魔法つかいプリキュア! 〜奇跡と魔法と幸福の翼〜 作:シロX
ではスタート
もうすぐ最後の補習授業が始まろうとする
しかし、教室の中はどんよりとした空気が漂っていた
翼とみらいはもうすぐナシマホウ界へ帰る事となる。
例え帰ってしまっても、カタツムリニアが有ればすぐ会えると言うが
一方でリコは重たい表情をしていた
「ブッサイクな顔。どうしたんだ?」
「…悪いけどそんな気分じゃないの」
「みらいがナシマホウ界に帰る事に不満があるのか?」
「ッ!?」
リコは思わず顔を上げてしまった。これでは言っているのと大差変わらない
「最初から分かってた事だろ?何寂しくなってんだよ。馬鹿みたい」
「翼はせいせいしてる様ね。当然よね、わたしとは喧嘩ばかりだし今だって…」
「人の気持ちを勝手に決めつけるな」
「え、じゃあ翼も──」
リコの話の途中、それを遮ってアイザックが教卓の前に現れた
「では、これより授業の説明をします」
////////
最後の補習内容はリズと補習組全員との魔法対決。
帽子に着けてある「びっくり花」を先に咲かせた方の勝ち。その花は魔法を感じるとすぐ花開くといった変わった花
補習組が誰か一人でも花を咲かせれば全員合格。
しかし、全員花を咲かせられたらその時点で終了となり落第となる
ほうきを乗る事も許されてる為、広く開けた所に移動して最後の授業が始まる
この補習授業にはアイザックの他、校長や教頭も見守っていた
それに
「あれ、翼は参加しないの?一応補習授業は受けてきたんだよね?」
ナギもその場に居た
「杖は無い、ほうきも乗れない。俺に一体どうしろと?」
「ちょっとリコより残念過ぎない?」
「それ絶対リコに言うなよ」
「はいはい。それよりも」
改めてみらい達へ向き直る
「それでは位置について、よ〜い……試合開始!」
アイザックの合図でみらいが単身飛び出した
「お〜始まって早々みらいが飛び出したね」
「そうだな」
二人はみらい達の勇姿を見届けながら会話を弾ませる
「そういえば、悪魔が襲って来た日から見なかったが何処に居たんだ?リコが訪ねても留守だったらしいが」
「多分入れ違いね。外に出る事が最近多くなったから。それよりも…」
ナギの目付きが鋭くなった
「天使を連れてるそうね。一体何処で?」
「校長の紹介でな」
「ふ〜ん」
「何だよ?」
「別に、入手経路を知りたかっただけ。あ、劣等生共が脱落したわ。いい気味。これが見たくてわざわざ出向いたのよ。これだけで冷凍みかん10個はいけるわ」
「お前酷いな」
「それは翼もでしょ?リコに対して」
二人が話してる間にも試合は進んで、残るはみらいとリコだけとなっていた
「いよいよ大詰めね。リズさんは本当に手強いから大丈夫かな?」
「何言ってる?みらいとリコだぜ?それだけで何も心配する事ないだろ」
「えぇ、そうね」
「キュアップ・ラパパ!」
「「花よ!」」
「「「咲きなさい!」」」
上空、三人は交差しながら魔法を直接当てに行き
「あっ!」
それが功を奏して、リズのびっくり花が咲いた
ルールに基づき、これで補習組は全員合格を勝ち取った
「お遊戯は終わりましたか?」
合格の余韻に浸る中、それを水を差す様にバッティが現れた
「魔法入りました!出でよヨクバール!」
みらい達の合格証と咲いたびっくり花を使い、蛾にも似たヨクバールを生み出した
先生達は急いで魔法の絨毯を使って皆んなを逃す
それでもしつこく追い掛けて来る
「取り戻さなくちゃ!」
「わたし達の合格証!」
翼も立ち上がりみらい達と戦おうとすると、後ろからナギと校長に肩を掴まれて座らされた
「おい!」
「皆が居る」
「目立ったら面倒だから引っ込んでなさい。代わりに私が出る!」
「「キュアップ・ラパパ!」」
「「ルビー!」」
「「ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」」
「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」
「ふたりの魔法!キュアマジカル!」
「「魔法つかいプリキュア !」」
ミラクルとマジカルは絨毯から飛び出して、ダブル攻撃でヨクバールを地面に落とした
だがヨクバールも羽を広げて体を起こした。そして腹で二人を叩き潰す
「「ッ!!」」
自分達よりも大きい体を、二人で支えて耐え忍ぶ
「プリキュア 、所詮戦う力があったところでヨクバールを倒せるのはたった二人。どんなに足掻こうと何の意味も無いのですよ!もういい加減諦めてしまいなさい」
「前のわたしだったらそうしてたかも知れない。でも!」
「この春休み、わたし達二人で色んな事を乗り越えて来た!」
「一緒だったから挫けずに頑張れた。だから、これからもどんな事だって」
「「二人一緒なら、諦めたりしない!!」」
二人の想いが重なり、今まで以上の力を発揮してヨクバールを地面へ叩き付けた
「ならばヨクバール!空に飛ぶのです!」
距離を取れば空を飛べない今のルビースタイルに勝てると踏み、ヨクバールは大きく羽を広げて飛ぼうする
「白魔法──ブジン・ビギニング!」
それを読んでか、ナギは空から魔術を行使する。
背後から魔法陣が幾つも現れ、中から大量の武器が召喚、そして射出される
羽は勿論、体を切り裂かれるヨクバールは蹲って動けなくなった
それをチャンスと見た、ミラクルとマジカルの反撃が始まる
「「リンクルステッキ!」」
「「ルビー!」」
「「紅の情熱よ!わたし達の手に!」」
「「フルフルリンクル!」」
「「プリキュア !ルビー・パッショナーレ!」」
「ミラクル、マジカル…」
モフルンが二人に近付こうとするが、翼がモフルンを抱き上げて止める
「モフ?」
「今だけは、二人一緒にしといてやれ」
////////
そして別れの時間は刻一刻と近付こうとしていた
翼とみらいとモフルンは、ナシマホウ界行きのカタツムリニアに乗って見送られていた
「本当に、もう行っちゃうのね…」
「アタイさ、ナシマホウ界に憧れてるんだ。何度も抜け出そうとして失敗してさ」
「それで、出世日数が足りなくなったの?」
「うん。絶対遊びに行くからな」
そして教頭から、翼とみらい二人にある物を渡される
「魔法学校の生徒手帳です。お二人共、如何なる時、如何なる場所でも我が校の生徒として恥ずかしくない振る舞いをする様に」
「ありがとうございます!」
「有り難く貰っときます」
「実はわたし達からも渡したい物があって!」
ケイ達から、モフルンにお手製の帽子とケープを貰った
「皆んなとお揃いモフ!ありがとうモフ!」
「そういえば、リコさんとナギさんは?」
「ナギは見送りには行けないって言っていた。けど、またすぐ会えるとか言ってな」
そしてリコだが、彼女中でもう別れは済ませており此処へは来なかった
とうとうカタツムリニアが動き出す時間となった
「食べる?冷凍みかん。平気だよ、また遊びに来ればいいし!」
「そうか。でもな、我慢を平気だなんて言うな」
いつの間にか、みらいは大粒の涙を溢していた
会えない訳では無い。けれどそう簡単に会える訳でもない
そんな思いを噛み締めてると、窓の外に人影が
「リコ!」
「はーちゃん!」
「どうして?」
「わたしも行くわ!ナシマホウ界に、貴女達の世界に!」
リコも必死にほうきで飛んでるが、カタツムリニアの速度に追い付けずにいる
みらいは急いで最後尾車両へ向けて走り出した
翼もそれを追い掛け、車両扉を開けるとリコが乗り込んで二人仲良く抱きしめていた
「約束だよ!ず〜っと、ずっとずっと一緒だよ!!」
「だから、そう言ってるでしょ!」
そんな微笑ましい光景に、翼も口が綻んでいた
暗い部屋の中
そこでナギはグリモワールを正面に何か喋っていた。
そして表紙の刻印が紫に光っていた
「本当にしなければならないの?」
『──』
「…本当はしたくない、けど運命を受け入れろと言うのね」
『──』
「いいわ。それが望みなら私は迷わず実行する。ナシマホウ界に行くわ」
ナギはグリモワールとMAHOCAを持ち出した
「みらいやリコには悪いけど、私もそのバトルロワイヤルに参加するわ。今度は敵としてだけどね」
今回で魔法界編は終了で、次回から第二章。次回から日常回が書きやすくなる
ここまでの拝読ありがとうございました