昔々あるところに殿と神娘と城娘たちがいました。
彼らは兜と呼ばれる存在から人々を守るために来る日も来る日も戦っていました。
ある時殿は気づいてしまいます。皆から殿、殿と呼ばれる自分の名前が分からないことを。
神娘や城娘たちに聞いても誰も教えてくれません。悩みを抱えたまま殿はそれでも人々のために兜と戦いました。
戦いに集中できなかった殿は巨大兜の一撃を頭に受けてしまいました。
一命をとりとめましたが殿は数日間生死の境を彷徨いました。
目覚めた時に殿は自分の名前や家族がいること、ここがゲームの世界であり自分はそこに取り込まれてしまったことを思い出しました。
殿は城娘たちに自分を元の世界に戻してほしいと伝えました。
しかし城娘たちは殿は人々や自分たちに必要とされていると言い、その願いを断りました。
殿は元の世界へ戻るための方法を探そうとしましたが、城娘たちは殿を監視するようになり探せませんでした。
終わらない戦い、元の世界への望郷の念で殿の精神は段々と追い詰められてしまいました。
そのことを不憫に思った神娘の一人が殿を人気のない蔵へと呼び出してある話をしました。
この世界を維持するためには特殊な霊力が必要であり殿がこの世界へ呼ばれたのはその為である。
殿がいなくなった場合この世界は緩やかに消滅に向かっていくことになる。
殿の存在は世界の維持のために必要であるが日に日に元気を失っていく殿を見ているのは耐えられない。
世界の消滅を防ぐためには殿の代わりに世界に霊力を供給する霊珠が必要になる。
殿がこの世界に十分な霊珠を残してくれるなら自分は殿が元の世界へ戻ることに手を貸すと言い、携帯端末を差し出しました。
殿がどれだけの霊珠を用意すれば良いかと聞くと神娘はお気持ちだけで結構ですと言いました。
殿は目を閉じて家族の顔を思い浮かべました。そしてカードの限界まで霊珠を購入しました。売店のパックも購入しました。
「やっぱり殿が一番なの~」と神娘は言いました。
そして満月の夜、月が一番高いところに昇って所領の出口にある鳥居が金色に輝いたときに飛び込めば元の世界へ戻れると教えてくれました。
城娘たちが見張っていて城から出ることができないと殿は言いました。
神娘は満月が上りきる少し前に兜の人形を暴れさせて城娘の注意をそらすと言いました。そして懐から三枚の招城符を出しました。
この招城符を投げれば殿を助けてくれる城娘が出てくるので捕まりそうになったらこれを使ってくださいと神娘は言いました。
殿は招城符を服の中に隠して満月の夜を待ちました。