そして、電子の狭間で人知れず戦う1人のドラゴンの物語。
「さすがにこれはきついですね」
また、1匹巨大なキメラが光に変わる。
ココは1人のプレイヤーとホロメンを助けた後、集まって来たキメラを倒し続けていた。
この世界に来てから彼女は目についたキメラを倒しては身を隠す日々を送っていたが、今回は敵の増え方が異常だ。
この世界に来たのは、前の事件が起きた後に世界を回っている時だった。
彼女ははあちゃま(第三人格)に他の電子に存在する世界への移動手段を教えてもらい、様々な世界を移動していた。
そこで前回の事件のような事が様々なところで起きている事を知った。
そのせいで崩壊した世界もあるらしい。
そして、その中でまだ開発中の世界で何やら不穏な動きがあると知り、彼女はこの電子の狭間に来たのだ。
初めは何もなかった世界だったが、しばらく滞在していると継ぎ接ぎのモンスターが彷徨っているのを見つけた。
接触して会話をしようとしたが、コミニュケーションは取れず襲ってくるだけ。
ココはそんな壊れてしまったモンスターを倒し始めた。
それはいつか世界を脅かす存在になると感じたからだ。
長い間1人で戦っていたココだったが、最近彼らに出会った。
ここにこれるはずのないプレイヤーと新たにあの世界に来たホロメン。
無事に脱出させて、強敵(とも)への伝言を頼めた。
ここから無事に戻れる保証はない。
もしかしたら、ここで消滅してもう彼女の前に姿を現す事も叶わないかもしれない。
だから、伝えられてよかった。
ココは遠くを見る。
多数のキメラと巨大なキメラが数体こちらに向かっている。
今はドラゴンの姿だ。
向こうも見つけやすいのだろう。
もう、思い残す事はない。
そう彼女は思いキメラに向かう。
そこに聞きなれない音が突然聞こえた。
ドン!ドン!
と壁を叩くような音?
そして、微かに聞こえる懐かしい声。
それはどんどん大きくはっきり聞こえてくる。
「かなた?」
「ココ~!」
バリン!
ガラスが割れたように空間が割れる。
そして、あり得るはずのない光景がそこにあった。
天使が来たのだ。
「ココ~」
天使がドラゴンの首に抱きつく。
「な、なんで?」
ココは驚きながらも優しく小さな天使を手で包む。
「助けに来たよ!」
元気に答えるかなた。
その声は最後に別れたあの時とまるっきり変わっていない。
ココは人型に戻る。
「それはいいんですが、どうやって来たんですか?」
そう、ここは特別な場所。
そう簡単にはこれないはずだ。
あの侍のホロメンはたぶん転送装置を作れるような天才が仲間にいたんだろう。
でも、かなたにそんな力はないはず。
ふとかなたの手を見る。
そこにはあのプレイヤーに渡した私の小手が。
「それ?」
「あ、これ?
ココに助けてもらったプレイヤーさんに借りたんだよ」
「借りたんだよって、何借りパクしてるんですか馬鹿天使」
「いや、違う借りパクじゃないって、きちんと確認して借りてきた」
慌てるかなたを見ながら、小手を託した彼が約束を守ってくれたうえにこんなお返しまでしてくれた事にココは嬉しかった。
「さて、かなりの大群と戦ってるんだね、ココ」
かなたはまだ遠いキメラの大群の方に向く。
「ええ、肩慣らしにはいいんですけどね」
かなたの横に立つココ。
ふと横を見るといつもの光景。
そんな光景がとても懐かしく頼もしく感じた。
「どうかした?」
「ん?なんでもないです」
「じゃ、先に変わるよ」
そう言ってかなたは胸に手を当てる。
「いくよ、ブレイブハート」
金色の闘気がかなたを包む。
そして、金色の長い髪に金色の闘気を纏うかなたが現れる。
「いつ見ても激昂ですね」
「うるさいよ、ココ」
笑うかなた。
「さて、行きますか?」
「ココは使わないの大召喚?」
かなたの言葉に動きを止めるココ。
正式版からホロメンに実装された力。
確かにココにもその力は備わっていた。
「でも、今私はあの世界には存在しないから」
そう、正式版になってからココは1度もあの世界に顕現していない。
噂ではどこどこにいると言われているが、本当はあの世界にはいないのだ。
大召喚の力は推しの数によって変わる力。
ステータスにある推し画面でココを選択して推してくれる人数だけプレイヤーやその影の力を借りれる。
「ココってそんなに弱気なキャラだった?」
「え?」
かなたの言葉にココはかなたを見る。
「自分にもっと自信をもったらいいんじゃない。
いつもぼくらを励ましてくれたみたいに。
あの世界はそんなに冷たくはないよ」
かなたは笑う。
ココはその事を聞いて前を見る。
キメラの軍団はそこまで迫っている。
この世界で大召喚出来るのか?
出来てもプレイヤー達が来てくれるのか?
そこまで存在しない私を推してくれる人はいるのか?
「大丈夫だよ」
かなたはそうはっきりと言葉にした。
そして、ココは初めて大召喚をおこなった。
それはシンプルな召喚方法だった。
空に向かって竜の咆哮をあげるだけ。
でも、それは竜にとっては絶対的な集合合図。
最上位の竜があげる咆哮は全ての竜がそれに答えないといけない。
それほどの咆哮をココは大召喚として使った。
咆哮が終わる。
しかし、何も起きなかった。
ココは肩を少し落とすが分かっていた事だ。
また、まっすぐに前を見る。
「やっぱり電子の狭間なんだね」
そう隣でかなたは呟く。
「発動まで時間ラグがあるんだ」
「え?」
突如、岩の地面だった世界が大草原に変わる。
空も青くどこまでも高かった。
そして、空からオレンジ色の柱が降りてくる。
1つ、2つ、3つ、4つ…
その数はどんどん増えていく。
ココとかなたの後ろが全てオレンジ色に変わるくらい柱が降りてくる。
そして、そこから現れる特攻服を羽織った騎士達。
その真っ白い特攻服が風に揺れる。
ココはその場で下を向く。
1人の騎士がゆっくりとココに近づいた。
「なんで、こんなにいるんですか?」
ココの言葉に騎士は黙って白い大きな特攻服をココの肩にかける。
「馬鹿ばっかりですか?
存在しない者を推しにして」
かなたは隣で笑顔だ。
もう1人騎士が前に出てきた。
「そんな事気にしてたらあなたの推しなんて出来ません!」
「この日をずっと待っておりました!」
騎士達が次々と口にする。
そして『会長ご命令を!』
騎士達の声が重なった。
ココはもう下を見ていなかった。
腕を組んでまっすぐにキメラを見る。
「よし!
みんなカチコミだぁ~!
桐生会の力見せてやれ~!」
『うぉぉぉぉぉ~』
ココの号令に全てのたつのこが手を上げて答える。
「いこう、かなた」
「よっしゃぁ~!
やってやる~!」
そして、ドラゴンと天使を先頭に人知れず、【ホロライブワールド】を救う為に必要な戦いが行われた。
さて、電子の狭間の戦いがどうなったのかはまた本編で。
次回はどんな物語があなたを待ち受けるのか次回をお楽しみに。
天音かなたドラゴニュートフォーム説明
赤竜帝からもらったドラゴンアーム(籠手)を主人公から渡され装備し、第四世代特有のスキルを使い、ドラゴンハートを使用する事で変身する事が出来る姿。
天使の輪は頭の上部にその横にエネルギーで作り出された赤い角が生える。
背中にはドラゴンの羽と天使の羽。
胸にドラゴンの頭が付いた鎧を着る。
籠手は腕全体を防げるような大きさになっている。
髪は金と赤の混合色。
ドラゴンのしっぽも生えている。
足もドラゴンの足のブーツを履いているような感じ。
目は水色と赤のオッドアイ。
全体的に成長し大人な感じになっている。
胸もちょっとは大きくなっている?