そこで天使と悪魔のホロメンと出会うのであった。
「なるほど、それで3人で」
「そうなのよ」
トワ様は少し疲れたように言う。
俺達は隠しダンジョンを進みながら何故ここにかなたちゃんとトワ様、アスモさんがいるのか聞いていた。
このダンジョンが最近更新された事は友人から聞いていた。
そのバージョンアップで浮遊石に向かうダンジョンに異常がないか運営がアスモさんに調べるように依頼してきた。
それに用心棒役に2人があてられたらしい。
アスモさんは別会社の人で、主にこういったバグ処理を行う仕事をしているとか。
「まさか、ふだん関係者しか入れない場所に入ってくるとは思わなかったし」
トワ様はあきれた顔でこちらを見る。
「すいません」
「ま、それ持ってるんじゃしかたないとこもあるけど」
指で胸元を指差される。
「ははは」
笑うしかない。
「そろそろ着くよ」
先を進んでいたかなたちゃんが手を振ってこっちを呼ぶ。
俺達は先を急いだ。
「すごい」
カーディアさんが巨大な宝石を見て呟いた。
いや、確かに圧倒される大きさだ。
「これが浮遊石か」
「見たことあるのか?」
俺は宝石を見上げている友人に聞く。
「まさか、こんなでかいのはないよ。
話には聞いたことあるけど、実物は初めてだ」
「これがなくなったらこの島は落ちちゃうんだけどね」
かなたちゃんが浮遊石を見上げながら言う。
「本当にすごいですね、欲しくなっちゃいます」
『え?』
俺達が入ってきた入り口に誰かが立っている。
「何者だ!」
トワ様はアスモさんを庇うように前に出て、その人物を見る。
「おまえは小姫マモリ!」
俺は見たことあるその女性の名を言った。
「へぇ、覚えててくれたんですね。
その節はどうも」
「な、なん、なんだあれ?」
友人が武器を構えてマモリを見る。
「詳しくは俺も分からない。
ただ、あいつは俺の敵だ」
俺も鬼切丸を出す。
「そう邪険にしないで仲良くしましょうよ」
マモリはそう言って笑う。
「それよりいいんですか?
ここで私の相手をしてる間に私の呼んだキメラが町に向かってますよ」
「な?なんだと」
俺はあの大召喚?を思い出す。
「え?どういう事?」
かなたちゃんが俺に聞いてくる。
「あいつらモンスターの継ぎ接ぎを呼ぶ事が出きるんですよ」
「まさか、大召喚ですか?」
アスモさんが驚いたように言う。
「え?」
俺はアスモさんを見た。
「まさか大召喚なんてホロメンしか使えないんじゃないのか」
友人が驚く。
「いや、確かに使ってくるんだ」
「カーディアさんは帰還魔法は覚えてますか?」
かなたちゃんが聞いた。
「はい、使えます」
頷くカーディアさん。
「なら、2人で町に戻ってこの事を伝えてください」
「でも」
かなたちゃんの言葉に即返事が出来ないカーディアさん。
それもそうだろう、目の前にいるマモリは今圧倒的な力を出しながらこちらを見ている。
「任せて、トワとかなたがいたら大丈夫だから」
「分かりました」
「本当はアスモさんも戻ってもらいたいんですが、確か帰還魔法はフレンド登録してる人だけでしたよね?」
「はい、その通りです」
かなたちゃんの言葉に頷くカーディアさん。
「俺が守ります」
俺はアスモさんの前に出る。
「分かった、キミに頼むよ」
トワ様はそう言ってかなたちゃんの横に並ぶ。
「じゃ、俺達は行く。
死ぬなよ」
「バカ言え俺が死ぬかって」
「そうだな、信じてるぞ」
「行きます」
その言葉と同時に友人とカーディアさんが消える。
「かなた行くよ」
「オッケー」
そして、かなたちゃんとトワ様がマモリに攻撃を仕掛けた。
攻防はほぼ互角。
いや、こっちは2人に対して向こうは1人。
実力的には向こうが上か?
「はは、その程度なんですか?
第四世代の先輩は」
「誰が先輩だ」
かなたちゃんの鋭い突き。
しかし、片手で受け止められる。
「うぉら~」
そんなかなたちゃんを前回転で飛び越えながらトワ様が頭上からのかかと落とし。
上手い。
「ダメですよ、そんな威力じゃ」
マモリは片手で足を掴む。
「ほらほら~」
そのままトワ様を振り回し投げる。
「トワ~」
トワ様を見るかなたちゃん。
「ほら、よそ見して余裕ですね」
「く」
マモリのパンチをどうにか腕で防御して下がるかなたちゃん。
「こうなったらあれを使う」
上手く着地したトワ様は胸に手を当てる。
「ごめん、ぼくは」
「いいよ、ここは任せて。
行くよ、デビル化」
突然周りから闇がトワ様に集まる。
そして、トワ様が眠れる力を解放する。
肌は浅黒くなり額には2本の悪魔の角。
服も体にぴったりなハイレグのような服に変わる。
そして、背中には真っ黒い天使の羽?
「えっと背中」
「それは言わない約束だから」
下がってきたかなたちゃんに止められる。
「あれは?」
「ぼくたち第四世代が持ってる特殊スキル。
そのせいで普段は他のホロメンより少しだけ弱いんだ、ぼく達」
息を整えているかなたちゃん。
「行くわよ」
デビル化したトワ様が反撃に入る。
パンチキックの連続、まるで黒い竜巻だ。
「く、さすが特殊スキルを使うと少しはやるみたいです」
そう言いながらマモリはその攻撃を受け止めている。
「そっちの先輩はしないんですか?」
かなたちゃんの方を見て言うマモリ。
よそ見しながら攻撃をいなしている。
前にあった時より強くなっているのか。
「く」
「かなたちゃん?」
かなたちゃんは胸に手を当てながら苦しそうにしている。
「無理しなくていいよ、かなた。
うらぁ~」
トワ様が渾身の蹴りを放つ。
「くぁ」
防御の上からマモリを吹き飛ばした。
「これは少し部が悪いです」
そう言ってマモリが逃げ出す。
「ま、待て!」
そのまま追おうとするトワ様。
「待って」
それを止めるかなたちゃん。
「その状態でいたら消耗が激しいから」
「分かった」
デビル化を解除するトワ様。
「でも、あのまま放ってはおけない」
「うん、行こう」
トワ様の言葉にかなたちゃんは頷く。
そして、俺達はマモリを追った。
別れ道か、右と左に別れた場所に出る。
「ぼくは右に行くから、3人は左に行って」
かなたちゃんが叫ぶ。
「なに言ってるんですか1人なんて」
俺は慌てて止める。
「いや、キミはアスモさんを守る役だから、トワお願い」
「分かったわ、気を付けなさいよ」
「また、後でね」
かなたちゃんは右に向かって走る。
「さ、トワ達も行くよ」
俺達はトワ様の後に続いて左に向かって走った。
「さっきの事なんですが、なんでかなたちゃんは力を使わなかったんですか?」
移動しながら、俺はさっき苦しそうにしていたかなたちゃんが気になっていたのでトワ様に聞いてみた。
「かなたの力はトワ達より遥かに強い力なのよ。
それこそホロメンで最強になれるほど。
でも、そのせいで少し気を抜けば暴走してしまう。
前はそれを止めれる仲間がいたんだけどね。
今はどこに行ったか、分かんないから」
最後の方は悲しそうにトワ様は言った。
「あ、あれ見てください」
前を指差すアスモさん。
指差す先は行き止まりだった。
「え?なんで?」
「まさか、あの馬鹿1人で戦うつもり?」
すぐ振り返るトワ様。
「え?きゃぁ~」
「え?アスモさん」
突然床が崩れ、落とし穴に落ちていくアスモさん。
突然の事で手を出せなかった。
「く、こんな時に、先にかなたのところに向かって。
トワはアスモさんを助けてから行くから」
「は、はい」
そのまま落とし穴に飛び込むトワ様。
俺はトワ様の言われた通り、かなたちゃんが走っていった方に向かって走る。
装備をあの小手に変えながら。
「追い付いた」
そこはダンジョンの外だった。
そこでまるで待っていたかのように腕組みしてマモリが立っていた。
「へぇ~1人なんですか?
先輩」
マモリはぼくにそう言ってくる。
誰が先輩だ。
お前みたいな後輩は持ったことはない。
くそう、腕組みして胸を強調しやがってぇ~
「どうかしました?
まさか胸見てます?」
「う、うるさい。
でかいからってえらい訳じゃないけど、あればあるでいい」
「ま、先輩とはだいたい背が同じでこの胸の差ですものね」
ああ、胸ばかり言ってきてぇ。
「でも、胸だけじゃなくて実力も私の方が上ですけど」
ぼくは胸に手を当てる。
「出きるんですか?
暴走してももう止めてくれる人いませんよ」
ぐさっとくるその言葉。
くそう。
ぼくは変身しないままマモリに攻撃を仕掛けた。
「うわぁ~」
吹き飛ばされて地面に激突する。
「やっぱり無理ですよ、そんなパワーじゃ。
肉叩くのとは違うんですよ、せ、ん、ぱ、い」
くそう。
でも、力を解放してもし暴走したらぼくの大切な人達まで傷つけてしまうかもしれない。
ぼくは地面に横たわったまま、立ち上がる気力を失っていた。
「はぁ~この程度ですか残念です。
もう少しやれると思ったんですけどね」
マモリが手を空に掲げる。
凄まじい勢いで力が集まりマモリの頭上に巨大な力の塊が集まった。
「世界の答えにはちょっかい出せませんでしたけど、ホロメンの1人を潰せるんですからよしとしますか。
それじゃ、さようなら。
臆病なせんぱい」
く、ごめん、ホロメンのみんな。
ココ、一目会いたかった…
そして、無情にマモリの手は振り下ろされる。
巨大な力の塊はまっすぐ対象に向かって進みぶつかり大爆発を起こした。
大爆発の砂煙が晴れる。
「なんとか間に合いましたね」
俺は防御したドラゴンの手になった両手を下げた。
「な、なんで?」
驚いた声をあげるマモリ。
正直俺も驚いてる。
「キミは。
それにその手」
俺の後ろで倒れているかなたちゃんは少し身を起こしながらこちらを見ていた。
「よくやったよ。
よくもかなたを!」
トワ様もデビル化して来てくれた。
「トワ様すいません、少し時間を稼いでください」
「オッケーおらおらおらぁ~」
「く、くそぅ」
トワ様はマモリに連続攻撃を放つ。
しばらくは大丈夫そうだ。
俺は振り向き、その場に膝をつく。
「大丈夫ですか?」
そう言いながら小手の力を解除する。
俺の手は元の人の手に戻った。
そして、小手を外す。
この小手の特殊能力は赤竜帝の力を一定時間使えるようになるといったものだった。
そのお陰であの巨大な力の塊を防ぐ事が出来た。
「う、うん。
なんとか助かったよ。
でも、そのアイテムはココの?」
ダメージは受けているが、大丈夫のようで安心した。
「それじゃ、先に謝っときますね、ごめんなさい」
「え?」
訳が分からない顔のかなたちゃん。
そして、俺は息を吸い、かなたちゃんに言った。
「なにやってるんだ、この馬鹿天使。
こんなところでやられる私の天使じゃないだろ?
立って戦って、そして、勝て!
もし、かなたに何かあったら必ず殴ってでも正気に戻してやる」
俺の言葉にかなたちゃんは目を大きく開く。
俺はかなたちゃんに手を貸しながらゆっくりと座らし、赤竜帝の小手を渡した。
「ココさんに頼まれました。
うちの天使が困ってたらこれを貸して気合いをいれてやってくれって。
全然、ココさんには似てないでしょうけどね」
かなたちゃんは小手を受け取り握りしめる。
小手はびくともしなかった。
「会ったんだね」
「はい」
「今、どこにいるの?」
「電子の狭間ってところで、今も1人で戦ってると思います。
俺も助けられました」
「そっか、ありがとう」
かなたちゃんはゆっくりと小手を確かめるように装備した。
そして、立ち上がる。
その時に光る雫が零れたような気がした。
「そこまで気合い入れられたら、頑張るしかないよね」
かなたちゃんは胸に手を当てる。
「もし何かあったらその時はお願い」
「かなたちゃんなら大丈夫だよ」
俺の言葉にかなたちゃんは笑顔になった。
「ココ、力を貸して。
いくよ、ドラゴンハート!」
そして、かなたちゃんは地面から天に伸びる金とオレンジの力の螺旋に飲み込まれた。
次回、ホロメン最強の力が解放されます。
ちなみに前作の1話、かなたちゃんとココさんの絡みシーンを読んでいただけたらもっと面白味が出ると思いますので、お時間があったら読んで見てください。
では、次回をお楽しみに