彼女から当面の目的を伝えられ、まずはレベル40を目標にレベル上げを模索する事にしたあなた。
そんなあなたにある人物が近づいていた。
町に着いた俺はさっそくギルドに向かった。
ミオちゃんに言われた通り大神神社に階段で上がったのを報告すると、経験値をいくらか貰うことが出来た。
ギルドからは、あの階段上がりはかなりの運動になるらしくクエストボードに表示されない隠しクエストの1つになっていて、《大神神社へ駆け上がれ》というクエストらしい。
経験値の他に筋力も少しアップしていたのが、嬉しい結果だ。
さて、これでレベルは30。
ミオちゃんに言われたレベルまで後10か。
さて、どうするか。
俺は少し考えた後、思い当たる方法を実行する事にする。
全ては明日からだ。
俺は宿屋に戻りログアウトした。
「というわけなんだ」
俺は次の日ログインした後、待ち合わせの場所に向かい、合流した人物に簡単に事情を話す。
「いや、というわけとか言われても分からんが?」
そう俺の友人は待ち合わせのギルド前で首を傾げた。
「いや、だからレベル40になりたいの」
「それは聞いたわ、いきなり夜中にリアルで連絡してきてレベル40になりたいからここに集合とかワケわからんわ」
「詳しくは言えないがミオちゃんに言われてさ」
「おい、ミオちゃんってあのミオちゃんか?」
「え?
そうだけど」
「会ったのか?」
「いや、会う為にここに来たって言っただろ」
「あほうか、そんな会いたいからっていきなり会える人物じゃないって言ったろうが。
会えたなら何で呼ばん」
「いや、お前関係ないし。
それに推しは確かねぽらぼとか言ってただろう?」
「ばかやろうが~」
いきなり大きな声を出す友人。
「例え推しではなくてもな、ホロライブの人に会えるチャンスはのがしたくねぇんだよ~」
だから血の涙流すなよ。
つうか周りの通行人もめっちゃ頷いてたりうずくまって大地を叩いたり、ノリが良すぎだろ。
ん?
なんか視界の端に狐面の女の子が地面叩いてたように見えたが?
「こら、分かってるのか~」
「だぁ、分かったから大声出すなって」
あの声に反応せず歩いてるのってNPCぐらいじゃないのか?
「ま、そう言うわけだからどうにかならないか?」
「ん~」
少し落ち着いたのか友人は何か考え始める。
「パーティーを組んでモンスター狩りしても良いが、俺とおまえとじゃ、レベルの差がありすぎてこの付近の敵じゃ経験値貰えないしなぁ。
かといって経験値貰える強さのとこまで行くと今度はおまえが死ぬ確率がある。
俺的にはおまえには死んで欲しくないんだよな。
デスペナでもしおまえのオーガキラーが失くなったら目も当てられんからな」
「これか?」
俺はオーガキラーを取り出す。
「ああ、鬼に対して絶大な特効効果を持つレア武器だからな」
「そこまでなのか?」
「当たり前だろ、おまえのレベルでゲート近くの小鬼2撃で倒せるなんて事普通は出来んぞ。
レベルカンストしてても最低5回はいる」
「まじで?」
「まじで!」
「となるとだな」
「接待しかないですよね?」
『え?』
俺達は声をかけられた方に振り向く。
カーディアさん?
そう、そこにはこの世界に来た時に世話になったカーディアさんが笑顔で立っていた。
「え?
どうしてカーディアさんが?」
友人がびっくりして聞いた。
「えっとフレンドでのダンジョン探索が終わって暇だったので、フレンドの位置を見ていたらここに表示されてたんで、もしかしてって思って来ちゃいました」
「あ、俺の場所見たって訳か」
友人は納得。
「はい、前回一緒にいた時にフブキちゃんと会えたのでもしかしたらワンチャンまた会えたりしないかなぁって」
「はは、なるほど」
俺も納得。
「ま、確かにカーディアさんのいう通り接待すれば何とか上げれるか?」
「でしょう」
「接待って?」
俺は友人に聞いた。
「他のネットゲームでもやる事あるんだが、パーティーを組まずに敵を高レベルが弱らせてとどめだけおまえがするんだよ」
「ああ、なんか、聞いたことある」
「ま、手加減が難しいが現実的にそれが一番近いかな」
「もっと良い方法あるんだけど?」
『え?』
今度は3人で声をかけられた方に振り向く。
そこには狐のお面を着けた少女が立っていた。
「いやぁ、君の叫びに呼応してしまって声をかけちゃったよ」
友人に向かって狐の少女が言う。
「分かってくれますか?」
「分からいでかぁ」
ガシッと腕を組む2人。
「えっとフブキちゃん?
何してんの?」
「やっぱり~!」
今度は俺の言葉で大声を出すカーディアさん。
推しってすごいなぁと心から思ってしまった。
さて、もう外にいると周りの目が痛いのでこの前来た酒場に来ている。
まだ早い時間なのでお客もまばらだ。
俺達3人はテーブルを囲んで座っている。
何故かお人形ぐらいの大きさになったフブキちゃんは、ちゃっかりカーディアさんが自分の膝に乗せていた。
「えっと、その姿は?」
俺はフブキちゃんに聞く。
「省エネモードです、見た目可愛いでしょ?」
「はい、もちろん可愛いです」
自分で言っといてカーディアさんに誉められ照れるフブキちゃん。
「というかこんなほいほい出てきて大丈夫?
一緒にいるところ他の人に見られるとヤバイんじゃ?」
そう、ホロメンと一緒にいる姿って暴動起きそうで怖い。
「あ、それなら大丈夫。
白上達ホロメンは基本イベントで会ってる扱いだから他の人からは見えないの」
?
どういう事だ?
「簡単にいうと、今、3人はパーティー組んで話してるよね?」
「うん、その方が他の人に会話聞かれないですむからね」
そう、パーティーを組むとパーティーチャットが使え、パーティーだけで会話する事ができる。
「なので、キミ一度パーティー解散して」
フブキちゃんに言われパーティーを解散する。
すると。
「え?見えなくなったぁ」
カーディアさんがおろおろしだす。
「確かにさっきまでいたのに見えない」
俺には変わらずカーディアさんの膝の上に乗ってるフブキちゃんが見えるんだけど。
「こういう訳だから、今白上はキミとイベントとして会ってるのですよ。
ま、本来はこんな何回も会えるのはシステム的におかしいんだけどね。
それはキミの持つレインボーダーツのお陰って事で」
おろおろしているカーディアさんの膝の上で笑うフブキちゃん。
なんか絵面的に嫌なので、2人をパーティーに誘う。
「あ、いたぁ」
フブキちゃんが見えたとたんカーディアさんがぎゅっと抱きしめる。
「なるほどな。
じゃ、普通に歩いてるやつの中にはもしかしたらホロメンとイベントしてて一緒に歩いてるって事もあるわけか」
「そうだねぇ、それもありますねぇ」
「それで、フブキちゃん。
レベル上げについてだけど」
「あ、そうだった。
忘れてた」
忘れないでぇ。
「白上が出すクエストをきちんとクリア出来たら、レベル10アップって言うのはどうですか?」
『え?』
2人が驚く。
ん?
何かすごいのか?
「それってパーティー組んでても、俺達レベルが10上がるってこと?」
「はい」
「受けます、まじで」
「え?
そんなにあっさりでいいのか?」
「あったり前だろ、さっきも言ったが、俺とおまえとじゃレベル差がありすぎる。
それをパーティー組んでクエストクリアしただけで全員が同じく10レベル上がるって神クエストだぞ」
「私はフブキちゃんのクエストなら断る理由ありませんので」
カーディアさん。
「ま、俺も後10は上げたいしありがたい」
「それにキミって後レベル10でカンストじゃないですか?」
友人に向かってそうフブキちゃんが言うと友人はニヤッと笑う。
「さっきもいってたけどレベルカンストって」
「ああ、このゲームはレベル99がカンストなんだよ」
「じゃ、後10なのか?」
「そうだ、これでカンストボーナスも狙える」
「え?カンストボーナスって?」
俺の言葉にゆっくりと友人がこちらを向く。
あ、これヤバイやつだ。
「ふぅ、そんなに俺に語らしたいらしいな」
そして、第3回友人語りが始まった。
「さて、長くなるぞ」
そう前置きを言って友人はレベルに関して話し始めた。
このゲームはさっきも言ったように最高レベルは99だそうだ。
ま、レベルカンストしてしまうと、とたんにやった感が出てしまい、ゲームが面白くなくなる事も多々ある。
しかし、この【ホロライブワールド】ではそのやった感を残したままゲームを続ける意欲が出るようなシステムをとっていた。
それがカンストボーナスだ。
カンストボーナスとはレベル99になったら選択出来るもので、レベルを1に戻す代わりにカンストボーナス専用の武器や防具、アイテムを貰えたり、ステータスの底上げをして貰える。
ちなみにレベル99にしてもステータスはカンストしないのでカンストしたかったらカンストボーナスで底上げしていかないといけないらしい。
そして、カンストボーナスで1番の目玉は、そのカンストボーナスを選びログアウトを選んだ時に落ちる前に行ける場所にもあった。
そこは真っ白な空間で、デスクが1つポツンとあり、そこにいる人物にボーナスを言うことで貰えると言うのだ。
そこにいるのは何とAちゃん神と呼ばれる人物らしい。
モデルは実際にいるホロメンの裏方さんらしく、ファンも多数いるとか。
その人のAIが相手をしてくれるらしい。
ちなみにカンストボーナスの中にAちゃん神と10分間お茶会タイムという項目がある。
その名称通り、Aちゃん神とお茶会をするだけなんだが、たまにホロメンが混ざってくるらしく、聞いた話だとオリジナル世代揃い踏みでお茶会をした時もあったらしい。
そう言うわけで、そのお茶会目当てのAちゃんファンの人もいて、レベルカンストは只の通り道と言われている。
ま、レベルカンストするには相当頑張らないといけないらしいけど。
「とまぁ、そう言うわけだ」
俺は友人の話を聞きながら頼んだジュースを飲んでいた。
カーディアさんは頼んだケーキをフブキさんに食べさせている。
もぐもぐ。
餌付けされてるのか?
「聞いてるのか?」
「聞いてるって」
「という訳でそのクエスト受けます」
俺の代わりにフブキちゃんに答える友人。
いきなり話かけられてケーキを某奥さんのように喉に詰まらせそうになるフブキさん。
カーディアさんに背中をトントンされながら水を飲む。
「お水大事です」
ポツリ呟くフブキさん。
「分かりました、それでは3人には白上が用意した特別クエ『四大神社をお参りせよ』を受けて貰います」
こうして俺達はフブキちゃんの出すクエストを受ける事になった。
次は彼女が出した特別クエストを3人と1人でおこなって行きます。
次回もお楽しみに