なごりなく
燃ゆとしりせば
皮衣
思ひの外に
をきて見ましを
竹取物語にて。
かぐや姫の求婚者が結婚の条件に持参した火鼠の衣は偽物であり、火にくべたところすぐに燃え上がってしまったという。
しかし神楽が手に持つ赤い衣は、犬夜叉の父が十六夜の身を守るために与えた本物の品。
身を粉にして集めた五つの宝物のうち、他の四つは既に富士五湖の中に沈められている。
残る一つ……火鼠の衣を本栖湖に投げ入れることで、神久夜復活の儀式が遂に完成した。
命鏡に施されていた五芒星が解かれ、桜吹雪と共に神久夜がその姿を露にする。
今宵は満月。
月下のもとに照らし映された彼女の姿は、端から見れば確かに絶世の美女足り得た。
「
「……」
満足げな表情を浮かべる神久夜の後ろで、神楽は殺気を隠そうともせずに押し黙っていた。
こいつが言っていた"真の自由"とやらに、さして興味はない。ただ鏡に捕らわれた神無を救わなければという一心で、ここまで神久夜に付き従ってきたのだ。
「ふっ……そのような顔をせずとも、おまえの片割れは約束どおりに返してやろう」
浮かび上がった命鏡が強い光を放ち、白い衣を纏った少女が解放される。
「神無っ!」
そのまま湖に落ちてしまうところ、すんでのところで彼女を受け止めた神楽は、そのまま自らの姉を安全な場所へと運びやる。
神楽にとって、神無という存在は十分に人質足り得ていたのだ。
「奈落の分身でありながら、随分と姉妹想いなことよ。他者を想う心ほど、下らぬものは無いというのに」
「……生憎と、あたしはその"他者を想う心"とやらに命を救われたクチでね」
神楽はその表情を伺わせないままに、ゆるりと立ち上がる。
元より気の短い彼女にとって、我慢の限界などというものは当の昔に越えきっていた。
「エセ天女の分際で、神無を攫ってあたしを利用したツケ……この場でたっぷりと払わせてやるよ!」
「ほう、なにか面白い余興でも見せてくれるのか?」
臨戦態勢となった神楽を前にしても、神久夜の不敵な様子は崩れない。
それどころか、この展開を楽しんでいる節すら感じられた。
「竜蛇の舞!」
神楽が先制で放った技は、己が持ちうる限り最大限の威力を備えた奥義。
相手の強さを見定め、相応の技をいきなり出さざるを得なかったのだろうと、受け手の神久夜は理解する。
「オンカラカラビシワクソワカ……」
仏尊の真言を唱え始めると、命鏡から黒い闇が現れる。先の戦闘で犬夜叉の爆流破を跳ね返した呪術だ。
竜蛇の舞も例外なく闇の中に吸収され、少しの間をおいて神楽の側へと一気に放出される。
直撃すればバラバラに切り刻まれてしまうであろう鎌鼬の切っ先が、不規則な動きで神楽を襲撃した。
「跡形もなく消え去ったか。たわいもないことよ……」
一部の竜巻が湖に触れたことで、飛散した水を浴びながら神久夜はそう呟く。
だが、しかし。
これであっさりと終わりを迎えてしまうほど、神楽という女は柔ではない。
「風刃の舞っ!!」
足下から放たれた無数の刃は、神久夜に向かって飛翔し……瞬間的にその右腕を奪い去った。
「…!」
予期し得ぬところからの攻撃に、初めて顔色を変える神久夜。その様子を見て、相対する神楽は方頬に笑みを浮かべた。
竜蛇の舞を囮に使い、確実に風刃の舞を当てる。それこそが彼女の狙いだったのだ。
かつての奈落と同じように、力で神久夜は倒せない。そう思い至ったが故の、苦肉の策。
神楽自身も少なからず傷を負ってしまったが、その代償を払うだけの成果はあった。
(思ったとおりだ。こいつの体はそこまで固くねえ…!)
このまま一気に押し込めば、勝利をもぎ取ることができる。
神楽がそう確信した、矢先のこと。
「──少しは楽しめたぞ、小娘」
「なっ…!?」
失われたはずの神久夜の右腕が、根本から再生していく。
神楽はその様子に驚愕するも、決してあり得ないことではないと考え直した。
なぜならこの光景は、かつての自らの生みの親が再三見せていたものであったからだ。
「そうか、てめえも奈落と同じ……」
「わらわの不老不死の力を、あのような汚らわしい半妖と一緒にするでない。さあ、次はこちらの番じゃ」
再び呪文を唱え始める神久夜を前にして、神楽は対抗する術を持ち合わせていなかった。
「がはっ!!」
命鏡から生ずる光の鞭が直撃し、湖畔の大木へと思い切り打ち付けられる。
「ちく、しょう…!」
「ほう、まだ起き上がるか。そのしぶとさだけは認めてやろう。
この場で屈するというなら、再びわらわの手足として使ってやってもよいが……」
「ふざけんな!これ以上、誰がてめえなんぞに従うか!!」
「ならば戯れは仕舞いじゃ。空虚なる夢幻の彼方に消えよ」
唱えられる真言に反応し、再び光を放つ鏡。
迫り来る力の奔流を前にして、それでも神楽は膝を折らなかった。
放たれた光弾が神楽に命中すると思われた……その時。
「うらあっ!」
「破ッ!」
風の傷と破魔の矢の合体技が、神久夜の攻撃をかき消した。
久方ぶりの戦闘で敗北を喫した二人──犬夜叉と桔梗は、最初から命鏡の内に存在する異様な気配を察していた。
このままやつを野放しにはしておくことはできない。意識を取り戻した犬夜叉はそう主張し、桔梗もまたこれに同意した。
結果として、二人は期せずして神楽の命を救うことになったのである。
双方ともにどこか既視感のある光景だと思ったのは、偶然ではないだろう。
「どういういきさつかは知らねえが……案の定仲間割れかい、神楽」
「馬鹿言え。誰がこんなやつと、好きこのんでつるむかよ……」
犬夜叉の皮肉を受け、神楽は露骨な嫌悪感を示す。
思えば少々熱くなりすぎていた。
いつものように神無を連れてとっとと退散していれば、ここまでの窮地に立たされることもなかっただろうに。
(焼きが回ったのはこいつらだけじゃなく、あたしもだったってオチか)
その傍らで。
桔梗と神久夜は、互いの獲物を構えながら対峙していた。
かの見た目とは裏腹に、神久夜の放つ邪気は並大抵のものではない。玉を完成させる以前の奈落に匹敵するか、あるいはそれ以上の力を持っていることは明白。
しかし……桔梗がそれ以上に気になっていた部分は、彼女が持つ命鏡にあった。
外見自体はそれほど似ているとは言い難い。されどあれから放たれている気は、百江が時代を越える際に使用していたものと瓜二つなのだ。
果たしてこれを偶然の産物と捉えてよいのかどうか、桔梗は判断しかねていた。
「巫女よ……随分とこの命鏡を気にしているようじゃな。思い出すか?あの小娘のことを」
ぴくりと、桔梗の眉が動く。
神久夜の言う"小娘"というのが、一体誰のことを指しているのか。それは論ずるまでもなく明らかだった。
「わらわは鏡の中から全てを見ていた。故に、知っておる。
まんまと四魂の玉の策謀にかかり、時を超える力を失ってしまった……まこと、あわれなものじゃ」
「事情を何も知らぬきさまが、百江を語るなっ!」
この場において最も触れられたくない部分を突かれた桔梗は、久しく忘れていた怒りの感情を露にした。
勢いのままに放たれた矢は、その狙いを寸分狂わせずに飛翔していく。
先刻犬夜叉達の技をはね返していたあの黒い闇とて、所詮は邪な陰の気によるもの。
その邪気を神久夜ごと打ち砕くことは、やってやれないはずがない。
桔梗のそんな目論見は、しかし次の瞬間崩れ去ることとなる。
「確かに貰い受けたぞ。巫女の霊力」
「なっ…!」
神久夜は攻撃を反射させる力を使わなかった。その代わり、矢は吸い込まれるようにして命鏡の中へと入ってしまう。
桔梗に破魔の矢を射たせ、その力を得る。
これこそが神久夜の真の狙いであった。
霊力を得たことで清浄な光を放ち始めた命鏡を眼下の湖へ投げ入れると、その波紋が全体に広がっていく。
桔梗の脳裏に過ったのは、百江が目の前で元の時代に戻っていった、いつかの光景。
神久夜は間違いなく、あれと同じことを起こそうとしている。
「あと一つ、わらわには足りぬものがある。時代を越え、それを手に入れるとしようか」
「けっ、なにわけの分かんねえこと抜かしてやがんだ!!」
すっかり無防備な状態となった神久夜に向かって、冥道残月破を放つ犬夜叉。
しかしその斬撃には、本来あるはずの手応えがまるでなかった。
「なにっ!?」
「ふふふ……半妖風情の攻撃など、わらわには通じぬ」
神久夜の体は散り散りの桜となり、湖の中へと消えていく。
水面に映るもう一つの世界には、彼らが知らない"令和の時代"の姿が映し出されていた。
※※※※※※※※※※
再び戦国時代へと舞い戻る……予定の実況プレイ、あじまるあじまるあじまるよ!
前回は開始早々暇だったので家の中を物色していたら、天の羽衣を見つけました。
わぁ!すっごい!ほりだしもんだヮ!
などと言っている場合ではありません!!!!
この天の羽衣は「鏡の中の夢幻城」に出てきた特殊アイテムで、敵のあらゆる攻撃から身を守る"ひらりマント"みたいな効果を持っています。
劇中では手に入れた羽衣を神久夜がその身に纏うことで、犬夜叉や神楽の必殺技を無効化していました。
で、何が問題かというとこのアイテム、本来なら現代にあって良いものじゃないんですね。
確かかごめの同級生である北条くんの子孫が戦国時代で持ち運んでおり、それを神久夜に奪われるというのが本来の流れだったはず。
これと同じものが戦国時代にちゃんと存在していれば大丈夫なのですが、仮に向こうの世界に天の羽衣が存在しないとなれば……クリア後のシナリオがどう転ぶのか、てんで想像がつかなくなってしまいます!(無能)
そもそも攻撃無効化が出来ないとなると、復活した神久夜が普通に負けんじゃね…?
いやでも一応不老不死の力はあるはずだから原作と近い展開になるはず……
というかそもそも神楽と神無がどう動くかも分からへんし……
あ、そういやゲットした天の羽衣はどうしよう。
せっかくの機会だし、特に意味はないけどここで装備していこっかな……
▼天の羽衣 を装備した!
おお、織姫様みたいな感じでよく似合ってるじゃないですか。
内面はともかくとして、見た目だけはいいですからねほもちゃん。内面はともかくとしてね。
なんならこの格好で学校とか行っちゃったら、一目置かれるかもしれませんよ?
天女様がやってきたぞっ!なんつってね。アッアッアッ……
……
…………
……………………
桔梗!桔梗!桔梗!桔梗ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!桔梗桔梗桔梗ぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!桔梗たんの黒色ストレートの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!巫女服モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
原作コミック18巻の桔梗様かわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
フィギュアも新しく発売されて良かったね桔梗様!あぁあああああ!かわいい!桔梗様!うつくしい!あっああぁああ!
半妖の夜叉姫にも出てきて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!ぐあああああああああああ!!!
よく考えたら時代樹の精霊は本物じゃない!!!!あ…漫画もアニメもよく考えたら…
桔 梗 様 は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!武蔵の国ぃいいいい!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙の桔梗様が私を見てる?週刊少年サンデーの桔梗様が私を見てるぞ!原作コミックの桔梗様が私を見てるぞ!アニメ版の桔梗様が私を見てるぞ!!PS2専用ゲーム『呪詛の仮面』の桔梗様が私に話しかけてるぞ!!!
よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!いやっほぉおおおおおおお!!!私には桔梗様がいる!!やったよかごめ!!ひとりでできるもん!!!
あ、劇場版の桔梗様ああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
ゆっゆらゆゆっゆゆらゆ結羅様ぁあ!!あ、阿毘姫ー!!神楽ぁああああああ!!!瞳子ォぉおおお!!ううっうぅうう!!私の想いよ桔梗へ届け!!戦国時代の桔梗へ届け!!
……
…………
……………………
失礼。
桔梗様成分が不足しすぎて、思わず取り乱してしまいました。
っていうかそろそろガチで戦国時代に行きたいんですけど。
仮にこのまま何も起きなかったらタイトル詐欺も甚だしい……というか実況プレイとして成立しないんですが、それは。
見たーいー、見たーいー、ほもちゃんがタイムスリップするとこ見たーいー。
見たーいー、見たーいー、桔梗と再会してイチャコラするとこ見たーいー。
なんなら戦国時代の皆がこっちの世界に来るとかでもいいからさぁ、早く原作のキャラと絡ませてくれ!もう待ちきれないよ!!
▼外に出ると、季節外れの桜が満開に咲いていた。
▼今は冬のはずなのに……
冬に桜?妙だな……(名探偵並感)
というかこの文面、通常プレイ時に見た覚えがあr──
▼神久夜 が現れた!
……えっ、なにそれは。
すぅぅぅぅ……はぁぁぁぁ(深呼吸)
やだなぁまさかそんな非現実的なことが起こるわk──
「わが名は神久夜。
あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛や゛っ゛は゛り゛本 物 だ あ゛あ゛あ゛あ゛ ! ! ! !
なんで!?どうして!?あんたが!?現代に!?登場するんだよおおおおおかしいだルルォォォォオオ!?
皆さんご存じ?のとおり、神久夜は天の羽衣を得ることでこの世の時を止める力(明鏡止水の法)を使えるようになります。暁美ほむらもびっくりのチート技です。
劇場版では時の流れを異ならせるかごめと、現代の品を身に纏う犬夜叉たちが奇跡的にこの術を無効化できていましたが、そうでなかったら普通に神久夜がこの世を支配するENDを迎えていたかもしれません。
で、まあそれは良いとして。
神久夜がかごめやほもちゃんのように時を超える能力を保持しているかというと……その答えは「否」だったはずなんですね。
そもそも犬夜叉世界において「己の意思で時を超えられる妖怪」というのは、犬夜叉本人や百足女郎などの一部例外を除き、存在していなかったと思います。
戦国時代でやべー力を持つ悪役がタイムスリップ出来ちゃったら現代がぶっ壊れちゃうからね、仕方ないね♂
だったらこの現状は一体なんなんだよオイ。見ろよこれ
そんな疑問にお答えしますと……恐らくこれは、前回お話ししたアップデートに伴う『キャラクター行動の変化』であると考えられます。
現代マップを拡張工事したんだからそれに合わせてクッソ強い妖怪送り込んだろうぜ!という製作陣の考えが、見える見える……
しかしだからと言ってていきなり神久夜が来るのは違うだろ?違うだろー!!!!
「そなたが持つ天の羽衣、貰い受けるぞ…!」
ま、待て、落ち着け。話せばわかる(INKITYS)
とっとと、とりあえず自己紹介から入りましょう。
私の名前はほも。身長は160センチ、体重は……
▼神久夜 が戦闘を仕掛けてきた!
▼この戦いは避けられそうにない…!
ダメみたいですね……
やだやめて叩かないで叩かないでよ!(ぼくひで)
こうして、「その後」編において初の戦闘がなし崩し的に開始されてしまいました。
神久夜は過去4作に登場する劇場版ラスボスの中で、最も多彩な攻撃手段を有しています。
命鏡を用いての光の鞭、破壊光線、攻撃吸収とカウンター、etc……
エッッッな戦闘装束を着た状態では袖口から触手を飛ばして刺突する攻撃、また髪飾りを巨大な刀剣にすることで近接攻撃にも対応してきます。
そして天の羽衣を纏うようになると、これらに加えて明鏡止水の法と空間転移の術を使えるようになるんですね。
純粋な腕力は犬夜叉と同クラス。俊敏さは勝るが防御力はそこまでないという感じなのですが……彼女には特殊スキル「不老不死」があるため、基本的には体を傷付けてもすぐ元通りになります。
仮に高火力の技で消滅させたとしてもガス状となった霊体だけで生き残ろうとしますので、そうなると弥勒の風穴で吸い込むか、あるいは気体を袋詰めにして溶鉱炉に投げ入れるしかありません(狂気)
神久夜解体ショーの始まりや。
とは言えまずは神久夜を無力化させなければどうしようもないので……
タイミングを見計らって破魔の竜巻をブチ込んでやるぜ!
ソイヤッ!!
「っ、破魔の竜巻か…!?」
予想外の技を目にして驚く神久夜さん(スクショ)
本編で連発しすぎていてお忘れの方も多いかと思いますが、刀剣や薙刀から霊力を打ち出すことはとても難しいのです。
どれくらい難しいかというと、野獣先輩の「かんのみほ」という台詞が本当は何と言っていたかを解明するぐらい難しいです。
さしもの神久夜とて、これを食らえばひとたまりもないやろなあ。
「まさか、これほどの力を有しているとはな……面白い」
ピンピンしているように見っ・・・見えるのは、私だけでしょうか。
今の攻撃当たってたよな?私の見間違えじゃないですよね?
アッ……どうやら彼女、既に巫女の霊力を吸収しているようです!!!!
霊力と邪気、二つの相反する力を備えた神久夜の前では、妖怪相手に100%通じるはずの破魔の攻撃が半減してしまいます。
RTA本編で戦った黒巫女椿も同じ能力を有しており、その時は桔梗の破魔の矢を凌いでみせていました。
このことからもわかるとおり、邪気と霊力の両方を持ち合わせている相手というのは非常に厄介なんですね。
お前なかなか、やりごたえのある敵じゃねえか。
ホラ、かかってこいかかってこい。
私は逃げも隠れもしねえぞオラッ!!
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で、私がやられたってわけ(ドヤ顔ほもちゃん)
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「えっと、はじめまして。私は百江って言います。
身長は160センチ、体重は49キロ。
スポーツとかは特にやってないんですけど、トレーニングはやってます」
見ず知らずの神久夜に対し、いらぬ情報を提供する百江。その姿はある意味でいつも通りと言えた。
「まま、そう焦んないで。よかったらちょっと、お茶でも飲んでいってください」
だが、無論神久夜としてはそんな茶番に付き合うつもりはない。
天の羽衣を奪い、明鏡止水の法でこの世の時を止める。それこそが彼女の大望なのだから。
結果として、二人の戦いはあっけなく終焉を迎えることとなった。
一撃必殺の破魔である竜巻が通じなかったことで、露骨な動揺を見せた百江。
神久夜はその隙を突く形で、意図も簡単に百江の身動きを封じることに成功したのである。
百江は自らの胴体に絡まる光の鞭を力ずくで引きちぎろうとしたが、邪気と霊力の双方を有する神久夜の前では、その力も半減してしまう。
「随分とあっけない。そなたの力、この程度ではなかろうに……」
過去に自分と同じくして時を越える能力を用いていた百江には、大きな興味を抱いていた。
それゆえに、神久夜としてもこのあっけない幕切れには首を傾げざるを得ない。
「流行らせなさいコラ!流行らせなさいコラ!ムーミン野郎あんた流行らせなさいコラ!」
「天の羽衣、確かに貰い受けたぞ」
「あっ、ちょっと田所さん!?何してんすか!止めて下さいよ本当に!」
「わらわのことを一体誰と見間違うておるのかは知らぬが……まあよい。これで全てが揃った」
この世の時を止めてしまう"明鏡止水の法"は、天の羽衣が無ければ成立しない。
長年の封印に耐え、遂に虎の子を得た神久夜は、すこぶる上機嫌であった。
「百江。そなた、悠久の時を生きたいとは思わぬか。永遠の自由を手にしたいと思ったことは?」
「突然何を言って……」
「わらわの下僕となれ。さすればそなたの望み、叶えてやろう」
「へえっ!?」
図らずも心底驚いている、という反応だった。
百江からしても、まさか初対面の敵に勧誘されようとは思ってもみなかったのである。
「でも、今日の今日の勧誘は……別に悠久の時を生きたいとも思わないし……」
「ならばそなたを含め、この世に生きとし生ける者を全て滅ぼすのみ」
「いやいきなり物騒な考え!奈落より遥かにヤベーやつじゃん、あなた!」
奈落という言葉に一瞬だけ眉をひそめた神久夜は、この時代に現れた時と同じように、桜の花弁となって別の場所へ移ろうとする。
「もしわらわの下僕となる意思あらば、わが夢幻の城まで来るがよい」
「えっ、何それは……っていうか、立ち去るならせめてこの緊縛外していってよ!
ちょ、ちょっと待ってください!助けて!お願いします!ああああああ!!!!!」
本郷神社の御神木に張り付けられ、放置されることになった百江。
関東クレーマーさながらの迫真の叫び声は、近隣まで響き渡ったという。