モンスターには多くの種類が生息し様々な強さのものがいる。
そして、同じ種類の中にもランクが存在する。
何もついていない無印のモンスターは単独でも倒すことの可能なモンスター
次にスター
体のどこか1ヶ所に星の印が付いているモンスター
これはパーティー(最大6人)で倒す事のできる強さ。
その上にスターズ。
体のどこか1ヶ所に2つの星の印が付いているモンスター
これはレイドバトル(3パーティー)で倒す事ができるかもしれないモンスター
そして、最上位スリースターズ。
このモンスターはフルレイドバトル(9パーティー)でも倒せないモンスターである。
「どこから出てきたの?」
俺とラミィちゃんは、オーガロードと呼ばれた鬼と距離を取る。
「さっき時計がたくさん出てきて、その後いきなり空間が割れたと思ったらあいつが出てきた」
お互いに睨みあったまま動きはない。
「そうなの?
そんな出現方法は初めて聞いたけど」
心なしかラミィちゃんのしゃべり方が変わってる気がする。
これが本当なのか?
「どうしよう、スリースターズでレアモンスターなんて私だけだと無理かも」
「逃げる?」
「ダメね、逃げても追ってくる。
たぶん、今はオーガロードも混乱してる、普通は出現しない場所に出てるから。
ただ、こっちが動けば攻撃してくる」
「なら、ラミィちゃんだけでも逃げて。
町に戻ればどうにかなるでしょ?」
「それはそうだけど、ダメ。
プレイヤーさんを置いて逃げるなんてしたくない」
頭を振り、こちらを見るオーガロード。
その目はこちらをじっと見ている。
「戦闘開始ね。
敵と判断されたみたい」
「くそ」
俺は剣を構える。
ラミィちゃんは素手。
「ラミィは魔法系だから。
キミじゃ、一撃でやられちゃうから下がってて」
ラミィちゃんは前に出る。
確かにどうしようもない実力の差を感じる。
でも。
俺はラミィちゃんの横に並ぶ。
「はぁ、無謀は早死にしちゃうけど」
そう言いながらも笑顔を浮かべるラミィちゃん。
「入ってこれたら来ていいよ」
ラミィちゃんはそう言ってオーガロードと戦闘を開始した。
「よ、は、って、あぶなぁ」
氷の玉を左右の手で作りながらオーガロードに打ち込むラミィちゃん。
時々、カウンターでくる鉄棍棒をひらりと避ける。
しかし、だいぶ撃ちこんではいるもののオーガロードはほぼ無傷だった。
「はぁ、やっぱりなぁ」
鉄棍棒を避けた先、オーガロードが素手でラミィちゃんを殴りに来た。
「あ、やば」
「くそ」
俺はラミィちゃんを庇うように抱きしめオーガロードから離れるように飛んだ。
「ダメだって」
これで初めての死亡か。
ま、ラミィちゃんを助けられたならよしとするか。
ガァァァァァ
俺はラミィちゃんを抱えたまま地面に落ちる。
でも、死んでない?
その場でオーガロードを見る。
オーガロードの顔には無数の矢が刺さっていた。
「助けてくれてありがとう。
また、辛い思いしなくてよかったよ」
僕の頭を優しく撫でてくれる力強く優しい手。
「え?」
「ノエルママ」
《スキル【運命】が発動しました》
「ほんと、出掛ける時は一声かけてくれないと」
もう1人木から降りてくる。
「ごめんなさい、フレアママ」
《スキル【運命】が発動しました》
ラミィちゃん、いつの間にか子どもっぽい感じに戻ってる。
「さてと、こんなところにあんなのが出るんだ」
「確かオーガロードってあやめ先輩の管轄の【鬼岩城】に出現する個体じゃなかった?」
「確かそうだったはず」
話している2人に顔の矢を抜いたオーガロードが近づいてくる。
「ノエルの方来るよ」
「分かった」
ノエルママと呼ばれた女性が顔を左手で被う。
そして「【金剛眼】」そう言った後、手を外すとその翠玉の瞳が輝いた。
それと同時に振り下ろされる鉄棍棒。
ドカァァォ
凄まじい音と砂煙。
「あ」
飛び出そうとする俺をラミィちゃんが止める。
ラミィちゃんの顔を見た。
その顔は彼女を信頼している顔だった。
砂煙が晴れる。
そこには片手で鉄棍棒を受けた彼女がいた。
「やっぱりこのまま戦うのは骨が折れそう」
そのまま鉄棍棒を上へと押し上げる。
その勢いで後ろに下がるオーガロード。
ノエルさんは距離を縮め、右手のメイスをその腹にぶちこんだ。
大きく吹き飛ぶオーガロード。
「フレア、私から先にするからサポートお願い」
「うん、分かったよ」
フレアさんは一飛びで近くの木の枝に飛び上がる。
吹き飛んだオーガロードが
ゆっくりと起き上がって来た。
やはりあれだけの攻撃でも無傷だ。
「さすがスリースターズ。
HPの総量が多すぎ」
横でラミィちゃんが呟いていた。
オーガロードがこちらに向かってくるが、足を出そうとするとフレアさんがその場所に矢を放つ。
動こうとするその次の場所に矢を放たれてオーガロードは身動きがとれなかった。
「うちのラミィに危害を加えようとした事、後悔させてあげるから」
ノエルさんの手からメイスが消える。
変わりにその手には巨大な旗が握られていた。
「ノエルママの大召喚はかっこいいよ」
ラミィちゃんが嬉しそうに言う。
「さぁ、行きます。
我と志を同じくする者達よ。
我の前に集え」
手に持つ旗を回す。
そして、旗を天へと掲げた。
「白銀聖騎士団出陣です」
その言葉と同時に俺達はいつの間にか草原にいた。
そして、大量の光の柱が空から降ってくる。
大地に降り立った光の柱からゆっくりと重装備に身を包んだ騎士が現れる。
白銀の鎧を着た騎士が1柱から1人ずつ現れていく。
大きく旗を振りかぶるノエルさん。
そして、旗が振り下ろされる。
「団員さん~私に続け~」
ウォ~~~
喚声を上げ白銀の騎士達がノエルさんを先頭にオーガロードに向かっていく。
それはまるで白銀の津波のようだった。
「さて、私もいこうか」
いつの間にか隣にいたフレアさん。
複数の矢を天に向けて弓を引く。
「さぁ、こっちも負けてられないよ。
いくよ、エルフレのみんな~」
無数の矢は空へと放たれた。
雲を切り裂き天へと上がる矢。
それが無数に地面へと降り、矢は地面に突き刺さる。
空間が揺れ誰かが矢を手に取り引き抜いた。
肩に小さな小鳥を乗せたその人影は朧から実体に変わる。
次々と矢を引き抜き姿を表す冒険者達。
「いくよ~」
掛け声と共にフレアさんの矢を持った冒険者もフレアさんと共にオーガロードに突撃した。
数千、いや、数万の冒険者達がオーガロードに群がり戦う。
剣や魔法、矢が飛び交いオーガロードを攻撃している。
しかし、オーガロードも負けじと鉄棍棒を振り回し応戦していた。
「左翼、咆哮がくるよ。
エルフレは団員さんの後ろに団員さんは防御に集中」
フレアさんが的確な指示を出し被害は最小限に抑えられている。
ノエルさんも旗をメイスに変え最前線で戦っていた。
「これがレイド…」
俺はその光景に驚くだけだった。
「これは普通のレイドバトルじゃないけどね。
大召喚使ってるから」
「そうなんだ」
徐々にオーガロードが押されている。
「決着つきそうだね」
ラミィちゃんの言葉どおり、数人の冒険者がオーガロードに剣や矢を打ち込んだ。
グァァァァァァ
高らかな咆哮と共にオーガロードが光の粒子に還る。
オー
推しメンバー達が各々の武器を掲げ歓声を上げた。
その後、1人1人、ノエルさんとフレアさんに手を振りながら元の場所に還っていく。
「今回は参加出来なくて残念だったね」
ラミィちゃんと一緒に立ち上がる。
今はもう初めいた森の中だった。
「ごめんね、せっかく見つけたのに」
ノエルさんが謝ってくれる。
「いえ、俺のレベルじゃ到底勝てなかったですし」
「ま、発見者ボーナスは貰えるから」
フレアさんがそう言ってくれた。
でも、「発見者ボーナスってなんですか?」
「ああ、それ知らないか」
フレアさんが笑う。
「発見者ボーナスって言うのはね。
レアモンスターを見つけた人が戦闘に参加しなくてもそのモンスターが討伐されると少しの経験値とアイテムが貰えるのよ」
丁寧に教えてくれるノエルさん。
「あ、きたきた」
ラミィちゃんが嬉しそうに指差す。
そこに光輝きながら何かが現れようとしていた。
「えっと」
現れたのはやたらに豪華な宝箱。
3人は不思議そうにその宝箱を見ている。
「これって発見者ボーナスで出るような宝箱じゃないよね?」
「そうね、この装飾ってレアアイテムなんじゃない?」
「でも、これが出たんですよね?」
「えっと開けてもいいのかな?」
「あ、ああ、ごめんなさい、開けてみて」
3人は宝箱の前から離れる。
俺は宝箱に近づき開けた。
「大刀?」
それは目立った装飾もない刀だった。
柄はきちんと柄巻されており、綺麗な鍔が付いているが鞘はなく、普通では考えられない大きな刀身が付いていた。
持ち上げてみる。
見た目とは裏腹にあまり重くない。
「それってまさかオーガキラー?」
「え?」
ノエルさんの言葉に振り向く。
「まさか、レア中のレアが出るとは」
フレアさんも驚いていた。
「えっと」
「それってオーガすなわち鬼に対してとてつもない特効効果を持つレア武器」
ラミィちゃんも苦笑しながら言う。
「まじかぁ」
刀を見る。
確かに凄そうだ。
鞘はないけど、アイテムボックスに入れれば問題ないかな?
仕舞ってみる。
大丈夫そうだ。
「しかし、発見者ボーナスで激レア引くなんてどれだけ運がいいのか」
「ん~この場所でオーガロードに会うのは運がいいとは言えないけど」
「それは、そうか。
それじゃ、そろそろ帰ろうか」
フレアさんはノエルさんとラミィちゃんに言う。
「そうね、そろそろ晩御飯の用意しないと」
「それじゃ、冒険者さん。
今回はラミィを助けてくれてありがとね」
「また、どこかで会いましょう」
2人は手を振り先に行く。
「バタバタになったけどクエ受けてくれてありがとう。
また、見かけたら受けてみておつらみでした」
ラミィちゃんも手を振り2人に向かって走っていく。
「今日の夜は何?」
「そうね、良いお肉が届いたからステーキかな」
「ああ、いつもの天使から朝届いてたね」
「ええ、また柔らかくしたからって送ってきてて」
「どれだけ肉叩いてんだか」
なんか物騒な事も聞こえてくるが、仲の良い家族みたいだな。
さて、俺もクエスト完了の報告をしてきますか。
その後、ギルドでクエスト完了を報告。
案の定レベルが8も上がっていた。
たぶん、クエストと発見者ボーナスのお陰だな。
残り2レベル、ぼちぼちと頑張ってみますか。
暗闇で1人の女性が鏡を見ていた。
「さすが【運命】を味方につけている事はあるか」
彼女が見ている鏡には1人の冒険者が写っていた。
「傍観者をするはずなんだけど?」
また1人女性が姿を表す。
「分かっているさ。
ただ、世界の答えがどれ程の者か気になってね」
「それにしては凄いのぶつけてたけど?」
「あれでやられるようなら【運命】もたかがしれてる」
「確かに」
「これで気が済んだ。
これからはしばらく眠るよ」
「AIにしばらくは任せよう」
「そうだな。
では、次に会う時はもっと強くなっててほしいものだ」
1人女性の気配が消える。
後から来た女性も鏡に写る冒険者を見る。
「待ってるよ。
私達の暇潰しに付き合って貰える日を楽しみにしてるよ」
そして、もう1人の女性の気配も消えた。