「遅い、な……」
長い夜が明け、地の果てからゆっくりと朝日が差し込んでくる。
昨晩のことだ。
桔梗は一人で抜け出そうとしていた百江を捕まえ、どこへ行こうとしているのか問い正した。
残念ながら明確な答えが返ってくることは無かったものの、おそらくは何か意図があってのことなのだろう。
事情を察した桔梗は、「必ず戻ってくるように」と念押ししたうえで百江を送り出した。
時間にしてみればあれから数刻と経っていないわけだが、久々の戦国時代であいつを一人にすることは、些か──もとい、非常に心配であった。
どこかの森に迷い込んで、帰り道が分からなくなっていないだろうか。
道端に落ちている雑草や茸を食べて、身動きが取れなくなってはいないだろうか。
あれから一睡もせずに百江の帰還を待ちわびる桔梗の姿は、さながら帰りの遅い子供を心配する保護者のようであった。
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紅蓮の蓬莱島編に突入する実況プレイ、はじまりますなのだ。よろしくお願いしますなのだ(ZNDMN)
前回、必要なスキルを入手したうえで、
で、帰ったら帰ったで我らが桔梗様から鋭い視線を受けることに。「また、よその女を誑かしてきたのか……この節操無しめ」と思っているな?(悟心鬼並感)
ただこの件に関しては言い訳のしようがありません。なので平身低頭して謝っておきましょう。
──済まぬ。
「ふ~ん。こいつらがあんたの仲間?妖怪に半妖に人間と……よりどりみどりじゃない」
「……桔梗、という。鬼の妖怪にしては、ずいぶんと人らしい見た目をしているな」
「あたしは逆髪の結羅。この格好をしていると、馬鹿な男どもが勝手に寄って来るの。首を落とされることになるとも知らずにね」
ちょっ、バカおまっ、桔梗を前にして過激発言は控えろとあれほど…!
「なるほど。どうやら、まっとうな者ではないらしいな」
ほらぁもうやっぱりこういう空気になるじゃないですかやぁだー。
結羅ちゃんはデフォルトの性格が残忍なので、慈愛の塊集団ともいえる桔梗たちとの第一印象は最悪です。後ろにいる犬夜叉兄貴と珊瑚姉貴に至っては、それぞれ得物を構えて臨戦態勢に移行しています。まま、そう焦んないで。
このまま放置しておくと後の禍根に繋がりかねないため、もう人を襲わないと結羅に約束させたことを一行に伝えておきましょう。
桔梗の場合は結羅の軽い言動を見てその約束も信じられないと思っているようですが、ある程度の時間一緒にいれば次第に警戒を解いてくれるはずです(希望的観測)
新規メンバーの紹介を終えたところで、いよいよ『紅蓮の蓬莱島』へと歩を進めていきます。蓬莱島は本編クリア後にマップ上の海岸沿いにランダムで出現するようになっており、
条件1:プレイヤーが戦国時代に存在している。
条件2:犬夜叉・桔梗・殺生丸のうち、誰か一人を操作、あるいは仲間にしている。
条件3:ゲームプレイ上一度も蓬莱島を訪れたことがない。
という3つの条件を満たしておく必要があります。今回はほもちゃんが戦国時代に戻れたことですべての条件を満たすことができました。
そのうえで今回の同行者を決めたいと思うのですが、ここはRTAで進めていた時のメンバー+結羅ちゃんで行きたいと思います。つまりは桔梗様、ほもちゃん、琥珀きゅん、炎蹄くん、結羅ちゃんの5人衆です。
詳しくは後程説明しますが、犬夜叉や珊瑚といった原作どおりのキャラが含まれていると桔梗絡みで狙ったイベントが起こせなくなる可能性があるんですね。そのため二人はお家で留守番だ。
なお、結羅ちゃんが加わったことで琥珀くんのハーレム状態がさらに強まった模様。俺にもちょっと回してくださいよ~。
目的地の海岸沿いに着くと蓬莱島編の導入イベントが始まります。
遠くの方で島から逃げ出した女の子が懸命に走っていますね。
それに対して球状の衝撃波をぶっ放している奴が四闘神の一角を成す剛羅。でっかい亀みたいな妖怪です。
図体のでかいキャラ特有の範囲攻撃により、いたいけな少女を容赦なく追い詰めます。なんてことを……
けしからん 私が渇を 入れてやる
▼渾身の力を込めて、破魔の竜巻を放つ……!
▼剛羅 を倒した!
▼4000 の経験値を獲得!
▼百江 の段位が 40 に上昇!
はい、倒しました。南~無~(チーン)
正直ここら辺のパワーバランスがアレというか……蓬莱島チャレンジは基本クリア後に発生するストーリーなので、本編クリア時の面子で挑むと比較的楽勝なケースが多いんですよね。そのうちアップデートで調整されるかもしれません。
だけど敵が最終形態奈落以上の強さになったら、それはそれでどうなんだという話にもなりそうですが……ままええわ。
剛羅を倒したら少女に話しかけましょう。
スゥーーーッ…………
か゛ わ゛ い゛ い゛ な゛ ぁ゛ 藍゛ ち゛ ゃ゛ ん゛
※※※※※※※※※※
「はぁっ、はぁっ…!」
兄姉の力を借りて蓬莱島から抜け出した少女は、追手の追撃を受けながらも必死に足を動かしていた。
だが、敵の妖怪──剛羅の圧倒的な破壊力の前に逃げ場を失い、追い詰められてしまう。
「いや……浅葱お姉ちゃん、助けて…!」
それが叶わぬ願いであることを知りながら、少女は空に向かって手を伸ばそうとして。
得てして、その手を掴んだのは百江であった。
炎蹄に乗った彼女は、そのまま少女を拾い上げて剛羅と向かい合う。
不敵な笑みを浮かべながら骨喰の薙刀を構えると、そのまま最大火力で破魔の竜巻を放ったのである。
断末魔をあげながら光の奔流に消えていく剛羅。その様子をあっけにとられながら眺めていた少女──藍は、炎蹄から降ろしてもらうとそのまま百江と向き合った。
「あ、ありがとう……えっと、あなたは…?」
「私は、藍ちゃんのお姉さんのお友達だよ。何してるの?こんなところで」
「わたし、島から一人で逃げてきて。だから……」
「そうなんだ。じゃあお外は危ないから、私のおうちに行こっか」
「おうちに…?」
「うん。お菓子も飲み物もおもちゃも、たくさんあるよ?」
「え、でも知らない人だし……なんか浅葱お姉ちゃんが知らない人についてっちゃダメって言ってたよ?」
「そっか。藍ちゃんはお利口さんだね。じゃあ、ちゃんとご挨拶しなきゃね」
百江は何故か現代から持ってきた丸眼鏡をかけており、チェックのシャツをINしている。
その様子はさながら『キモオタ百江』と称されてもおかしくない出で立ちであった。
「じゃあ私は、浅葱お姉ちゃんのお友達の、百江。あなたは、藍ちゃん。よろしくね」
「う、うん……」
「ほら、これで
「え?えっと……」
「──何をやっているのだ、百江」
藍がスカートの裾を掴んで言葉を失っていると、いつの間にか背後に立っていた桔梗が呆れたような声色で百江を諫める。
「てへへ」と言って頭をかく彼女を尻目に、先ほどまで困惑気味であった藍は目を見開いて桔梗のもとに飛び込んだ。
「桔梗……ねえちゃんっ!」
纏っていた外套が向かい風で捲れ、妖怪の耳があらわになる。
顔を見合わせる琥珀と結羅。首をかしげる炎蹄。
その中でいち早く閃きの電流が走ったのは、桔梗と最も付き合いの長い百江だった。
「これってつまり……桔梗には腹違いの妹がいたって、コト!?」
「そんなわけがなかろう」
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いやー危ない危ない。もし藍ちゃんが本当に腹違いの妹だったら、楓VS藍による「桔梗おねえさま/おねえちゃん呼び論争」が始まるところでした。ちなみに私はおねえさま派です(鋼の意志)
「桔梗ねえちゃん……お願い、みんなを助けて!」
何やら穏やかじゃないですね(シュルク)
てなわけで藍ちゃんから詳しい話を聞くべく、近くの小屋へレッツゴー。
見たところ大分疲労が溜まってんじゃんアゼルバイジャン。だったら私がおぶってしんぜよう。遠慮しないでさあさあさあ!
「藍、あやつのことは気にするな。私がおぶってやるから」
「うんっ!」
ドウシテ…ドウシテ……(放心現場猫)
小屋に辿り着いたら藍ちゃんにいきなり何があったのかを尋ねるのではなく、まずはお互いに打ち解け合うために健全な交流をはかりましょう。
原作だとかごめがサンドイッチをあげて仲良くなっていましたが、料理の腕が中野くん並のほもちゃんには出来ないことなので、現代から持ってきたお菓子をこの場で解放します。
というか藍ちゃんの反応を見るに、この場にいる他の誰よりもほもちゃんが警戒されてるっぽいんですよね。初対面組でいうと琥珀はともかく、あの結羅よりもビビられてるのはおかしいよなぁ?
「仕方あるまい。子供というのはどこまでも純粋で、
いやあの桔梗様?それ全然フォローになってないどころか普通に追い打ちなんですけど……
前はもうちょっとオブラートに包んでくれていたのに、いつからこんな辛辣になってしまったのか、コレガワカラナイ。
とそんなこんなで適度に落ち込んでいると、突然桔梗が自分の体を抑えて苦しみ始めます。心配で朝も眠れないのでさっそく彼女を脱がせにかかりましょう。
「なっ、何をしている!?離さぬか!」
暴れ馬よ……暴れ馬!(炎蹄)
部屋のすみっこでチラチラとこちらの様子を伺っている琥珀くんも参加してホラ!
「えっ、でもそれは……桔梗さまも嫌がってますし……」
どうやらダメみたいですね。マジメだなぁ・・・(いにしえの3章)
ならばその隣で髪のあやとりをしている結羅ちゃん!私と一緒に特別な稽古を桔梗様につけてあげましょうそうしましょう!
「あたし?……わかった。とりあえずこいつの巫女服をひん剝けばいいのよね」
理解が早くて助かる。
それじゃあ、桔梗様解体ショーの始まりや。
888888888888……
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画面上に映し出されているのは、背中の素肌を露にして顔を赤らめている桔梗様の一枚絵。
正面からの構図でないことに関しては朗らかな笑顔で「誠に遺憾です」と言わざるを得ませんが、これも時代の流れというヤツでしょうか。(アニメ版とコミック版で惜しげもなく胸をさらけ出していたあの頃に)もどして。
「はぁっ、はぁっ……百江きさま、あとで覚えていろよ……」
桔梗は直前のドタバタで荒く息を吐きながら身体を上下させています。なんだか艶っぽくてこれ以上見てると変な気分になっちゃう、ヤバイヤバイ。
この会話イベントが終わったらエンドレス説教を受けることは間違いないでしょうが、それが何の問題ですか?何の問題もないね(節操なし)
……で、肝心なのは桔梗の裸を拝めるかどうかではありません!(今さら)
注目すべきは彼女の体に浮き上がった4つの傷跡です。過去一緒に水浴びをした際には存在しなかったはずのものが、痛々しくも桔梗の体を取り巻くように残されていました。
「これは50年前、奴らの手によってつけられた呪いの刻印だ。まさか、今になって再び現れようとはな……」
傷跡が露呈してしまったことを皮切りに、桔梗はかつての蓬莱島での体験をぽつりぽつりと語り始めます。
そもそも蓬莱島とは50年に一度だけ姿を現すとされる幻の島で、桔梗は生前犬夜叉と共にこの場所へ立ち入る機会がありました。
島は既に四闘神の手中に落ちており、元々この場所に住んでいた子供たちは逃げたくてもそれができない状況にあったのです。
犬夜叉と桔梗はその場に現れた四闘神と一戦交えたものの、手傷を負い倒すことかなわず。
いつの間にか島の外に投げ出されていた二人は、この世から断絶される蓬莱島をただ眺めていることしかできなかった……と、そんな感じの回想です。
で、この戦いの最中に四闘神からつけられた傷(刻印)が、50年の時を経て再び桔梗の身体に浮き上がってしまったというわけですね。犬夜叉の場合は龍羅から受けた4本線の切り傷でしたが、桔梗の場合は剛羅の舌に巻き付かれた際に生じた傷です。
劇中では刻印をつけられたのは犬夜叉と殺生丸のみであるかのような描写がされていましたが、このゲーム内では犬夜叉と共に四闘神の攻撃を受けた桔梗も同じように刻印を受けた扱いにされています。そして通常呪詛の類は一度死ぬことで消滅するものなんですけど、この刻印は死人として蘇った状態であっても消えてくれないのです。
(某ワカメおじさん並の執念深さを)感じちゃうよ?
ついでに桔梗は先の戦いにおいて、なぜか自分の血を抜き取られていました。剛羅がものすごくマニアックなフェチだったのか、それとも別の何かに利用しようとしていたのかは後ほど判明することでしょう。
いずれにせよ刻印を持つ者は際限なく四闘神の領域に呼び寄せられてしまい、また刻印がある限りはそこから出られなくなってしまいます。
島に残された子供たちは藍ちゃんを除く全員が刻印をつけられており、島から脱出することは不可能でした。だから唯一刻印のない藍ちゃんを島から逃そうとして、それが冒頭の戦いに繋がっていたわけですね。
で、この幾百年にもわたる刻印の呪いを完全に解く方法は一つだけ。それは件の四闘神を全員倒すことです。
「私と犬夜叉が50年前に遺していった最後の因果……終わらせてこよう」
よっしゃぶち飛ばしていくぜえええ!!!!
力強く立ち上がった桔梗様に続く形で拳を高々と上げたところで今回はここまでです。ご視聴ありがとうございましt──
「と、その前に──百江、結羅。おまえたちにはこれから人としての常識を嫌というほどに叩き込んでやらねばな」
えっ、いや、あの……もしかしてさっきの桔梗様解体ショーのことでお怒りに…?
「あ、あたしは人じゃないから外れるわね?」
「問 答 無 用 ! 二人とも、そこへ直れ!」
アッハイ。
「桔梗ねえちゃん、怖い…!」
「藍ちゃん、こっちに来て……参加しなくて良かった」
3者3様のリアクションを見せたところで今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
桔梗様ゴメンナサイ反省してますもう二度としませ (文章はここで途切れている)