張り切りすぎてカンカンをやりすぎてしまったあなたは、謎の穴に落ちてしまった。
果たしてこの先に待っているものは?
ここはどこなんだ?
俺は気を取り戻して周りを見る。
確かラミィちゃんと一緒に採掘してたはずだけど。
そうだ、壁にできた穴に落ちたんだ。
ステータス画面を見る。
特に異常はないしHPも減ってない。
マップは?
開いてみたが自分の場所が光っているだけで、地形は表示されていなかった。
一応、ログアウトのボタンを確認する。
あるな。
しかし、訳も分からない所でログアウトして、その間に何かに襲われて死んだら怖い。
ログアウトは最終手段にして、今は周りを探索してみるか。
しかし、本当にここは不思議な場所だ。
空は青くなく薄紫色、俺が立ってる場所はかなり広いが草木もない岩肌だった。
そして何より、もとの場所で見たこともない現象がある。
それは多数の岩が空中に浮遊している事だ。
地下に落ちていったはずがどうなってるんだ?
まさか、ここは地下世界?
後、気になる事は空のあちらこちらで電気が走るように光っている事。
雷じゃない、何か別のもののような気がする。
俺は採掘装備を一旦アイテムボックスにしまい、戦闘用の装備に変える。
ラミィちゃんに返せなかったな。
また、戻った時に返そう。
まずはここから戻るのが先だ。
俺はそう思い歩き出した。
しばらくいろいろと歩いてみて気がついた事がいくつかあった。
1つはいくら歩いてもマップが更新されない事。
1つは生き物がまるっきりいない。
1つは今、自分が立っている場所も周りと同じ浮いている巨大な岩の上だという事だ。
ちなみにその下は真っ暗な暗闇だった。
落ちたらどうなるか考えたくもない。
さてどうするか。
フレンド登録している友人にメッセージを送ったが届いていないみたいだ。
生き物がいないみたいだし、岩影でログアウトして情報を探してみるか?
そう思い岩影を探していると、出会ってしまった。
グガァー
そこにいたのはあの時のキメラ?
そう、ベルフェが大召喚?で呼んだ継ぎ接ぎモンスターだ。
く、俺は鬼切丸をアイテムボックスから抜く。
そして、戦いが始まる。
一度戦った相手であり一匹だ。
大体の攻撃の仕方は分かっている。
まず近づいてきたら爪で攻撃。
俺は鬼切丸で受け止める。
そのまま、爪を押し返して体勢を崩したら、左側から袈裟斬り。
ギャー
後ろに下がるので、間合いを積めて上段斬りからの突きで終わりだ。
予想通りキメラは光になって消え去った。
やっぱり、攻撃の仕方も同じだ。
あの時のキメラだ。
でも、なぜここに?
というか、キメラが出るなら岩影なんかでログアウト出来ないな。
くそう、どうやったらこの世界から出れるんだ?
それからまた、俺はこの場所を探索した。
前回と違うのはキメラに遭遇し始めた事。
1匹や2匹ならどうにか倒せるがそれ以上となると辛い。
どうにか逃げてるけど、遭遇する数は徐々に増えてる感じがする。
ふぅ、岩影で隠れながら進んでいるけど岩から外を覗くとやっぱりキメラがうろうろしている。
倒した事でキメラが増えたのかもしれないな。
このままじゃ、見つかるのは時間の問題か。
ギャー
く、見つかった。
キメラの1匹がこっちを覗いてきたのだ。
俺は岩影から出て思わず逃げた。
その動きを感知して、うろうろしていたキメラがこちらを追いかけてくる。
く、やばい。
数がさっきより増えている。
俺の後をキメラが複数追いかけてきた。
このままじゃ、やられる。
やられたら近くのギルドに移動されて復活するけど、この世界にギルドがある感じがしない。
そうしたら同じ場所で復活する可能性がある。
そうなったらおしまいだ、復活したらやられるループに入る。
このまま逃げきらないと。
だが、どれだけ逃げてもキメラは追いかけてくる。
う、目の前が崖だ。
俺は崖の前で振り向いた。
キメラが大量に襲ってきている。
くそう、ここでおしまいか。
「本当にどうしてこんなところに迷い混んでいるのでござるか?」
「え?」
この世界に来て初めて聞く自分以外の人の声。
次の瞬間、目の前に迫ってきていた複数のキメラが光となって消滅していた。
「逃げるでござるよ」
目の前に現れた金髪のおさげで和服を着て、刀を構えるその女性は、俺に背を向けながらそう言った。
俺は急いで立ち上がり、崖の端を走り出す。
く、女性1人を置いて逃げるだなんて。
俺は走りながら後悔する。
「何してるでござるか?もっと早く」
「はい?」
何故か先ほどいた女性がもう横で並走していた。
はや。
「もう、遅いでござるよ。
ほら、手を」
女性が手を出してくる。
思わずその手を掴む。
「振り落とされないようにきちんと掴んでおくでござるよ」
そして、俺は初めてアニメのような姿で引っ張られた。
スピード早いと本当に体と大地が平行になって浮かぶんだなぁ。
「ここまでくればいいでござるかな?」
大きな岩影に隠れて彼女が辺りを伺う。
「ありがとうございます」
俺は彼女にお礼を言った。
「ん?
別に構わないでござるよ。
ラプ殿のお願いでござるからな」
「ラプ殿?」
「あ、いや、こっちの話でござるよ」
慌てて手を振る彼女。
「やばかったでござる。
みんなの事は内緒でござった」
なんか独り言で言ってるけど。
「それより、ここがどこか知ってるんですか?」
「え?
あ、ああここでござるか?
ここは」
彼女は親切丁寧にこの場所の事を話してくれた。
ここは電子の狭間と呼ばれている場所で、ぶっちゃけた話、まだゲームに実装されてない開発中の世界だそうだ。
なので普通ならここにプレイヤーが入る事はないそうだ。
しかし、何故か今回ここに俺が落ちてしまった。
たぶん、あの採掘現場が実装されて間もない事と、まだ改善点があるところを俺が勢いでカンカンしてしまってここへの穴が出来たのだろう。
それを感知した彼女の仲間が俺を見つけてしまったらしく、ほってはおけないと言う事で、彼女が助けにきてくれたらしい。
「でも、死んだらリスボーンで戻れるんじゃ?」
「なら、キミ殿もあそこまで逃げないでござろう?
うすうす感ずいていたのではござらんか?」
「という事はやっぱり」
俺は予想が当たっていた事に怖くなる。
「そう、ここで死んでしまうとその場に復活させられるでござる。
そこからは予想通り生と死のループ。
リスボーンの代償でアイテムを1つずつ失いながら何度も何度も殺されてしまうでござるよ」
「やっぱり」
「うちのラプ殿もそれでは詰んでしまうと言っておったでござる」
「ラプ殿?」
「へ、あ、な、何の事でござるかな?」
さっきからちょくちょく言ったらいけない事を言ってるのかなぁ?
「それでは元の世界に戻るでござるよ」
彼女がその場に立ち、懐から何かの機械を取り出す。
その機械を何やら動かそうとした時、背中の大岩が突如爆発した。
「うわぁ~!」
「な、何事でござる?」
砕けた大岩の向こうには先ほどより多いキメラがいた。
そして、その奥には他のキメラよりふた回りも大きい巨大キメラが。
巨大キメラがその大きな口を開く。
そして、そこからレーザーを撃ち出してきた。
「く」
彼女は素早く俺の前に回り込み、刀を抜いてそのレーザーを防御する。
何とかしのいだが、先程まで息が乱れていなかった彼女が息を乱していた。
「さすがにこれはちょっときついでござるな」
そう言って刀を構える。
「今度は俺も戦います」
俺は鬼切丸を構え、彼女の横に立つ。
「な?
無理でござるよ」
「どうせ、やられるなら最後まで抵抗してやりますよ」
「なるほど、ラプ殿が言っていた世界のなんたらとはわ余程奇っ怪な人物でござるな」
「え?」
「いいでござるよ。
ただし、キミ殿を死なせわしないのです。
ラプ殿との約束でござるからね」
そうして彼女も刀を構える。
そして、俺達は戦いを始めるのであった。
「さすがにしんどいでござるな」
「はい」
驚くことに何とかまだ生きている。
彼女の強さがあまりにもすごい。
俺は詠唱付きの魔法を使ってしまった。
しかし、雑魚に見えてくるキメラは倒せても、まだその奥には巨大なキメラがいる。
俺の魔法も効かなかった。
「あれをどうするかでござるが」
彼女も巨大キメラの対処に困っている。
ガァァァァァ~
突然、巨大キメラが雄叫びをあげる。
それに呼応して小型キメラ達が俺達を襲ってきた。
そして、その小型キメラの奥で大きく口を開く巨大キメラ。
くそう、小型キメラごとレーザーで撃つつもりか。
俺達は小型キメラを迎え撃つのが精一杯で防御出来ない。
大型キメラの口に光が集まる。
「く、無念でござる」
「くそう~」
そして、俺達を飲み込む程の巨大なレーザーが俺達に向かって放たれた。
あれ?
ゆっくりと目を開ける。
まだ生きてる?
隣を見ると彼女も生きて前を驚いた顔で見ていた。
俺もつられてそちらを向いた。
そこには大きな背中があった。
赤いしっぽ。
大きな翼。
オレンジの長い髪。
その人はゆっくりと振り向く。
腕を組んだその上から豊満な胸も見えた。
2本の竜の角を持った彼女は、俺に何かを投げてきた。
咄嗟に受けとる。
それは1対の小手だった。
「もし、この先うちの天使が困っていたら、それを貸して気合いをいれてやって欲しいです」
「あなたは?」
「もう、時間がないですよ。
脱出方法あるんですよね?」
「あ、はいでござる」
「なら、すぐに脱出を」
「は、はい」
隣で彼女が機械を動かす。
空間にワープホールが現れた。
「急ぐでござるよ」
俺は手を引かれワープホールに入る。
「待って、あなたは?」
俺は1人残っているドラゴンの女性に声をかけた。
彼女は何かを考えながら一言だけ。
「わたしはココにいる」
と聞こえた。
「なんとかなったでござるな」
そこは見たことのない場所だったが、元の世界とだけは分かった。
通ってきたワープホールも消えている。
「あの人は大丈夫なんでしょうか」
一緒に逃げなかった彼女の事が気になった。
「それなら大丈夫でござろう。
どうしてと聞かれたら答えられないでござるが、あの人なら大丈夫と思えるでござるよ」
彼女は強く頷いた。
「分かりました」
俺はその言葉を信じる事にした。
いや、何故か信じられた。
アイテムボックスを見る。
そこには赤竜帝の小手が入っていた。
「それでは、ここで失礼するでござる」
侍の彼女はまた、機械を使ってワープホールを作り出す。
「助けてくれてありがとうございます。
最後に名前だけでも聞いていいですか?」
彼女はしばし考える。
そして、にこやかに笑った。
「分かったでござる。
本当はまだ話してはいけないと言われているけど、キミ殿の戦いぶりに感動したでござるからな。
名前は風真いろはでござるよ」
その言葉を聞いた瞬間、俺のステータス画面が勝手に開く。
そして、ホロメン一覧の画面が表示され、一番下に新たに5つの推しマークが出現した。
その中の1つが点灯する。
《スキル【運命】が発動しました》
「やっぱりホロメンだったんですね」
「まだ、表だって活動は控えているでござるけどね。
なんせ秘密結社でござるから。
では、またどこかで会おうでござる」
「ドロン?ですか?」
「え?
のっと!ニンニン!!いえす!ジャキンジャキン!!でござるよ」
そう笑いながらいろはちゃんはワープに消えていった。
いろはちゃんが行った後、俺は安堵感にその場に座り込む。
1日でいろいろ起きすぎだよ。
しかし、本当に助かってよかった。
俺はその場に寝転がった。
空が近い気がする。
俺の横を雲が通りすぎる。
マップを開いてみた。
そこにはきちんと大地が表示される。
その世界の名は。
【ふぉーす】
天空に浮かぶ世界だった。
新たなホロメンと伝説のホロメンの登場です。
そして、新たな世界【ふぉーす】であなたは誰と出会うのか?
それでは次回もお楽しみに