竜殺しっぽい誰かの話。   作:焼肉ソーダ

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ふて寝したら精神が回復したので勢いに任せた続きを置いておきますね……。
さて……どこからどこまでなら主人公の話をしても自然なんだろうな……(困惑)
あ、勢いに任せたので今回は粗雑です。お許しください。


28.もう二度と遺跡なんぞ行かん

 う、うおおおおお……めっちゃ痛え……全身がこう、火傷のよーに痛え……あいや、実際火傷もしてたか。はっはっは。……いや笑い事じゃねえな……。

 

 無理くり火を入れた炉の熱を落とす。かなり───色んな意味で滅茶苦茶をしている感覚はあるけど仕方ないね。これだから使いたくないんだ、これ(二つ目の切り札)

 俺の場合、魔力(火種)を入れない限りは動かないようになってる……してる? から、一回冷ませばその時点で内側から燻る熱は止まる。熱の代わりに漲っていた魔力が消える感覚。無駄が多いんだよなあ、俺のは。途中で溢れてくから生み出した魔力を十全に扱えるわけでもなし。これも必要な部分だけ借りパクしている代償だろうか。いやほんとすみません。

 

 と、卑屈っぽいことを考えつつ殴り倒した魔人を見る。そういえばさっきまたなんかよくわからん武装生えてなかった? なにあれ?

 

『ふ……よもや、この我が愚者の牙にかかろうとは……』

「一回も噛んだりしてないぞ」

『知らぬ、か。まあ、いい……』

 

 不意打ち上等でボコってやったのに、魔人はなんでか満足そうだ。なんか腹立つな。

 

(セリカ)の凋落は惜しいが、愚者の民草の剣を知ることができた……()()()()に過ぎぬ身であるといえども、よくぞ我を破った。褒めてやろう』

 

 なんでこんなに上から目線なのこいつ?

 いや、古代の英雄さまだって聞くし、それらしいと言えないこともないけど。ていうかすげえ不穏な言い回しが聞こえたんだけど。聞き間違い? 聞き間違いだよね?

 

『また相見えることを祈ろう、愚者よ! 我が本体は尊き門の向こう側にて汝らを待つッ!』

 

 帰ってちょうだい。……ああ、違うか。これから帰るのか。じゃあ訂正する。もう来んな。

 こちらの本音が聞こえたのかどうか、魔人はゆっくりと闇に溶けて消えた。

 

 ……いやあ。

 本当頑張ったなあ、俺……。

 

「アッシュ君!」

「おー、ティンジェル」

 

 姿を認めた瞬間、こっちに法医呪文をかけてくれるティンジェル。ありがとうございます、骨身に優しさが沁みます。

 プロ顔負け、という評判に違わずじわじわと癒されていく火傷と裂傷。ありがてえ。炉心の火はもう落としちゃったから魔力はカスカスだ。

 あ、そういえば今回気絶してない。

 制服は死んだけど!

 

「ったく、無茶しやがってこのバカ! ほどほどにって言っただろうが!?」

「すみません、つい……まあ生きてるからおっけおっけ」

「『おっけおっけ』じゃねえんだよこのバカ! おまぬけアッシュ! 名前通り灰になってどーすんだよ!?」

「なってないしそれは愛称……あーだだだだ、こめかみを抉るなぁ!?」

 

 それはレイフォードの特権だろあいたたたた。

 

 見れば心なしかフィーベルとレイフォードの顔も険しい。ナンデ。

 

「なんでじゃないでしょ! だから全員で戦った方が良いって言ったのに!」

「つってもなあ……全員でかかってたら、たぶん最後の方でかなり苦戦してたぞ? 今回は不意打ちが功を奏した形だし」

「そういう話じゃないっ! 本当に……無茶しないでよね……」

 

 おぉう。俺の罪悪感がマッハ。

 もしかするとここにぶち込んでしまったことになにか思うところがあるのやもしれんが……うん、気にすることじゃない。事故じゃしょーがねえよ。

 

 とりあえずあのクソつよ魔人も片したことだし、これでいつもの毎日に戻れるだろう。いやあめでたしめでたし、と───

 

「……あの、なんで俺はレイフォードにも睨まれてるんでせう?」

「…………しらない」

「ええー……」

 

 いやあの、意味がわからんのよ……。気難しさが倍増してない? ねえ。

 ……。ま、いいか。

 

 考えても仕方なさそうだし。

 

「アッシュ君」

「はい」

「今日のはアッシュ君が悪いよ」

「すみません」

 

 なんでか怒られた。

 いや、別に自己犠牲精神とかじゃなかったし……一番現状の戦力を効率よく使える配置だと思ったんだが。ダメか。

 

「システィ、すごく気にしてたんだよ? リィエルも心配してたし……」

「む、そうか。……それはすまん」

 

 心配をかけたのなら……まあ、それは確かにこっちの落ち度だ。

 俺が思ってるよりも、こいつらは心配してくれるらしい。

 

 正直頭は回らんが……うん。ひとまずは終わったし、よしとしよう。

 そんなことよりさっさと帰りたい。疲れたよ俺。

 

 そうつぶやくと、やれやれ、いつもと同じだなお前は、みたいな空気になって。

 

「ん。……帰ろう? フェジテに」

 

 レイフォードの言葉。

 

 それに、俺は。

 

「───。ああ、そうだな」

 

 いつものように、笑って返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───雪景色を見た。

 

 一面の白を、夥しい量の紅が塗り潰していく。

 肩で息をしながら、誰かが剣をバケモノに突き立てていた。

 

 大きな翼。頭部には二本の角。

 黒く輝く鱗は全身を覆い、謎の紋様が胸部で瞬いている。

 鋭い爪は獲物の全てを引き裂き、逞しく長い尾は、動けばまるで鞭のようにしなって外敵を打ち据え、その五体を砕いてなお勢いを緩めずに周囲の木々や岩肌さえ削るだろう。

 

 だがそれも、生きていればの話。

 

『───、───、──────……』

 

 なにかを語ることすら辛いのか、その人物は長剣を突き立てたまま動かない。

 碧い双眸は伏せられ、どこを見ているのかさえ定かではない。鍛え上げられた肉体は汗にまみれ、今にも倒れてしまいそうなほどに消耗していて───■■■──────■■■■■■■■■──────■■■■■■─────■■■■■■■■■■■■■■■■■───「■■(ねえ)■■■■■(───リー)? ───■■■(聞こえ)───」────────────────────────────────────────────■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。

 

 ───ノイズ。

 

 見慣れた(見知らぬ)校舎。見慣れた(見知らぬ)教室。

 懐かしさが込み上げてくる。こんな場所は記憶にないのに。

 

 ■■■■■■■■■■■■─────■■■■■■───、■■■───……■■(オイ)■■■■■■■■■■■(なに笑ってるんだよ──)? ■■■■■■■■■■■(ニヤニヤしちゃってさあ)────────────、────────────────────────────…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……なんだ、あれ」

 

 ジリリリリ、とやかましく鳴り響く目覚まし時計を叩きつつ、ベッドからむくりと起き上がり寝起き特有の思考のもやを振り払う。

 

 なんかとても懐かしい夢を見た気もするし、全然知らない光景を見せられた気もする。

 一つ伸びをして、意味のわからない光景を記憶の片隅に放り捨てた。

 

 なに、気にするようなことじゃないだろう。思い出せないんなら、それはさして重要なことではないのだろうから───

 

 

 

 

 

 で、びっくり遺跡調査から早くも一週間が過ぎた。

 え? 描写? ないよ。特に言うべきことはないもの。

 

 強いて言うなら───

 

 学校に行って、

───退屈な幸福にあくびをして、

 友達とバカなことを話して笑い合って、

───家に帰れば家族がいて、

 そんな普通の毎日が戻ってきたから、俺は満足デス。

 

 すっかり傷の癒えた身体をほぐし、今日もカバンを担いで学院へ向かう。

 あれから時間は流れに流れ、いつの間にやら俺の周囲には平穏が戻っていた。

 

 一ヶ月ごとに一問題、という法則は前回の遺跡調査で崩れている。したがって、もう気を張るのは無駄だという結論に達してしまった俺は半ば開き直るようにいつもの日常を満喫していた。

 

 今日はもうじき『社交舞踏会』が開かれるとかで、生徒はみんなその前準備に駆り出されている。もちろん俺もだ。体力には自信があるので俺は資材運び組。カバンをその辺に置き去りにして、早速椅子やらテーブルやらを運んでいく。

 

 と、フィーベルとティンジェル発見。

 

 ……なんかまたティンジェルが言い寄られてたっぽいな。なんだっけ、ダンス・コンペ? とかいうやつが同時に開催されるから、そのパートナーにと男子生徒からひっきりなしに誘われているらしい。

 俺は……どうしよっかなあ。参加する相手もいないし。参加する気もないしなあ。誘ってくる相手がいれば参加しようかな(いません)。去年? もちろん不参加です。

 

 しかし嫌なときはノーと言えるフェジテ人であるティンジェルは男子生徒の懇願をバッサリカット。うーんこの。今のところ誰からの誘いにも乗っていないらしい。

 なにやらフィーベルとティンジェルが言い合っているが、どうもチラチラ聞こえるセリフからしてダンスのパートナーの話っぽい。ふむ、あの二人のパートナーか……グレン先生とかかな。なんでかティンジェルは懐いてるみたいだし……。

 

「……こういう空気もいいよな……」

 

 文化祭に近しい空気を感じる。文化祭とは違って一つのことに全体で取り組むのも良いものだ。

 俺も働こうかと思って辺りを見渡す。……お、件のグレン先生がいる。いや実際誘われるかはわからないんだけど、どうせグレン先生のことだ、面倒くさがって参加しない可能性……いや、メシでも釣れるか? あの人、メシのことになるとチョロいしなあ……。

 

 うむ。ちょっとついてってみるか。サボってるわけじゃないだろうけど、いつも世話になってるお礼だ。資材運びを手伝うのも良いかもしれない。

 

 周りに断ってから、グレン先生がいなくなった方向へ歩を進める。……なんかちょっと暑いな。いや、どっちかっていうと熱い?

 まさかグレン先生……仕事をサボって学校の敷地内で焼き芋を……? と思ったが、割とすぐに熱さはおさまった。なんだったんだ。

 

 疑問に思いつつ木陰から顔を出す。そこにいたのは───グレン先生とアルベルトさんと……あと一人は……誰だ?

 

 燃えるような赤毛。ここからではよく見えないが、キッと吊り上がった瞳は紫炎色。見慣れた衣装(軍服)に身を包んだそいつは明らかに学院関係者ではない───あ。

 

 思い出した。

 でもなんでこんなところにあいつが?

 

 新たに湧いた疑惑に首を傾げ、懐かしい顔に向かってちょっとだけ足取り軽く駆け出して───

 

「───イヴ!」

 

 そう。そこにいたのはかつての友人にして『気難しい』『すぐ怒る』『プライドが高い』の面倒くささ三拍子が揃った女ことイヴ=イグナイト。

 軍服を着てるあたり、推定軍人のリディアさんの妹だったイヴも同じ道に進んだんだろう。

 

 いやあ、最後に会ったときよりも成長してて一瞬誰だかわからなかった。

 美人になった、と言えばいいだろうか。

 

「久しぶりだな! お前、なんでこんなところ───に───?」

「───……」

 

 つい昔の感覚で近くに寄ると、ふと腕がこっちに伸びてきた。

 

 そのままがしっ、と制服の襟を掴まれ、ぐるりと視点が回転する。

 

 え?

 

 予想外の出来事に戸惑っているうちに、背中から地面に叩きつけられる。投げられたのだ、と気付いたのは、こっちを見下ろすイヴに気付いたのと同じタイミングだった。

 

「……。えーと」

「…………」

「よ、よう、イヴ。ご機嫌よう。……早速で悪いんだが、俺はなんかお前の気に障るよーなことをしたのかな……?」

 

 挨拶は大事なので、片手を軽く上げながらそんなことを言ってみる。

 すると───不機嫌そうにイヴはため息をついて、つまらないものを見るようにこっちを見下ろした。

 

「……はあ。相変わらずの平凡、凡人、凡才ね。本当、なんであんたみたいなのが狙われるんだか」

「お、おう……?」

 

 なんかディスられたでござる。

 というかグレン先生が目を丸くしてるんだけど、もしかして知り合い?

 

「グレン。この凡愚をちゃんと見張っておきなさい」

「は? お、おいイヴ!?」

「それじゃ」

 

 ズカズカと、イヴはやっぱり不機嫌そうにどこかへと去っていく。最後まであんまりこっちのことは見なかったような気がする。忘れられてるというわけでもなさそうだが……忘れられたんでなければ嫌われたか。……それはそれでクるものがあるな……。

 昔から怒られてばっかりだったし、仕方ないといえば仕方ないのだけども。

 

「あ、イヴ! ……くそ、悪いな。あいつはイヴって言って……ああいや、知り合いっぽかったか」

「ええ、まあ。帝都にいた頃に師匠の紹介で……。グレン先生の方こそ知り合いなんです?」

「知り合いもなにも、あれだ。あのいけすかん嫁き遅れ冷血ヒス女は……」

「帝国宮廷魔導士団特務分室の室長にして、執行官ナンバー1の《魔術師》イヴ=イグナイトだ。つまり、俺や現役時代のグレンからすれば上官ということになるな」

「アルベルト!?」

 

 手を貸してもらって立ち上がると、すっ、とどこから現れたんだかわからないアルベルトさんにグレン先生が目を剥いた。

 ……なんでか用務員服だったが。

 

 微妙に似合ってるのがまたなんか、こう……。

 

「妙なことを考えるな。その眉間、射抜いてやろうか」

「やめてくれません!?」

 

 本意じゃないんですね、アルベルトさん。

 しかし、イヴがグレン先生の上官か……。世の中狭いなあ。思えば昔から魔術の腕はずば抜けていたし、納得と言えば納得だ。特務分室の室長、というのは驚いたが。出世どころの話ではない。

 

 ところでどうしてYOUはここにいるんです?

 

「何故俺たちがここにいるのかについては、お前が知ることではない」

「へえ。じゃあしょうがないですね……あ、もしかして社交舞踏会に参加しに来たとか」

「……まあ、そんなところだ」

 

 言い方的に参加自体はしないのかな。少し残念だ。アルベルトさんもイヴも、舞踏会にはすこぶる映えそうな気がしているのだが。

 なら、会場の警備とか? 有り得そうな気もする。レイフォードが護衛についているとはいえ、別の場所からもお客さんが来ると言うし。そっちにも手を回すために来たとか。

 

 ……それにしても俺の帝都時代の知り合い、ほぼ全員軍人じゃねえかよ。

 

「つか……仮にもイグナイト公爵家の御令嬢を紹介するとか、お前の師匠ってマジでナニモンなわけ……?」

 

 俺にもわかんないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 まだお互いに仕事がある───とアルベルトと別れ、グレンはアシュリーと二人、わざと遠回りをするように校舎へと戻ってきていた。

 ポケットに手を突っ込んだままゆったりとグレンの少し前を歩く少年の身体に包帯などは見られない。……ここ最近事件に巻き込まれてばかりだったから、ある意味では珍しい姿と言えた。

 

「ダンス・コンペかあ……グレン先生は誰かと踊ったりするんです?」

「そういうお前はどうなんだよ」

「俺? いませんよ、そんなん。ダンスとか習ったことないし……ごく平凡な俺と踊りたがるようなやつもいませんって」

「……平凡な、ねえ」

 

 グレンが言い淀む。

 さすがに、目の前でのほほんとしている生徒を『平凡』と評することができるほど、グレンの常識はぶっ飛んでいない。

 

「『そっちのが効率が良いから』って理由で一人足止めを買って出るようなやつが平凡かよ」

「トゲがすごいんですけど……」

 

 当たり前だ。どれだけこちらが気を揉んだと思っているのか。

 

 どうもアシュリーという人間は、常識的な感性こそあっても一般的な性格ではないように思える。

 例えば───ずっと気になっていたことではあるが。一度も、どんな事件に見舞われても『怖がる』様子を見せたことがないことなどだ。

 

 百戦錬磨の魔導士であるグレンとて、戦いに臨むときには大なり小なり恐怖を抱いている。だが、アシュリーはただの一度も恐怖を見せたことがない。本来、本人の言うような普通の人間……システィーナなどが良い例だろうが、今まで安穏とした生活を送ってきた人間であればもっと怯えても良いものなのだ。

 

 恐怖を押し隠している、というのも少し違うような気もする。

 単純に肝が据わっているのか。それとも十年前の事件とやらが原因なのか、あるいは───本当に感じていないのか。

 

「はあ……」

 

 本人に聞けば、おそらくは『師匠のせいじゃないですかね』、なんて言ってからからと笑いそうな気もする。未だ誰なのかはわからない『師匠』とやらだが、話を聞けば聞くほどなぜか茶目っ気のある老人の顔が浮かぶ。

 軍人であることはわかっているし、もしかしたらバーナードが……いや、『師匠』とやらに(放任主義だったようだが)養育されていた時期もあるというし、あの老人にそんな甲斐性があるとは思えない。他人の空似だろう。

 

「ま、あれだ。参加する相手がいないんなら、白猫やリィエルでも誘ってやったらどうだよ?」

「こっちから誘うってのもなあ……俺、ダンスとかわかんねえですし」

「学生の遊びでなーに言ってんだ。ま、今回の優勝は俺とルミアがもらうがな!」

 

 ガッハッハ、となるべくその『裏』にあるものを感じさせないように笑う。

 ───そうだ。知る必要はない。

 社交舞踏会にかこつけた、ルミアの暗殺計画など。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 旧友には投げ飛ばされるしグレン先生は目つきが怪しいしで意味わからんのだが。

 

 理解が追いつかないことが多すぎんよォ……。

 あ、グレン先生が飛んでった。

 

「いつもの光景だぁ……」

 

 ティンジェルを誘いに行ったのは知ってるけど、それでなんで空を飛ぶことになるのかコレガワカラナイ。

 

「よう、二人とも。なにやってんの?」

「ん……よくわかんないけど、グレンがだんす・こんぺ? にルミアを誘って、システィーナが怒った」

「なるほど、わからん」

 

 なんでティンジェルを誘うとフィーベルが怒るんだ。

 ヤキモチを焼いた……とか? でもそれだけで暴力的な手段に訴えるようなやつじゃなかったと思うんだが。

 

「金一封ですって」

「はい?」

「金一封目当てで! ルミアと! 踊るんだって!」

 

 あー……。

 

 フィーベル、ロマンチストっぽいもんなあ……。

 

「なんか、みんな……へん。だんす・こんぺってなに?」

「ん? そうだな……基本的には男女のペアで踊るんだと。社交ダンスの腕を競うとかなんとか……ま、俺には無関係なイベントだな」

 

 ダンスとか習ったことないし。

 

「わたしも、習ったことない」

「だよねー」

 

 お貴族様のフィーベルやナーブレス、モト王女様のティンジェルとか、その辺であれば習ってるんだろうが。

 

 ふと下を見ると、レイフォードがこっちをじっと見つめていた。

 ……なんぞ?

 

「わたしも参加したい」

「マジ?」

 

 グレン先生は売れちゃいましてよ?

 

 

 

「ん。だから、アッシュと」

 

 

 

 ──────。

 

 マジ?




明日から頑張るぞ……!
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