魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜   作:シロX

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魔法が存在するんだから悪魔が居たって不思議ではないだろうと思い、この小説では普通に出て来る

ではスタート


第5話 黒い眼

魔法商店街を歩いてると雨が降り、翼達は適当な店の前で雨宿りをしていた

 

「濡れちゃった。モフルン大丈夫?」

 

「大丈夫モフ。みらいのお陰モフ!」

 

「早く帰らないと風邪を引いちゃうわ」

 

「それなら一度私の家に来る?そこなら雨風を防げる魔道具置いてあるけど?」

 

「嫌!!」

 

折角防げる物があると言うのに、リコはナギの家に行く事を拒否して取り止めになった

 

『ゲゲ、リコ坊もさっさと帰らないと風邪を…ゲ?』

 

「ゲゲ?」

 

『ゲゲ、ツバサ見てみろ』

 

ゲゲの視線先には、雨具の使用もせず只茫然と立ち尽くす男性が居た

 

『ゲゲ、何やってんだ?』

 

「声掛けた方がいいかな?」

 

「それなら俺に任せろ」

 

みらいの代わりに、翼が雨の中を走って行く

 

「おいアンタ、そんなとこで立ってると風邪引くぞ」

 

「……」

 

しかし男性は口を開こうとしない。無反応だ

 

「……」

 

「おい、いい加減に──」

 

痺れを切らした翼が男性の肩を掴んだ瞬間

 

 

 

 

「翼も帰って来ないモフ」

 

「仕方ないわ。わたしも一緒に──」

 

リコが一歩前に足を踏み出した時、翼が勢いよく目の前まで転がって来た

 

「「翼(君)!?」」

 

「ぐぅ…ぅ…っ!」

 

「一体どうしたの!?」

 

ナギが肩を貸して立たせる

 

「分からん。肩を掴んで顔を覗こうとしたら、何もされてないのに突然吹っ飛ばされた!」

 

『ゲゲ…もしかしてアイツ』

 

「誰か分かるモフ?」

 

『ゲ、目を見れば、な』

 

話してる間にも男性は悠然と歩いて来て近付いて来る

 

「来るわよ!」

 

翼は煉魔之刀剣(れんまのとうけん)を抜き、ナギがグリモワールのページを開けた時起こった

 

男性の姿が瞬きしてる間に音も無く消えたのだ

 

「何処に──」

 

翼とナギの間、そこに男性がいつの間にか潜り込んでいた

 

「「ッ!?」」

 

そして男性が両手を払う様に手を振ると、二人は呆気なく吹き飛ばされる

 

「翼君!」

 

「ナギ!」

 

みらいとリコが左右に散った二人を助けに行こうとした

 

しかしそれよりも早く男性の手が伸びる

 

「あっ!」

 

「モフ!?」

 

「みらい!?」

 

捕まったのはみらい。男性はみらいの首を締め上げ持ち上げる

 

「あが…っ!」

 

「みらいを離すモフ!」

 

モフルンはみらいの腕からするりとすり抜け、男性の脚にポカポカと叩く

 

「可愛いぬいぐるみ。でも」

 

「モフ〜!?」

 

モフルンも何かの力により簡単に吹き飛ばされた

 

「お前達の事はよく知ってる。プリキュア だろ?」

 

「な……で、し…て」

 

「『何で知ってるか』って?悪魔の情報網を舐めては困るな」

 

「あく…ま…ぁ…!」

 

「この人間に取り憑いている。まぁそんな事はどうでも良い。悪戯に少し付き合って貰おう」

 

男性、もとい悪魔は更に力を込めてみらいの首を絞める

 

けれど、その間に割り込む様に煉魔之刀剣が投げられる

 

悪魔はその手を引き、みらいから距離を置く

 

「みらい大丈夫か!?」

 

「けほっ…う、うん」

 

「…あの野郎!」

 

煉魔之刀剣を持ち、ゲゲとの侵食率を20%まで上げる

 

「気を付けて、あの人悪魔って言ってた!」

 

『ゲゲ、やはり悪魔か…』

 

「お前は裏切り者の悪魔じゃないか」

 

取り憑かれてる男性の目が黒くなった

 

「黒い目…」

 

『ゲゲ、取り憑かれた連中は皆んな目が黒くなる』

 

「取り敢えず、みらいはリコとモフルンの所へ行って変身しろ」

 

「おっと戦うのか。そんなお前達に良い事を教えてやろう。その小僧が持つ刀なら悪魔を殺せる。しかし器となってる人間も死ぬけどな」

 

「そんな…」

 

『ゲゲ、とにかく変身するんだな。どちらにしろ、戦わないと死ぬだけだ』

 

翼が駆け出した。刀を峰の方に持ち替えて振り下ろす

 

「おっと!」

 

けれど悪魔は簡単にその攻撃を避ける

 

「ッ!」

 

「よっ!ほっ!」

 

当たるどころか掠りもしない

 

「その動き、さては実戦経験が無いと見た。この程度で悪魔を殺すなんて夢のまた夢だ」

 

余裕のつもりか避けながら喋り出す。実際、幾らゲゲの力を得てはいるといえど、最終的に経験がものを言う

 

ガムシャラに振り続ける翼を、悪魔は弄んでいる

 

「けれど今がチャンスよ。リコ、モフルン、みらいの所へ」

 

「分かってるわよ!」

 

リコはモフルンを抱えてみらいの所まで駆け付ける

 

「やるわよみらい!」

 

「で、でも…」

 

「気持ちは分かるけど、わたし達も戦わないと」

 

「う、うん…」

 

少々乗り気では無いが、みらいは仕方なく変身する事を決めた

 

 

 

「「キュアップ・ラパパ!」」

 

「「ダイヤ!」」

 

「「ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」」

 

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

 

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

 

 

「「魔法つかいプリキュア !」」

 

 

 

「「やぁぁ!!」」

 

悪魔の戦いにミラクルとマジカルも加わり、人数的に有利となった

 

「中々面倒だな。だが」

 

「「ッ!?」」

 

ミラクルとマジカルの拳を、悪魔は片手で受け止めた

 

「所詮人間」

 

(ビクともしない!)

 

(何て力なの!)

 

「コイツ!!」

 

「お父さんお返ししますよ!」

 

突っ込む翼だったが、投げ捨てられるミラクルとマジカルに巻き込まれて地面に倒れてしまう

 

「クロス・ビギニング!」

 

横からX状の光のビームが放たれる。悪魔はそれを普通にジャンプしただけで回避した

 

「チッ、外した!」

 

「魔術にしては良い威力。だが一直線の攻撃は当たらない」

 

因果斬り(カルマぎり)!!」

 

今度は黒い斬撃が放たれる。しかし悪魔は避けなかった……というより避ける必要性が無かったのだ

 

斬撃は悪魔の横を通り過ぎて行った

 

悪魔は地面に着地して首を傾げる

 

「わざと外したな」

 

「な訳ねぇだろこのタコ!」

 

今のは当てるつもりで放った一撃。しかし外したのは大勢に問題があった

 

今翼は、ミラクルとマジカルの下敷きになっている。その状態での攻撃なのだ

 

「外れちゃったね」

 

「何処狙っているのよ!」

 

「はいはいすまないな、いいから退きやがれ!!」

 

『…ゲ、オレに一つだけ考えがある。しかしこれは…ゲゲ、賭けになるがな』

 

「何だよ?」

 

『ゲゲ、悪魔も闇に属する者。プリキュア の力ならヨクバールみたく浄化出来るかもって話だ。効かなかったら終わりだがな』

 

三人は少し考えたが、反対する気はなかった

 

「それしか無いならやるしかないわ」

 

「きっと大丈夫だよ!皆んながいるんだから!」

 

「ナギには……戦いながら伝えるか」

 

三人は立ち上がり構えを取る

 

『ゲゲ、ツバサ、侵食率を40まで上げるぞ』

 

「慎重なお前がグイグイ来るな」

 

『ゲゲゲ、奴の強さは少しおかしい。悪魔にしては強すぎる』

 

「まぁ、どうでもいいが」

 

 

『ゲゲ、煉魔之刀剣──侵食率40%!!』

 

 

更に黒いアザが翼を染めてゆく。右半身は完全に侵食され、首元まで広がった

 

「うぐ…っ!!」

 

『ゲゲ、やっぱ短期戦だな。ゲ、ミラクル、マジカル、勝負は一度きりだ。張り切れよ』

 

「「分かった!」」

 

「…行くぜっ!」

 

翼を大きく広げて悪魔へと高速で近付く

 

「ほらよッ!」

 

「ッ!?」

 

突然の身体能力の上昇に悪魔は不意を突かれ、頬を掠めた。

焦げた跡の様な切り傷がそこにあった

 

「オラ!オラ!!」

 

「クッ…調子に乗るなよ人間──」

 

翼に集中してると、突然何者かが背後を取った

 

「なっ!?」

 

「隙あり!!」

 

背後からナギが超高速で接近し回し蹴りを食らわす

 

「ぐぅ…!」

 

「白魔法──ゾーン・ビギニング。魔力で脳を刺激し、強制的にゾーン状態へ至らせる。ごめんね、私って天才なの」

 

「自分の事天才って言うのかよ…」

 

「無駄口叩く暇があるなら動く動く。狙いは分かったから」

 

「自分に刺さってんぞ!」

 

翼は低空飛行で、ナギはその足で駆け抜ける。攻撃はするが、とにかく傷付けず対応する

 

「ッ!」

 

「ク…人間がここまで力を付けてるとは予想外。ならここは退かせて──」

 

「行かせないわ!!」

 

翼が後退し、入れ違いでナギが前に出る

 

手を伸ばし服の袖だけでも捕まえようとするも、悪魔は後ろへと下がりあと一歩のところで届かなかった

 

「残念」

 

「お前がな」

 

悪魔が一歩後ろへ下ったその足元から、魔法文字の鎖が飛び出した

 

「ッ!?」

 

完全に不意を突かれ反応が遅れた。鎖が足首を捕らえると更に鎖が伸び、悪魔の身体中に巻き付ける

 

「良い作戦。けれど、この程度で悪魔を封じてるつもりなら──」

 

『ゲゲゲ、とっておきは最後まで取っておくからとっておきなんだぜ』

 

翼とナギの二人は、自分達の後方へと目を向ける

 

そこでは変身を解いたみらいとリコが居た

 

そしてもう一度モフルンの手を二人で繋ぐ

 

「モフルンお願い!」

 

「モフ!」

 

 

 

「「キュアップ・ラパパ!」」

 

「「ルビー!」」

 

 

 

ダイヤスタイルからルビースタイルへチェンジするのを確認すると、翼とナギはその場から離脱する

 

 

 

「「リンクルステッキ!」」

 

「「ルビー!」」

 

 

「「紅の情熱よ!わたし達の手に!」」

 

「「フルフルリンクル!」」

 

「「プリキュア !ルビー・パッショナーレ!」」

 

最大級の一撃を込めた技は悪魔へとぶつかる

 

「ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!?!!」

 

螺旋状の赤いリボンに包まれると、悪魔は絶叫し、体から煙を出してそのまま力を無くして倒れた

 

 

 

「これで終わり、なの?」

 

「悪魔に乗っ取られた人は!?」

 

ナギが男性に近付き安否を確認する

 

「…生きてる。どうやら成功の様ね」

 

「「やったー!!」」

 

「ゲゲの言う様にプリキュア なら、器である人を傷付けず倒せるって訳か」

 

『ゲゲ、だが、ツバサとナギ坊が派手にやらかすから器である人間の体はボロボロだ』

 

ナギは男性の体をよく調べる。すると、至る箇所で打撲や骨折をしているのが判明した

 

「それなら任せて。白魔法──ホーリー・ビギニング」

 

手から淡い光を発すると、徐々に傷だった男性の体を癒やして回復させていく

 

「そんな事も出来るんだ〜!」

 

「フフ、白魔法は主に守る為の力よ」

 

『ゲゲ、それなら相手を"倒す"魔法…と言うより魔術も存在するんだな。ゲッゲッゲ』

 

そう言われてナギはゲゲへと視線を移す

 

「…取り敢えずこの人は私に任せて。皆んなは校長先生にでも報告するのね」

 

ゲゲの質問にナギははぐらかした。ゲゲも適当に質問だけだったのでそれ以上追求はしなかった

 

「っと、その前にミラクル」

 

ナギはみらいの首へ光を当てる

 

「痕が付いてたから治癒しといたよ」

 

「ありがとう!」

 

「ありがとうナギ。ほら翼、わたしのほうきに乗りなさい」

 

「悪いなミラクル。乗らしてもらう」

 

マジカルを無視してミラクルのほうきに跨る

 

「わたし!わたしが言ってるのに何で!?」

 

「自殺願望には早過ぎる。俺はまだ死にたくない」

 

「何で落ちる前提で話して……もしかしてミラクル?」

 

「わ、わたし何も知らな〜い!」

 

「うぅ〜もういいわ!そんなにわたしのほうきに乗るのが嫌なら、今後何があっても一切乗らせないから!」

 

そう言ってマジカルは魔法学校へと一人飛ばして行く

 

「あ、待ってマジカル〜!」

 

ミラクルはモフルンも乗せた後、全速力でマジカルの後を追い掛けるのであった

 

ナギはそれを笑顔で手を振って見送り、改めて男性へと視線を移す

 

「さて、この人をどうするか…」

 

取り敢えずナギは、近くで治療が出来る場所へ移そうかと考える

 

その時だった

 

 

『──』

 

 

「?」

 

何かの声みたいのがナギの耳に聴こえた

 

「だ…れ……?」

 

グリモワールが熱く熱を持ち始めた

 

グリモワールから黒とは生温い程のドス黒いオーラが滲み出る

 

そして表紙には、骨の様な刻印が刻み込まれた

 

「何、この刻印?」

 

すると黒い煙りが刻印から溢れだして、ナギの体を包み込む

 

「え──」

 

そして男性を残して、ナギの姿はその場から消えてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの日が、ナギにとって最後の安らぎの時間だった




次はサファイア!

ここまでの拝読ありがとうございます
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