ホロライブ・オルタナティブver.IF正式版   作:天野空

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癒月ちょこに会う為に学園に着いたあなた。
懐かしい顔とも出会い久しぶりの学園の中に入るのだった。
果たしてあなたは癒月ちょこから魔界行きの許可を得られるのだろうか?


ホロメンと行く幽霊バスの旅

「しかし、相変わらずの賑わいだよな」

俺は学園の中を歩きながら校庭を見た。

ちょうど野球の授業をしているのか、グラウンドの周りには人集りが出来ていた。

カキーン

いい音が鳴って玉が大きく弧を描きながら飛んでいく。

「さすがスバルちゃん」

ホームランを打ってみんなの歓声を受けながらグラウンドを回っていた。

「そりゃ、学園の最強ホロメンだからな」

エリトアも手を振りながら走るスバルちゃんを見て言った。

「それより、前よりなんか学生が授業受けてるような気がするんだが?」

俺の言葉にエリトアは俺を恨めしそうに見る。

「誰のせいだと思ってる。

卒業するのに授業を規定数受けるようになったんだよ」

「あ」

そう言えば俺が卒業する時にころねちゃん達がそういう話してたな。

「それじゃ、保健室行ってくるよ」

「おう、ちょこ先生に用事だったな」

「ああ、また、後でな」

「分かった」

俺は一度エリトアと別れ、保健室に向かう。

校舎内も相変わらず賑やかだった。

ちなみに今俺は前にもらった学生服を着ているので、目立ってはいない。

一度卒業してるからな。

バレたら何聞かれるか。

保健室の前に着く。

トントン

「は~い」

中から懐かしい声。

「失礼します」

俺は扉を開けて保健室に入った。

「ちょこ先生、お久しぶりです」

「あ、久しぶりね」

笑顔で出迎えてくれるちょこ先生。

「ささ、座って」

ちょこ先生の前にある椅子に座る。

「元気してた?」

ちょこ先生からお菓子を貰う。

「はい、あれからいろいろと冒険しましたよ」

俺はお菓子を食べながら、学園を卒業してからの話をちょこ先生にした。

「ちょこ先疲れたよ~」

ガラ

保健室にグラウンドの活躍者が入ってきた。

「あれ~なんでこんなとこいるんだよ」

スバルちゃんは俺の顔を見ながら言う。

「いや、ちょっとちょこ先生に用事があって」

「へぇ、それにしても元気そうでよかったよ」

スバルちゃんも予備の椅子を出して近くによって座る。

「こら、スバル手洗ったの?」

お菓子を取ろうとするスバルちゃんに注意するちょこ先生。

「あ、洗ったよ」

注意されて恥ずかしかったのか、少し顔を赤くしながらお菓子を取る。

「それで、ちょこに用事って何?」

チョコを食べながらちょこ先生に聞かれる。

「はい、魔界に行く許可を貰いたくて」

「ん?魔界?いいよ」

「え、あ、いいんですか?」

「ちょ、ちょっとちょこ先、許可を出すの軽すぎだって」

すんなり許可を貰えて慌てる俺に、こちらも慌てて突っ込みを入れるスバルちゃん。

「ええ、行きたいなら行かせてあげればいいと思うけど」

「そうだけど、一応裏エリアだからそれなりの条件を出さないと」

確かに正論かもスバルちゃん。

「ん~そう言っても十分キミの実力は分かってるから」

ん~となおも考えるちょこ先生。

「分かった。

それじゃ、1つクエスト出すからそれをスバルと一緒にクリア出来たらOKという事で」

「ええ、スバルも!?」

「もちろん、スバルが条件出してって言ったんでしょ」

「そうだけど」

はは、すいません、スバルちゃん。

「で、そのクエストって?」

「うん、最近幽霊バスが増えてきてるの」

「ええ~」

ちょこ先生の話にいきなり叫び声をあげるスバルちゃん。

「ちょっと、今話してるでしょ、スバル」

「い、いや、だって幽霊バスって」

「話は聞いた事ある?」

スバルちゃんの反応を楽しみながら俺に聞いてくるちょこ先生。

「はい。

実はここに来る時に危うく乗りそうになってしまって」

「ええ~」

驚くスバルちゃん。

「そっか、なら話が早いわね。

その幽霊バスに乗って行った先がどうなってるか確かめてほしいの。

それで、もし、ヤバそうだと思ったらスバルと一緒に処理をお願い。

最近、かなりの被害が出てるみたいだから」

「やだよ~」

情けない声をあげるスバルちゃん。

かなり幽霊怖いみたいだ。

ま、俺はこれがゲームと割りきってるからそう怖くないけど。

ここに住むスバルちゃんは違うんだな。

「ほらほら、それじゃ、早速行ってきて。

第2の町からもバスは出てるから」

「分かりました」

「いや、分からなくていいって」

俺の言葉にスバルちゃんが制止を入れる。

「じゃ、準備するので放課後に」

俺はそんなスバルちゃんにそう伝え、ちょこ先生に頭を下げて保健室を出た。

「もう、ちょこ先~」と嘆きの声が中から聞こえたのは気のせいにしておこう。

それから俺は一度食堂に向かった。

たぶんここにやつがいるはず。

食堂でキョロキョロしていると。

「探し人か?」

と、背後から声をかけてくる。

「おう、お前をな」

俺は背後から声をかけてきたエリトアに笑顔でそう言った。

「なるほどな、クエで幽霊バスに乗ることになった

か」

「ああ、それで何か情報を持ってないかと思ってな」

「ある事はあるが確かな情報じゃないがいいか?」

「ああ」

俺の言葉に頷きエリトアは知ってる情報を教えてくれた。

この第2の街からも幽霊バスは出ている。

場所はエリトアがマップに印を付けてくれた。

時間はこの前と同じ4時27分9秒。

「ここからは噂」だと言ってエリトアが語る。

幽霊バスは知らずに乗ったら終点まで止まらず進むらしい。

終点に着くと中にいる人間が幽霊に姿を変えて、どこかに連れていかれる。

どこに連れているかわからない。

ただ、こっちに戻る時は必ずリスポーンで戻ってきてどうして殺られたのかは分からないらしい。

「なるほどな、普通に乗ってれば途中襲われないのか?」

「ああ、そういうふうにリスポーンしたやつが言ってたそうだ」

「そこの記憶はあるんだ」

「ああ、着いた後の事を覚えてないらしい」

「なるほどな」

あの口だけ幽霊にどこかに連れていかれるのか。

「何か必要な物はあるか?」

「そうだな、最近購買部でお札を売り初めた。

【ゲーマーズ】の四大神社で作られたお札らしいから効力はあるはずだ。

それを買っていけ」

「分かった、ありがとう」

「ま、なんでそんなクエ受けたのか分からんけど、気をつけて行けよ」

「ああ」

俺は食堂でエリトアと別れ購買部に行った。

確かにお札を売っている。

2枚購入。

そして、放課後になった。

保健室に着いた。

中に入ると元気のないスバルちゃんとにこにこのちょこ先生が待っていた。

「お待たせしました」

「まってない」

「ははは」

元気のないスバルちゃんから素直なご意見いただきました。

「ほら、スバル頑張ってきなよ」

何故かにこにこのちょこ先生。

「いざって時はスバルが守ってあげなよ。

ころね学園長からは許可出たんでしょ?」

「出たけど」

スバルちゃんは両腕に付いてるブレスレットを見ている。

なんだろう?ファッションかな?

いつもの制服姿ではなくボーイッシュな普段着も似合ってるなぁ。

「ん?何か可笑しいか?」

俺の視線に気付き服を見るスバルちゃん。

「いやいや、スバルの私服姿に見とれてたのよ」

「な、見るな!」

ちょこ先生の言葉に顔を赤くして胸を手で隠しながら体をひねるスバルちゃん。

「ちょこ先生」

「ふふ」

スバルちゃんの動きを見て喜ぶちょこ先生。

「ほら、2人ともそろそろ行かないと乗り遅れるわよ」

ちょこ先生に言われて時計を見る。

4時15分。

そろそろ行かないと。

「では、スバルちゃんお願いします」

「わ、分かった」

俺は「いってきます」とちょこ先生に伝え、元気ないスバルちゃんと一緒に学園を出た。

「久しぶりに警察の仕事以外で学園外に出た」

「警察?」

「ん?あ、こっちの話」

校門を出た時にスバルちゃんが呟く。

たぶん、大空警察の話かな?

スバルちゃんの中ではあれは別人設定みたいだな。

さてと、マップを開いてエリトアが付けてくれたバス停に向かう。

バス停には誰もいなかった。

「ヤバい緊張してきた」

「俺もです」

スバルちゃんの言葉に俺も少し緊張してきた。

時刻に4時27分。

来た。

1台のバスがバス停に音もなく停まる。

今回は俺達以外には誰も乗らないみたいだな。

前と同じく乗客は真っ直ぐ前を見ている。

窓際は一杯だ。

俺はスバルちゃんの方を向き頷く。

スバルちゃんも頷き返してくれた。

そして、俺達は幽霊バスに乗り込んだ。




さて、前回あまり出番の少なかった学園ホロメン達の活躍が始まります。
果たしてあなたはスバルちゃんと無事にクエストをクリアできるのか?
次回をお楽しみに

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