる

 

「ゲゲとフフは寝てるから二人っきりだ。どうぞ」

 

「……翼は本当にみらいの事が、その…好きなの?」

 

「おい勘弁してくれよ。その為にわざわざこんな時間にノック掛けたのか?」

 

「わたし真剣に聞いているんだけど」

 

「好きだ。これで満足か?」

 

「あ、うん…応援してるね」

 

リコはどことなく諦めた表情をして、そんな彼の事を考えて応援する決意をした

 

けど心は、本音はそう簡単に変わるものじゃない

 

「なぁ、今日は帰って寝ろ。お前だって地獄から蘇ったんだ。ナギの言う通りゆっくりしたいだろ」

 

「わたしは翼と……分かったわ」

 

何か言い掛けたリコだったが、結局言いたい事を言えずじまいで帰って行った

 

 

 

 

 

////////

 

「は〜い!皆んないる〜?」

 

ことはの呼び声で全員一列に並んで、隣の人が居るかどうか確認する

 

「はーちゃん今夜中。少しは声を抑えろ」

 

只今の時間は深夜の12時過ぎ。良い子は寝る時間帯なのだが、翼達にはやらなければならない事がある

 

それが終わるまでは安眠は許されない

 

『ゲ、地下…というより下に行くにはどうするんだ?』

 

「扉があるモフ?」

 

「そこは私の魔術でこんな風に」

 

 

 

 

 

「「「わあっ!?」」」

 

「ととっ!」

 

「こんな風に」

 

指を鳴らしたと思ったら、突然の何処かの城の扉の前に瞬間移動した

 

「ナギすご〜い!」

 

「此処にリリスが……」

 

『『…』』

 

拳握る翼から今まで以上の殺気を放ち、ゲゲとフフは少し引いていた

 

「行くよ皆んな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みらいがドアノブに手を掛けてその扉を開けた




少々無理矢理の入り方でしたが、まぁ良いでしょう

ここまでの拝読ありがとうございました
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