ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版   作:天野空

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夏色まつりから卒業クエストを受けたあなた。
パン屋で情報を仕入れたあなたは美術館に向かった。
そこであなたは衝撃的な事実を知る。


学園の七クエスト後編

「ちょ、ちょっとすいません。

通してください」

俺は人混みをかき分け先頭に出た。

美術館にはたくさんの警察官が歩いていた。

くそぅ、中に入れそうにない。

このままじゃ、クエストがクリアできない。

最前列で俺がまごまごしていると、警察官達に動きがあった。

誰か来たのか?

「ご苦労様です」

「うむ、現状は?」

なんか聞いたことのある声だな。

「はい、今現在急ピッチで進めております」

「よろしい」

「では、現場にどうぞ」

警官に言われ、他の警官とは違ったコートを羽織った私服警官が美術館に向かった。

「ん?」

その私服警官がこちらを見る。

あ。

「少し待ちたまえ」

私服警官がそう言ってこちらに近づいてきた。

「やはり、来ていたんだね」

「いや、来ていたんだねってころねちゃん?」

そう、私服警官はころねちゃんだった。

「いや、今はころねちゃんではなく、戌神警部だ」

「いや、訳分からんし」

「君、この人を中に入れてくれないか」

テープの前で立っている警官に声をかける戌神警部。

「え?

この一般人をですか?」

「うむ、彼は私の助手でね」

「は、はぁ」

警官は頭をかしげながらも俺を中に入れてくれた。「さ、こっちだよ」

小さい声で俺に言う戌神警部。

俺は戌神警部と一緒に美術館に入った。

「これってどうなってるんですか?」

美術館に入ってすぐに戌神警部に聞く。

「ん~

 ぶっちゃけた話でもいいの?」

「あ、はい。

っていうかここまでもそういう話はされてますんで」

「はは、そっか」

戌神警部とこそこそ話ながら警官の後を歩く。

「じゃ、ぶっちゃけると、君がクエストを受けて美術館に来たことによってイベントが起きたのよ。

このイベントではころねが警部役になってるのね」

「そうなんですか?」

「そう、ちなみに今回は無事に金の招き猫を守りきればクエストクリアだから」

「はぁ」

確かに怪盗に盗られてしまったら鍵も手に入らないしな。

「着きました警部」

少し広いホールに着く。

部屋の真ん中にはガラスケースに入った、金の招き猫があった。

「これって今から鍵を取ったり出来ないんですか?」

こそっと戌神警部に聞いてみる。

「あのねぇ、今は美術館の物だから勝手に触ったら怒られるし、今そんな事したら怪盗だと疑われて捕まるよ」

あ、確かに。

「しかし、変だな。

怪盗キャットは義賊のはずだけど。

それに久しぶりに現れたと思ったら、変な噂のない美術館からこの招き猫を狙うとは」

いきなり警部モードに入るころねちゃん。

「警部、怪盗キャットとは何者なんですか?」

一応、のってみる。

「うむ、怪盗キャットは貧しい人の為に悪い噂の立つ人から物を盗みお金に替えて配っていたんだ。

しかし、いくら義賊と呼ばれていても盗みは罪。

なので私は長年追いかけていたんだよ。

ただ、ここ数年は活動してなかったんだが」

なかなかの演技。

所々訛っておるのはお約束で。

「警部、本庁から警視が来られました」

「なんだと。

分かったお通しして」

「警視?そんな人まで来るんですか?」

「うむ、怪盗キャットは長年この町で活動していたからね。

警視も気になったんだろう」

誰が来るんだ?

「やぁ、どうかね、状況は」

来た。

「はい、白上警視。

急ピッチで準備しております」

「はい?フブキちゃん」

戌神警部がそう言った相手を見る。

あ、フブキちゃんだ。

「ん?誰だね君は始めてみる顔だな」

いや、声も顔もフブキちゃんなんですが。

役を演じてるんだな。

よし。

黒いスーツをびしっと決めているフブキちゃんの横にいく。

「かわいい」

ボソッと言ってみる。

ピク

白上警視の耳が動いた。

「黒いスーツ似合ってる」

ピクピク

「かっこよさの中に可愛さが」

ピクピクピク

面白いなぁ。

「フブキちゃん可愛い~」

「ああ、もう、今頑張って役やってるでしょ」

真っ赤な顔でめちゃ怒られました。

 

「では、準備は出来たという事だね、戌神くん」

「はい、警視」

何やら二人話し込んでるなぁ。

俺は何したらいいんだ?

ホールの周りを見回ってみる。

すごい数の警官がホールを囲んでいた。

むにゅ

誰かとぶつかった?

「ご、ごめん」

「い、いえ、私もよそ見をしていたのもので」

走ってきた警官にぶつかったので慌てて謝った。

だけどぶつかったにしては痛くなかったなぁ。

「すいません、急いでいるので」

背の低い女性警察官は慌てて廊下を走っていった。

「何してるんだい?」

「え?

あ、すいません」

背後に戌神警部。

「する事が見つからなかったので、ちょっとホールの回りを見てました」

「あのねぇ、蟻のこ1匹入る余地がないくらい警察官を見張らせてるんだ。

そんな見なくても大丈夫」

いや、それって入られるやつだよなぁ。

「警部そろそろ予告時間です」

「分かった」

俺は時計を見る。

いつの間にか夕方になっていた。

「配置につけ」

戌神警部の言葉に慌ただしくなる警官達。

キーン

何か高い音が響いた気がした。

「え?」

あんなに慌ただしく動いていた警察官が止まっている。

普通に止まっているんじゃない。

走っている警官が空中で止まっている。

時間が止まっているのか。

「君」

背後で誰かに呼ばれた。

俺はすぐに後ろを振り向く。

そこには、斜め45度で腕組みをして右手を顎に当てているフブキちゃんがいた。

「そんな好感度で大丈夫か?」

え?

訳が分からない事を言われた。

でも、なんだ。

口が勝手に動く。

いや、俺が言っているのか。

「大丈夫だ、問題ない」

キーン

また、甲高い音。

警察官の慌ただしさが美術館に戻る。

なんだったんだ?

俺は急いで警視のいたところに行ってみた。

しかし、そこには誰もいない。

「ちょ、ちょっと」

急いで動き回る警官を止める。

「ここに白上警視がいなかった?」

「はい?

誰ですかそれ?」

「え?」

警官は慌てて走り去る。

え?

白上警視を知らない?

俺は急激に不安を感じた。

急いで戌神警部の元に行く。

戌神警部は慌ただしく指示を出していた。

「忙しいところごめん」

「ん?なんだい?」

戌神警部がこちらを向く。

「えっと、白上警視がさっきそこにいてさ」

「?

何を言ってるんだい?

白上警視なんていないよ。

変なもの見たんじゃない?」

え?

なんで?

さっきまであんなに話してたのに。

「それよりそろそろ怪盗キャットが現れる」

パリン

天井のガラスが割れ、誰かがホールの真ん中に降り立った。

「な、あんなところから」

いや、予想つくやん。

「これはもらっていきますよ」

紫のレオタードを着た小柄な女性がガラスケースから、金の招き猫を素早く盗る。

「な、触ると電流が流れるはず」

「それは先ほど切らせて貰いました」

ドミノマスクで目元を隠したその女性がふわりと天井に飛ぶ。

なんて脚力だ。

「だ、誰だお前は?」

え?怪盗キャットじゃない?

戌神警部の言葉に俺はその女性を見た。

「すいませんね、怪盗キャットの名前を借りました。

名前は明かさないのが普通ですが、これでゲームオーバーですし名乗っておきますね。

ホロライブワールド第X世代、小姫マモリと言います。

では、もう会う事もないでしょう。

期待はずれでしたよ、世界の答えさん」

そう言ってマモリとなのった少女は破れたガラスへと消えた。

《クエスト失敗です》

そう俺の頭の中に機械音声が流れた。

 

俺は後日、学校に戻りまつりちゃんにその事を報告した。

まつりちゃんは罰が悪そうに「ごめんね」と謝ってくれた。

そう、このクエストは一度っきりのクエストだったのだ。

もう俺はこの学園から卒業する事はできない。

 

 

俺はその後、緩やかに破滅に向かうこのホロライブワールドの学園生活を楽しんだ。

この世界を守るなんて俺には無理だったんだ。

学園に馴染む頃には俺はその使命も忘れていた。

そう、最後はいつも唐突なんだ。




だから言ったでしょ。
そんな好感度で大丈夫かって。
ま、学園で楽しく遊べたならこれもハッピーエンドの1つなんでしょうけど。
このホロライブワールドは人生と同じ。
一度間違えたら。もう取り返しは着かないんですよ




























本当はね
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