皇帝イカと呼ばれる敵にあなた達はなす術はあるのか?
「皇帝イカ?」
俺はマリン船長に聞き返す。
「普段は深海に生息して滅多に海上まで上がってこないレアモンスター
それも星付きなんて」
「また、会いましたね」
「え?」
俺は声をかけられそちらを見る。
イカの頭のところに見慣れた姿があった。
「歌魚レヴィ!」
「はい」
「誰ぺこ?」
ぺこらちゃんが横に来てバズーカを構える。
そんなもの持って戦ってたんですね。
「俺の行く先々で現れて世界を滅茶苦茶にしようとしている奴らの1人です」
「なら、いいぺこね」
そう言ってぺこらちゃんはレヴィにバズーカを発射した。
ドガァ!
凄まじい音がして弾はレヴィに当たり大爆発を起こす。
容赦ないなぁ。
ゆっくりと煙が晴れていく。
「どうしたの?」
船のバリアで余裕が出来たのか、第三世代組が集まってくる。
「はぁ、いきなりはビックリします」
直接バズーカの弾を受けた筈なのに無傷で立つレヴィ。
「普通のNPCなら消滅してますよ」
そう言ってレヴィは懐からドミノマスクを取り出し顔に着けた。
青白い光が彼女を包む。
そして、光が消えた後、青いマントにビキニを着たレヴィが立っていた。
変身前と違うのは足が魚のようなヒレになっているところか?
「マーメイド?」
「そうです、私の真の姿はこっちです」
「えっともう少し斜めに向いてくれないかなぁ」
何故か隣でスケッチしているマリン船長は置いといて。
「おまえの目的はなんだ!」
「私ですか?
それはあなたをこの先に進ませない事です。
ちょっとこの先に行かれると困るんですよね。
これ以上戦力がひらくと厄介ですから」
「それで、この周辺のモンスターを活性化させたのか」
「ええ。
後、私の仲間にるしあさんのお留守に星付きの封印をといてもらいました」
「な、あなた達だったのですか」
るしあちゃんがレヴィを睨む。
「本当はスリースターズの封印を解いてもらう予定でしたが、あまりにも封印が強すぎたので只のスターになってしまいましたが」
「それだけでも十分よ、こんなレアモンスター」
弓を向けたままフレアさんが嫌そうに言った。
「さて、このまま力で押してもそのバリアが厄介ですからね。
ここはそのバリアが消耗するまで攻撃する事にしましょうか。
数でね」
「大召喚か!」
「ああ、大召喚は残念ながらあなたのお知り合いのお陰でしばらく使えなくなってしまいました。
なので、今回はこちらで」
そう言って指を鳴らすレヴィ。
すると皇帝イカの後ろ側に水柱が立つ。
その水柱から巨大なシャチのような生き物が現れた。
背中には大砲が付いている。
そして、その上にはサハギンが数人乗っていた。
「なんだあれ」
「私の能力の1つで魅了したんですよ」
「まだまだ増えていく」
ノエルさんの言う通り次々と水柱が上がりシャチが現れていく。
ほぼ大召喚じゃないか。
「では、止めは私がして上げますので、それまでは生き残ってくださいね」
そう言ってレヴィは皇帝イカと共に海の中に消える。
そして、シャチの群れの奥へと移動した。
「どうしますか、この大群にこっちは1隻です」
俺は第三世代組のみんなに聞く。
しかし、みんなに慌てる様子はなかった。
「あのまましつこく攻撃された方がやばかったね」
「ですね」
マリン船長の言葉に頷くるしあちゃん。
「それじゃ、後はマリンに任せようか」
フレアさんは弓を下ろす。
「え?」
「だね、ここはマリンの独壇場だし」
ノエルさんもそれに賛同する。
マリン船長がゆっくりと船首に向かう。
向こうにまだ動きはない。
船首に立つマリン船長。
帽子を押さえながらシャチの群れを見る。
「なら、見せてあげようじゃない。
船長の真の力を」
「別にマリンの力じゃないぺこだけどね」
「もう、せっかく決めてるんだからチャチャ入れない」
ノエルさんにそう言われぺこらちゃんは舌をちょろっと出した。
マリン船長はそんなやり取りを笑いながら見ていた。
そして、その手にいつの間にか巨大な海賊旗。
ノエルさんの大召喚に似てる?
マリン船長が海賊旗を振り上げ勢いよく船首にトンと立てる。
さっきまで雲っていた空が晴れわたった空に変わる。
海もさっきまでの海とは違った感じがする。
大召喚の特別フィールド?
するとどこからともなく軽快な音楽が流れ始めた。
「え?何の音楽ですか?」
「少しは勉強しないといけないね」
フレアさんが笑う。
マリン船長が勢いよく振り返り海賊旗を掲げた。
「さぁ、みんなノリにノって行きますよぉ~!」
『お~!』
第三世代組のみんなはもちろんだが、それ以外に多数の声が聞こえる。
俺は船の端から後ろを見た。
海上に巨大な門が現れている。
そして、そこから1隻の巨大な船が現れた。
そこには多数のプレイヤーが乗っていた。
船の周りに次々と門が現れる。
その数は数えきれない。
あっという間に【ふぁんたじぃ】の周りには艦隊が出来ていた。
どの船からも軽快な音楽が流れてきている。
「マリンのオリジナルソングがイントロで流れてるです」
るしあちゃんが笑顔で教えてくれた。
「では、キミ達行きますよ~
出航~!!!!」
『うおぉ~!』
向こうのシャチ達も動き始めた。
これから【ホロライブワールド】最大の艦隊戦が始まろうとしていた。
特別フィールドに変化したお陰で敵との距離が離れている。
俺達は舵の横にあるレーダーの前に集まっていた。
「相手は波動の陣をとってるわね」
フレアさんは敵の集まり方を見て言った。
「波動の陣ですか?」
「そう、波動拳って知ってる?」
「え?はい、あの格闘ゲームのですよね?」
「そう、あれに形が似てるでしょ?
だから波動の陣」
「えっとそれって本当にある陣形ですか?」
不思議そうに聞く俺。
「ここをどこだと思ってるの?
【ホロライブワールド】よ、リアルの世界とはまた違います」
「ですよねぇ」
「じゃ、こちらは三日月の陣で行こうか」
マリン船長が言った。
「そうぺこね、こっちの切り札を使うならそれがいいぺこ」
にやりと不適な笑いのぺこらちゃん。
「じゃ、るしあ各船へ連絡お願い」
「了解なのです」
るしあちゃんはマイクの方に行き連絡を始めた。
「じゃ、ノエルは船首に行って敵を悩殺してきて」
「了解ってなんでそんな事しないといけないの!」
マリン船長に言われ、船首に向かおうとするノエルさんが我にかえって突っ込む。
「いや、この流れならいけるかなっと」
マリン船長が笑う。
なんか艦隊戦が始まろうとしてるのにこの人達は、ふざけてるのか余裕なのか。
でも、なんか負ける気がしないのはこの人達だからなのかな。
「じゃ、マリン船長。
号令を!」
るしあちゃんがマイクのところでマリン船長を呼ぶ。
マリン船長はマイクを掴んだ。
「キミ達、この戦いは負け戦ではありません。
絶対に勝てる!
キミ達ならやれる戦いだ!
船長と共にあの敵の向こう側の景色を一緒に見るぞ!」
『おお~!』
三日月のような陣形を取った味方艦隊が敵に向かう。
敵からの砲撃。
しかし、味方の船に当たる前に、マリン船長が掲げていた海賊旗のようなバリアが防ぐ。
「すごい」
「マリンがあの船首で海賊旗を持っている限り、こっちの船はバリアで守られてるからね」
「そうなんですか?」
「うん、ただマリンの力が尽きちゃうとバリアも失くなっちゃうから早めに決着をつけないといけないの」
ノエルさんが船首に立つマリン船長の背中を見ながら言った。
こっちからも相手に撃っているが、致命傷にはなっていない。
弾が当たる前に海に潜っているからだ。
「このままじゃ激突してしまう」
レーダーを見ると徐々に敵との距離が縮まっている。
「いや、これでいいのよ」
レーダーを見るフレアさんが言う。
「相手の陣形が徐々に真っ直ぐになってきてるでしょ」
確かに陣形が崩れてこの船の前に一直線になってきてる。
「後、もう少し」
フレアさんはレーダーに映る敵陣形の最後尾を見ていた。
そこにはレヴィがいる。
そして、こちらの陣形が相手を挟むように縮まり、敵の陣形はほぼ一直線になった。
「いける。
マリン今よ!」
フレアさんの声が船首に届く。
マリン船長は海賊旗を掲げて返事をした。
「さぁ、みんなの思いを1つに!」
海賊旗を掲げたマリン船長に呼応するように、各船で大歓声が上がる。
「チャージ80%ぺこ」
「砲門開け~」
フレアさんの声でノエルさんがボタンを押す。
ゴゴゴという音と共に船首の下が左右に開き始め、中からどこかで見たことのある宇宙戦艦の船首が出てきた。
「フルチャージまで後5秒。
5、4、3、2、1、フルチャージ、ぺこ」
「それでは行きますよぉ~!
ハイパーミラクル船長キャノン、撃て~!」
ブヒィィィ~
奇妙な発射音の後、巨大なピンク色のレーザーが敵戦艦を飲み込んでいく。
これはもう圧巻と言うしかない。
レーザーが終わった後、目の前の敵は綺麗にいなくなっていた。
いや、一番奥に巨大な影は残っているか。
「キミ達!
ありがとう!」
マリン船長は大召喚で来てくれた人達に声をかける。
「いつか共に海原にいきましょう」
「マリン船長、またお会いしましょう」
「艦隊戦楽しかったです」
それぞれの声をあげながら光と消えていくプレイヤーと船。
「必ず船長の船でキミ達を海に連れていくぞ~!」
マリン船長は帰っていく行くファンにそう伝えていた。
「後はあれね」
ノエルさんがメイスを構える。
俺達の船は無人の海原を駆け、レヴィの元に向かった。
「まさか、あんな切り札を持っているなんて」
あれ程の威力のある船長キャノンを受けて傷1つ無しか。
「そっちもなかなかやるみたいね」
マリン船長は臆することなく船首に立っていた。
「で、どうする?
船長達とやりあう?」
俺達は各々武器を構えてレヴィを見る。
「やめておきます。
さっきの攻撃でこのイカちゃんを守るのに力をだいぶ使いましたし」
「へぇ、そうは見えないけど」
「いえいえ、ここでこのイカちゃんを失うのは得策ではないので。
では、これで。
次に会う時はこの子の星も増やしておきますね」
「な」
それを聞いて驚くるしあちゃん。
「育てる気!」
「そういう事です」
「ダメ、今逃がしたら!」
焦るるしあちゃんの言葉にぺこらちゃんはバズーカをレヴィに向かって放った。
しかし、弾は何もない宙を通りすぎた。
「消えた…」
そうフレアさんのいう通り目の前にいた皇帝イカとレヴィは消えていた。
「そうそう、るしあ先輩。
あなたの大霊園から5つの星を解放させて貰っていますので、その後を楽しみにしておいてください」
何もない空からレヴィの声だけが響いた。
「るしあ、大丈夫?」
傷心した顔のるしあをノエルさんが支える。
「一旦休みましょうか」
フレアさんはそうみんなに言った。
それから元のフィールドに戻った俺達は古龍島に向かって船を走らせた。
なかなか更新が出来なくてすいません。
こんな作品ですが、お気に入りが200を超えてすごく嬉しいです。
読んでくださっている方に楽しんで貰えるようにこれからも頑張っていきます。
お話も半分を過ぎ、これから後半に突入です。
最後までお付き合いください。