あなたは次の日、夏色まつりに報告に行くのであった。
いつもの第七教室。
俺の目の前でまつり部長は笑いまくっていた。
「知ってたんでしょあのクエスト内容」
「うん、うん、知ってたぁ」
だいぶ収まってきたが、まだ笑ってる。
覗いた後、普通にシオンちゃんに見つかり雷魔法撃たれるは、校庭でおいかけっこするは、ちょこ先生からお説教受けるわで散々だった。
るしあちゃんはというといつの間にか姿を消していて、ガイコツくんだけが模型のふりして残っていた。
「散々だったんですよ」
「ま、あのクエはそういうクエだからね」
ひぃひぃ言いながら笑いを押さえようとするまつり部長。
本当に知ってたら教えてくれたら良いものを。
「るしあも言ったかも知れないけど、あのクエは他のクエを順番通りしないとイベントが起きない特殊型だから。
シオンのクエを終わる前に、るしあのクエを終わらしたら、普通はほぼ詰むのよねあのクエ」
「そうなんですか?」
「うん、キミは別だけどイベント以外でホロメンに会うのってかなり厳しいのよ。
だから、るしあにこの学園でもう一度会おうとするとすごい確率になる」
「確かに」
俺にはこのダーツがあるから会いやすい。
でも、持ってなかったら普通あんな簡単に出会えない。
それに。
「るしあは学園の子じゃないから、余計にね」
そうだ。
満月の前後にしかこの学園にいないんだった。
「運が良かったんですね」
「ま、いろいろとアイテムやスキルのお陰かもね」
「ありがたいです」
おれの言葉にまつり部長は優しく微笑んでいた。
「さて、残りは後2つだね」
まつり部長にタブレットを見ながら言われる。
そう、後2つなのだ。
校長室の開かずの金庫と音楽室から聞こえる謎の歌声。
受けるなら音楽室の方か。
「それじゃ、クエを決めるのはまた明日でいいよ。
今日は今から自由時間で」
「え?
まだ、放課後になったばかりですけど」
「いいからいいから、また明日ね」
驚く俺はまつり部長に背中を押されて、第七教室の外に出された。
「なんで?」
訳も分からず第七教室の前に立つ俺。
そこに校内放送が流れてきた。
「ピンポンパンポーン」
って口で言うんかい。
それもころねちゃんの声だ。
「…くんは至急、理事長室まで来てください。
繰り返します」
俺の名前?
なんで俺が呼ばれるんだ?
至急って事だし理由は分からないけど急ぐか。
俺は急いで理事長室に向かった。
コンコン
「どうぞ」
ノックの後、理事長室の中から声が聞こえる。
「失礼します」
俺は理事長室に入った。
中にはころね理事長と秘書姿のおかゆちゃんがいた。
「よく来たね」
「あ、はい」
なんかころね理事長にそう言われると緊張する。
「卒業クエスト頑張ってるみたいだね」
「あ、はい。
後2つで終わります」
「うむ。
それで、唐突ではあるけれど、近々この学園で学園祭を開くことにしました」
「え?」
ドンドンヒューヒューパフパフ。
鳴り物とクラッカーを鳴らすおかゆちゃん。
「なんでいきなり?」
訳が分からず俺はころね理事長に聞く。
「理由はまた開催する時に話するね。
まずは、卒業クエスト終わらしてちょうだい」
笑顔でころね理事長にそう言われる。
「わ、分かりました」
俺はそう答え「失礼します」と理事長室を出た。
なんだったんだ?
俺はそう考えがら寮に戻る。
下校時間も近いしゆっくりと休むか。
次の朝、俺は放課後まで音楽室についての情報を集めた。
しかし、収穫はゼロ。
エリトアにもあったが何も情報を持っていなかった。
それと、図書室にも行ってみた。
るしあちゃんから怪しいと言われていた司書を調べる為だ。
だが、今日はお休みと言うことで図書係の生徒が座っていた。
まるっきり進展なしか。
その思いながらあっという間に放課後に。
俺はいつもの教室へと向かった。
「いらっしゃい」
いつものように机について待っててくれるまつり部長。
「はい」
俺は力なく対面に座った。
「どうかしたの?」
「いえ、次のクエストの為に情報を集めようと思ったのですが、集まらなくて」
「へぇ、どのクエ?」
俺は机の上に置かれているタブレットの中の音楽室を選ぶ。
「それかぁ。
ま、情報なくて当たり前だけどね」
「え?」
まつり部長はポテチを食べながら言う。
「それもさ、ある条件が必要なクエだから」
「そうなんですか?」
「うん、それもちょっと複雑なね」
「はぁ」
俺は訳も分からず返事をする。
「ま、しばらくは雑談しようよ。
キミのこれまでの冒険聞かせて」
まつり部長はポテチの袋をパーティー開けする。
「分かりました」
まつり部長が雑談しよっていうんだ。
何か意味があるのかもしれない。
俺はポテチをご馳走になりながらこれまでの冒険談をまつり部長に話すのだった。
「そろそろかな」
話も一段落ついた頃、まつり部長が教室の時計を見る。
「さ、行こうか」
「え?」
「クエをしにさ」
まつり部長はそう言うと元気に席をたった。
下校時間が過ぎた校舎をまつり部長と2人で歩く。
「この音楽室のクエはね。
実はまつりが依頼者なんだ」
「そうなんですか?」
「うん。
そして、このクエのイベントが発生するには、あるホロメンと出会って、そして、学園祭が開かれる事が条件」
「学園祭?」
「そう、学園祭は卒業クエストが残りわずかになると起きる大型イベント。
だから、残りクエが2つになったキミに合わせて、学園祭が行われる」
暗い校舎に足音だけが響く。
「ま、学園祭の詳しい話はまた理事長がしてくれるから。
ほら、そろそろかな」
さっきまで足音だけが響いていた校舎に、どこからか音楽が流れてきている。
「ここか」
音楽が流れてきていたのは音楽室。
少し扉が開いていたので、そこから漏れていたのだ。
「静かに覗いてね」
「また、覗きイベントですか?」
「いいからいいから」
俺はまつり部長に背中を押されてそっと中を覗いた。
そこには、1人のホロメンが歌の練習をしていた。
前に会った時には想像できない程、その歌う姿は素敵だった。
歌声も聞き惚れる程だ。
「頑張ってるでしょ」
まつり部長が小声で俺に言う。
「はい、めちゃ素敵な歌声です」
俺の感想にまつり部長は嬉しそうな笑顔。
音楽室の歌姫、大空スバルは本当に輝いていた。
《クエストクリアです》
次で学園の七クエスト最後です。
一度失敗したこのクエストを無事にクリアできるのか。
次回をお楽しみに。