裏門から城外に出た殿は道を外れて森の中を進みます。そのまま道を進んでは城娘たちと遭遇してしまうと考えたからです。
夜の森は見通しが悪いですが満月のおかげでうっすらと周りを見ることができます。はやる気持ちを抑えながら殿は慎重に進んでいきます。
森の中を進むにつれて裏門から聞こえる戦闘の音が小さくなります。殿は時間を稼いでくれている城娘が心配になりましたが歩みは止めません。
しばらく森の中を進んだ殿は開けた場所に出ました。
空を見上げると満月が天頂にかなり近づいていました。急がなくてはいけません。鳥居が元の世界へと繋がっている時間は僅かしかないからです。
そこからは目指す鳥居の光が僅かに見ることができました。殿が気合を入れ直して前へ進もうとした瞬間、足元に苦無が刺さります。
驚いた殿が苦無の飛んできた方向を見ると先ほど話をした忍者の城娘が現れました。
彼女は青い髪の城娘の守る裏門を通らずに高い壁を乗り越えて殿を追ってきたのです。
その目は自分を出し抜いて逃げ出した殿に対する怒りに燃えていました。しかし忍者である彼女はその気持ちを押し殺し殿に城に戻るよう言いました。
殿は自分には帰りを待つ家族がいること、この世界は自分のいるべき世界ではないことを伝えます。
忍者の城娘はこの世界には殿が必要とされており、自分たち城娘と共に兜を倒し世界を救ってほしいと言いました。
殿は首を横に振りそれはできないと言い、懐から招城符を引き抜き空に放ちました。放たれた招城符から光が溢れて中から城娘が現れました。
すぐさま現れた城娘に苦無を投げようとした忍者の城娘ですが投げることはできませんでした。
「殿は死にません。なぜって?私がお守りするからですよ。」
なぜならその城娘は自らが仕える城娘だったからです。
ダダダダダッ
忍者の城娘の足元に銃弾の穴が開きます。
銃を持った城娘は殿にここは任せて先に進むように言います。
殿は礼を言い、鳥居の方向に向かって駆け出します。忍者の城娘が笑います。
「これぞ北条流忍術。」
殿の進んだ方向から忍者の伏兵が現れます。殿はいきなり現れた伏兵に驚いて動きを止めてしまいます。
その隙を逃さず伏兵は苦無を投げようとしました。
「火牛の計」
銃を持った城娘の計略で現れた火牛が忍者の伏兵を吹き飛ばします。
忍者の城娘は銃を持った城娘を睨みますが何も言いません。
殿は再び走り出して森の中を進みます。薄暗い森の中で転げそうになりますがそれでも走り続けます。
目指す鳥居はもうすぐです。