体の中に満たされていく魂。それを感じるのと同時に、意識が急速に覚醒していく。
この場所は……白霊山の結界から少し離れた、森の中だ。
どうやら先の戦いで死魂を失った私を、ここまで運んでくれた者がいるらしい。
「良かった。目が覚めたんだね」
「無事だったか百江。済まない、私としたことが──」
「まだ動いちゃだめ。砲撃にやられて気を失ったときに、かなりたくさんの魂が抜けちゃったみたいだから……無理はしないで」
聞きなれた声を耳にして、ようやく生の実感がもたらされる。
白霊山はあまりに清浄すぎた。
妖怪である死魂虫は山に近寄ることさえ適わず、死人である私自身も、ふもとに留まるのがやっとの状態だった。
魂を失えば窮地に陥ることは分かりきっていたというのに、油断をしてあのような醜態を晒してしまうとは……私も随分と腑抜けていたらしい。
「あれから何があった。睡骨さまは……それに、七人隊は無事に退けられたのか?」
「ああ……うん。そうね」
私の身を案じてくれていたときとはうってかわり、言葉を濁す百江。
彼女の目が一瞬泳いだように見えたのは、おそらく気のせいではないだろう。
「とりあえず襲ってきた連中は私が倒したよ。睡骨は案の定、七人隊の仲間だったみたい」
「っ…!」
「だからだめだって。回復するまでじっとしてなきゃ」
それまでの落ち着きが一気に吹き飛んだ私は、勢いのまま起き上がろうとして、百江に制止させられる。
あの睡骨さまが七人隊の一員であったのは勿論のこと、あの場に襲来していた全員を百江一人で倒してしまったというのは、俄かには信じがたい話だった。
やつらは人でありながら、そこらの妖怪を軽く凌ぐほどの実力を持っていた。私とて不意を突かれたとはいえ、彼らと戦ったうえであのような危機に陥ったのだから……その強さは身をもって実感している。
「本当に、おまえひとりで倒したというのか?」
「もちろん。ほら、その証拠にこれ」
そう言って百江が取り出したのは、複数の四魂のかけら。
死人である七人隊が命を繋ぐためにそれぞれ使っていた物、ということなのだろうが……
本来であれば、悪しき者の手から離れた四魂のかけらは、百江の霊力により浄化されているはず。
だというのに……彼女の掌にあるかけらは、七人隊の首元にあった時と同じように、邪気にまみれた黒い光を放っていた。
「叢雲牙を……使ったのだな」
「……うん。少しだけね」
百江の表情から、笑顔が消えた。
彼女の纏う空気が一気に張り詰めていく様子がうかがえる。
「だけど全然大丈夫。叢雲牙は、ちゃんと私の手で浄化しているから」
「私には、とてもそうは思えない。百江、どこか体に異常は無いか?叢雲牙の瘴気に当てられているのだとしたら、知らず知らずのうちに──」
「……大丈夫だって、言ってるじゃない!!」
私の手を振り払って、百江はそう断じた。
彼女が今のように声を荒らげるところを見たのは……おそらく、これが初めてのことだったと思う。
「あ……ごめん、なさい。私、そんなつもりじゃ……」
「いや……私の方こそ、出過ぎたことをした。おまえが大丈夫だと言っているのに、それを疑うような真似を」
常ならば、百江とは会話が続かずともなんら気にならない間柄であるというのに。
このときばかりは……私たちの間に訪れた沈黙が、堪らなく苦痛に感じた。
※※※※※※※※※※
先ほどまでの勢いでひたすら会話スキップしてたら何かとんでもない空気になってたRTA、はーじまーるよー。
前回、すんでのところで犬夜叉を倒しきらずに勝利することができ、幸いにもリセットの憂き目を見ることはありませんでした。
その後は犬夜叉を仲間のもとへ追い返し、目覚めた桔梗と会話していたのですが……何をどう間違えたのか、ほもちゃんが突然興奮状態に陥ってしまったのです。おっ大丈夫か大丈夫か。
情緒不安定なのはやはり叢雲牙のせいでしょうか。操られてるのかそうじゃないのかこれもう分かんねえな……
なお、犬夜叉と戦ったことについてあえて触れることはしません。彼と冗談抜きのガチンコバトルを繰り広げたことが知れた場合、桔梗の好感度や友好度の増減が読めなくなってしまいます。最悪の場合ほもちゃんが敵認定されることになり、リカバリーしきれなくなってしまうので。
そんでもってこの後の展開についてなのですが、ほもちゃんは一人で白霊山に突入することになります(絶望)
ナンデ?桔梗様同行してくれないのナンデ?
知らない方のために一応解説しておくと、この白霊山には強大な結界が張られており、妖怪や悪心を持つ人間を拒む聖域と化しているのです。桔梗の場合は山に近づけば近づくほど死魂が失われるため、このふもとに居るだけでもやっとの状態。なのでRTA(リアル登山アタック)など以ての外なわけです。
……そこでだ桔梗!悪いがもう少しだけ、この場所で待っててくれないか?待っていたらたぶん、ほもちゃんの素敵なプレゼントが先着1名様にもれなく配られることになるはずだ!たぁぶん!
では諸君っ!サラダバー!!
「待て百江!この状況で、おまえ一人を行かせられるはずが無いだろう!」
おファッ!?
調子に乗って大見得切ったら桔梗からまさかの反対を食らってしまいました。
いつもなら心配の言葉を述べたのち、「必ず戻ってこい」みたいなことを言ってくれるはずなんですけど……
と、とにかく、こ↑こ↓で立ち止まっていてはストーリーが進展しません。この結界はプレイヤーが直接介入しないと破ることは難しく、原作繋がりで唯一桔梗が結界破りのキーパソン的な役割を果たしてくれるのですが、そのためにはまず"結界の力を弱める"というフラグを先に立てねばなりません。
犬夜叉もしくは殺生丸一行がどうにかしてくれることをのんびりと待っていたら日が暮れてしまいます。
したがってこの場は桔梗の諫言を泣く泣く無視して先に進むこととしましょう。
大丈夫。叢雲牙さえあれば奈落など敵じゃありませんとも!
※※※※※※※※※※
「ここから先は私一人で行く。
……大丈夫。叢雲牙さえあれば、あんなやつ敵じゃないんだから」
百江は私の制止を振り切り、白霊山の中に消えていった。
まるで自分に言い聞かせるように、"大丈夫だ"と何度も呟きながら。
このまま百江を放っておけば、彼女の心は程なくして叢雲牙の怨念に取り込まれてしまう。
いや。あるいは、既に──
そんな最悪な想像すら頭によぎるほど、今の状況は深刻だった。
私はこれまで、ずっと一人で戦ってきた。
犬夜叉を除いて背中を預けられるような相手は居なかったし、特にそれが必要と感じることもなかった。
しかし……蘇って以降、自らの後ろをずっとついてくる百江の存在を──私は、無視することができなかった。
ときに苦難の道があれば、黙って肩を貸してくれる。
ときに強敵が現れれば、共に力を合わせて乗り越えられる。
愛する人を除いて、また血を分けた肉親を除いて。
こんなにも他者を信頼できる日が来るなどと……私自身も信じられなかった。
いつしか百江という存在は、私にとって犬夜叉や楓と並ぶほどに大きな存在となっていたのである。
──そして、今。
百江は得体の知れぬ刀に操られ、かつての己のように修羅の道を進もうとしている。
その姿は、かつて血塗られた道を歩まんとした自分を彷彿とさせるようだった。
このまま戦いの一切を任せたとしても、おそらく百江はそれを拒まないだろう。叢雲牙の力のままに、ともすれば奈落をも倒してしまうかもしれない。百江の言う"私が幸せになれる未来"とやらも、ひょっとしたら掴むことができるのかもしれない。
だが、そうやって作られた"未来"に、百江の姿はきっと無い。
そして……私が描く幸せの中に、百江が入っていないということは……嫌なんだ。
じきに魂も満ちる。
これ以上、白霊山に近づくつもりはなかったが……もはや、やむを得ない。
仲間として。そして一人の友として。
私は……百江を救いに行かねばならない。
※※※※※※※※※※
ぬわああああん疲れたもおおおおん。
ようやく白霊山の中腹までやって来ましたね。しかし道のりはまだ半ば。
(遠すぎて)やめたくなりますよ~登山……
白霊山のマップは死ぬほど広大な作りになっており、簡単に言うとオープンワールド並の広さを誇っています。初見プレイ時に山を一周しようと試みたところ、ものの数十分かかったというところから、その規模が分かることかと思います。
ですがこの場所では基本的に敵とのエンカウントはないし、有用なアイテムもほとんど落ちてないしで、『なんでこんなに広くする必要があるんですか』状態なのが惜しいところ。
どうするよ暇だなぁ……強敵の一人や二人でも現れねえかな~。
そんなこと言ってたら突然エンカウントのエフェクトが挿入されてびっくり!(小並感)
敵からの待ち伏せを食らってしまったようですが、先にも話したとおりこの辺に配置されている敵は居ないはず…?
「よお。てめえが百江って女だな」
▼七人隊の首領 蛮骨 が現れた!
▼どうやら私を狙っているようだ。戦いは避けられそうにない……
ほにゅ?
ばっ、ばば、蛮骨だとぉ!?!?
ふーざーけーるーなー!
よりにもよってどうしてお前が出てくるんだよおかしいだルルォ!?
どっ、もうわけわかんねぇよ…(半泣き)
蛮骨は白霊山編のボス的存在であり、通常ならこんなところに現れる敵じゃありません。
だったらなんで?どうして?ホワイ?
プレイヤーが調子に乗って強敵114!514!とか言っちゃったからか?
「仲間の仇、ここで取らせてもらうぜ!」
仲間の仇だとぉ?ふざけんじゃねえよオイ!なんでほもちゃんが敵討ちの対象になってんだオラァ!一体ほもちゃんが何したってんだおいオラァ!!
~~~~~Part17より文章抜粋~~~~~
▼百江 は獄龍破を放った。
▼大地が裂け、邪気・妖気・瘴気の全てが一帯を包み込んでいく……!
▼煉骨を倒した!
▼蛇骨を倒した!
▼睡骨を倒した!
▼銀骨を倒した!
▼8000 の経験値を獲得!
▼四魂のかけら を 6つ 手に入れた!
▼百江 の段位が 30 に上昇!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あっこれかあ!(納得)
そういえば今回、七人隊の主要メンバーはほぼ全てほもちゃんがぶち飛ばしていたんですね。
蛮骨は残虐非道な性格ながら仲間想いな一面もあるため、謝っても許して貰えるわけがな~い。
ここで引き下がるわけにもいかず、採れる選択肢は戦闘一択のみ。
いやほんと、マジで勘弁してください…(小声)
蛮骨は本作中トップクラスの能力を持つキャラクターです。
攻めてよし、守ってよし、動いてよしとオールラウンダーに戦うことができ、敵対時には慎重にプレイしてもあっさりやられてしまうことがあります。かくいう私も初見プレイ時は普通にぬっ殺されました。
蛮骨が繰り出す攻撃の中で特に厄介なのは、大鉾蛮竜の必殺技、蛮竜閃と竜雷閃です。
どちらも広範囲にわたって衝撃破を繰り出す技であり、ほもちゃんの防御力はイナズマイレブンのクソザコブロッコリー先輩並みに弱いので、これらの攻撃を一度でも食らうとRTAは即終了となります。
やめてくれよ…(絶望)
以上のとおり普通に戦えば苦戦は必至の相手ですが、今回のほもちゃんには虎の子の叢雲牙があります。向こうも超重量級の大鉾『蛮竜』を保持していますが、同じ妖刀対決となったところでこちらが負ける道理はありません。なにせ叢雲牙は"天下覇道の剣"ですからね。
で、何度もクッソ汚い話を繰り返すのは恐縮なのですが、いよいよプレイヤーの尿意が限界まできています。これ以上我慢すると当店自慢のウェルカムドリンクをふるまう羽目に……それだけは絶対に避けねばなりません(最後の良心)
それでゲーム中いかにロスせずお花を摘みに行けるかをずっと考えていたのですが、プレイヤーはこの蛮骨戦の間に行ってこようと決意しています。
そんなことしたらすぐにやられちゃうだろ!いい加減にしろ!とお思いの方もいるでしょうが……
そのための、叢雲牙。あとそのための、オートバトル?
つまるところが叢雲牙のオート戦闘機能を活用し、自動操作の間にトイレへGO!!しちゃおうという作戦ですね。
後になって見直すと『なんてことを……』と憤怒したくなるような行動だったわけですが、プレイ当時は尿意と疲労からこんな判断をしてしまったのです。お兄さん許して!
▼叢雲牙に戦いを委ねますか? はい/いいえ
ということでせっかくだから俺はこの「はい」を選ぶぜ!
オート戦闘が始まったところで、今のうちに嬉し恥ずかしトイレターイム!
もしその間に死んだらどうするのかって?
……リセでしょ。
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▼百江 は獄龍破を放った。
▼大地が裂け、邪気・妖気・瘴気の全てが一帯を包み込んでいく……!
▼蛮骨 を倒した!
▼4000 の経験値を獲得!
▼四魂のかけら を 3つ 手に入れた!
▼百江 の段位が 31 に上昇!
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七人隊最後の生き残りである蛮骨は、戦い始めてすぐにその異様さに気づいていた。
彼の戦い方は至って単純なもので、その圧倒的な攻撃力で相手を薙ぎ払い、叩き潰すというもの。しかし目の前に居る少女は、自らの大鉾"蛮竜"をもって振り降ろした全力の一撃を、何食わぬ顔で受け止めていたのだ。
──気に入らない。
本来であれば、蛮骨にとって強敵との戦いは命懸けでありながらも血湧き肉躍るもの。しかし百江と幾度刃を交えても、感じられるのは不気味さと不愉快さのみ。
そして、その要因が彼女の握る細身の刀に拠るものであるということに気付かぬ程、彼の勘は鈍くなかった。
「ちったあ歯応えがあるみてえだが……どうにもいけ好かねえな。その戦い方は」
「…!」
百江は一言も発さずに蛮竜を押し返すと、叢雲牙を握る右手のみをやたらめったらに振り回し、連撃を加えていく。
「へっ。そんなちまっこい攻めが、この蛮骨さまに通じるかよ!」
防御の姿勢から一転。反撃に転じた蛮骨は、刀による衝撃波を放ち、百江を吹き飛ばした。
その攻撃をもろに食らい、地面を這うことになった百江であったが……少しの間を置いてゆらりと立ち上がったかと思えば、再び叢雲牙を構えて蛮骨に飛びかかってくる。
二つの刃が交わり、両者の間に火花が散った。
「──ねえ、今の声が聞こえた?」
「……あ?」
その時だった。
百江が、不意に口を開いたのは。
「人間でも妖怪でも、死人でも構わない。もっと生け贄をよこせって、そう言ってる…!」
「訳の分からねえことを、抜かしてんじゃねえ!」
しかし……百江から出た言葉は、蛮骨には到底理解の及ばぬもの。
目の前で戦っている筈の彼女の瞳には、蛮骨でない『別の何か』が映っていた。
宙返りで後方に距離をとり、地面を蹴って上空に浮いた蛮骨は、自らの得意とする技を放つべく、蛮竜を天に掲げる。
「終わりだ……竜雷閃!!」
晴れ晴れとしていた白霊山の天候が、その場所のみ大きな雲に覆われていく。
やがて生じた曇天の中で雷鳴が轟き始めると同時に、辺り一面に雷の嵐が落とされた。
大木を真っ二つにするほどの威力をもった雷光だ。この技にかかれば、わざわざ相手に狙いをつける必要もない。
白霊山の形が歪んでしまうほどの攻撃は、人ひとりの命など容易く奪ってしまう力を持っていた。
……だが。
果たして、百江は健在であった。
決して先の攻撃が一切通らなかったということではない。
現に百江の肩口には、雷撃を受けた際の裂傷が存在している。
しかし、そんなものはまるで効いていないとばかりに、百江は叢雲牙を構えながら平然と笑みを浮かべているのだ。
「てめえ、痛みを感じねえのか」
「痛み?……ああ、本当だ。すっごく痛いや。
だけどね、桔梗がこれまでに耐えてきた痛みに比べれば、こんな傷はへっちゃらなんだ」
「ちっ……」
蛮骨は反射的に舌打った。
あれだけの傷を負って笑顔を見せられるという時点である程度は察していたが……
眼前の少女は間違いなく刀の力に狂わされている。そして、狂気に駆られた相手ほど面倒なものはない。
「また、刀の声が聞こえた。"獄龍破を撃て。そして邪魔者を消し去れ"ってさ」
無邪気な子供のように目を光らせる百江を前にして、蛮骨の怒りは募るばかり。
こんなふざけたやつに、仲間達はすべもなく敗れ去ったというのか。
叢雲牙がどれほど業の深い刀であるのか、蛮骨は知らない。
だが、少なくともあんな刀に操られているような奴に、負けるわけにはいかない。
「終いだぜ……女。これを食らって、生き延びられたやつは居ねえ!」
蛮骨は頭上で大鉾を回転させ、徐々に力を貯めていく。
蛮竜に宿る妖気を全て解放し、その塊をぶつける。単純ながら文字どおりの大技だった。
「へえ。そんなに大きい隙を見せてくれるなら、私も安心してこの技が出せるよ」
「その減らず口、とっとと叩けなくしてやらあ!食らいやがれっ!!」
「いくよ、叢雲牙……獄龍破!!」
あまりに強大すぎる力と力の衝突は──周辺にあった木々を全て薙ぎ払い、大地を深く抉りながら──やがて、百江の放った獄龍破が、蛮骨を飲み込んだ。
「ちく、しょう……」
虫の息になりながらも、蛮骨は首元に埋められていた四魂のかけらの力により、辛うじて生き永らえることができていた。
「何か、言い残すことはある?」
犬夜叉戦の再現であるかのように、百江は蛮骨の首へ叢雲牙を突きつける。
しかしあの時と唯一違う条件は、"蛮骨を殺しても桔梗が悲しむことはない"ということだ。
だから、容赦はしない。情けをかけるつもりもない。
「けっ…てめえみてえな操り人形にやられるなんざ…後味の悪い、終わり方だぜ……」
「ひどいなぁ、そんな言い方……そもそも私は操られてなんかないのに。叢雲牙の纏う邪気は、余さず私が浄化しているんだからね」
「寝ぼけたこと、抜かしてんじゃねえよ。それともてめえ自身、一切気付いてねえってか。
どっちにしろ憐れなやつだ。その体、もうとっくに──」
『殺せ。この男を殺せ!』
──また、声が聞こえた。
それに従う形で、百江は一切の躊躇なく叢雲牙を穿つ。
四魂のかけらが三つ、宙を舞った。それと同時に、蛮骨の体が骨の姿へと戻っていく。
『その調子だ百江。だが……まだ足りぬ。
もっとだ。もっと多くの生贄を、この叢雲牙に捧げるのだ…!』
「うん、そうだよね。もっともっと斬らないと。血を流さないと。
そうでなきゃ、桔梗が幸せになってくれないもんね。
私の邪魔をする愚かな連中は……皆、みんな、ミンナ、殺さなきゃ……!」
骸となり、物言わなくなった蛮骨の下で黒く光るかけらを拾った百江は、白霊山の頂上を目指して再び歩き始める。
全ては、桔梗の幸せのために。
そして……目の前に立ちはだかる敵を、すべて屠るために。