「面白そーです!! 新手の占いですか〜〜?」
ハルちゃんに連れられて沢田家へやって来た私は、家人の許可なく勝手に上がり、ハルちゃんと一緒に洗濯物を取り込んでいた。
奈々さん、幾ら並盛の治安がいいからって、鍵の開けっ放しはよくないぞ。まあこの家の居候はとんでもないから、侵入者は速やかに蜂の巣にされるか、手榴弾を投げられるか、毒料理の餌食になるのだろうが。
さっきキャバッローネの皆さんが出て行ったのも見えたし、この発言…間違いなく、部屋の中にいるのはランキングフゥ太だろう。だが、ここまで来ておいて去るというのも
「なんでいつも勝手に上がっているんだ!」
「済まない、沢田君。私も止めようとはしたのだが…天候のこともあってな」
「れ、レイちゃんは悪くないよ!」
慌ててそう言う沢田君の隣に座るのは、可愛い顔立ちの男の子。
こんなに大人しくていい子がマフィアに狙われているというのは、胸が痛む。
…でもきっと、私は彼を見捨てて、その能力を失わせるのだろうなぁ。
後数ヶ月に迫る波乱の始まりと同時に彼に襲い掛かるモノを思い、そしてそれから彼を守ろうとは微塵も思わない己の思考回路に苦く笑う。
「あ、レイ姉だ! 並中文武両道ランキングと、不可能を可能にするマフィアの参謀ランキング第1位の!!」
「レイちゃんなんかスゲーー!?」
「やっぱファミリーに入れといてよかったな」
「だから私は入った覚えなどない」
文武両道ランキングって、ケンカランキング以外にも並中のことを調べているんだな。沢田君関係か。
そして不可能を可能にする
私の予測が正しければ、つまり100%の確率でフゥ太君は私の名前を『松崎
「そーだ、ハルも占ってください!!」
「私も頼む。自分の何が優れているのか知りたいんだ」
「いいよ、ツナ兄の友達だもんね」
フゥ太君のツナ兄呼びに、ハルちゃんははひっとショックを受けたような顔をした。いや、兄呼びだからって弟、というのは飛躍し過ぎじゃないか。従兄弟とかも充分考えられるだろう。フゥ太君の場合は全部違うが。
「ただの知り合いじゃないか、そうだろう?」
「う、うん」
「知り合いだったんですか!」
納得したらしいハルちゃんを尻目に、私はフゥ太君と向き合う。ハルちゃん済まない、フゥ太君のランキング能力は雨が降ると役に立たなくなる。今の天候を考えるとなるべく早くランキングしてもらう方がいいのだ。
「では、私が10位以内に食い込んでいるランキングが見てみたい」
「わかった! でもたくさんあるから、少しになっちゃうよ?」
「それでもいいよ。さっきも言ったが、自己の優れている点を知りたいだけだから」
嘘である。ただ単に並中ケンカランキングに自分の名が入っているか、入っているなら何位なのかを知りたいだけだ。まず入っていないとは思うが、用心するに越したことはない。
フゥ太君が立ち上がって顔を上げると、次の瞬間部屋の中の物が浮き上がった。凄いな、大地の炎を使った訳でもないのにこんな現象を起こせるとは。
「あーもー誰が掃除すると思ってんだよ!!」
「凄い演出です〜〜っ」
いや君達、それ以外にも気にするべきことはあるだろう。何故物が浮かび上がっているのかとか、フゥ太君の瞳が銀河のように煌めいているのは何故なのか、とか。
リボーン君の解説曰く、フゥ太君は自分をレッドゾーンに追い込んでランキングするので、体内に凝縮されたエネルギーが磁場を狂わせ、無重力空間を作り出すのだという。凄いな、今時のマフィア関係者は。私達の頃は精々覚悟を炎にして戦う程度だったんだが。
今はリングの炎こそないが、それに代わるようなとんでもない武器を持った人達がいる。主にビアンキさんだが。
「遠いランキングの星と交信してるって説もあるぞ」
リボーン君が言った途端、フゥ太君が「こちらフゥ太。聞こえるよ、ランキングの星」と言った。不可解な発言に沢田君は叫んだが、リボーン君は自分が言った説の根拠が示されて心なしか嬉しそうだ。
「し…信じられるか!! そんなオカルトチックなの!!」
「ロマンチックですよーっ!」
「えっと、レイ姉は信じられないような秘密があるランキング1位で、恋に一途ランキングは同率1位。あ、凄い、
…まあ、想定の範囲内だ。それに応じた対策も立ててある。
秘密について問い詰められたら
ファミリー思いランキングも時々沢田君達を気遣っているような素振りを見せれば納得するはず。リボーン君に対する印象操作は常時行っているから、それに付随させる形にできる。
後は、恋に一途ランキングだが…これは対策も何もない。というか私自身何故このランキングで同率とは言え一位を取っているのかがわからない。沢田君が既に『マフィアのボスランキング』に載っている辺り、未来のことも含めての可能性は排除できないのが困りものだが。
「あ、じゃあハルのツナさんの好きなとこランキングベストスリーを教えてください!」
「わかった…」
ランキングの第3位から言い始めたフゥ太君に、ハルちゃんは照れ隠しでペシペシと沢田君の肩を叩く。
微笑ましく見つめていると上の方から中国語が聞こえてきた。済まない、中国語はスピーキングは
体重が軽いために勝手に体が浮いているらしいイーピンとランボ君を捕獲し、腕の中に抱える。
「イーピンの筒子時限超爆は大技ランキング816技中38位と一級品だね」
「やっぱスゲーんだ、アレ……」
「それだけじゃない。餃子拳は中距離技ランキングでも520技中116位と高性能だし、この歳でこの成績なら文句ないよ! 現にイーピンは将来有望な殺し屋ランキング5万2千262人中3位のスーパーホープなんだ」
「凄いんだな、イーピンちゃんは…。私はレイ、よろしくな」
「*****!」
「よろしくっつってるぞ」
「通訳ありがとう、リボーン君」
リボーン君を間に挟んで色々と話していると、腕から抜け出していたランボ君のランキング結果をフゥ太君が言った。ランボ君はうざいマフィアランキング堂々のトップらしい。しかもぶっちぎりで。
「殺して座布団にしたいランキングでも1位だ」
「え」
「それは……」
そのランキングに何人が載っているのかは知らんし知りたくもないが、多分ロクでもない人達ばかりのランキングなんだろうな。
載っていそうな人物を想像してうんざりしていると、フゥ太君が来ていることを聞き付けたらしい獄寺君と山本君が姿を見せた。
「前からランキング小僧には聞いてみたいことがあったんです。オレの聞きたいことはただ一つ…10代目の右腕に相応しいランキングでオレは何位なのか!!」
聞かれたフゥ太君は答えた。圏外、と。
絶叫した獄寺君はショックのあまり小刻みに震えている。いや、今の君は右腕には程遠いからな。あながち間違いじゃないかもしれない。
「ランキング圏外なんてあんの?」
「ランキング圏外なんて言ってないよ。大気圏外だ」
そうは言ったものの、ここまで言われると可哀想だな。
だがしかし、獄寺君の不運はこれでは終わらない。なんと保父さんに向いている、とフゥ太君に言われてしまったのだ。ランボ君とケンカばかりの獄寺君が。面倒を見るどころか虐待でもしそうな獄寺君が。
更に子供好きとも言われ、驚愕の新事実に顔を抑えた獄寺君は…ビアンキさんが天井に現れたために石化し、彫像と化した。
「この際愛のランキングを作って誰が誰を愛してるかハッキリさせましょ」
「なっ、何言ってんだよ!」
全くもってその通りだ。これでもし私のランキングをされてみろ、ランクインするのは恐らく初代ボンゴレの面々ばかりだ。そうしたらリボーン君にバレる。そして恐らく厄介極まることになる。一番可能性があるのは
前世の友人に曰く、
問題はその守護者。
彼らは沢田君達とは異なり、とてもマフィア的な思想の持ち主らしい。
後、今思い出して地味に衝撃なのが、守護者全員が
ファミリーの意見が統一されるというのはいいことでもあるが、多角的に物事を捉えられなくなってアッサリやられる可能性も高まる。…未来が見えた訳じゃないし、情報の確度にも疑問が残るので滅多なことは言えないが、起こりそうな気がする。どうやら大マフィアの座に胡座かいているようだし、自業自得か。
雨が降り出したのは何時だと大騒ぎする面々に、ドン引いた目を向けてしまったのは不可抗力である。
・何処まで行っても、参謀
ゴメンな、君を助けると沢田君達がヴァリアーに殺されてしまうんだ。何かを天秤にかけて、その先まで見た上でどちらかを切り捨てる。作戦参謀として、雪の守護者としては当然で、けれどただの女子中学生としては異端な判断。フゥ太とは今後出来るだけ会わないようにする。それはきっと、無意識の罪悪感。
文武両道ではあるが実際の比率は文8に武2くらい。少なくとも裏工作ナシでリボーンとやりあったらまず間違いなく負ける、というのが自己分析の結果。裏工作アリなら? 初代守護者ナメるな、とだけ言っておこうか。
対リボーンで気付かれないように色々とやっている。結実は結構先になるが。
そのうち中国語を勉強してイーピンと話してみたい。