犬夜叉RTA 桔梗救済ルート   作:パプリオン

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続Part4 新たな旅路

 

逢ふ事も

 

涙に浮かぶ

 

我が身には

 

死なぬ薬も

 

何にかはせむ

 

 

 

日がすっかり暮れ、月の明かりが辺りを照らし始めた時分。

 

天の羽衣を得て完全な力を得た神久夜は、遥か上空より地上の営みを眺めていた。

 

この時代においては、夜になっても静寂と闇が訪れることなく、それどころか人間達は我が物顔で往来を闊歩している。

彼らは天に上る美しい満月を見上げることもせず、他事には一切目もくれようとしない。

 

「人というのは、まこと愚かしきものよ……」

 

誰にも聞かれぬところで、神久夜はそう独り言ちる。

 

生きとし生ける者たちの時を止め、永遠なる夜の元に支配者として君臨する。それこそが彼女の秘めたる野望であった。

かつては弥萢と名乗る法師に封印され、命鏡の祠に止まることを余儀なくされたこともあったが……天の羽衣を得たこの時代において、もはや自らを止められる存在など、ありはしない。

 

()()()()()で移動を止めた彼女の体に、桜の花びらが舞いかかる。

 

幾重にも重なる着物の姿から身軽な戦闘装束に早変わりした神久夜は、この世にもたらされる天変地異を頭に浮かべながら、酷薄な笑みを浮かべていた。

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

桔梗たちが現代に居るのって、なんか変な感じね(KNN姉貴)……な実況プレイ、はーじまーるよー。

 

前回は神久夜に引き続き、桔梗たちまでもがタイムスリップしてきたことにより、ほもちゃんもプレイヤーも大混乱の状態でした。

 

で、その後。

一行にほもちゃん自慢のフルコース料理を振舞おうと思ったら、桔梗ストッパーを差し込まれました。なんの問題ですか?

そこからは二人で……というか桔梗が9割がた尽力してくれたおかげで、見た目良し味も良しのごちそうを作ることができました。ありがとナス!

 

ちなみに犬夜叉は手料理と別に大好物の忍者食(即席麺)を所望していましたが、「そんなもの、ウチにはないよ…」と冗談で返したら素で落ち込んでいました。

というか犬夜叉くんさぁ、劇中でかごめが手料理作ってきたときもそっちのけでカップ麺食いたがってたよね?まったく、女心がわかってないにゃあ……(おまいう)

 

まま、ええわ。

それよりも大事なのはこれから先についてのお話です。

前回のパートで新たに発生した「神久夜はどこ……ここ?」問題はまだ解決していません。

 

ステータス画面を開いてみると、ストーリー進行条件には「神久夜の手がかりを見つけよう!」と書いてありますね。簡単に言ってくれるがどうすりゃいいんだ……

プレイヤーの私としても、本作を『かごめでプレイ』した時を除いて、ここまで長い間現代に滞在していたことはないので勝手がわかりません。

本当なら今頃ほもちゃんが戦国時代で大暴れしていたはずなのになぁ。

 

手をこまねいていても仕方ないので、とりあえずこの場にいる全員に話し掛けてみましょうか。

 

ねえねえ皆、 神 久 夜 の 居 所 っ て 知 っ て る ぅ ?

 

「あのなぁ、それが分かってりゃ苦労しねえだろうが」

 

「この地にも神久夜のわずかな邪気は残されていたが……四魂の玉の気配を追うのとは違って、どこへ向かったのかを正確に把握するのは難しいな」

 

「あたしはそういうの、てんで向いてないからね。神無はどうだい?」

 

「分からない。この時代では、私の鏡は繋がっていないから……」

 

うーんこの。

どうやら一行との会話ではヒントを得られなかったみたいですね。かといって外に出てしらみ潰しに探すわけでもなさそうだし。

 

神久夜の行き先が分かるもの、何かないか何かないか……(DORAEMON)

 

「おい百江、この四角い板みてーなのはなんなんだ。鏡にしちゃ真っ黒だしよ」

 

ああちょっと犬夜叉兄貴、ご飯食べ終わったからって家の中をうろちょろするのは止めてください。

 

それは薄型テレビっていうのよ。日暮家にはありませんでしたっけ?

ちなみに今おすすめの番組は連続テレビ小説の「裕子と菊代~ライダー助けて!~」ですかね。

 

 

 

…………ん?

 

 

 

ちょっと待ってください。

 

これもしかすると、もしかするかもしれませんよ?

 

▼気分転換にテレビをつけてみた。

▼チャンネルをニュース番組に変えると、その日に起きた事件が報道されていく。

 

『続いてのニュースです。大雪で厳しい寒さが続くなか、北海道の五稜郭で桜が満開となりました。

例年、函館市の開花宣言は4月下旬ごろであり、国内の開花宣言も通常は3月中旬ごろというなかで、異常現象とも言えるこの事態に市内では混乱が広がっています』

 

手がかり、だいはっけーん!(関西チャラ男)

 

先の闘いの前触れとしても生じていたように、神久夜の現れるところにはなーぜーかー桜が咲くという現象が起こるようになっています。

これは戦国時代であっても現代であっても同じらしく、クッソ寒い冬の季節に北海道で桜が咲くなんてことは、普通だったらまずありえません。

つまり何が言いたいかというと、函館の五稜郭に神久夜がいるってことです!!

 

……なんでそんなところにいるんだ(困惑)

 

劇場版の舞台って確か富士五湖の近くでしたよね?

かぐや姫に由来する五つの宝物を湖に沈め、五芒星の封印を解いたことで復活した神久夜がその場所に鏡の中の夢幻城を作り上げるという。

 

復活までの展開は原作と同じだったとして、現代に来た影響でここでも行動パターンが変わっていくのか。そのための現代マップ拡張か……

それにしても五稜郭ってお前、幕末物の小説じゃねえんだから。

 

と、とにかくこれが神久夜の仕業であることは間違いありませんので、可及的速やかに皆に伝えましょう。

 

おいやべぇって!このニュース間違いなく神久夜の仕業だよ!おい行こうぜ!(タダクニ)

 

「そりゃ本当か!?で、その『ほっかいどう』ってのは、どこにあるんだ!?」

 

犬夜叉たちに分かるように言うのであれば……蝦夷ですねぇ!蝦夷です蝦夷です。

 

「蝦夷っていやあ、確か北の果てじゃねえのか?」

 

「ああ。私も以前に岩代の国へ妖怪退治に赴いたことがあるが……そこよりもさらに北の奥地、ということになるな」

 

「当然あたしたちも、そんな遠くまでは行ったことがないね。というか神久夜は、どうしてそんなところに居やがるんだ?」

 

それが分かったら苦労はしない(素)

 

ちなみに今のところは、この場所が五芒星形の要塞であるから……という説が有力です。

戦国時代にはまだ作られていなかった場所であると記憶していますが、上から見た形は確かに五角星を模していたはずなので。

神久夜としてもあの図形が描かれている場所の方が自分の力を出せるのかもしれません。

 

にしてもゲーム上でそこまで読み取って行動するとか、AIの力ってはぇ^〜すっごい。人工知能ってそこまで進化してたのか。

まあでもよく考えたら、AI君の力で小説すら書けちゃう時代ですからね。ついでに言うとKBTITの怪文書も自動生成することが可能になったという……いやはや、日本の未来は明るいですねえ。

 

まあそれはさておき。

文明の利器の力であっという間に神久夜の消息が割れたので、あとはそこに行って倒すだけの簡単なお仕事です。やってやるぞオイ!

 

えっ、何? 北海道までどうやって行くのかって?

 

チケットとって飛行機で行くに決まってんだろオラァ!!!!

 

……と、言いつつ(今のはフェイント)

 

現代パートでは実際に操作せずとも、マップ上から行きたい場所に移動することができるみたいです。ポケモンでいうところの「そらをとぶ」みたいな感覚ですね。

マップ移動の様子を逐一描写していたら、それは最早別ゲーになっちゃうからね。当たり前だよなあ?

 

でも実際のところ、この面子でどうやって日本の最北端まで移動しているんでしょうか。

このメンツで飛行機に乗ってたりしたら流石にヤバそうですけど……まあ戦国組の桔梗や神楽がしっかりしていますから、きっと大きなトラブルは起きないでしょう。

 

ゲーム上で描かれない箇所を想像しつつ、今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

東京、某空港にて。

 

「桔梗さん……説明してください。今、私は冷静さを欠こうとしています」

 

百江は真顔だった。

 

これまでどんな時も全肯定の姿勢を貫いてきた彼女が、顔が接触するほどの勢いで桔梗に詰め寄っている。

 

「私言ったよね?刃物などの危険物は機内に持ち込めないって」

 

「あ、ああ……」

 

「たとえ隠し持っていても、金属探知っていう現代のカラクリで看破されるから絶対にダメだって」

 

「そうだったかも……しれぬな……」

 

「だったら一体これはなに?ひょっとして、浮気した犬夜叉にでも突きつけるつもりだったのかな?」

 

「一概には言えないが、身の危険を感じた時の護身用にだな……」

 

「はい、アウトーーー!!!」

 

露骨に視線を逸らしつつ、しどろもどろに言葉を返す桔梗を前にして、百江は魂の限りそう叫んだ。

 

 

 

神久夜は函館の五稜郭に潜伏している。

偶然にもニュース番組でその手がかりとなる情報を入手した一行は、果敢にも即座に行動を起こすことを決意した。

 

その上で懸念すべきは、やはりこの時代に来てからまだ1日と経っていない桔梗たちのことである。

 

百江ですら戦国時代に迷い込んだ当初は、その環境になじむまでかなりの時を要していた。

それとは真逆の現象が起きている現在、彼ら全員を連れて()()()()()()()()()()()()北海道までたどり着くことが、果たしてできるのだろうか。

 

『頑張ってじゃねえよお前おい。おめえもがんばんだよ!!!!』

この中で唯一の現代人である百江は、かの名言を胸に奮起した。

 

……そこまでは、良かったのだが。

 

問題は、一体どうやって"日本の最北端"まで行くのかということであった。

 

彼らがみな人間離れした能力を有しているということに、間違いはない。

犬夜叉はビルとビルの間をゆうに飛び越えられるほどの脚力を持っているし、神楽は自らが持つ羽で自在に空を飛ぶことができる。

されど純粋な速度を比較すれば、令和の時代に存在する移動手段が圧倒的に勝ることも、また事実。

 

すなわち……現代において一刻も早く目標地にたどり着くためには、飛行機を用いることこそが最善の策だったのである。

 

そうと決まってからの百江の行動は早かった。

彼女は机のキャビネットに隠しておいたへそくりを取り出すと、人数分の路銭を用意して彼らに出発を促した。

その際には「こういう時に身銭を惜しまないのが我々ジュラル星人だ」という謎の言葉を残したとか残さなかったとか。

 

ちなみに着替える間もなく勢いだけで飛び出していったことにより、一行の服装はそのままだった。

そのため移動の最中は絶えず好奇の目にさらされ、ついでにそこかしこでスマホを向けられ続けていた。

 

空港へ到着すると、百江は機内への刃物持ち込み禁止について、これでもかとばかりに説明を繰り返した。

その甲斐あって鉄砕牙や薙刀、弓矢などは梱包の上、部活用の荷物と偽って貨物側に預けることに成功し、神楽と神無の持ち物はそれぞれ扇子と鏡だったので、そもそも検査に引っかからなかった。

まさか保安所のスタッフも、見かけ上何の変哲もない扇子が人の首を容易く両断する凶器になりえるとは思うまい。

 

計画どおりに事が運んでいると、百江が野獣の眼光でほくそ笑んだのも束の間。

 

桔梗が金属探知のゲートであっさりと引っかかってしまったのだ。

 

空港のスタッフから「お財布やピアス等お持ちでないですか?」と問われ、平然と小刀を取り出そうとする桔梗を垣間見て、百江は全力で彼女を引っ張り出した。

 

「ビビったよ。そりゃもうめちゃくちゃにビビったよ。なにせ桔梗がゲートをくぐった瞬間に警報が鳴り響くんだもん!よりによってこの場所で騒ぎを起こすのはまずいですよ!!」

 

特に最近では空港の防犯体制が厳しくなっていると聞く。

短刀を保持した巫女が空港に現れたなどと騒ぎになれば、どうしようもない。それこそ神久夜を倒す以前の問題である。

 

「すまなかった。そこまでの大事になるとはつゆ知らず……現代というのは、存外難しいところなのだな」

 

「あっ……ま、まあ私も、桔梗には過去に散々迷惑かけてたから、そんなに強くは言えないけど。とにかくこの小刀は責任をもって処分しておくからね」

 

しゅんと落ち込む桔梗の姿を前にして、百江の勢いはあっさりとそがれていた。よくよく考えてみれば戦国時代ではこれと真逆の現象が何度も起きており、その都度桔梗は頭を抱えていたのだ。

あの頃を思い返すと同時に、ちょっぴり申し訳ない気持ちになる百江であった。

 

ともあれ、大事になる前に問題を解決させられたことは幸いだったといえるだろう。

戦国時代のとき以上に前途多難の旅となることが予想されたが、少なくともここから先は飛行機に乗ってさえしまえば、あとは到着を待つだけなので安心だ。

 

 

 

──そんな風に考えていた時期が、私にもありました。

 

「すげえじゃねえか!鉄の鳥が飛んでるぞ!」

 

「生物でないものが、こんなにもたくさんの人を乗せて空を舞おうとは……一体どのような仕組みで動いているのだろう」

 

目を輝かせてはしゃぐ犬夜叉と桔梗については、他の乗客の視線もあったが百歩譲って良しとしよう。

 

「神楽の羽より……速いし高い……」

 

「ぐっ……言ってくれるね、神無」

 

神楽は風の妖怪である。

空を飛ぶということに誰よりも誇りを持つ彼女が、飛行機という名の得体の知れぬ存在に並々ならぬ敵愾心を抱いてしまったことは、まさしく想定外の事態であった。

 

「だけど、所詮こいつは鉄の塊にすぎない。どっちが強いのか、この場で証明してやろうじゃないか!くらえ風刃のま──」

 

「はいそこぉ!飛行機とバトルするの禁止!!今すぐその扇子を下ろしなさい!!!」

 

「止めるな百江!そもそもあたしは、一目見た時からこいつが気に入らなかったんだ。すました顔で自由に飛び回りやがって…!」

 

「これ……座り心地もいい。神楽の羽と違って……」

 

「飛行機の先端部分は顔じゃないから!別にすまし顔とかしてないから!!

あと神無ちゃんも地味に神楽を煽らないで!もっとなんかこう、褒めて伸ばしてあげて!!」

 

何故かスイッチが入ってしまい、暴走する二人の姉妹を必死になって抑えながら……百江は改めて、タイムスリップの大変さというものを思い知るのだった。

 

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