犬夜叉RTA 桔梗救済ルート   作:パプリオン

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Part25 犬夜叉達との合流~花皇撃破

 

やられたらやり返す。一転攻勢だ!!なRTA、はーじまーるよー。

 

前回城を襲った妖怪は、阿毘姫を含め全て撃退することに成功しました。生存者は原作に比べてかなり多い状態です。しかし赤子を取り上げるために姫君を気絶させた犯人は紛れもなくほもちゃんであるため、彼らが目覚めると普通に敵対します。そのため長居は禁物。

 

城を出て町の方に戻ると、桔梗と珊瑚が何やら深刻な表情で会話をしていました。はぇ~すっごい珍しい組み合わせ。

状況から察するに、桔梗は琥珀と戦っていたみたいですね。そこへ珊瑚が現れて、驚いた琥珀が逃走したといったところでしょう。

 

この時期ですと琥珀が失った記憶を取り戻しかけており、珊瑚との邂逅により全てを思い出すというということがままあります。もっともその記憶というのは彼にとってあまりに残酷なもののため、琥珀くんは以後もその罪の重さに苦しむことに……

 

原作ではそれを癒すのが桔梗の役目だったわけですが、今回はほもちゃんもいますし、うちの所へ来たら二人でねっとりと癒してあげましょうね~(逆効果)

 

「あんたは……百江?そういえば、桔梗と一緒に旅をしていたんだっけ」

 

お久しぶりです珊瑚ちゃん。巫蠱の山でお会いして以来ですね。

弟さんが奈落に操られてるってマジなのですか?だとしたらこれはいけない。お互いに力を合わせて取り戻しましょうそうしましょう!

 

「ありがとう。そう言ってくれると、私も少し心が楽になるよ」

 

なぜかは知らないですけど、直前の桔梗と珊瑚の会話が何らかのバフ効果を生み出したようで、ほもちゃんに対する態度が軟化していることが見てとれます。

犬夜叉一行との交流はラスボス奈落戦を有利に運ぶきっかけに繋がるのでいいぞもっとやれ。

 

珊瑚と会話を交えていると、他の一行が追いかけるようにぞろぞろとやって来ました。もちろんその中には、いまだにどちらのヒロインを選ぶのか決めきれていない半妖少年(推定年齢200歳)の姿も混じっています。

 

「桔梗…!?」

 

「犬夜叉……」

 

この二人、出会うたびいつも同じリアクションしてんな(指摘)

 

 

 

と、ここで暗転。

自動的に一日が経過し、イベントが挟まりました。場面もまるまる変わって、森の開けた場所から再開となります。

 

桔梗と犬夜叉は我々の集いから少し離れた場所で、()()()()()()()()()()()二人きりで話しています。おそらくは新生奈落とその城を襲った阿毘姫の狙いについて話しているのでしょうが……端からだとTDNイチャラブカップルにしか見えません。かごめが劇中で散々やきもちを焼いていたのも頷ける話です。

 

さて、この間はほもちゃんも自由に行動することが出来るので、超絶不機嫌なかごめとそれをなだめる七宝に絡んで行っても良いのですが、折角の機会なのでほもちゃんがまだ会話してない人物と接してみましょう。

 

こんにちは法師様。

私の名前は……160cm。

身長は……百江です。

体重が……15歳。

年齢が……49㎏です。

よろしくお願いさしすせそ(支離滅裂)

 

「これはこれは百江さま。私は犬夜叉達と共に旅をしております、弥勒と申します。以後、お見知りおきを」

 

丁寧丁寧丁寧にあいさつを返してくれた弥勒様ですが、皆さんご存じのとおり彼の本性は助平法師です。隙あらば女性の尻を撫で、結婚を迫ってくるという女の敵みたいなやつです。

本人いわく、奈落につけられた風穴の呪いから短命であることは免れられず、一刻も早く伴侶を娶るための行動とのことですが……本命の珊瑚と出会ってからも同様の行為を繰り返しており、ことあるごとに平手打ちされています。

 

で、多分ほもちゃんに対しても()()()()()()()()を言ってくれることを期待しているのですが……

 

「それから百江さま。つかぬことをお訊ねするのですが……私の子を産んで下さらぬか?」

 

出たわね。

 

初対面の二言目でプロポーズとかはえーよぉ!はえーんだよぉ!!

今のは主人公が「人間」かつ「女性」の場合、弥勒との初会話時に必ず言われる言葉です。また同時にしっかりとケツを撫でられています。

 

弥勒様からすれば冗談交じりの部分もあるのかもしれませんが、こんなことを冗談でしてはいけない(戒め)

コンプライアンスの制約が厳しくなってきた昨今、そういった際どい言動は控えていかなければなりません。

 

そんなわけで弥勒様にはちょっとだけお灸を据えようと思います。恨むなら令和という時代を恨むんだな。

 

ここでほもちゃんが選べる選択肢は3つ。上から順に、

・『止めて!』と手を払いのける。

・『困ります……』と戸惑う。

・『尻撫でられたことあんのかよ誰かによ』と弥勒の尻を撫で返す。

 

あれ~おかしいね3つ目だけ明らかにホモガキ用の選択肢だね。

製作陣の中に淫夢厨が紛れ込んでいたのかは定かではありませんが、「ケツを撫でていいのは撫でられる覚悟のあるものだけだ!」という故事に倣い、3番目の選択肢をポチっとな!

 

▼私は弥勒さんに負けじと尻を撫で返した!

 

「ひえっ!な、なにを!?」

 

▼弥勒さんは心底驚いているようだ。まさかやり返されるとは思っていなかったらしい。

▼やった。見事に弥勒さんの鼻を明かしてやれた…!

 

どうしてほもちゃんが誇らしげなのかは分かりませんが、あの弥勒法師が逆セクハラを受けて飛び上がるとか、後にも先にもここでしか見れない光景でしょう。しばらくして落ち着きを取り戻した弥勒様からは、

 

「あそこでやり返されたのは初めてです。撫でられるとこのような気持ちになるのですね。

それにしても百江さま、私が言っても何の説得力もありませんが……清純なおなごがあのようなことをなさるのは、いかがなものかと」

 

という敗北宣言を貰えます。

やったぜ、ほもちゃんの勝ちだ!!

 

いや実質的に大敗してんだろ……というTDN正論は止めてください。私の中にある冥加サイズの自尊心が踏みつぶされてしまいます。

ちなみにこの逆セクハラをすることで、以降の弥勒によるセクハラ行為が激減します。珊瑚への日常的なケツタッチなども少なくなるため、オリキャラで弥勒や珊瑚を攻略する場合においては役立つテクニックといえるでしょう。

 

過激なスキンシップを終えたところで、犬夜叉と桔梗が会話を終えて戻ってきました。

 

あっ……見てください!なぜか桔梗が犬夜叉にピッタリとくっついています!!

こんなところで鍛えられた積極性発揮しなくていいから……

 

当の犬夜叉もどこか満更でもない様子を見せています。おいおい死んだわアイツ。

桔梗とほもちゃんが去った後、かごめからのおすわり百連発は避けられないでしょう。合掌。

 

またこれは余談ですが、ほもちゃんの介入によって本来あるはずだった桔梗とかごめの交流がほとんど失われているため、二人の仲は初期の関係性からほとんど進展がありません。つまり大分ギスギスしているということです。

通常プレイ時ならほもちゃんを仲介人として二人の仲を取りなすといったことも可能なのですが、"奈落を倒すまで"という条件付きであれば両者の関係が拗れていてもそこまでデメリットはないため、タイムの方を優先していきます。

そのぶん間に立つ犬夜叉の気苦労は絶えなさそうですが、半妖として世知辛い世の中を生き延びてきた彼の忍耐力があれば、きっと大丈夫でしょう!(根拠のない自信)

 

 

 

犬夜叉一行と別れたら爆速炎蹄くんに乗り、再び奈落捜索の旅が始まります。

しばらくの間泊まっていた宿屋が前回の襲撃により燃え落ちてしまったので、新しい拠点を見つけなければなりません。

屋外での野宿はHP回復の効率が悪く、また一定確率で寝込みを妖怪や野盗に襲われてしまいます。これが発生するとしないとではタイムに大きな差が出てしまいますので、本RTAにおける拠点の確保は最優先事項と定めています。

 

いつの時代でも、あったかお布団で寝られることは大事なんやなって……

 

▼どこからか、いい匂いが漂ってくる。

▼心が安らぐような、不思議な香りだ……

 

と、ここで久々にランダムイベントが発生しましたね。通しプレイを行う上でこの要素は回避不能なため、迅速に敵を倒してイベントを終わらせる必要があります。

 

「このようなところに村が……少し、立ち寄ってみるか」

 

桔梗の提案に従い、辺鄙な場所に存在する村へ立ち寄ることになったほもちゃんたち。

先程から感じられていた甘い匂いはこの村が発生源だったらしく、何故か我々を乗せてくれている炎蹄くんだけが辛そうな表情をしています。花粉症かな?

 

「おや、旅のお方ですか。もうすぐ日も暮れますで、村に泊まっていきなされ」

 

「それはありがたい。しかし、本当によろしいのですか?」

 

「もちろんですとも。あの家は、旅の人たちのために用意したもんだ。気兼ねせず使ってええぞ」

 

「……感謝いたします。それでは、遠慮なく──」

 

桔梗が交渉する間もなくお泊りOKの許可が出たため、村人に案内された空家に落ち着くことに。

前述していた拠点探しについて、『だったらここを新たな拠点にすればいいじゃんアゼルバイジャン』とお思いになる方もいらっしゃるでしょうが……

 

 

 

罠です。

 

 

 

もう一度言います。これは罠です。

 

 

 

当たり前だよなあ?

こんな貧しそうな村に客人専用の建物があって、先手を打つように「どうぞ是非泊まっていってください」なんて言ってくれる夢のような場所があるわけないじゃろ。

 

だいちくんだって同じような手口でキモオタHRNに昏睡レイプされてましたからね。

そう考えると淫夢ほんへには人生の教訓を得れる部分が意外と多いことに気付かされます。先輩と大先輩が着替えているときにチラチラ見ないとか、配達中のいなりを勝手に食わないとか。

 

まあそれはさておいて、桔梗も当然ながらこの村には何か裏があるということを感じ取っていました。

どこかに潜んでいる敵を見極めるべく、あえてこの場所に滞在することを選んだわけです。

 

「ブルルルスァアアアア……!!!!」

 

ファッ!?な、なんですかいまの!?私の知らない淫夢語録か何か?

……と思ったら炎蹄くん迫真のくしゃみ音だったみたいですね。

なんやそれ紛らわしい!普通にびっくりしたわ(素)

 

▼夜になって、匂いが一層強くなってきた……

▼なんだか今なら、心地よく眠れそうな気がする……

 

そして寝るなほもちゃん!寝たら死ぬぞおおお!!(雪山並感)

自分の両頬を思いっきりひっぱたいて活を入れたら、隣に座る桔梗と会話をします。

 

「百江、気付いているな。おそらくこの村には、何かがある」

 

おっ、そうだな。ほならね、一度外の様子を見に行きましょうか。

……おおっと、村人たちが血の涙を流しながら花の蔓に絡まれています!なんだか気持ちよさそうですね(小並)

 

「あの様子、只事では無いな。いずれにせよ放ってはおけぬか」

 

軒下から一歩外に出た桔梗様は、服の中から紙に包まれた式神を取り出して、ふっとひと吹き。すると形代は蝶々のように舞い始め、浄化の作用をもって村人に巻きつく蔓を分離していきます。

ほぼイキかけていた村人たちは力を失ったかのように倒れ、花の苗床になれなかったことを咽び泣き始めます。彼らは花に養分を吸い取られ、幸福を感じながら土になることを望んでいたのです。

お前ら精神状態おかしいよ……

 

そして式神による妨害を察知したのか、この恐ろしい習慣を村人に植え付けていた黒幕が現れます。

 

「大丈夫ですか村の衆。どうやらその者たちに、ひどい目に遭わされたようですね」

 

「花皇さま、土になり損ねてしまいました…!」

 

"花皇"と呼ばれた男は神官のような身なりをしており、この会話から村を実質的に支配していることが分かります。しかして彼の正体は、人間の苦しみや悲しみを養分にするおぞましい植物の妖怪です。やっぱりな♂

 

「ああ、可哀そうに……この者たちは幸せなまま逝くことができず、苦しさを味わいながら生き長らえねばならない。残酷なことをしたのですよ、あなたたちは」

 

なに言ってだこいつ(ん抜き言葉)

 

『じゃけん善く生きましょうね~』という格言があります。かのドイツ人医師"ジュッセンパイヤー"が遺した言葉です。だから簡単に命を捨ててはいけない(戒め)

 

「それにしても、先ほどから感じられる悲しみの情念は……巫女さま、あなたが漂わせている匂いですか」

 

「……」

 

「ああ、成程。生まれて初めて愛しいと思った男が半妖で、思い違いの果てに殺し合いとは。そんな思いをすれば、魂だって浄化しきれませんよね」

 

「……言いたいことはそれだけか、妖怪」

 

あっ……(察し)

 

桔梗が表情を窺わせずにドスが効いた声を放つのは、椿戦以来のブチ切れ合図です!!

口数こそ少なめでしたが、『人の頭ん中覗いて発表するのがそんなに楽しいかゴミカス野郎…!』ぐらいには思っているとみて間違いないでしょう。

普段優しくて冷静な人ほどガチで怒ると超怖いって、それ一番言われてるから。

 

「あなたのこと、いたく気に入りました。特別に私の屋敷へ招待してあげましょう…!」

 

花皇がそう宣言した直後、意思を持った花の蔓が桔梗を取り囲み、地中へと引きずり込んでしまいました。ウチの姉御に何しとんじゃいワレェ!とばかりに破魔の竜巻を放ちますが、どうやらこの場に居た敵は花の香りが作り出した幻影だったらしく、この場で仕留めることは敵いません。

 

 

 

……静寂漂う花園に取り残されたのは、ほもちゃんと尚も咽び泣く村人たち。

これが放置少女ちゃんですか。

 

されど、本当にプレイを放置するわけにもいきません。

花皇は強い悲しみの感情を抱く相手を捕らえ、自らの屋敷でご馳走にあずかろうとする変態チックな習性があります。

原作では桔梗を失ったばかりの犬夜叉が花皇と対峙しており、危うく花の餌食になるところでした。その時の犬夜叉はかごめからの声でなんとか目を覚ましたわけですが、今回でいうとその役割がほもちゃんに回っているということです。

 

じゃけん囚われの身となった桔梗様を助けにいきましょうね~!

 

 

 

▼桔梗 が 花皇 を倒した!

▼桔梗が 1500 の経験値を獲得!

▼桔梗 の段位が 36 に上昇!

 

 

 

…………なんでぇ~?(KZMIRH)

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

夢を見ていた。

 

かつて、宿命に囚われた女が抱いた、泡沫の夢。

 

『気の迷いでもなんでもねえ。おれは、人間になる。だからおまえも、ひとりの女に……』

 

嬉しかった。

 

犬夜叉が、私のために人間になると言ってくれたことが。

 

ただの女になりたいという、私の願いを受け入れてくれたことが。

 

あの時……私たちの心は、確かに通じ合っていた。

 

この時間が永遠に続けば良い。

嫌なことも、辛いことも、全て忘れて……この夢を見続けていたい。

そんな風に思ってしまうほどに、甘美な夢だった。

 

だが──その光景には、大きく抜けた箇所があった。

私と犬夜叉は仕組まれた罠によってお互いを憎しみあい、一度生じてしまった誤解は最後まで解けることがなく、終焉を迎えてしまう。

その欠如した部分を見過ごせるなら……どれほど楽だったことだろう。

 

忌まわしき過去をまるごと消せるのであれば、あの妖怪が言ったとおり、幸せな夢を見続けられるのだろう。

しかしそれは、私自身が向き合わねばならない現実だ。

どうしようもなく残酷で、救いようのない運命であるとしても……私はそれに、抗うことを決意したのだ。

 

 

 

だから。

 

 

 

もういい加減、夢からは覚める頃合いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見立て通り、あなたの悲しみは極上の味だ!さあ、もっと深いところまで落ちていきなさい。つらくて悲惨な現実になど、向き合う必要はないのですよ……っ!?」

 

花皇は桔梗に対し、驚愕の表情を覗かせた。

心の奥底に抱く、最も幸せな記憶の夢を見ているはずの桔梗が……ぴくりと体を動かしたのである。

 

そして、一度揺り動かされた体は、再び眠りの底につくことはなかった。桔梗は静かに目を開けると、一瞬のうちに己の体に巻きつく花の蔓を取り払ってしまう。

 

「なぜです。なぜあなたは、安らぎの夢を拒絶してしまうのですか?」

 

「思い……出したからだ。今の私には、在りし頃の幸せを夢に見る必要などないと…!」

 

「何を言って──」

 

桔梗の記憶を垣間見ていた花皇は、少しの逡巡を置いて彼女の言わんとするところを察する。

 

「まさかあなたは、死人として蘇ってなお幸せを手に入れられると……本気でそう思っているのですか?」

 

「そうだ。今の私は確かに生きている。魂がこの場所にある限り、自らの手で幸せを掴み取ることができる…!」

 

死人とは、過去の未練を残してこの世をさまよい続ける亡霊のことだ。心は死んだときのまま、そこから動かすことはできない。だからこそ、彼らは"死人"と呼ばれるのだ。

だというのに、その死人が未練を断ち切り、あろうことか現世にて幸せを手に入れるなど……そんなことはありえない。ありえていいはずがない。

 

花皇はこの場において、己の理解の範疇を越えた相手と対峙していた。それまでの絶対的な観念を揺るがされるような思いを味わわされ、初めて声を荒らげる。

 

「世迷い言を……あなたの思いは、自らの死に対する否定に過ぎない!あなたが一度死んだという事実は、決して変えることはできないのです!」

 

花皇はそれまで保っていた人間の体を完全に崩し、植物の妖怪としての本性をさらけ出した。

幾重にも別れ、脈動のようにうねうねと動き回る花の蔓。こんなものに己の記憶を覗かれていたということを悟った桔梗は、冷酷な眼差しのまま花皇という妖怪を嫌悪した。

 

「その体ごと魂を食らい、あなたを救ってあげましょう!」

 

煮え湯を飲まされた怒りのままに、桔梗の体をむさぼろうと襲い掛かる花皇。その姿には、当初の理性的な姿を欠片も残していなかった。

 

「……きさまごときが、この私を救うだと?」

 

そして、桔梗もまた大いに怒っていた。目の前の妖怪を八つ裂きにしても足らぬほどに。

慣れ親しんだ武器である弓を構えることすら忘れた桔梗は、しかしその全身に目に見えるほどの霊力を迸せていく。

 

「──笑わせるな」

 

「なっ…!?」

 

その清らかな光に触れた瞬間、花皇の体は消し飛んだ。

 

 

 

"呪い返し"

 

霊力を己の体に纏うことで、触れた妖をたちどころに浄化してしまう巫女の力。

 

他者の心を惑わし悲しみの感情を餌とする花皇は、実にあっけない最期を迎えることとなった。

そして、花皇が滅されると同時に、村一面に咲いていた花が幻であったかのように消えていく。

 

「花皇とやら、せいぜい黄泉の国から見物でもすると良い。

私の思いが、本当に世迷い言なのかどうか……それは、全てが終わったときに分かるはずだ」

 

 

 

一方的ともいえる戦いを終えたのち、桔梗の中では様々な思いが交錯していた。

 

つい先ほどまでは怒りの感情に身を任せていたこともあり、己の信念が揺らぐこともなかった。

しかし後になって、花皇から受けた言葉が反復し、胸が締め付けられていく。

 

いったい自分は何者なのか。自らが選ぼうとしている道は、果たして正しいものなのか。

誰かにその答えを教えて欲しかった。

 

「じゃあオラオラ来なさいよオラァ!!……あれ?」

 

敵はもう居ないというのに、屋敷の門を粉々に破壊して討ち入ってきた百江。彼女の姿を見ていると、不思議なことにこれまでの悩みが馬鹿らしくなってしまう。

 

「ひょっとして例の変態植物妖怪は、もう…?」

 

「ああ……察しのとおり、既に私が退治したよ」

 

「はぇ^〜すっごい。まるでRTA走者みたいだあ……」

 

「その『あーるてぃーえー』とやらはよく分からぬが……この程度、造作もないことだ」

 

それが良いことなのか悪いことなのかは分からないが、少なくとも今の桔梗にとって、百江という存在に救われている部分があることだけは確かだった。

 

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