死界は異なる世界にも 作:ゴツゴツクリスタル
日曜日の朝。
八重樫雫は猛烈に急いでいた。
「あしたが楽しみだったからって4時まで起きてる事はないわよぉ!」
明日の事を考えていたら4時まで起きた挙句いつのまにか寝ていて起きたら9時になっていた。自分は待ち合わせの10時に間に合わせなければと朝食と着替えをぱっぱと終わらせて自宅を出ようとする。
(今から走れば40分の電車に乗ってギリギリ間に合う!)
剣道で鍛えた脚力と体力を駆使して住宅街を走り去る姿がそこにあった
「おや、おはようございます。珍しいですね、雫さんが寝坊なんて」
「え、えぇ、まぁ、ね、ちょっと、他の用事を、おもい、出して、夜遅くまで、起きてしまった、の」
肩で息をしながら声も絶え絶えな状態になっている。映画館の前集合とあって周りには人がたくさんいた。
「ここの映画館って評判いいんですよね、席が一般席でも特別席みたいな装飾のイスなんですよ」
「ふふっ、それだと特等席はどんなに豪華なのかしら」
雫さんが見たい映画が見たいです。と言われ、自分の趣味を知られてしまったことへの少しの恥ずかしさと共にチケットを買って店員さんに見せた後見たい映画の番号に入っていく。席がほぼ満席状態な所からこの映画がどれだけ期待されている作品かよくわかる。予約していた席におもむろに座ると座り心地の良さにそのまま眠りそうな気がした。
映画の内容はガンによって余命宣告をされた彼女を死ぬまでに幸せな事をいっぱいやらせてあげて天国に送らせるという悲しい話だった。自分は途中涙ぐんでしまって士道くんにこんな顔見せれないなぁと考えながらふと隣の士道くんの顔を見た。
(なんで……そんな自分の親が死んだような顔してるの…)
「この映画の主人公役の俳優さんほんとにすごいですね!ここまで感情を揺さぶられるとは思いませんでした」
「私の勧めた映画が好評そうで良かったわ」
「はい、とても面白かったです」
そんな会話をしてる中、自分は士道縁の見せたあの顔が忘れられなかった。
(そう、あの時の顔は…昔の後悔を思い出してるような…)
「雫さん?」
「あ、えぇ、どうしたのかしら」
「いえ、昼ごはんを何処かで食べたら公園でも行きませんか?」
「? ええ、そうね」
何故公園かはわからなかったが今日は暇だったので同意した。近場のマ○クで昼食を取って公園まで二人で話しながら歩いた。公園に着くと映画館とは打って変わって人の気配は少ししかなかった。周りを見てみるとたまに公園に遊びに来た子供達が走り回っている。そん中で噴水の近くのイスに二人で座った。
「それで急に公園ってどうしたの?」
「はい、こないだのお誘いの返事をしてなかったものでしたから」
「お誘い?」
「えぇ、 僕もあなたと同じ高校に行く事にしました。」
「!!!」
今なんと言ったのか
光輝の事があって有耶無耶になってたこととは言え覚えてくれていたとは。今すぐ飛び跳ねて喜びを表現したい気持ちを抑えて冷静に聞く事にした。
「士道くんはそれでいいの?」
「はい、どうせなら知ってる人のところに行きたいと思うのは普通でしょう」
「…そうね、これからもよろしくね」
「よろしくお願いします」
まだ受験もしていないのに受かった気でいるがそこは突っ込まない。
「じゃあ何か決めてるわけでもありませんしこの後どうしますか?」
「そうね…」
うーんと考えていると一つ聞きたいことがある事を思い出したけど。口に出していい話題どうか躊躇ったが勇気を出して聞いてみる事にした。
「その…士道くんの過去って聞いてもいい?」
「───」
「話したくないことなら別に全く話す必要ないのだけれど…」
聞いてしまった。映画を見た時のあの反応を思い出してずっと気になっていたが、もしかして士道くんも映画みたいな悲しい過去があったのだろうかと詮索したくなった。あまり人の事情に踏み込むのは良くないと分かっていたが自分はもっと彼のことが知りたかったから暴挙に出る事にした。
「───僕の過去なんてつまらないものですよ。それでいいなら聞いていきますか?」
「! 聞かせてもらえるかしら」
あと2話くらいで本編入ります。