放課後。何人か先輩を捕まえてポイントの変動について質問をしたが誰も答えてくれなかった。
松下の上目遣いで落ちそうな先輩もいたが、結局収穫はなかった。
「みんな頑なに答えてくれなかったな」
「かん口令が敷かれているのかもしれないね」
「かん口令?」
「うん。後輩に伝えたら罰則があるのかも」
「なるほど」
俺を頭が切れると評価してくれた彼女だが、明らかに松下の方が頭が切れる。
「来月に答えが出るのを待つしかないね」
「そうだな」
早く答えが知りたいけど我慢するしかない。
「まだ16時だけど、どこか寄ってく?」
「なら図書室に寄っていいか?」
「いいけど……本好きなの?」
「そこまでは。ただ読書ならお金かけないで暇つぶしできるから」
「確かに。私も何冊か借りようかな」
「松下は読書するのか?」
「人気作くらいだけどね」
高度育成高校の図書室はスケールが大きかった。
広さはもちろんだが、ラインナップも充実している。
司書に聞いたところ、新刊は発売日当日に入荷され、若者に人気のライトノベルも揃えているらしい。
そんな立派な施設だが生徒はまばらだった。恐らく部活動説明会の影響もあったのだろう。
俺と松下は何冊か本を借りて図書室を後にした。
途中ですれ違った銀髪の美少女に見惚れていたら松下に足を踏まれてしまった。
♦♦♦
入学してから一週間が過ぎた。
特に大きな問題もなく俺は平和な学校生活を送っていた。
朝は茶柱先生に質問をして、日中は真面目に授業を受け、昼休みは松下と一緒に弁当を食べ、放課後は松下や軽井沢とウィンドウショッピングをしたり、スーパーに寄ったりしている。
見た目がギャルの軽井沢だが、意外なことに料理が得意らしい。
ちなみに平田はサッカー部に入部したので放課後は遊べなくなってしまった。
平田しか男子の友達がいないのに……。
「しかし池くんたちにはまいったもんだね」
放課後。俺と松下は教室で時間を潰していた。
「俺と平田が言っても無視されちゃうしな」
なぜか俺と平田は池たちに嫌われている。直接話したことはないけど、気づかないうちに不快な思いをさせてしまったんだろうか。
「仕方ないよ。池くんはイケメンが嫌いみたいだし」
「……俺イケメンなの?」
「顔は整ってる方だと思うよ」
「……」
生まれて初めて女子にイケメンと言われた。
「あとは女子とばかり絡んでるから妬まれてるのかもね」
イケメンか。
なんていい響きなんだろう。
「立花くん、聞いてる?」
「ああ。俺はイケメンでBT〇並の人気があるってことだろ?」
「なにを言ってるの?」
俺はイケメンだから身だしなみもこれから気をつけないとな。
帰りに松下にワックスや化粧水を選んでもらおう。
「立花くん、ちゃんと聞いて」
「あ、はい」
「池くんたちなんだけど、櫛田さんから注意してもらおうと思うんだけど」
「櫛田?」
「うん。立花くんも連絡先交換したでしょ?」
「そういえば」
櫛田桔梗。自己紹介でクラスメイト全員と友達となりたいと言ったらしい。
有言実行タイプのようで、ほぼ全員と連絡先を交換したようだ。
誰にでも優しく、可愛らしい容姿も相まって、男子からの人気も絶大だ。
ただ俺はそんな櫛田が苦手だ。
理由は簡単。
中学時代に櫛田に似た女子がいたのだが中身が腹黒だったのだ。
天使と言われていた彼女は毎日クラスメイトの愚痴を吐いていた。
なぜそれを俺が知ってるかって?
それは俺が幼馴染で、俺の部屋で愚痴を吐いてたからだよ。
そんな彼女は名門女子高に進学したが、今も新しいターゲットに愚痴を吐いてることだろう。
「櫛田さんから言ってもらえば池くんたちも真面目に授業を受けると思うんだよね」
「確かに」
池と山下だっけ? 櫛田がいないところで彼女の話でよく盛り上がっている。
「ポイントの変動が個人単位ならいいんだけど、クラス単位なら無視できない問題だからね」
「クラス単位ならけっこうポイント減ってそうだな……」
池と山下は授業中にゲームをしたりあれこれとよく喋っている。
赤髪のバスケ部のやつは遅刻したり、授業中に居眠りをしている。
つまりクラスのガンである。
「せめてポイントの増減がわかればな」
ほぼ毎日茶柱先生に質問をしている俺だが、途中からポイント変動があることを前提として質問するようになった。
今朝。だめもとでエクセルで作成したポイント増減リストを茶柱先生に渡したがそのまま突き返されてしまった。
「これで来月のポイントが大幅に減ってたら、池くんたち居場所なくなっちゃうね」
心配をする言葉とは裏腹に、冷酷な笑みを浮かべる松下。
「ただでさえ女子から嫌われているのにどうするんだろうね」
「やっぱ嫌われてるんだ?」
「当たり前じゃん。噂だと女子たちの巨乳ランキング作ってるみたいだし。マジキモイ」
「お、おう……」
「立花くんは参加したりしてないよね?」
「してません」
松下が怖い……。
しかし池たちの言動は男子の俺でも引くな。
特に池は早く彼女を作りたいと言っているが、本当に作る気があるのだろうか。
もし本気でそう思っているなら、彼のサイコパスの部類に入るだろう。
このまま一切関わらない方がいいかもしれない。
♦♦♦
その日の夜。夕食を済ませ日課の瞑想をしていたところ軽井沢から連絡があった。
何やら重要な話をしたいようで、今から俺の部屋に来るらしい。
なんでこんな時間に異性の部屋に来るんだ?
俺はあらゆる可能性を考え、30分ほど待つよう軽井沢にお願いをした。
急いで部屋を掃除し、シャワーを浴び、寝間着から私服に着替えた。
30分後。本当に軽井沢が部屋にやって来た。
「お邪魔しまーす」
「お、おう」
軽井沢はピンクのパーカーにショートパンツと、これでもかと生足をさらけだす格好だった。
ありがとうございます。
「急にごめんね?」
「いや、大丈夫だ」
客用の座布団がないのに気づいたのか、自然とベッドに座る軽井沢。
「なにか飲むか?」
「ううん、大丈夫」
「そっか」
「うん」
どこに座るか迷ったが、隣に座る勇気がなかったので、結局座布団に腰を下ろすことにした。
「それで話って?」
「うん。あのさ……立花くんって松下さんと付き合ってたりする?」
「……へ?」
俺と松下が?
確かに気が合うし、一緒にいても疲れないし、心配性な俺を気遣ってくれる。
あれ? 松下って最高の女じゃないか?
「いや、付き合ってないぞ」
まだ出会ってから一週間だ。
このまま関係が深まれば彼氏彼女の関係になれるかもしれない。
なにせ松下は俺のことをイケメンだと思ってるからな。
ふふん。
「……そっか。付き合ってないんだ」
「それがどうかしたのか?」
なんで軽井沢は俺と松下の関係を気にしているんだ?
俺に気があるのか?
それとも俺に松下が取られると思って嫉妬しているのか?
「えっとね……」
俺が問うと、軽井沢の両目が泳ぎだした。それに連動するように両手をこすり合わせる。
生足に心を奪われていた俺でも気づくほど軽井沢の様子がおかしい。
「あ、あの……」
「ん?」
薄着だから風邪でも引いてしまったのだろうか。
顔も赤いような気がする。
風邪薬を取り出そうと腰をあげようとした瞬間だった。
「あたしの彼氏になってくれない?」
立花恭平。15歳。
生まれて初めて女子に告白をされた。
オリ主データベース
名前:
クラス:1-D
誕生日:11月3日
身長:170センチ
体重:60キロ
-評価-
学力:B
知性:B+
判断力:B-
身体能力:A
協調性:B+
オリ主がDクラスになった理由は近いうちに書きます!