死界は異なる世界にも   作:ゴツゴツクリスタル

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どんな色にしよーね


異常の予兆

翌日から本格的な訓練が始まった。みな自分の天職がどんなものか気になるようで訓練というよりは確認作業になっていた。

 

 

「恵理恵理〜!見てこれ!結界ってこんな半透明にはれるんだ〜!ちょっと攻撃してみてよ!」

 

「え〜?しょうがないな〜。えいっってかった!コンクリート殴ってるみたい…」

 

「ほへ〜、氷術師の氷って下からバキバキ生えてくるんだ…轟○土だよこんなの」

 

「ヒャハハハ!すげぇ!体かりぃ〜!」

 

 

あちらの世界では出来なかった自分でなんでもできる全能感が、興奮を抑えられない原因となっている。

 

 

「見てみて雫ちゃん!こないだの擦り傷治療魔法使ったら簡単に治ったよ!一瞬だよ一瞬!!」

 

「香織、あんまりはしゃぎすぎないようにね?」

 

「わかってるよぉ!心配性だなぁ雫ちゃんは!」

 

 

その頃八重樫雫は白崎香織のはしゃぎっぷりに注意しながら抜刀の練習をしつつ何かを考えていた。

 

 

「うーん、それにしても南雲くん今日も来ないのかなぁもう3日経つけど…」

 

「彼は彼で図書館で頑張ってるのよ。それとも香織は彼氏の帰りも待てない束縛女かしら〜?」

 

「むぅ!そんな事ないもん!待てるもん!」

 

「はいはい、」

 

 

いつもの調子で辛く冗談を交えた煽りを雫がする。ここが登校中ならただの楽しい毎日で済んだのだが、今は戦争をするための下準備と考えると抜刀の速度が下がった。

 

 

「でも士道くんも昨日今日来てないよね。一昨日はやれる事確認してたら急に顔色悪くなって部屋にいっちゃうし、大丈夫かな?」

 

「………」

 

 

訓練に参加せず士道縁は部屋に閉じこもりになっていた。理由は検討はつかない と思ったが

 

 

『戦争ですよ!?これの意味がわかってますか!?』

 

 

あの時光輝に殴りかかりそうな勢いで反発の意思を示した士道縁を雫は思い出した。初日の訓練の後、彼が閉じこもっている部屋に向かい、声を掛けると

 

 

『大丈夫、ですよ、雫さん、少し、頭痛が、する、だけです、」

 

 

と、今にも消えそうな声で心配ないと言ってくるものだから流石に無理にでも顔色の悪くなった理由を話してもらおうとドアに手を掛けると

 

 

『ほんとにっ…心配ありませんから…また話します』

 

『…わかったわ、部屋から出てきたら絶対教えるのよ。…約束よ』

 

『はい…』

 

 

士道縁から発する、彼の領域に入ることへの明確な拒否反応が、雫が部屋に入るという行為をするに至らなかった。

 

 

(もしかしてあの時の事を後悔して…)

 

「雫ちゃん?」

 

「え、えぇ、ちょっと考え事してたわ、ごめんなさい。どうしたの」

 

「いや、士道くんきたよ?」

 

「えぇ!?」

 

 

丁度訓練場に士道縁が入ってくるところを香織が見かけた。急な出来事に素っ頓狂な声をあげてしまった。数人の生徒がこちらを向いて気恥ずかしい気持ちになったので少し小声で話した。

 

 

「雫ちゃ〜ん?やっぱり彼のこと〜…」

 

「え、ち、ちちちちがうわよ?た、ただ最近きてなくてすこーーしだけ心配してただけ〜うん」

 

 

にやにやとした表情で香織がこちらをいじってくる。今までのやり返しと言わんばかりの笑みだ。

 

 

「ほら!行ってきたら〜?雫ちゃん。」

 

「んもう、全く」

 

 

そう言いながらも香織に感謝しつつ彼の元へ向かった。

 

 

「士道くん、体はもう大丈夫な…」

 

「ん…あぁ、雫さん、おはようございます」

 

 

2日ぶりにみた彼の顔は驚くほどやつれていて、目元には黒い包帯を巻いていた。中性的で頼りにやるというよりも今にも死にそうな病人のようだ。もはや別人と言っていい。

 

 

「ど、どうしたのあなた!顔真っ青じゃない!それにその包帯、何があったの!?」

 

「いえ、お気になさらず、少し一昨日使った変貌者の能力の副作用みたいなものですよ。明日になればスッキリ治ります」

 

「そ、そう、いやいや騙されないわよ!やっぱり一昨日な・に・が・あっ・た・の?」

 

「あ、あはは、雫さんは心配性ですね、ほんとに副作用みたいなものですよ」

 

「あなた…」

 

 

副作用でそこまでのことになるのかと言い返そうとしたが、そう言って無理に笑う彼の顔は眼を見ていなくともわかるほどこちらを気遣っていることがわかっていた。そんな彼の気遣いを無駄にしたくなくて次の言葉は口にすることが出来なかった。

 

 

「…はぁ、わかったわ、それで変貌者については何かわかった事あるの?」

 

「はい、少し僕のステータスプレートを見てて下さい」

 

「ん、」

 

 

彼からステータスプレート渡され、その内容を見ると

 

 

(ん?種族の人がきえかかってる?)

 

 

疑問に考えていると

 

 

「雫さん、ちょっと刀を貸してください」

 

「えぇ、はい」

 

 

そうするとおもむろに士道縁は抜刀の姿勢に入り  抜いた

 

 

「どうでしたか?」

 

「───驚いたわ、上出来よ。もしかして変貌者って職業を変える能力かしら」

 

「そういう事です。天職も変わってますよ」

 

 

よく見ると天職の他にステータスも変わっている。

 

 

「これは万能な天職を手に入れたわね」

 

「そうでもないですよ。この能力ってもとからの天職の人よりもランクが2くらい下がって尚且つ1時間までしか効果は持ちませんし、加えて使った後は疲労が…」

 

「うん、なるほど、なんでもできるだけあって制限もあるのね。いわゆる器用貧乏ってとこかしら」

 

「し、雫さん、僕の心は硝子ですよ?」

 

「あ、ふふ、ごめんなさい。そんなつもりはなかったのだけれど」

 

 

では、天之川くんにこの現場見られるとめんどうですしと士道くんは遠藤くんとのところに行って驚いた顔を見た後自分も訓練に戻る。

 

ふと士道くんの後ろ姿を一瞥した時

 

遠くへ行ってしまうという理由のない不安が頭に浮かんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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