今話は纏めるとギャグの皮を被ったシリアスの皮を被ったギャグです。
もうちょいシリアス強めにするつもりだったのですが、作者の技量ではこれが限界でした。
夏祭りも終わった8月中旬の夜。何だかんだで仲のいい私、京子ちゃん、ハルちゃんは、頼れる姐御
ランボ君を抱えてやって来た彼に向かって一番に飛び出したのは、唐傘お化けに扮した京子ちゃん。可愛いからデレてるだけで驚いてないな。
次は何故かなまはげのハルちゃん。こちらはツッコミを入れられている。当たり前だな。
さあ、いよいよ私の番だ。下駄を鳴らして沢田君の背後に近づき、耳元に息を吹きかける。スネグーラチカを惜しみなく使い、若干冷たくした息に振り向いた沢田君の目に映るのは、白い長襦袢を着用し、サラサラストレートな黒髪のウィッグを被った私。
「だ、誰ーー!? …って、レイちゃん!?」
「そうだ。髪型を変えただけで判別できなくなるとは…」
思わず反応を返してしまったが、
その直後、顔がほとんど崩れたビアンキさんを直視した沢田君は情けない悲鳴を上げ、走って行ってしまった。
「…
「気を付けてね、レイちゃん」
「心配無用だ、京子ちゃん」
不安を募らせつつ沢田君を追いかけると、案外簡単に追い付けた。…おかしいな、もっと先に行ってしまったかと思ったのだが。
「あ、レイちゃん!」
「沢田君、早くルートに戻るぞ。君が来ないと何も始まらん」
手首を掴み、沢田君を先導して来た道を戻るが、一向に京子ちゃん達と合流できない。それに何だ? この妙に不快な感覚は。この感覚…前にも味わったことがある。確か、
「!! いかん!」
「え!? ちょ、レイちゃんいきなり走らないで──!!」
沢田君の悲鳴も無視し突っ走る。一々方向も気にしない全力疾走なのに、辿り着くのは先程と同じ場所。
「クソ、下手を打った…!!」
恐らく、私達が今いるのは
何故警戒を怠っていた? 同世代の人間と仮装をするのが存外に楽しかったからか? 何にせよ作戦参謀失格級の失態だ!!
未だかつて有り得ぬ失態に歯噛みする。
私は幻覚を幻覚だと看破するのは比較的得意だが、それを破るところまでは行かないのだ。つまり、幻覚だとわかっても対処する
うだうだ言っても仕方ない。いずれ現れる元凶に対して対応できるようにせねば、と得物になりそうな物を探すべく辺りを見回した、その刹那。
「やれやれ。こっちだ、ボンゴレ、レイさん」
何処からか聞こえる声。発したのは、ランポウ君や大人のランボ君によく似た青年。
…彼がビアンキさんの元カレ・ロメオか!
安心しきって安堵の表情を浮かべる沢田君と、警戒し後
明らかにおかしい私の様子に気付いた沢田君が首を傾げたその時だった。
「やれやれ、墓地ってことは肝試しですか、ボンゴレ、レイさん」
声の主は、牛柄の服を着た大人のランボ君。
危険人物から沢田君を離す大義名分を得た私も叫ぶ。
「沢田君、そいつは大人ランボ君の偽物だ!!」
「えぇっ!!」
大人ランボ君にそっくりな人物を知っていたからか、沢田君は大声で叫んだ後で逃げようと試みる。がしかし、ロメオに腕をがっしりと掴まれて逃亡を阻止された。
「邪魔するなボヴィーノの若いの。順番に殺してやる。オレはお前らに恨みはねーがお前らの仲間の女に恨みがある。霊力の強まる今日こそあの女の仲間は全て死後の世界に引き込んでやるのさ」
ロメオの背後にぱっくりと口を開くように現れたのは何かのゲート。話の内容からして地獄の門とかそういう奴だろう。
「な、恨みって……も、もしかしてビアンキの元カレで謎の食中毒で死んだと言うロメオ〜〜!!?」
「ご名答。さあ門の向こうへ」
「沢田君ではなく、私を連れて行って欲しいのだが…」
「…そういえば、レイさん
思わず零した言葉に大人ランボ君が返した言葉について考える間もなく、沢田君からの救助要請が来る。
助けを求められた大人ランボ君は最初は渋っていたものの、角を装着し、
沢田君が電撃の拍子にロメオの手が離れたことでこちらに走って来て、ついくせで私が彼を背に庇った直後。
「ああ…き…きき…気持ちいい! 力が溢れてくるようだぜ」
どうやら霊と電気は相性がよかったらしく、ロメオは元気に…というかパワーアップを遂げてしまった。証拠に先程まで透けていた足が実体化している。
ロメオは近くにいた私と大人ランボ君の腕を掴むと、ゲートへと引きずり込もうとする。抵抗している大人ランボ君より私の方が引きずり込まれるのが早いのに気付いた沢田君が腰に手を回し、私の代わりに踏ん張っている。そんなことせずともいいのにな。
「ちょ! なんでレイちゃん抵抗しないの!?」
「生に執着がないからだが?」
というより、死ねばみんなに会える、という安心感がある。
私は、あくまで天候なんだ。
大空失くして、存在し得ぬものなんだ。
生なんて、苦痛でしかない。
体から力を抜き、為すがままにしたその瞬間。
『───オレのファミリーに、手を出さないでもらえるか』
響く、強く凛とした声。
───心臓が、強く脈を打つ。
瞬く、声とは反対に優しく、美しい橙の炎。
───見開いた瞳から、雫が零れる。
『そういうことだから、さ。知人に似ていても、容赦はしないよ』
おっとりとした穏やかさの中に、王者らしい気迫を感じる声が聞こえると、重力に逆らい私達の体が宙に浮き上がる。
緋色の文字列が体の周りを取り巻くこれは、ボンゴレの兄弟ファミリーの者だけが扱える炎。
「な、何これーー!? まさか、ポルターガイストとか言うの!!?」
大地の炎によって私達と引き離されたロメオを、オレンジの炎が滅多打つ。
いやちょっと待て、それグローブじゃなくてガントレットじゃないか? 何気に最強形態になってないか?
『っと…さすがにトドメを刺すのは勘弁してやるか』
トドメを刺すのは勘弁するらしいが、ロメオほぼ死んだも同然だぞ、もう死んでるけど。虫の息だぞ、もう死んでるけど。
内心ツッコミを入れていると、ウィッグがふわりと浮き上がった。そして、オレンジの炎に燃やし尽くされる。
「………え?」
『お前はそのままでいいと思うぞ』
『うん、それで充分可愛いよ』
いや、別にイメチェンした訳じゃないんだが…。
纏めてウィッグの中に押し込んでいた髪を背に流しながら呆れと共にツッコんでいると、般若の形相で駆けてきたビアンキさんがロメオと大人ランボ君にポイズンクッキング
今日も今日とて不運な大人ランボ君…お疲れ様、未来の医療技術なら多分助かるよ、うん。
そうして気が付けば去ってしまっていた二人の残滓、橙と緋色の炎の残滓を目で追いながら、心の中で呟く。
(別れの挨拶くらい、させてくれよ)
ただでさえ私は、一度言えなかったんだから。
・イメチェンしたと思われた
ツッコミ入れまくりなせいでそうは見えないがかなり精神的にやられてた。この後本人も気付かぬうちに涙が出ているのを周囲に見られ、ロメオが怖かったのだと盛大に勘違いされることになる。
・イメチェンしたと思った
末妹の姿を発見しテンションMAXになった結果暴挙に出た。だが反省も後悔もしていない!!(キリッ)
・知人に似てようが容赦しない
え、ジョットの子孫とレイが襲われてる? なら助けなきゃだね!! 天然故暴挙に出た親友に合わせてしまった。
おまけ
・ファミリーの皆さん
何、ジョットとコザァートがいない!? お前ら死ぬ気で探すぞ!! 究極にオレ達はもう死んでいるがな!! あそこにいるのは我が家の末妹ではござらんか? ジョットとオレ様のそっくりさんまでいるんだものね!?