そんなあなたに第六世代組の頭脳、博衣こよりが現れた。
彼女に謎のトカゲ人間から貰った石からエネルギーを取り出す機械を貰う。
次の日早速あなたはそれを造船所に持っていくのであった。
俺は宿でログアウトし、また、次の日にログインした。
ログインした後すぐに港にある造船所に向かう。
「おはようございます」
「あ、おはよう」
そこにはすでに第三世代組の人達や、手伝ってくれているNPCの人達が働いていた。
「ちょっとこれ見てもらっていいですか?」
俺は昨日、こよりちゃんからもらった機械を、フレアさんとぺこらちゃんに見せてみた。
「これは何ぺこ?」
「はい、昨日渡した石のエネルギーを取り出す機械らしいです」
俺の説明にぺこらちゃんは機械を見る。
「ん?これは?」
1枚の紙を見つけたみたいでぺこらちゃんは広げる。
「なるほどなるほど、これなら使えそうぺこな」
ぺこらちゃんは紙をフレアさんに見せる。
「なるほどね」
「何なんですか、その紙?」
「これはこの機械の取り扱い説明書みたいなものね。
それも事細かくこの石を取り付けた時の説明が書かれてる。
この石専用の装置みたいにね」
フレアさんが俺をじっと見た。
「ま、どこで手に入れたかは聞かない事にしとくよ。
危険な物ではないし、これで終わりのような気がしないから」
「え?それってどういう事ですか?」
「そうぺこね、この説明書を見たらそう思ってしまう」
??
「ま、キミは今日から町をぶらぶらして声をかけられたらきちんと相手してなんかアイテム貰ったら持ってきて」
「は、はぁ」
フレアさんにそう言われ俺は一旦町に戻った。
「ぶらぶらしろって言われてもなぁ」
俺は商店街を歩く。
ここはきちんとした店を構えてる人以外に露店も多い場所だ。
「ちょっとそこのお兄さん?」
「え?」
誰かに呼び止められる。
そちらを向くと何も品物が置かれていない露店から、店主らしい人の声だった。
「は、はい」
フレアさんの言葉を思い出し、露店に向かう。
そこには大きな麦わら帽子で顔を隠した、白衣の女性が立っていた。
「えっと…」
「はじめまして、船の機械とかどうですか?」
店主が可愛らしい声で聞いてくる。
「こよりちゃんだよね?」
「え?」
驚く店主。
「さ、さて、なんの事やら」
一生懸命誤魔化そうとしてるけど。
「麦わら帽子に白衣はちょっと」
「あ」
ゆっくりと麦わら帽子を脱ぐ店主。
麦わら帽子の下からは少し照れたこよりちゃんの顔が見えた。
「いつもの癖で着て来てしまいました」
「昨日のアイテムありがとう。
めちゃ役に立ったよ」
こよりちゃんの恥ずかしがる顔を見て何か和みながら俺はお礼を言った。
「あ、いえ、お役にたったならよかったですよ」
一気に嬉しそうな顔に変わるこよりちゃん。
「それでさっき言ってた船の機械って?」
俺は興味があったので聞いてみた。
「あ、はい。
今回の商品はこれです」
ドンと長いカウンターの上にこれまた大きいアイテムを出す。
「えっとこれは?」
こんなでかいものどこにしまってたんだ?
「これはですね。
太陽光を利用した帆です」
「太陽光を?」
「はい、この帆を張っていると、帆の表面から太陽光を吸収、エネルギーに変換して裏側から風を発生させて、船を前に進ませる画期的なアイテムなんですよ」
「なるほど、風がなくても前に進めると」
「はい、その通りです」
「で?おいくらでしょうか?」
「なんと、今ならキャンペーン中でタダです」
「もらった!」
そして、俺はこよりちゃんから不思議な帆を手に入れた。
こよりちゃんにお礼を言ってから、俺は早速そのアイテムを造船所に持って行き見せた。
フレアさんとぺこらちゃんは「やっぱりねぇ」という顔をしてアイテムを調べる。
特に危険な事もなくその帆は船に搭載される事になった。
それから、ほぼ毎日のように町を歩いていると、こよりちゃんの露店に呼び止められてアイテムを受け取った。
謎の巨大な砲門。
バリア発生装置。
自動操縦システム。
偵察ドローン。
など。
驚く事にそれを全て無料提供してくれたのだ。
持って幾度にフレアさんに「好かれてるんだねぇ」と半分呆れたように言われてしまった。
そして、船もそろそろ完成する頃。
今日も俺は露店の店主に呼び止められた。
「ちょっとそこのキミ、船の機械はいらんかっ鷹ね?」
「ん?」
あれ?いつもと違う。
俺は声をかけられた店主を見た。
太った鳥?
「いや違う違う。
こっちこっち」
杖に乗った鳥がいたのでそっちを見ると、やたら派手な逆三角のサングラスを付けた女性に注意された。
「あ、初めまして。
今日はこよりちゃんじゃないんですね」
俺はその女性に挨拶をする。
「初めまして。
今日は彼女はお休みで、代わりにバイトの私が船の機械を持って来ました」
「そうなんですね、ありがとうございます。
で、あなたも第六世代の方?」
「いえいえ、私はただのバイトですよ」
そう言われ、俺はステータス画面に開いて推し一覧をの第六世代を確認する。
確かにどれも点滅していない。
まじで普通のNPC?
もう一度彼女を見る。
すらっと背が高く、髪型が特徴的で鳥の羽を畳んだような形だ。
しかし、やたらに存在感あるNPCだな。
「ん?どうかしましたか?」
「い、いえ、それより今回の機械とは?」
「はい、彼女からこれが最後になると言われてます。
これです」
ドカン!
背後から1つのデカイ錨がカウンターに置かれた。
いつも思うけど、重さとか関係ないのかなぁこの人達は。
「錨ですか?」
「はい、いかりです」
「なんかこの錨のUの先端にジェットが付いているんですが?」
そう、なんでジェット付いてんだ?
この錨。
「はい、このいかりは錨の機能はもちろん付いていますが、相手が攻撃してきた場合、自動でジェットが噴出し、攻撃してきた相手に突っ込んでいきます」
「もはや錨じゃないような」
「はい、なので錨じゃなくて怒りなんです」
「ああ、怒る方の怒り?」
「そう、錨だけに」
「やっぱりホロメンですよね?」
「ええ~~~
な、何で、ちょっとだじゃれ言ってみただけじゃない?」
「いや、何というか同じなんですよ。
この空気感。
数日前の誰かと一緒で。
このなんとも言えない微妙な空気感」
「で、でも、キミさっき何か確認してましたよね?」
う、確かに。
ホロメンだったら一覧で反応するはず。
「はい、そうです」
「でしょ?
というわけで私は普通のバイトなんですよ」
「はぁ」
「では、これはいつも通り差し上げますね」
「ありがとうございます」
俺はバイトさんから錨を受け取りアイテムボックスに入れた。
「では、こよりちゃんによろしくお伝えください」
俺はそう言ってバイトさんに頭を下げその場を後にする。
「はい、分かりました。
では、おつルイルイ」
「おつルイルイ?」
俺はそう挨拶されて振り返る。
そこにはもうバイトの人も店もなかった。
やっぱりあの人もホロメンだったのだろうか?
俺はそう思いながら、さっきもらった錨を持って造船所に向かった。
「危うくバレるところでしたね」
薄暗い廊下で前を歩くバイトに声をかける白衣の女性。
「ありがとう助かったよ。
こよりが作ってくれたジャミング装置のお陰で誤魔化せた」
そう、今回こよりが作った装置のお陰で推し一覧に表示されないようにしていたのだ。
「でも、今回どうして偵察だけなんです?
きちんと会っちゃえばよかったのに」
こよりは不思議そうに目の前の女性に聞いた。
「ん~
私の出番はまだ先にするようにラプに言われてるからね」
「そうなんですね」
「ま、その時が来たらカレーに舞い降りてあげますよ」
そう言っていつの間にかカレーを持っている彼女を、こよりは残念そうな顔で見ていた。