どういうことなの??(宇宙猫顔)
あの日、私は原作にも出てきた並盛中央病院の一室で目を覚ました。
“松崎
2歳の頃に両親を亡くした私は、親戚が引き取りを拒否したためにこひなた学園という孤児院に預けられていた。そして並盛町に住む松崎夫人の養子になり、彼女の家に行く途中、事故に巻き込まれたらしい。
戸籍も、ちゃんとあった。
通っていたという小学校も、存在した。
そのことを知った私は、気が狂いそうになった。
今までジョット君達と過ごしてきたのは何だったんだ?
明晰夢? それとも死に瀕したが故に見た幻?
そんな訳がない。彼らと過ごした時が偽りだなんて、有り得ない。
懐中時計も、アラウディ君がかけてくれたんだろうコートも、ジョット君からもらったループタイも確かにあるんだから、絶対に揺るがぬ事実だ。
だが、それにしてもおかしいのだ。私が元々いたという孤児院は、確かに存在した。ただし、7年前に閉鎖されている。一度足を運んでみたが、数ヶ月前まで人が住んでいたとは思えない荒れようだった。
なのに、誰もそのことを気にしない。明らかにおかしい。
答えは見えている。けれど、今指摘したところで得られるものは何もない。このカードは隠し持っておくべきだ。
何にせよ、私は沢田君達に関わるつもりはない。精々クラスメイトの一人として彼らの非日常を傍観していたいのだ。
理由は至って簡単。彼らはみんなに似ているからだ。
彼らといるとどうしても、みんなのことを思い出してしまう。みんなの姿を、重ねてしまう。
それは私の精神衛生上よろしくない。
彼らだって、見ず知らずの人間と重ねられていい気分はしないだろう。
故に、私は彼らとは関わらずに済むよう、できる限り、怪しまれぬ限りで頑張ってきた。だが、それも無駄に終わりそうだ。
「ちゃおっス!」
凶悪極まる中身に似合わぬ幼く可愛らしい声で告げる彼の特徴は、円らな瞳とくるりとしたモミアゲ、そしてボルサリーノ。
私の接触を避けたい奴ランキング堂々のトップに君臨する
何故彼がトップかって? 彼に目をつけられた人間は漏れなく何らかのマフィア案件に巻き込まれている。山本君しかり、京子ちゃんの兄上しかり、風紀委員長殿しかり。
『面白そう』とかふざけるにも程がある理由で
「やあ、僕。こんなところでどうしたんです? お兄さんかお姉さんを捜すの、手伝ってあげましょうか?」
「安心しろ、オレは迷子じゃねーからな」
そうニヒルな笑みを浮かべたリボーン君と少し会話し、名前まで当てられてしまった私の胃はヤバイことになっている。未来でメローネ基地のトップをしていた時の入江正一の気持ちがよくわかった。会う機会があれば労ってあげよう。あくまで会う機会があれば、だが。
「あっ、リボーン!! こんなところに!!」
ここで走ってきたのは、例の如く一緒に行動している三人組。
みんなとよく似た彼らの姿に楽しかった思い出が蘇りかけるが、生憎と私はリボーン君の相手中だ。ここで動揺を悟られれば付け込まれる。感情を理性で押さえ込み、彼らを迎えた。
「ツナ、遅かったな」
「遅かったじゃないよ! 大体お前がどっか行くからだろ!? レイちゃんに何か迷惑かけてないだろうな!!」
「それはねーぞ。オレは女には優しくする主義だからな」
叱る沢田君に言い返したリボーン君に、山本君が「ハハッ」と笑う。
「小僧は大人なのなー」
「リボーンさんは事実大人なんだよ、野球バカ!」
「うるせーぞ獄寺、山本はサンキューな」
平謝りする獄寺君はスルーし、沢田君に声を掛ける。彼はまだ沢田君を含めた周囲の性格などを掴みきれておらず、教室でも時折こういう遣り取りをしている。
未来まで戦い抜けば何も言われずとも沢田君の意志を汲んで動ける
「沢田君、お兄さんなんだからリボーン君のことちゃんと見ててくださいね」
「え、なんでオレの弟だって…?」
「だってリボーン君、沢田君のことだけは渾名で呼んでましたから」
リボーン君の楕円形の瞳が、縦方向に伸びた気がする。
だがそれも一瞬、代わりに口角を上げている。動揺する様をほとんど見せないとは、世界最強のヒットマンは伊達ではないらしい。
「そーか。弟ってのはハズレだが、こん中で一番ツナが近い人間だというのは正解だ。よくわかったな」
「私、洞察力はある方なんです。前に友人に褒められたこともあります」
嘘に少しの真を混ぜれば、見抜き難さは段違いに上がる。明言していないので、まさか
「でもリボーン君、幾ら家族だからって沢田君を呼び捨てにするのはいけないと思います。年上は敬わないと」
ここでダメ押しのように幼い子供に向ける注意をする。
未来編に於けるメローネ基地での
目指す評価は京子ちゃんと同クラスの天然、マフィアとは何の関係もない一般人である。
リボーン君は人の心を読む読心術という技術を持っているが、私はそちらへの対策も万全、読まれずにいられる。
読心術で心を読ませないことで生じるデメリットは世界最強の
現状の要素から考えられる複数パターンの未来を予測した結果、デメリットは無視しても大丈夫だという結論が出ている。
偽の情報を掴ませるまではしないが、少なくとも心を読ませる必要はない。
私の武器は、双剣だけじゃない。あの動乱のマフィア黎明期にて磨き上げた技術はこの時代でも問題なく通じるだろうが、そうではない。
私が最大の武器だと自信を持って断言できるのは、私自身の頭脳。ある種悍ましい私の一側面、飼い馴らした怪物。
使えるものは全て使う。それが私のモットーだ。
沢田君が白目を向いているということは彼は欺かれて、脳内でツッコミを入れている最中ということだ。
しかし
「大丈夫だぞ、オレはツナの
「こんなに小さいのに、リボーン君は凄いですね」
それじゃ、と沢田君達に向けて言って、立ち去るために一歩踏み出す。どうにか切り抜けられたか。
「ちょっと待て、レイ」
流れ的に見て彼が次何を言うつもりなのか、予測はできる。本当なら走って逃げ出したいところなのだが、それをやると余計な憶測を招きかねない。
だから、聞かなくてはならない。例えそれが、私が拒否したいことだとしても。
「お前、ツナのファミリーになれ」
「…ごっこ遊びですか? 面白そう」
「ちげーぞ。イタリア最大規模のマフィア・ボンゴレファミリーへの永久就職の誘いだ」
わかってはいた。
わかってはいたけれど…まさか、真正面からボンゴレがマフィアだと叩きつけられるとは。
この世界が私がいた時代から派生したものかはわからない。十中八九そうだろうとは思っているが、確たる証拠がない。
だがそれでも、自警団として組織されたボンゴレがマフィアになっているというのは認め難い。
どんな
「設定が作り込まれていますね。でも、私は勉強とかもあるので…」
ごめんなさい、と頭を下げ、その場から走り去る。
これ以上彼らの相手をしていれば、必ずボロが出る。多少不自然に思われようと、それは避けるべきだから。
(大丈夫だよ、みんな)
布越しに懐中時計の存在を確かめながら、内心呟く。
約束は守れなかったけれど、誓いまでは破らない。
だって私は───君達の、雪だから。
・メンタルがヤバイ参謀殿
帰る場所はない。帰りたい場所はもうない。あるのはただ、かつての大切な場所の残骸と、その上に建つ伏魔殿。リボーンによってそれを突きつけられた。はやくみんなのところにいきたい。
メンタルはそこそこ強いのに、耐久値を大幅に超える衝撃を与えられているせいで一周回って脆く見える。
『明けない夜はない』なんて言ったけど、間違ってたみたいだ。ごめんね、アラウディ君。
・彼女の大空に似ている
クラスメイトが深謀遠慮の具現のような女だとは知らない。
レイに対して若干態度が気安いのにも理由がある。でも掘り下げは当分先になりそう。
・接触を避けたい奴ランキングトップ
読心術が効かないレイを警戒対象リストに入れた。身辺調査が済んで大丈夫そうだったら本格的にファミリーに入れるため動く予定。